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駐トロント中国副総領事に名誉毀損罪の判決が下される(写真)

【明慧ネット2004年2月4日】2004年2月3日、カナダ・オンタリオ州高等裁判所において、トロントの法輪功学習者ジェエル・チプカー氏(Joel Chipkar)が原告として、駐トロント中国副総領事を名誉毀損で告訴した事件に対し、被告が欠席のまま審理が行われ、被告駐トロント中国副総領事の潘新春氏に対して、名誉毀損罪の有罪判決が下され、原告の損失を賠償するように命じられた。

これは法輪功学習者の名義で、中国国外において、法輪功を迫害している中国の外交官を告訴した初めてのケースであると共に、中国の外交官が法輪功への憎しみを煽ることにより、西側諸国の法定で、有罪判決を下された初めてのケースでもある。

チプカー氏と弁護士 チプカー夫妻 判決直後“今日は善い人が勝った”と弁護士は述べた

* 潘新春氏に対する欠席判決

開廷前、ハービー・スピーゲル(Harvey Spiegel)裁判官は、原告側の弁護士であるピーター・ダウナード氏(Peter Downard)から、提出された資料に入念に目を通した。法廷において、裁判官は原告側の弁護士ピーター・ダウナード氏から、この案件の背景と経緯についての陳述を聴取した後、原告側弁護士が提出した、被告潘新春氏の訴訟を回避する行為により弁護権が喪失している証拠を受理した。 

ダウナード弁護士は、裁判官からの質問に答える際、「潘新春氏は法定に出廷し、告訴された事実に直面することを恐れている。中国の江沢民政権は、過去5年間法輪功を迫害する中で、領事館を利用して、法輪功への憎しみを煽る宣伝や中傷を行ってきた。彼らの行為は、通常の領事権限範囲を超えており、名誉毀損罪を構成した。今回の潘新春氏の行為は“法廷規則の無視、法律書類の受け取り拒否、出廷拒否”という新たな犯罪を起こした」と述べた。

被告の潘新春氏は、数回に渡り法律書類の受け取りを拒否したことによって、法廷弁護のチャンスを失い、本日も出廷しなかった。被告潘氏が欠席のままで法廷審理した結果、裁判官は潘氏に対して名誉毀損罪の有罪判決を下したと同時に、原告側の要求した1,000 カナダドルの損害賠償及び10,000カナダドルの訴訟費用を払うように命じた。

判決が出た後、チプカー氏は、記者の取材に応じて、「1,000 カナダドルの損害賠償だけを請求したことは、この告訴は金銭が目的ではなく、原則のためであると言うことである」と表明した。判決の結果について、チプカー氏は、「この判決は、カナダの法律が公正であることを表明した。あらゆる法輪功への迫害や誹謗中傷のことに関与した人は、いかなる身分であっても、自分の罪に対して責任を持たなければならない」と述べた。

* 憎しみを煽る宣伝を行った人は、外交免責権が認められない

原告側の弁護士のピーター・ダウナード氏は、本案に関っている免責権の問題について、「国際法では、外交官に外交免責権の保護があり、領事は領事免責権が認められている。だが、これは正常な領事権限の範囲内の行動に限定されている。潘氏が行った名誉毀損の行為は、正常な領事権限範囲のことではない。現在の証拠で、潘氏が外交免責権の保護を受ける権利を排除できる。この一件の中で、被告は明らかに国際法に違反していた」と述べた。

被告は、明確にカナダ政府が1976年5月19日に承認した『国際民事、政治権益公約』(The International Covenant on Civil and Political Rights)に違反した。中国政府も1998年10月5日にこの国際公約を承認している。

この一件に関して、中国はカナダ外務省に相当の圧力を掛けて、審理を阻止しようとしたが、カナダ外務省の報道部は「この一件に一切干渉せず、法廷の審理に委ねる」と表明していた。 

中国の江沢民政権は、法輪功を弾圧しているこの5年近くの間に、駐海外大使事館員らは、海外で積極的に法輪功学習者への迫害に参加し、デマや嘘の宣伝を利用して、外国政府関係者や現地の中国人の中で法輪功への憎しみを煽っていたにも関らず、外交免責権の保護を利用して法律の裁きを逃れようとしている。

この一件における公正な判決は、海外における江沢民氏の法輪功迫害への協力者が、外交免責権を利用して、罪を逃れようとする幻想がうち砕かれた。

* 中国の外交関係者への警告 

カナダの情報筋によると、本件が法廷に提出されてから、中国駐トロント領事館から、カナダ政府関係者に提出した法輪功を中傷する手紙における署名が無くなった。中国領事館員らは、自分の権限外の不名誉な行為に神経質となり、暴露されることを恐れ、第二の潘新春氏にはなりたくないようである。

本件の判決を注目し続けているカナダの法輪功学習者は、「江氏の海外協力者は、中国での弾圧に積極に関与し、海外のメディアを利用してデマを宣伝し、民衆を騙し、外交関係者の身分を利用して法輪功を誹謗する資料を配り、人を雇っては法輪功学習者へ脅迫や嫌がらせを行い、外国政府関係者及び海外の中国人の中に、法輪功への憎しみを煽り、江氏政権の法輪功への迫害を海外にまで、伸展させた。さらに、海外メディアに掲載した、誹謗中傷の宣伝資料を中国国内に持ち込んでは、中国での迫害を支援した」と述べた。

潘新春氏に対する名誉毀損罪の判決は、全ての海外駐在の中国大使館関係者らに明確な警告を発した「江沢民氏の迫害政策に追随し、“外交要員”の庇護の下で悪行を行っている人は、自分の犯罪行為に対して責任を持たなければならない。報いは早かれ遅かれ必ずやってくる」。

* これは始まりに過ぎない 

本件が提出されてからというもの、カナダの法輪功学習者は注目をし続けていた。判決の当日には、100名近くの法輪功学習者が、法廷での結果を持っていた。この判決結果は、中国大陸における法輪功迫害の関与者及び、海外における江氏の法輪功迫害政策への追随者に対する、始まりに過ぎない。

チプカー氏は 「中国の義父母は、江沢民政権の嘘の宣伝を無視し、法輪功を修煉し続けるために、さまざまな虐待を受け、全ての財産を奪われた。今、このような誹謗宣伝は、カナダまで広げられて、私の家族にも影響を及ぼした。一人のカナダ国民として、邪悪な宣伝による被害を被らないよう家族を守っていかなければならない」と述べた。

情報によると、チプカー氏の義父母は、中国で法輪功を修煉し続けることによって、迫害を受け、現在家を離れ流浪生活をしている。また、チプカー氏は「この裁判の勝利は、私個人の勝利だけではなく、全ての法輪功学習者、特に中国の法輪功学習者に対して重大な意味を持っている」と話した。

弁護士のピーター・ダウナード氏は判決後、法廷の外で100名以上の民衆に向かって、法廷の判決結果を説明した後、「今日は善い人が勝った」と述べた。


本件の背景: 

2003年、SARSがトロントで流行り、16 人の死者を出した。2003年4 月25 日、オンタリオ州の主要新聞“トロントの星”は特ダネとして、チプカー氏から送られた手紙を発表した。彼はこの手紙の中で、トロントにおけるSARSの拡大をもたらした (中国当局による)SARS 情報隠蔽への関心を表すと共に、中国当局が、法輪功の弾圧に関しても、隠蔽し続けていることに触れた。

2003年5月1日、中国駐トロント副総領事の潘新春氏は、同じ新聞紙上に中国当局の隠蔽行為を弁解する返信を発表した。彼は返信の中で、悪辣な言葉を使用し、チプカー氏及び他の法輪功学習者が「邪悪なカルト」のメンバーであると攻撃した。

2003年8月、チプカー氏は潘新春氏の悪意な攻撃に対し、名誉毀損罪でオンタリオ州高等裁判所に告訴した。

(中国語:http://www.minghui.ca/mh/articles/2004/2/4/66614.html
(英語:http://www.clearwisdom.net/emh/articles/2004/2/5/44809.html