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はり治療を受けた五千年前のヨーロッパ人
[明慧ネット] はりの起源が中国にあるということは周知のことです。しかし最近、ヨーロッパの考古学は、五千二百年前の氷河期、新石器時代の古代ヨーロッパ人がはり治療を受けていた可能性があるということを発見しました。

近年、イタリア、オーストリア地域のアルプス山脈で、オーズティと名付けられたミイラが発見されました。これは今まで発見された最も古いヨーロッパのミイラです。しかし、科学者を驚かせたのは、オーズティの背中や股には、はり治療のツボと部位が一致する奇妙な傷痕があって、つまりはり治療を受けていた可能性があるということです。

コンピュータによる層面X線写真技術の利用により、科学者達はまたオーズティが腰椎関節炎症にかかった可能性があることを突き止めました。中国伝統医学のはり療法によると、腰椎関節炎症では、膀胱経に相応するツボにはりを打って治療するのです。オーズティの体に残った傷跡は膀胱経のツボにピッタリと一致する個所が多くあります。

この研究はアメリカの科学専門雑誌[サイエンス]に発表されました。(Science、 9、 October 1998、 Vol.282)

これまでより、針灸学の起源についての学説は神秘的色彩の強いものでした。古代のヨーロッパ人はどうやってはりの知識を身につけていたのか? もしかとすると、針灸学は先史文明からの遺産で、アジアにはいまだに残され伝えられていますが、ヨーロッパでは失われたものなのかもしれません。あるいは、古代における東西文化の交流が反映したものであるのかもしれません。これはまさに示唆に富んだことです。