日本明慧


参考資料:中国の奇跡と解きがたい難問

2003年8月13日

【明慧ネット8月13日電】大紀元時報唐方聖路易斯からの報道によると、台北大学経済学部の張清溪教授は、8月10日全僑民主連盟の要請に応じ、聖路易斯にて三回目の講演を行った。張教授は、多くの西側経済学者の観点と各種の信頼できる統計データを引用し、中国経済の表面の繁栄に隠蔽された、経済的社会的危機を指摘した。以下講演の要旨である。

中国では銀行の不良貸し付けが50%に達し、ジニ係数が0.5を超えた情況の下で、社会が安定を保つということは、本当に一つの奇跡であると言わざるを得ない。しかも、これは解きがたい難問でもあり、その崩壊は必然で、ただ時間の問題であろう。

1978年中国改革開放以来、表面から見れば、経済が早い速度で成長し、1997年のアジア金融危機の中でも唯一優秀であり、2001年台湾とシンガポールがマイナス成長の時でも、相変わらず7%−8%の成長を維持したが、これらの官方の統計データは既に多くの質疑を受けている。97年以後、中国が公表しているGDP累計成長は24.7%だが、この数年間のエネルギー使用は、却って12.8%減ったと言う。ピッツバーグ大學の中国経済専門家のトムサ・ロウスキー教授は、このような成長は根本的に不可能であると認識している。なぜならば、経済的な急成長は、必ず大量のエネルギー消費を伴うものであるからだ。

2002年にWTOに加入後、外資が大量に投入され、至る所で投資建設し、WTOに合わせた新制度と新処置が次々と出現した。2015年になれば中国は日本を超えて世界第二の経済大国になり、それに加え労働コストが低く、環境保護の要求が低い政府の優遇政策により、“投資天国”となる勢いがあると予測する人もいるが…。背後には様々な多くの経済問題がある。改革開放前期から既に壊滅の種を暗蔵していて、後期になっては形作りで虚勢を張っているのが特色であり、金融破産、高失業率、貧富の差が甚だしく、政治汚職行為は茶飯事で、人心道徳が墜落し、生態環境も急劇に悪化した。

中国の金融の風穴は特に危険なものである。大量の土地の売買は必ず社会不穏をもたらし、外資に頼り、これだけ高い貸し倒れの問題を政府が解決できるものではない。中国経済と中国共産党政権を両立しようとすることは、有効な方案もなく、解きがたい難問である。一旦人民貯蓄と外資等の一環が崩れたら、全てが崩壊するであろう。

中国の失業が果してどの程度であるのかは、まだ謎のままである。何清漣女史(2002)の1997年〜2001年の中国統計年鑑により計算したデータによれば、官方資料から推定しても、その失業率は高く21%にも達することが分かり、しかも、この中には農村の失業人口は含まれていない。もし都市と農村の総失業率を計算したならば、それは35%以上にも達する(張教授が算出した数値は34.4%)。中国貧困の差が著しく、既に世界最高に上った。ジニ係数(所得不均の程度を計るために使う指標であり、ゼロ〜1の間の数値で、指標が低いほど、より均等であることを表す)の中国官方の統計を見ると、2000年は、0.417であるが、2001年は、王紹光/胡鞍鋼/丁元竹3氏の統計によると>0.5である。これほど不公平な社会が、まだあれだけ安定しているということは本当に一つの奇跡である。それ以外にも、汚職腐敗、道徳低下、環境破壊、破産した農村財政と生活が困難な農民など、皆一触即発の時限爆弾のように経済崩壊をもたらすものである。台湾経済界には、大陸へ行って事業をするようなことを極力避けるよう忠告したい。一旦崩壊したら、「誰もが逃げられない」ものであるからだ。

外資に対して言えば、儲かることもあるが、中国社会の予測は難しく、多くの多国企業は大挙して中国に投資しているが、最終的には損出を出し撤退するであろう。台湾の事業家が、大陸でひどい目に遭っている情況も厳重なものであり、例えば林志升、高為邦氏らなどの例がある。高為邦氏は、天津附近でガラス繊維加工工場を立ち上げたが、旧暦正月に台湾に戻った際、工場の全てを持ち去られた。何年も追及し、関連先もあたり尽くしたが、逆に刑事原告から民事被告へとすり替えられてしまい、台湾に戻った後になってから、はじめて本当のことを言い出した「大陸は中央から地方まで、台湾事業家をひどい目に遭わせるのは既定の政策である」と。

私は、決して有意に中国が衰退すると言うことを唱えているのではなく、ただ大陸の様々な問題が先送りされることが多くなればなるほど、人民の受ける損害が深くなることを見てきたので、その中国経済の真相を皆さんに伝えたいだけである。