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タンザニアで陳至立が出廷し、尋問を受ける---司法独立を考える

 文/海外大法弟子

 明慧ネット2004年8月4日】中国前教育部長、現任国務委員である陳至立はタンザニアを外交訪問している際、人権弁護士で構成された国際人権弁護士団体に地元の法廷に告訴され、7月19日出廷して尋問を受けた。

 弁護士団体が代表したのは中国で迫害されている法輪功学習者である。法廷から召喚状を受けてからすぐ中国に逃げてしまった中国官員達に比べて、外交訪問の貴賓としてタンザニアを訪問している陳至立は、訪問している国の法廷を回避する口実がなく、逃げ隠れ出来ず初めて出廷した中国官員である。

 「法輪功迫害国際調査」の調査報告によると、陳至立は教育委員会部長の在任期間に、中国青少年に系統的に「法輪功を憎み、弾圧するのは正しいことだ」との思想を植え付け、教育界でたくさんの法輪功を修煉する学生と教職員を監禁し、61人が迫害により死亡する事態を引き起こした。この案件は社会の中核を担う民衆が殺害され、行方不明、強制的に停学、不法に監禁等に及ぼしているが、これはすべて基本的人権の問題である。

 今まで陳至立の声明はなく、中国政府筋の見解もない。陳至立のような案件は世界各地で雨後の竹の子のようにますます多くなるだろう。被告になった人には、中共高官もいれば、人を殺し法輪功迫害に自ら参与した人もいる。最も悪名高い被告は法輪功の弾圧を引き起こした江沢民であり、彼に関する法廷手順はアメリカシカゴ法廷で審理されている。

 江沢民が実施している「すべての外交手段を利用して」訴訟案件を弾圧するように、陳至立事件について中国政府が何ら見解を示さない原因は、おそらく両国の裏側での取引を望み、外交手段で事件を終わらせ、出来るだけ表に出ないようにしているからであろう。

 「外交手段」で訴訟案件を始末するということは、言い換えれば、つまり両国の政治、経済の利害関係が司法の公正に影響し犯しているということである。

 世界各国の司法概念は多少違いはあるにせよ、「司法独立」を強調する点は変らない。これは最終的に「司法」公正を保障する前提であり、基本である。

 しかし、中国の司法は、一つの政党の体制のため、他の法制国家との衝突が多い。例えば、高官達は自分の権力範囲内に司法をあれこれとあら捜しをしたり、いろんな文書や指示、或いは高圧手段で司法機関に圧力を加える。

 最近カナダで起きた「カナダ法廷が中国外交官員の財産を凍結するよう命令した」事件から、普通の中国官員の司法に対する態度が伺える。トロントに住んでいる中国副総領事藩新春は、地元のある法輪功学習者を言論で攻撃したため罰金を課せられたが、藩氏は外交官特権を行使して、カナダ法廷の伝票、判決及び凍結命令に応ずることなく、しかも前もって銀行口座を解約する手段で罰金を逃れた。中国政府も被告の弁護士を通して「カナダ政府の介入を希望する」と声明し、このことは両国関係に影響を及ぼすと言った。

 カナダの法制制度は中国と根本的に違い、政府は法律を支配する権力はない。中国では「政府が司法に介入」するのは良く見られるが、これは法制国家では非常に大きなスキャンダルである。

 タンザニアはアフリカの小国であり、経済面や国力の整備において中国政府の援助をたくさん受けている。例えば、「交通大動脈」となるタンザニアとザンビアをつなげる鉄道の建設は、中国から派遣した数万人の技術士が参加した。鉄道、石炭鉱山、農場、紡織工場、砂糖工場、農具工場等百種類以上の分野にわたって、中国の技術援助や資金の貸し付け、参与がある。このような状況の下では、政治、経済などの要素は司法の公正に影響を与えないのだろうか。これはタンザニアの司法独立と法廷の誠実性の試練である。

 しかし、陳至立案件において、タンザニア法廷の速やかな反応は迫害されている弱者を励みとなっている。政府が気分を損ねることなく気遣いしている援助国の官員に対して、司法が敢えて表に立って、犯罪の可能性の証拠を探し、審理する。つまり、「私は平民だから勝手に捕まえても良く、彼女は政府の援助国の官員だから起訴されない」と言うことではなく、「法律の前には皆平等である」ということを実行したのである。

 この面では、中国の司法界の境遇は格別悲惨なものである。アフリカの小国の司法部門が責任を担う勇気があるのに比べて、中華人民共和国の司法部門はそのような勇気がない。だから法輪功民衆の中国での言論や合法権益は江沢民に封鎖されてしまい、江沢民の意に背いて被害者を保護する弁護士や裁判官もおらず、自国民を助けて合法権益を保護してくれる人もいない。

 同じ理由で、海外法輪功学習者が中共高官を起訴する案件において、中国政府筋は「両国の関係に影響がある」という口実で「案件を取り消す」よう要求し、警告することがよく見受けられる。世界各地から盛り上がっている「江沢民訴訟」案件から見れば、このような警告の効果は弱い。世界中のほとんどの国家の政治体制は多党執政と民主の基礎上で建てられており、中国政府の一党独裁の欲望と要求とはまったく違う。これは中共上層部の認識と世界中に認められている司法原則とが矛盾し、「政府の加入」など不適当な言論をする原因となっている。同時に、中共官員はこのような違いに適応し難い、例えば、誹謗罪名が成立しても制裁を拒む藩新春はその例である。陳至立自身を含め、中国上層部官員は法廷に呼ばれるとき、内心は必ず驚愕し、戸惑うだろう。

 法輪功学習者は公正独立の司法手続きを用いて、迫害された多くの証拠を利用して、国外で法輪功を迫害する中国高官を包囲して捕らえる勢いを形成させた。国内での迫害は停止されてないが、国外での譴責や法律に従う制裁は、国内上層部の警戒と反省を引き起こすだろう。

 陳至立事件は続いており、結果よりもっと重要なのは、法廷、民衆及び他の国家政府がこの案件を通じて法輪功が迫害される更に多くの真相を知ることが出来ることである。真相を知っている人がますます多くなると、迫害の維持は難しくなるだろう。つまり、この事件の影響と意義は案件そのものより遥かに深く大きいのである。




(中国語:http://www.minghui.org/mh/articles/2004/8/4/80990p.html