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参考資料:法律の新たな装い

【明慧ネット】

(注:当ネットに掲載される参考資料は、法輪功を修煉されていない一般の方々の文章であるため、法輪功学習者の認識と相違する場合があります)

あなたは、もし不幸にも中国国内にて訴訟事件で法廷に立つならば、斬新な服装が目に付くはずです。前方に座っている裁判官らは、全員統一された服を身に着けています。中国の司法領域に於いては、かなりの進歩の表れです。現在は、あらゆることで国際社会と接しなければならず、世界の民主国家の裁判官には、統一された服装がある以上、中国の裁判官も昔の制装のままでは、いられないということです。

裁判官の制服以外、弁護士も斬新な制服を着るようになりました。これは正に中国の司法領域に於ける快挙でもあります。米国は、弁護士密度が世界一高い国と言え、米国の一般市民はほとんどと言っていいほど裁判に出たことがあるようです。しかし、米国の弁護士らの法廷に出席する時の服装は、一般市民がオフィスで着る服装とほとんど変わりがありません。それは弁護士が国家や政府、あるいは政治党派、弁護士協会を代表する訳ではなく、法廷に出席する時は自分の顧客を代表するだけのものに過ぎません。法律上では、被告人は必ずしも弁護士を雇わなければならないことはなく、自分が自分のことを弁護することも可能となっています。この場合、弁護士は被告人本人になる訳で、もし当人が裁判官と同じ服装となった場合おかしな事になります。

現在の中国の裁判所で、多くの服装があるのは、それなりの道理があります。共産主義の独裁から離脱し、法治社会へ踏み込んだことを表しています。しかし、この法治社会における新しい衣の内側では、日常茶飯事のように法律を犯すという出来事が起きています。

1. 厳重処罰
中国政府及び司法部門は、毎年例外なく一度や数度に渡る“厳重処罰”活動を行います。“厳重処罰”活動期間中のスローガンは“より重くより迅速に”であり、ようするに、通常法律に則り3年の判決を下すケースの場合、この期間中では一気に10年の判決を下すようになります。また、通常判決を下されてから、10日間の上告猶予期間がありますが、“厳重処罰”活動期間中の場合は、上告期間を無くし直ちに執行させることが出来ます。従って、“厳重処罰”活動期間中における中国の法律は、ほとんど効力が無いと言えます。このような活動は、あたかも政府自体が自国の法律を計画的かつ組織的に、犯しているかのようなものです。

2. ダブル規則
近年中国のメディアによく現れる“ダブル規定”という名称は、本来は中央紀律委員会が頒布された規定である。即ち、“規定された時間と規定された場所で出された宿題を完成させる”ことを意味します。元々党内の条文であり、党員に対して発するもので、法的効力はありません。しかし、この“ダブル規定”は、党内の各組織及び委員会にて、使用され効果を発揮したため、現在は党員でない人、更に中国国籍でない人も皆よく“ダブル規定”に縛られています。現行の中国法律によれば、公安及び検察機関のみ、公式文書の下に拘留や留置する権利を行使できます。しかし、今では国家の司法機関(厳密に言うと協会や婦人団体などに類するもの)でない単なる党の紀律委員会が随意に人を拘留したりすることが出来るのです。これは法律上では正に権利を利用した拉致、不法拘留であると言えます。さらに、一般市民はこの法的効力を持っていない“ダブル規定”に沈黙せざるを得ないという現状があります。

3. 晩婚及び養育計画
中国は結婚年齢を婚姻法において明確に規定しています。しかし、中国各地で実際に実施されている結婚登記の年齢は、婚姻法の規定年齢と2歳の差があります。それは各地の結婚登記機関が、地方の結婚登記条例に従い執行されていることによります。婚姻法による結婚年齢は、中国の各行政機関に晩婚の形に変えられ“提唱”されています。そして、“提唱”が“強制”へと推移していったようです。中国の憲法や養育計画も同様で、《人口及び養育計画法》では、夫婦に対して子供は、強制的に一人や二人にするということを謳ってはいないのです。中にもちいられた“法律用語”は、あくまでも“提唱”の意味を示しています。しかし、都市にいる市民は、この“基本国策”に従わなかったために、仕事を失ってしまいました。そして、農村の場合では、これに従わなかったために、家まで取られてしまった人もいるのです。

4. 団体及び飛び越し陳情
中国憲法で国民は言論の自由があると明確に記してあり、憲法第41条では更に“国民は国家関連機関に対して、陳情、告訴又は検挙をする権利がある”と明記されています。そして、各級の政府も国民の声を聞き入れるための陳情窓口を設けています。また、憲法や陳情に関する条例では、国民による陳情は、特に指定された行政機関宛のみ提出できないとはされていません。しかし、陳情窓口を通り越して陳情をする国民を阻止、弾圧することは時々発生しています。それ故、一部の国民に誤った認識が生じてしまい、陳情するなら窓口から始め上層部まで一歩ずつ行い、しかも、陳情は個人でしなければならないということです。窓口を飛び越したり、集団で陳情することは違法だと勘違いしてしまったり、少なくとも規定に合っていないと勘違いしてしまいます。“関連部門”は、国民がこの様に勘違いするよう導引したのではないかとも思われます。中国の法律普及教育は、十数年来行って来ていますが、国民にとって最も重要なことは“法律上で明確に禁止していない行為は、全て合法である”ということの様です。

5. 公共事業工事
近年、国内及び海外共に広く注目されている入札制公共事業工事は、国内の貧しい地域の教育問題について、ある程度解消してくれている模様です。しかし、それに掛かる学費負担の増加については、希望事業工事を大きく宣伝したことによって、埋もれてしまったようです。中国の“義務教育法”では、9年間の義務教育費用は政府が負担することになっています。従って、仮にある地区において、貧困が原因で子供たちが義務教育を受けることが出来ない場合、この責任は完全に政府にあることになります。中央政府は他の地区から、あるいは他の方法にて資金を収集し、子供たちの学校問題を解決する義務があります。中国内において、一つでも貧困が原因で、子供が学校へ行けないことがあれば、国立大劇場や新幹線などのような大規模な公共事業を行ってはならないでしょう。なぜならば、中国の法律上では、国立大劇場を建築しなければならないと言う法律条例はない代わりに、子供たちに無料で学校へ行かせなければならない法律があります。悲しいことに、政府の違法行為は長期に渡り疑問の提唱がなく、代わりに海外の熱心な人々からの寄付が大量に寄せられているのです。これらの大量の寄付は、政治的経済的において実質上に政府の違法行為を助長するものになっているということです。

6. 劉暁慶の不動産競売
劉暁慶事件は、裕福層の人々にとってかなりの影響となっています。税収面においては確かに他の人々に戒めの効果を出しているようです。しかし、“開廷”を行う前に劉氏の不動産を“法律に則り”競売に掛けたことについては、その法律の根拠を見付けることが難しいのです。世界においても、ほんの僅かの国を除いて、ほとんど国は“推定無罪”の立法及び執行規則に従っています。即ち、法廷で有罪を下す前は、誰でも無罪と仮定されているのです。中国の法律では、推定無罪については明確にしていない代わりに、“犯罪容疑者”となっており、その名称から推察しても、少なくとも中国の法律は表面上では、“推定無罪”を認めているはずです。劉暁慶事件の裁判結果は、二通りにしかならないと推定できます。一つは、劉暁慶の敗訴。もう一つは、劉暁慶の勝訴。仮にもし後者の結果になった場合、中国の“関係部門”が今まで競売してしまった劉暁慶の不動産を再び“法律に則り”競り掛け買い戻してくれるのでしょうか?しかし、政府の対処の仕方を見ると、劉暁慶事件の最終的な裁判結果は、既に分かっているようです。劉暁慶は、既に法廷外で“推定有罪”とされているということです。

7. メディアに対する干渉、インターネットに対する封鎖及び憲法違反
中国政府の“メディアに対する干渉”は既に十数年もの歴史があるのですが、干渉に関する法的根拠が不明瞭です。そして、ここ数年間、政府のインターネットに対しての封鎖行動が行われていますが、その法的根拠は《インターネット出版管理暫定規則》に沿ったものです。中国の憲法では、国民は言論及び通信の自由があり、話す自由があると記されています。また、国民の言論及び通信を受け取る、聞く自由に対しても制限を設けてはいません。中国の国民は、外国から流れてくるラジオ番組を聴き、海外のインターネットホームページを見る権利があり、しかも中国の憲法によって、守られているものなのです。さらに、“反逆、わいせつ”等に関連する情報の受信も禁止してはいません。従って、《インターネット出版管理暫定規則》自体、憲法に反している疑いがあると思われます。しかし、中国において、ある法律あるいはある規定が、憲法に違反していることを判定することは、これから先、かなり長い道のりとなることでしょう。

8. 海外に居住する国民のパスポート延期の拒否
パスポートは、それを所持する人の国籍を示すものに過ぎません。中国の国民であれば、どこに居住していたとしても、パスポートを申請する権利があります。そして、パスポートの有効期限が切れる時に、中国の国籍を放棄しさえしなければ、有効期限を延期する権利があります。しかし、海外に駐在している中国大使館が、政治的問題あるいは宗教信仰などの原因で、自国民に対し圧力を加え、パスポートの有効期限延期を拒否することが多々あります。結局、政府は行政手段を利用し、自国民の国籍及び国民としての権利を永久的に剥奪した結果となっています。中国の法律によれば、法廷にて容疑者に対し、裁判官が有罪と下した時に限り、当人の国民としての権利を期限付きにて剥奪することが出来るとなっています。しかし、決して当人の国籍は剥奪してはならないのです。海外に駐在している中国大使館員らは、自分たちが法律より強い力を有していると勘違いしているようです。

中国の裁判官及び弁護士が、共に新しい制服を身に付けたにも拘らず、政府機関における違法行為がこれほど多くとも、誰もそれに挑もうとしないし、挑むことも出来ないのです。その理由として、中国では裁判官、検察官あるいは弁護士は、組織上では全員が共産党の政法委員会に属するものであるからです。また、共産党は政府の上層に位置するものだからです。従って、どんなに新しい制装になったとしても、依然として党の一つの道具に過ぎず、従属する形は変わらないのです。市民の言葉を借りれば“いくら鎧を身に着けたとしても中身は変わらない”ということと同じなのです。