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中国から帰ってきた世界保健機関(WHO)官員がSARSの疫病実情を語る

【明慧ネット】中国で調査してきたドイツのウイルス専門家である、フランクフルト大学ウイルス学研究所の主任医師プライサ氏は、5月5日大紀元のインタビューを受け、中国での見聞を語った。

問:中国に行った背景を紹介していただけませんか?
答:私はドイツで最初に出現した二人のSARS患者の治療に携わりました。この治療を通して、SARSの病原体の検出に成功したため、一週間後、つまり3月23日、世界保健機関(WHO)に諮問員として任命され、中国に派遣されました。もともと10日間滞在する予定でしたが、結局5週間ほど滞在しました。先週帰ってきたばかりです。

問:中国で具体的にどのようなことをしましたか?
答:まず、北京で中国全体の状況の報告を聞き、その後、広東省に行きました。その後、また北京に戻って北京の状況を視察しました。最後に上海に行きました。行ったすべてのところで、当地の医療システムがSARSに対処する能力があるかどうかを検査しました。その後、当地の病院と衛生部門を訪ね、検査結果に対して我々の意見を述べました。

問:現在SARSの中国での拡大状況に関してどんなことが印象的ですか?
答:過去の数週間以内に、中国のSARS状況は急に悪化しました。でも忘れないでください、これはまだ政府が公布した数字に過ぎません。実際の状況は最近になってからはじめて悪くなったわけではなく、実は長い間、中国の国内の疫病発生情況は既に酷く、ただ公開していなかっただけです。根本的な問題は信憑性のある情報がないことです。これも我々が中国に行った原因であり、行く前には何の情報もなく、本当に情報が封鎖されていました。しかし、今回気が付いたのは、中国のSARSの現状は宣伝しているほどコントロールされているわけではありません。我々は毎日増えつつある感染者数に注目しています。現在、北京だけでなく、山西省、内モンゴルと他の地区の衛生部門は、当地の感染者数を統計し始めました。なぜならこれらの数字を記録してこそ、はじめて人々が更なる伝播を阻止することができるからです。

問:中国のSARS病の拡大はどうなっているのでしょうか?
答:非常に酷い状況です。残念なことに、これまで貴重な時間が浪費されました。数週間前、すでに対策を取るべきであったのですが、人々は全く無関心で、結局SARSはこの期間中に猛威を振るいました。もし、三月上旬に適切な措置を取っていたならば、いまの状況は大分違うでしょうね。現在、中国各級政府が既に適当な措置をとり、SARSの拡大を阻止することができることを願っています。しかし目下の状況から見ると、この状況は少なくても半年以上続くでしょうね。

問:上海の状況はどうでしょうか?
答:他の地区と同様に、上海でもいつか広まるとは思います。だから、高度の警戒を保たなければなりません。今までとってきた措置はまだ良い方ですが、改善する必要があり、またこれらの措置をしっかりと執行していかなければなりません。この点について、我々の意見やコメントを十分伝えました。上海の危険はまだ過ぎておらず、慎重に対処しなければなりません。これからより多くの感染者が出るでしょう。正しく対処できることを願っています。

問:中国政府が取った措置に関してどのような印象を持っていますか?
答:少し誇張しすぎるように見えます。例えば、患者と接触した人に処罰を与えるなど。これは相反した効果を招きかねません。患者は実情を隠し、登録しないかもしれません。しかし毎日暴騰している感染者に面して、厳格な措置は必要でしょうが、程度を把握すべきです。明らかに政府もこのような措置を用いてこれまでに来たした損失を補おうとしています。

問:目下の状況を改善するために何かアドバイスはありませんか?
答:アドバイスはたくさんあります。最も重要なのは、各級の衛生部門は迅速に感染者を発見する能力を備えなければならず、患者を手当する専門家を確定しなければならない。SARSの更なる拡大を防ぐために、病院はあらゆるSARS患者と感染の疑いのある者に対して、即時的な治療を提供する能力を保証しなければなりません。

問:SARSが中国以外の国で、特に先進国において広まる可能性についてコメントをお願いします。
答:この可能性は十分存在します。現在空港での予防対策はまだしっかりと取られていません。欧州と北米において、人々は十分な措置を取っているため、災難的な広まりはないと思いますが、個人的な感染源が恐らく存在しており、特に家で感染する可能性が大きいでしょう。