文／台湾の大法弟子

【明慧日本2025年9月29日】私はかつて美術学校でカウンセリングサービスのディレクターを務めていました。そこで、私が経験した感動的な話を皆さんにお話ししたいと思います。

　ある時、保護者と教師の会合の後、背の高い男性がゆっくりと近づいてきました。彼は静かに「一つ質問してもいいですか？」と尋ねました。私は「どうぞ」と答えました。

　父と息子の対立

　男性は、2年前に息子の剛さん（仮名）が高校1年生だった時のことを話してくれました。2人は口論になり、剛さんが失礼な口答えをしたのです。彼は息子に腹を立て、もう一度同じ口答えをしたら平手打ちすると脅しました。反抗期だった息子はすぐに言い返してしまい、平手打ちを食らいました。剛さんは彼を睨みつけ、一言も発せずに部屋を出て行きました。それ以来、息子は彼と口をきいていません。

　彼には息子が1人しかいない。息子のために懸命に働き、仕事で成功を収め、確固たる基盤を築いてきた。息子を溺愛し、こんな風に扱われるべきではないと信じています。すれ違う時でさえ、息子は彼を無視し、彼の心は張り裂けそうになる。息子は2年以上もの間、母親に伝言を頼み続けています。彼は話しかけようとすると、剛さんはいつも顔を背けます。

　彼は言いました。「先生、私は苦しんでいます、どうしたらいいのか分かりません。助けてください」

　解決策を求めて

　1日で3フィートの氷が張るなんてありえないし、彼らの関係はもう長い間冷え切っていたのだから、私はこう提案しました。「少し時間をください。私は朝の時間帯を利用して、彼へのサポートを手伝ってみたらどうですか？　1年くらいの時間をください」。彼は「1年なんて待てないですよ！　私はもう2年以上も辛い思いをしているんだから」と言いました。

　私は「わかりました。夜の授業でも話してみます。半年はどうですか？」。男性は「先生、私は1カ月も待てないですよ。1週間でも耐えられないです」

　私は彼に、近々行われる神韻公演のチラシを渡し、息子さんと奥様を連れて観劇に行かれることを提案しました。彼は困惑した表情で目を大きく見開き、「これは何か役に立つでしょうか？」と尋ねているかのようでした。私は「カウンセリングではアートセラピーを取り入れることがあります。息子さんはチェロを習われているので、この公演は彼にとって良い影響があるかもしれません。すぐに効果が出るとは言い切れませんが、少しでもお役に立てれば幸いです」と答えました。

　結局、彼は神韻のチケットを3枚購入しました。息子とは長い間口をきいていなかったため、彼は車で会場まで行き、妻と息子はタクシーを利用しました。

　家庭関係の改善

　ショーの後、彼は妻と息子に「家まで送ってあげます」と言いました。剛さんは素直に彼の後について車に乗り込みました。全員が車に乗り込んだ後、後部座席に座っていた息子が「お父さん、もうご飯食べましたか？」と尋ねました。

　それから間もなく、父親が電話をかけてきて、この話をしてくれました。「先生、私は涙が出ましたよ。剛は長い間私に話しかけてくれなかったのに、話しかけてくれた途端、私が何か食べたか心配してくれたのです。その瞬間、この2年間の嫌なことや辛いことが一瞬にして消え去ってしまいました」

　私は2人の幸せを心から嬉しく思いました。また、父親はこう言いました。「剛は、それだけでなく、とても理解力のある子になったとも言いました。以前は、お母さんが料理を作って『食べるように』と頼んでも、動かなかったのに、今ではお母さんが掃除をしているのを見ると、率先して手伝うようになりました。お母さんが料理をしている時は、キッチンに行って野菜や米を洗うのを手伝うようになりました。剛は本当に大きく変わりました」

　彼は私に「これは一体何なのでしょうか？」と尋ねました。私は「分かりません。彼に話してみます」と答えました。

　「母を救うために山を割った」物語が心の葛藤を解きほぐした

　その後、私は時間を見つけて剛さんと話をしました。「神韻の公演は素晴らしかったけど、一番泣けたのは『母を救うために山を割った』の物語です」と彼は言いました。

　彼によると、この物語に登場する沈香は、天上の女神を母に持ち、地上に降りてきて父と結婚したが、それが天の掟に違反したため、天の兵士に捕らえられ、洞窟に閉じ込められました。叔父の二郎神（高貴で力強い武神）は大きな岩で洞窟の入り口を封印しました。沈香は暑さも寒さも気にせず、昼夜を問わず母を救うために修行に励みました。それを見た剛さんは、「沈香はこんなに幼いのに親孝行の心得があるのに、私はどうなのだろう？」と考えました。

　修行を終えた沈香は、母を解放してくれるよう叔父のもとへ向かいました。しかし、叔父は使命を帯びており、沈香の母を解放することはできなかったのです。戦闘中、沈香は一瞬の隙を突いて、神斧で洞窟の入り口を塞ぐ大岩を割り裂きました。

　剛さんは言いました。「あの瞬間、私の心の中にあった重い石も消え去りました。ずっと自分が間違っていると分かっていたのに、認めることができず、とても悲しかったのです。でも、石が割れるのを見た時、私もすべてを手放せるような気がしました。他に何を言えばいいのか思いつかなかったので、父に『お父さん、もうご飯食べましたか？』と尋ねました」

　結論

　家族間の争いは往々にして解決が難しいものですが、この父と息子は神韻の芸術的なパフォーマンスを通して長年の葛藤を解決しました。より多くの人々が神韻公演を観劇し、その恩恵を受け、祝福されることを願っています。