東京 生体臓器狩り停止と迫害の終焉を訴える(四) シンポジウム
■ 印刷版
 

 【明慧日本2016年12月12日】(前の文へ)

 移植ツーリズムを考える会は12月2日午後、東京でシンポジウムを開き、台湾、カナダから来日したデービッド・キルガー氏、デービッド・マタス氏、朱婉琪氏、黄士維氏を招き、中国の臓器移植の裏に潜んでいる問題について、日本人として何ができるかが交流された。

東京都 文京シビックセンター・スカイホールで発言するデービッド・マタス氏 

 マタス氏は冒頭で「中国政府の公式声明を受け止めるしかなかったのですが、この数字(臓器移植件数)に関しては臓器の出処を見つけることに焦点を絞ってきました。中国の移植件数を確定することは、これまでになされるべきことではありましたが、今回の調査を通して初めて行なわれました」と説明した。 

 マタス氏は、全ての病院の病床数、職員数、助成金や賞与金などを考えて数字を出していき、病院の稼働率や、病院が増えていくなどの全てのデータを検討した結果、中国が公式に発表している年間の移植件数1万例というのは、どうみても、6万~10万例が行なわれていると判明し、その臓器の出処の大部分が法輪功学習者からのものであると指摘した。 

 また病院は多くの外国の患者を受け入れており、それらの移植を行っている外科医は日本や西洋の国々で技術を学んでいると指摘し、外科医の中には日本の大学で研修を受けたことをホームページに記載しており、日中友好病院は日本の助成金で建てられた腎臓移植センターであると話した。 

 最後にマタス氏は「このように多くの臓器移植の濫用が実際に行われており、それが広告にも出されています。そういったことを私たちは止めなければいけません。止めなければ加担することになってしまいます」と注意を促した。 

シンポジウムで発言するデービッド・キルガー氏 

 キルガー氏は「日本人が持っている才能を、もっと外に向けて行動を起こすことに使ってください、人道に反する罪に対してなぜ(その才能を)使わないのか、使って欲しい」と訴えた。続けて「臓器が収奪されている事実に対しては、日本の人たちにも関係があります。(移植を受けた)本人は安全に帰国出来ますが、移植された臓器は誰かから摘出されているのです」と話し、台湾でも患者はかつて中国に行って臓器移植を受けていたが、今は一切行っていないし、オーストラリアでも法律が通過したと説明した。 

 

 決議案と公約と条例の改正 

 朱氏は来日後、一貫して日本にも国民の臓器移植ツアーを防ぐための法律の制定が必要であると指摘してきた。シンポジウムにおいても再度具体的な法律についての必要性について言及した。 

 2013年から2014年に地域的な変化があり、まずは欧州議会で決議案ができました。ただし決議案というのは実質的な効力はあまりないと思われます。

 決議案というのは実際に懲罰する理由にはならず、本当に効力のあるものはこれから皆さんに話をする公約というものです。(移植ツーリズムと臓器売買に関して具体的に規範化された唯一の国際公約。欧州で人道的な法律の枠組みを築く)

 スペイン、イスラエル、台湾の立法は力のあるものです。 六つのポイントは、日本と関係があり非常に重要で、最終的に日本の法律もこの中にまとめられることになると思います。 

 1.本人に同意なく、生体・死体から臓器を摘出する違法行為、違法な臓器摘出の仲介

 2.違法な臓器を生体移植に使用、もしくは他の用途への利用

 3.故意に自国の臓器移植規制外で行われた臓器移植、もしくは現地国の臓器移植法の核心原則に違反する移植

 4.違法な臓器売買・勧誘・仲介

 5.違法摘出された臓器の保存・保管・輸送・受け渡し・輸出入

 6.公約規定犯罪行為を扇動・幇助

 公約の締結国が国内で立法し、自国の刑事法で懲罰することを要求しています。 

  

 また、朱氏は台湾の重要な臓器移植の条例の改正についても以下のように説明した。 

 まず、臓器は必ず無償で提供されなければならない。 決してお金で売買することはできないということです。

 そして第10条ですがこれは非常に重要です。台湾以外で臓器移植を受けた患者は、移植された臓器の種類、国、病院、医師名を帰国後、継続して治療を受ける病院に書面で提出することが義務付けられており、病院側も前項規定に従い通知報告を行う。 

 第16条は最も重要で、台湾では違法な臓器移植の仲介または臓器の提供、取得を禁止しています。前項において、自国以外で違法した場合、当領域内の法律を犯していなくても、本条例全てに従い懲罰を受けることになります。医療関係者が規定に違反し、その内容が重大な場合、医療資格を失う場合もあります。 

 

 朱氏は結論として以下のように締めくくった。 

 「ヨーロッパの公約にしても台湾の立法にしても、背景には中国で共産党主導の迫害が起きているという重要な背景があり、人道に反する罪、拷問、その他残虐な犯罪がおこなわれているのです」 

  

 質疑応答 

 質問:日本人が中国への移植ツアーの顧客になっていると書いてあったが、具体的なデータはありますか? 

 マタス氏:日本に対して呼びかける多くのスタッフや医師、そして日本向けの広告などから、日本は非常に大きな要素となっているということです。 

 さらに日本の助成金で建てられた日中友好病院があり、実は移植センターです。そこの病院では日本と中国の共同研究が行なわれております。中国と日本の医学での協力は非常に強いと考えられ、多くのドクターが日本で研修したことを紹介しています。 

 日本人の患者がどれぐらい中国で移植を受けているかを省庁に訪ねると、「わからない」という答えでした。私がお答えすることはできません。しかし省庁はこのことを把握するべきで、収集しようとすれば数字を出すことはできるはずです。 

 日本からの移植ツーリズムが世界でも多いと主張しているのは、日本の関与の意義が非常に大きいからです。しかし、そのような事実があるにもかかわらず、沈黙が保たれており、誰も何も話そうとしないのは、行なわなければならない義務を怠っていると私は考えます。 

 黄士維氏:中国の医師が日本に渡って臓器移植のトレーニングを受けていることは分っていますし、治療薬を製造する製薬会社の存在も確認しています。 

  

 質問:現在スマートフォンで海外での移植のための渡航斡旋を検索できます。海外での移植を斡旋する日本の業者をなくさなければいけないのですが、朱先生にその方法を提案していただきたいです。 

 朱氏:台湾では報告が義務付けられています。イスラエルにも法律があります。台湾はイスラエルの法律にならって立法しました。イスラエルの場合は、まず国外で臓器移植を受けて帰国すると、保険医療の補助がなくなります。台湾では、いきなり補助がなくなるのは困るので、海外で臓器移植を受けた患者数の情報を収集することから始めました。 

 日本でも調査をしたことがあるのですが、報告を義務付けなければ、自発的に臓器移植をした情報は出ないので、やはり立法するには正確な数字が必要になります。 

 今回日本に来て、たくさんの人に質問されました。「日本はどうすればいいのですか?」と聞かれますが、逆なのです。皆さんがどうしたいのかということが大事です。 

 日本国内でよくインターネット上の仲介サイトがあります。そのサイトの中では人を助けるとか、臓器の入手を協力するとか、援助、支援すると書かれていますが、実はその背後に反社会的勢力のグループや暴力的団体があるということに私たちは気づいています。ですから皆さんは実際に立法してからいろいろなことを正しく行うことができます。反社会的勢力が関与していればさらに危険な目に合うのではないかと思っています。

 

 某地方議員:地方議員としての役割としてどのようなことが考えられるか、また今回主催者の移植ツーリズムを考える会として今後どのような活動をされていく予定なのかお聞きしたい。

 キルガー氏:カナダで政治家としての27年間の経験から言えば是非、法律を通過させてください。先程台湾についての話がありましたが、イスラエルでもスペインでもできています。是非正しいことを行ってください。

 朱氏:地方議員の方について台湾ではいろいろな経験がございます。台湾では地方議会を通じて皆さんの決議案を作り、中国の非人道的な犯罪を非難する決議案を通過させることができます。台湾では2006~2016年までに20カ所の地方議会でこのような決議案を通過させました。

 通過すれば立法することが出来ます。決議案が通過すれば次に公聴会、座談会、シンポジウムもできます。そのことを通じて地方の人々が認識することができます。

 台湾にも類似する会があります、会と一緒に活動すれば良いと思います。民間が専門家を招き、地方議員も参加することによって皆さんと一緒に協力していけば、活動が大きくなっていきます。

 移植ツーリズムを考える会理事・張氏:市のレベルまで、800くらいの市議会宛に陳情書を出しました。今後は請願を行おうと考えています。路上での資料配布もやっています。

 

 最後に移植ツーリズムを考える会の会長・稲垣氏は「大きな渦を作り、進めていきたい。大きな力が必要です。最終的には日本も、台湾、ヨーロッパ、アメリカと同じように、(中国への)移植ツーリズムを規制する法案を作って、今後日本人がこの大きな犯罪の共犯者にならないようなシステムを構築したい、というのが私たちの願いです」と結んだ。

(完)

 
(中国語:http://www.minghui.org/mh/articles/2016/12/12/89-338842.html)
 
関連文章