回顧録を燃やした元副庁長
文/河北省の大法弟子
(明慧日本)私の伯父は81歳で、定年退職した役所の副庁長でした。伯父は字が読めない農家の子供から副庁長の位置にまで昇りつめ、大変だったでしょうが、満足した事だろうと思っていました。そのため、一昨年から、伯父は生涯の経験や功績を記し、親友や家族の後代に残そうと考えたのです。
伯父は回顧録を書き始めました。1カ月のうちに、数十ページを書き終え、書けば書くほど興奮して矢も盾もたまらず、まだ完成していない回顧録を友人に読ませ、楽しみを分かち合おうと考え、自己満足していました。ところが、友人らの反応は伯父にとって意外でした。彼らは伯父を褒めないどころか、かえって伯父に冷水を浴びせました。
親友の王さんは「今日の共産党の党員の中に汚職しない人がいるでしょうか? 官員と強盗は一緒になり、庶民の怒りは沸いており、真理を洞察する智慧のある人は、これほどまでに悪名高くなった党と距離を置き、関わらないようしているのに、あなたはこのような動かぬ証拠を残して共産党を褒め、自分も関わっているということは絶対に賢明な行動ではないと思う」と語りました。伯父はそれを聞いて少し驚きました。
親友・趙さんは「友よ、民心を得たものは天下を得、民心を失ったものは天下を失う。現在、共産党は民心をすべて失った。共産党という言葉を耳にすると、みんな罵るに決まっている。共産党の崩壊は時間の問題だけだ。共産党に従って獲得した功績は誰かの注目を集めることができるのか? 共産党が倒れたら、あなたのそれらの功績は動かぬ証拠になる。少しアドバイスをするが、回顧録を書くことは止めた方がよい。暇だったら、街に出て散歩しよう」と言いました。話を聞いた伯父は額に汗をかきました。しばらくして、伯父は「そうかもしれない。考えておく」と返事をしました。
2人の親友に冷水を浴びせられた伯父は、やや冷静になりました。伯父は親友の劉さんの家を訪れました。思考が深く、見解が独特だと評された劉さんは元庁長で、伯父の上司でした。劉さんは伯父の話を聞いて、本棚から1冊の本を取って伯父に渡しました。その本は正に『共産党についての九つの論評』でした。「同僚よ、この本は厚くないが、世界の歴史とも言える傑作で、一文一文も経典だ。私は拝読した後、何もかも分かった。あなたの回顧録はやめるか続けるか、この本を読んでから決めてほしい」と劉さんは言いました。伯父は「そうですか。そうですか。読みます」と頷きながら答えました。
伯父は夕食後の、いつもの散歩をやめ、テレビも見ないで、持ち帰った本を読み始めました。伯父は驚きから、震撼を経て、最後に自分がやったことの危険性に気づきました。「なるほど、自分が共産党に追随してやったすべてのことは犯罪なのだ! 地主を打倒して殺害し、右派を打倒して投獄し、毎回の運動も犯罪だった」と、伯父は共産党への認識ついて、この本を読むことでだんだんはっきりと、真相が分かってきたのです。自分が書いている回顧録を思い出すと、恥ずかしくなって、躊躇せず、火をつけて燃やしました。その後、心も軽くなって、体験談を分かち合いに友人を訪ねました。
2011年04月24日
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