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「中国の人権侵害の実態」シンポジウムが東京で開催され、大きな反響を呼ぶ(写真)

文/日本大法弟子

【明慧ネット6月8日】「法輪功迫害から見る中国の人権侵害の実態」シンポジウムが、5月31日夜、東京池袋にある東京芸術劇場で開かれ、大きな反響を呼んだ。
会場へ入る参加者 会場内にて

シンポジウムは、アムネスティ・インターナショナル日本支部の北井大輔氏の司会で行われた。主な講演者は次の通り。国際ジャーナリスト会議理事長の角間隆氏、「金子容子さん救援国会議員超党派連盟」会長で、衆議院議員の牧野聖修氏、アムネスティ・インターナショナル日本支部中国担当。なお、金子容子さんの夫・金子篤志さんと迫害を受けた2名の法輪功学習者がゲストとして実情を訴えた。

牧野聖修議員が法輪功学習者のたゆまぬ努力に感謝の意を表した
発言する牧野議員

衆議院議員の牧野聖修氏がまず発言を行った。氏は、法輪功学習者が迫害を受けていることに対し、公に重大な関心を払った最初の国会議員である。氏の発言の要旨は次の通りである。

法輪功学習者たちが国会に対し、金子容子さん救出の呼びかけを始めたばかりの頃は、まだ多くの議員が理解できませんでした。しかし、法輪功学習者たちは、風の日も雨の日も、また酷暑であろうとも、議員一人一人に容子さん救出支援の呼びかけと法輪功の真相説明を続けました。彼らのたゆまぬ努力の結果、現在では多くの議員が法輪功に対して態度を改め、法輪功の内包と容子さん救出の意義に対して、理解を深めました。今では、しばしば向こうのほうから私に声を掛けてきて、「彼らは本当によく頑張るなあ」と言ってくれるようになりました。おかげで、私のほうも国会内で随分とやりやすくなりました。これらは全て、法輪功学習者の地味ながら力強い、たゆまぬ努力の結果です。法輪功学習者の皆さんが今後いっそう努力され、活動を展開していかれることを希望しています。私はここでお約束します。容子さんを救うため、そして法輪功学習者がこれ以上迫害を受けないようにするため、いっそう努力し、皆さんと協力しながら、引き続き中国政府に呼びかけていきます。

続いて、容子さんの夫・金子篤志さんが容子さんの状況について紹介し、併せて、実情を訴えるといった得がたいチャンスを与えられたことを喜んだ。篤志さんは、各界の有識者から頂いた声援と激励に深い感謝の意を表した。
発言する金子さん

国際ジャーナリスト会議理事長の角間隆氏が法輪功の創始者に対して行ったインタビューを振り返る
発言する角間氏

国際ジャーナリスト会議理事長の角間隆氏が、「中国の情報統制と法輪功の真相」と題して、特別講演を行った。氏は、多くの詳細かつ正確な事実によって、法輪功学習者が残酷な迫害を受けながらも穏やかで理性的な態度を保っていることを高く評価し、次のように語った。

この4年間、私は(略)じっと(法輪功を)見守ってきたわけです。その間に血みどろの、要するに目には目を、歯には歯をという争いが、冷戦が終結した後も十年以上も続いているわけです。その中で何十万、何百万という人が虐殺され、血まみれになりながら、泥の中にのた打ち回って死んでいったという歴史があるわけですが、この法輪功に限ってはその事実が一回もなかった。未だにこんなに酷いことをされているのに、目には目をで武器を持って立ち上がり、鎌や鍬を振り上げてその不当なる官権に一撃を加えようとした者はいない。それは(略)その聖バイブルとも言うべきその聖典(編者注:『転法輪』を指す)の中にちゃんと書いてあります。というわけで私はますます法輪功というものを信じるようになりました。

角間氏は続いて、3月に出たばかりの『法輪功リポート2003年版』を採り上げ、それを例に、中国当局が迫害に用いた刑具や酷刑の様子を詳細かつ具体的に説明し、中国当局の法輪功学習者に対する残忍非道で見るに忍びない残酷な迫害を暴きだした。氏によると、当『リポート』は、法輪功に対する残酷な迫害の状態を最もよく表しており、「これをさっと読んだだけでも身震いがし」、氏をして「とにかく信じられない」と言わしめたものである。

講演の後半で角間氏は次のように語った。

私自身にしてもジャーナリストにとって現場を取材できないということは死んだも同然ですから、今日ここでついに「法輪功!」と叫び出した瞬間からこれまずビザは出ません。どっかの観光ツアーと一緒に上海に見に行ったふりをして、そこから脱走して田舎の取材に行ったとしたら、恐らくもう一生死体も上がってこないでしょう。だからものすごく皆危険を冒しながら、それでも人間として、すごくちゃんとしている人を人間として支援しないのはおかしいという気にだんだんなってくるわけです。(略)

だから今、1億2500万人いる国民の中でわずかこれだけですけれども自分で一遍実態を見てみよう、それから自分で一遍判断の指針を作ってみようという人達が今日お集まりいただいた。しかし、一粒の麦もし死なずばこれから皆さま方を中心に十年後、二十年後、三十年後の人類の歴史は皆さま方からの第一歩から始まった、自分でまず情報を集め判断し耳を傾けようというようなこの活動が、どんなに貴重なものであったかということがお分かりいただけると思います。

アムネスティ・インターナショナル日本支部が法輪功の受けている迫害に関心を払い、支持の立場を表明した

アムネスティ・インターナショナル日本支部中国担当は、中国の人権迫害の状況について、全面的な報告を行い、併せて法輪功学習者が受けている迫害に関わる資料をまとめ、多くの事例によって、法輪功に対する迫害がどれほど深刻で広範囲にわたっているかということを明らかにすると共に、アムネスティ・インターナショナル日本支部として、法輪功学習者が受けている迫害に対し、関心と支持の立場を明確に表明した。

法輪功学習者が、中国にいる家族が受けている迫害について述べた
迫害の体験を訴える学習者

法輪功学習者の呉麗麗さんが、お姉さんと自分が中国で受けた迫害について語った。

私が姉と最後に会ったのは、中国の留置場です。(略)1月の留置場はとても寒くじめじめしていました。私は布団を持っていなかったので、隣部屋の姉と一緒に寝ることにしました。姉は敷布団を他の囚人にあげたので、私と姉は掛け布団一枚を一緒に掛けるしかありませんでした。寒くて、私は全く眠ることができず、姉が両手で私の足を抱え、懐で暖めてくれました。(略)監禁されてほぼ1ヶ月経った頃、日本にいる主人や学習仲間、友人などの各方面への働きかけや救援活動のおかげで、私は釈放され、日本に帰ることができました。ただ、4年経った今も、姉はほとんど全てを獄中で過ごしてきました。(略)この4年間、姉は何度も監禁され、精神病院に入れられたことも2度あります。精神病院で姉は、むりやり注射を打たれ、薬を飲まされ、電気ショックを与えられました。それらの苦痛は言葉では言い表せません。薬を飲まされ注射を打たれると、朦朧としてきます。意識が麻痺し、座っても立っても寝てもいられず、めまいと激しい吐き気がし、月経不順となり、頭は全く空っぽの状態になります。記憶が減退し、視力もぼんやりとして、近くの人や物がよく見えず、聴力も明らかに低下しました。体が非常に衰弱して、一日に3,4回倒れることもあります。(略)姉は「真善忍」の力に支えられ、医師や看護婦たちに法輪功の真相を語り続けました。そうするうちに、医師も姉に対する態度を変えて、こう言いました。「あなたはほんとうにいい人だ。精神病患者なんかじゃない。早く家の人に迎えに来てもらうことにしよう。私たちはこんな政治的迫害に関わりたくない。」

そして、呉麗麗さんはいっそう悲憤の念を込めて次のように続けた。

父は弁護士で、これまで多くの人の弁護をしてきましたが、法輪功の修煉をしている娘のために弁護してやることはできませんでした。中国では、弁護士は法輪功の弁護をすることが許されないのです。父は姉が精神病院に入れられている間、精神的に次第に激しい苛みを受けていき、結局早くにこの世を去ることになってしまいました。母は、姉に父の野辺送りをさせてやりたくて、姉が勤めている大学に頼んで、姉を連れて帰ろうとしましたが、安徽省の610事務所はそれを許してくれませんでした。結局姉は、父と最後のお別れをすることも叶いませんでした。このように、生きていても会えず、死んでも見送ることができませんでした。当時母は電話で、悲痛な思いで私にこう言いました。「たとえあの子が今帰ってきたとしても、私はやはり心配なの。ひょっとして一度に二人の見送りをすることになるんじゃないかって。髪の白い人と黒い人を一緒に見送ることになるんじゃないかって。」

呉麗麗さんの話の途中、多くの参加者がずっと涙を流していた。

迫害を受けた法輪功学習者肖辛力さんが、中国で受けた迫害と香港で入国を拒否され、強制送還された経歴を語った。彼女は併せて、元東京大学留学生楊文さん、北里大学客員研究員胡国平さん、静岡教育大学留学生解運歓さん、日本国籍法輪功学習者田中裕子さんのお兄さん王同春さんたちが中国で重い刑を言い渡され、残酷な迫害を受けている状況を簡単に紹介した。そして、日本在住の法輪功学習者やその家族が中国で受けている迫害に関心を払ってくれるよう、各界に強く呼びかけた。

鬼束弁護士:皆さんと力を合わせ、一日も早くこの迫害を終わらせたい
発言する鬼束氏

鬼束弁護士は次のように語った。

皆さんと一緒にいろんな形で、この迫害が一日も早く一刻も早くなくなるようにがんばっていきたいと思います。

広瀬教授:中国は本来社会保障に使うべきお金を全て迫害に使っている

最後に、「法輪功難民申請者支援会」会長の広瀬教授が来賓に謝意を表し、併せて今回のシンポジウムの感想を次のように語った。

今日のような生の声を聞かせて戴くと、予想以上に大変な事が起きていることを実感致します。(略)権力を持っている人は権力に酔います。権力はお酒以上に酔いやすいうえに、それらの人びとは命令すればそれで済み,心の痛みを感じることはないでしょうから、ほっておくと迫害が続くというのは一般的には分かりますが、現場で迫害をしている人たち、何万人という人たちが迫害されていれば、それの数倍の人たちが現場で迫害に立ち会っていて、その人たちの中にも良心があって、それがいずれ大波になって押し寄せ、それが今の体制が壊れていく一つのきっかけになるのではないかと感じるほどのひどい迫害が行われているということを、身をもって感じました。
 角間先生のお話で印象深かったのは、中国が本来は社会保障に使うべきお金と労力を迫害に使っているという点で、これは日本のマスコミもぜひ、特集を組んで戴きたいものだと思いました。

広瀬教授は、最後に次のようなことばで今回のシンポジウムを締めくくった。

そういうことからこの支援会を作ろうということでスタートして、活動といってもほんのチョロチョロだったのですが、今日みなさまお聴き戴いたように角間先生、また最初にお話戴きました衆議院議員の牧野先生、そして強力な弁護団、アムネスティ・インターナショナルなど非常に力強い流れが合流しまして、私などはほんとうに微力ですが、大きな流れになってきたことを喜んでいる次第です。この流れが今後、ますます大きな流れになって行くことを期待しつつ今日の結びのご挨拶としたいと思います。


閉会を宣言する前に、司会の北井大輔氏が、一人一人が皆、今日ここで聞いたことを周りの人に伝えてほしいとお願いした。

格調高い芸術劇場の大会議室は満員で、後から来た参加者は、一番後ろの壁際の臨時席に座るか、両側に立って聴いていた。シンポジウムは活発ながらも穏やかな雰囲気の中で幕を閉じた。

散会後、ある女性弁護士は次のように語った。「本当にすばらしかったです。発言者はそれぞれが異なる角度から語っており、とてもよかったです。その中でも特に感動したのはやはり、迫害を受けたお二人のお話です。誰もが感動を覚え、気の毒に思ったことでしょう。彼女たちが受けている不幸をもっと多くの人に知ってもらいたいと思います。」
『転法輪』を借りて行った記者もいた。
またある記者は、シンポジウムのビデオを各マスメディアに送ったらどうかと提案してくれ、併せて次のような感想を述べた。「今回のシンポジウムはほんとうに充実していました。以前私は法輪功に対して、偏見と誤解を持っていましたが、今はそれもなくなりました。私は、できるだけ早く、迫害を受けているその他の法輪功学習者にインタビューをしたいと思います。」
アムネスティ・インターナショナルの関係者も、鬼束弁護士の話を聴いて、法輪功学習者が受けている迫害のことが正しく理解できるようになったと語り、迫害資料をもっとわかりやすい形に整理して、より多くの人に見せてあげたらどうかと提案してくれた。
学習者自身も、全体として一つにまとまり、新たなスタート地点に立って、真相を伝える必要があるということを強く感じたようである。

シンポジウム当日は、台風の影響で東京は大雨であったが、多くの新聞社(NHK、毎日新聞、朝日新聞、読売新聞、共同通信社等)やテレビ局の記者が取材にやってきてくれた。法曹界、教育界、人権団体、中国問題研究者、一般市民、新旧華僑、西洋の方など、各界から出席者があった。