日本明慧

小説:千羽鶴

2001年12月29日 文/条凡

【明慧ネット】ひとつの伝説がある。:もし千羽鶴に願をかければ、願いがかなう、とは古くからの言い伝えだ。ある少年と少女が、暇な時間を使って千羽鶴を折った。はたして彼らの願望は現実したのであろうか?それは定かではない──

 新しい1年が始まった。楽楽は独りでにぎわっている街頭を歩いていた。見渡せば家族、仲間達と楽しそうに笑って話している。楽楽の心はいっそう苦しくなった。両親は法輪功を固く修煉したために刑務所に入れられ、楽楽は仕方なくさすらって身を落ち着かせる所もなく、同級生の家や親戚の家を転々としていた──彼は法輪大法が良いことを知っている。楽楽の家庭はいつも喧嘩が絶えなかったが、両親が法輪功を修煉してからなごやかになった。しかし楽楽はやはり多少不満があった:なぜどうしても天安門広場に行かなければならないのか?なぜ捕らえられ、殴打される危険を冒してまで、どうしても真相を他の人に伝えるのか?なぜ両親はまだ16歳の一人の息子が両親を必要としていることを考えてもみないのか?!すでに2年が経過した。少年は2年も、両親と一緒に元旦をともに楽しく過ごしていない。両親はいつも忙しくて、急いで天安門に行って、急いで世間の人々真相を伝える。今年の10.1(建国記念日)、両親は横断幕を掲げに行ったとき捕まり、彼は本当に“孤児”になった。寂しさ、かつてない寂しさが彼を包みこんだ──休日の周りの楽しそうな雰囲気は、少年の孤独で寂しい気持ちを一層際立たせた。

 今日、2002年元旦、同級生とある家族が揃って外出することとなった。少年は誘いを断り、一人で外出することを選んだ。しかし、少年は後悔し、自らを周囲とまったく相容れないことを感じた。

 「新年おめでとう」の声が絶えず耳に入ってくる。その度に少年はいっそう悲しみに包まれた。少年は──楽楽はうつむいたまま道の脇で小石を蹴った──もし今両親と一緒だったらなあ……

 「新年おめでとう!」と突然軽快な声で少年に掛け声が。頭を上げると18、9歳の女の子が、親切そうな笑顔で、片手には青色の折り紙の鶴を持っている。「新年おめでとう!」女の子はもう一度言って、手にしていた千羽鶴を彼に渡した。「僕に?」少年は目の前に躍如として現れた千羽鶴を信じられなかった。僕が貰ってもいいの?祝福と願いを象徴する千羽鶴を本当にくれるというのか?

 「そうよ。」女の子はにこにこしながら答えた。「この鶴は祝福と願いを意味するだけでなく、真相を伝えるものなの!」

 「真相?」楽楽は疑いながら折り紙の鶴を受け取った。青い紙の鶴からピンクの字が見えた。

 「そうよ、真相だよ!よく見てね。」女の子は話し終わるとあっと言う間に人の群れに消えていった。

 疑問を抱きながらも、好奇心で、楽楽は慎重に手の中の紙のツルを広げ、まず目に入ったのは「一枚の紙のツル、一つの本心、一つの祝福、一つの願い、一つの真相」で、「法輪功の真相のQ&A」と続き、ひとつひとつの質問、ひとつひとつの解答が書かれていたのだ。彼はよく読んでみた──なぜ天安門に行くのか、どうして真相をはっきりと説明するのか、どうして陳情に行くのか──そういうことだったのか!僕の両親は人を助けていたのか!おじさん、おばさん、おじいさんやおばあさんたちが迫害のため300人も死んでしまったのか!もともとは……

 両親を思い出した。「あの高尚な人徳、何ものをも恐れない精神、そして、さっきの女の子のすがすがしい笑顔、祈願した表情。分かった!」ついに楽楽は両親の気持ちと行動が分かった。両親はすでにこれら意味することを伝えていたのに、そのときは理解できなかった。ただ少年のひとつの私心が、理解するのを妨げていた。もしさっきの女の子がいなければ、もしこの折り紙の鶴がなかったら、少年はまだ不平をこぼしていたかも知れない。再び紙のツルをきちんと折りたたんだ。周りの人を見てみると、大多数の人が1羽の折鶴を手にしていた、赤色、黄色、青色、一つ一つが美しくきれいだ──折鶴を手にした人の表情は様々だ。ある人は驚喜し、ある人は首をかしげ、またある人ははっと悟り──

 「もっと多くの人に自分の両親や子を持つ親が真理を固く堅持し、行なった行為を知らせよう!」と、思いつくと楽楽は慎重に折鶴をポケットにしまって、同じように少年は折り紙に真相を書き込み、千羽鶴を折ることにした。少年は1000羽の鶴を折った。両親が無事に帰ってくることを祈って・・。きっと多くの人が真相を知り、刑務所に良い人を閉じ込めることが出来なくなるときがくると──

 楽楽は満面の笑みで家路についた。足並みはどんどん速くなってどんどん楽になって、少年は願いがきっと叶うと信じて止まないのだ!

 千羽鶴、千羽鶴は止まることなく人々の手の中をあちこち伝え周る。祝福を持って、願いを持って、真相を持って──