二、4．25平和的な上申、共通認識を達成、円満に解決され

　一万あまりの法輪功学習者の平和的な上申である4．25事件がその後の弾圧を招く引き金となったと、多くの人々が思っている。実は4．25平和的な上申は完全に合法的、かつ情理にもかなったものである。そして、4．25の当日、国務院総理が直接指示したため、法輪功学習者と陳情取扱事務所が誠意ある面談を経て共通認識を達成したことによって、天津警察官が法輪功学習者を逮捕した事件は円満に解決された。当日の夜、防弾自動車に乗って一回りを巡視した江沢民は、嫉妬による怒りを抑えきれず、毛沢東が壁新聞を作って文化大革命を引き起こしたやり方を模倣し、直ちに政治局に書簡を送り、個人の意思を政治局に押し付け、更に不法な手段を用いて中国政府の総理が下した決定を覆し、全面的に公に法輪功を迫害することを企んだ。

　１．事件の引き金：天津事件
　
　1999年4月11日、悪徳な科学者である何祚?は天津教育学院が発行した『青少年博覧」という雑誌に“青少年が気功を練習ことをお薦めしない”という文章を発表した。文章の中で、何祚?は再び1998年北京テレビ局のインタビューを受けた時使った事例を引用して法輪功を批判していた。何祚?が以前この事例を悪用したため、その後の「北京テレビ局事件」を引き起こした。それらの事例は北京テレビ局事件を解決する過程に既に事実無根なことであると結論づけられた。北京テレビ局の事件の後、何祚?が書いた文章は北京のマスコミに採用されなくなった。
　
　1999年4月何祚?は天津で発表した記事の中で、法輪功を練習することによって人々が精神病にかかり、法輪功が国と共産党を滅びさせてしまう恐れがあるとほのめかし、法輪功を中傷した。この文章は、近年詳細な調査をせずに法輪功に対してでたらめな報道を行った十数の新聞社の口ぶりと全く同じである。何祚?の法輪功への非難は、1998年7月21日公安部が発布した「法輪功への調査に関する通達」の意図とぴったり合致した。（この通達は、法輪功が「虚言と邪説を散布している」と定めてから、各地の公安部門に調査・取調べを要求したものである。この通達によって、新疆、遼寧などの公安機関は、法輪功学習者の集団煉功を不法集会とし、強制的に法輪功学習者を追い散らし、学習者の財産を没収したり、罰金を課したり、拘束監禁などを行った。）

　当時、各地の法輪功学習者は各方面からの妨害・圧制を受けていたのみならず、全国全てのマスコミは法輪功学習者に自分の声を上げる機会与えなかった。このような状況の下で、信仰に関する中国憲法の規定、および1997年国務院が発布した《出版管理条例》の第3章第27条規定（新聞、雑誌などに掲載された文章の内容は真実ではなく、或は公正なものでなければ、公民や法人或はその他の組織の合法的な権利が侵害された場合、当事者に訂正してもらい、理由を釈明してもらう権利がある。当該出版社は次号の新聞や雑誌に訂正記事とその理由を掲載すべきである。掲載を拒んだ場合、当事者は裁判所まで訴訟を提出することができる）に従い、天津法輪功学習者は4月18日から24日まで当該雑誌社に駆けつけ、自分が法輪功を修煉した後、身心共に健康になった体験を伝えた。同時に、事実を明らかにし、何祚?の文章によって来たされた悪影響を除去して欲しいという意向を雑誌社に伝えた。

　最初に、当該雑誌社は記事を訂正し、翌日に声明を出すと承諾したが、翌日、声明を出さなかったのみならず、誤りを認めようともしなくなった。事態の発展はより多くの法輪功学習者の注目を集め、雑誌社へ真相を伝える人がますます多くなってきた。4月23、24日、天津市公安局は突然機動隊を出動し、法輪功学習者を殴打し、45名の法輪功学習者を逮捕した。

　この数年来の非難が今回の天津暴力事件までエスカレートし、法輪功への中傷と迫害が深刻化したことは法輪功学習者に大きな衝撃を与えた。天津事件の情報は各地の法輪功学習者に迅速に伝わっていった。直ちに法輪功学習者を釈放するようにと、天津市政府に要望を提出した際に、天津市政府は「中国公安部が今度の事件に介入したので、北京側の指令がなければ、わたし達の判断で法輪功学習者を釈放してはいけない」と話した。同時に天津市の公安も「この問題を解決したいならば、北京まで行かないと無理だ」と法輪功学習者に言った。

　法輪功学習者が法律に従う上申は合法的な手段で解決されず、かえって不法に殴打・逮捕されてしまった。このような状況のもとで、自分の権利を守り、天津公安局の違法行為をやめさせるために、国の上申部門に法輪功と天津事件の実情を知ってもらうしかないと思い、法輪功学習者は北京に上申しにいく道を選んだ。

　２．互いに信頼し合い、平和・理性が現れ

　法輪功の学習者は普段朝出勤する前、または夕方仕事が終わってから、煉功点の煉功活動に参加しているので、お互いによく知っている仲間がいる。煉功点の責任者は皆ボランティアで、自ら進んで皆さんの世話役をしており、皆さんは自分の煉功環境をとても大事にしている。天津で警察官が暴力で学習者を逮捕し、それを解決するために北京からの指示が必要であると聞いて、学習者はすぐに連絡を取り合い、各地の学習者の中で情報が広まり、どうすれば良いのかを議論されていた。環境の悪化を防ぎ、自らの煉功と修煉の権利を守るために、この事件を正しく解決される方法を探っていた。

　4月24日夜から、中央政府への信頼と期待を抱いて、学習者は相次ぎ自発的に国務院の陳情取扱局に出向いた。絶対多数の学習者は陳情取扱局と接触したことがなく、更に一部の学習者が地方から上京してきたものであるため、多くの学習者は通行人に国務院の陳情取扱局の所在地を尋ねていた。中南海付近にあると言っている人もいれば、府右街にあると答えた人もいる。中南海または府右街の行き方を聞いて、次の日の午前中少なくとも一万人の法輪功学習者が府右街付近に集まった。

　ちなみに、当時中国大陸の法輪功学習者は既に七千万から一億人まで達しており、北京の学習者だけで数十万を超えていた。天津事件が突然起きた事件であり、時間もせまっており、事態の緊急性を知っている学習者が非常に少なく、組織的な伝達も無かったため、4月25日国務院の陳情取扱局に駆けつけた学習者は実は非常に少なかった。

　4月25日、朱鎔基は国務院の入り口で偶然に陳情しにきた学習者と出くわし、学習者の代表者を接見し、平和的な陳情が正しく解決された。



1999年4月25日、一万名の法輪功学習者が北京で平和上申

　北京海淀区在住のC氏はこのように当時の情況を振り返った。「4月24日夜7時頃、他の学習者から天津事件のことを聞かされた。国務院陳情取扱局に実情を説明しにいこうとする学習者がいるので、行きたければ行っても良いと教えられた。私は四五名の学習者と一緒にその日の夜8時頃国務院に着いた」

　「4月25日朝、府右街の西側に人があふれていたが、向かい側の国務院近くに誰もいなかった。若い学習者が一番前に列を作り、歩道と目の不自由な人の道を開けておいた。列は壁隅まで続いており、皆とても静かだった」と北京朝陽区のP夫妻はこのように当時の光景について述べた。

　学習者は各方面からやってきて、府右街付近の巷と道端で並んでいた。しかし、交通妨害にはならなかった。列の中に七、八十歳のお年寄りや出産を控えている妊婦もいれば、赤ちゃんを抱いているお母さんもいた。トイレに行く回数を減らすために、人々は僅かしか食べないようにし、水を全く飲まない人もいた。お互いどこから来たのかも知らなかった。まさにある当事者が言ったように、「彼らは知らないところからやってきて、また知らないところに帰っていく」

　明慧ネットは2004年2月15日「4月25日朱鎔基はわたし達を中南海に連れて行った」という文章を発表し、この陳情の参加者である中国科学院博士課程在学の法輪功学習者石采東は陳情の様子と会談の詳細について振り返った。

　「4月25日朝、7時半頃府右街北口に着いた。府右街とその付近の道端で既にたくさんの学習者がいた。立っている人もいれば、座っている人もおり、おしゃべりをする人はいなかった。本を読んでいる学習者もたくさんいた。人が多かったが、交通を妨害したり、大声でしゃべる人はいなかった。自転車で出勤する人は今までとおりに前へ進んでいった。私は西安門大街を通り抜けて、南のほうに入った。そこにもたくさんの人が立っていた。トイレを待っている人は数十メートルの列を作っており、整然としていた。私は初めてここに来たので、入り口がどこにあるかも分からなかった。とりあえず回ってみて、知り合いの学習者に会えたらと思って、続けて南のほうに進んだ。道の両側に学習者が整然と並んでおり、通りに面している学習者は立っており、後ろにいる学習者は座っていた。皆『転法輪』を読んでいた。彼らが着ているものから見ると、田舎からやってきた人もいるようで、とても純粋でやさしく見えた。結局知り合いの学習者と会えなかったが、無線を使って情況を報告している若者が至るところに見かけた。普通の人と変わらない姿だったが、私服警察官であるかもしれない。」

　「この時、人群れから拍手の音が聞こえてきており、静かな早朝に一段と響いていた。後ろを振り向いたら、数十メートル先に朱鎔基がちょうど門から出てきたところだった

　（この時、中南海の西門を通ってきたのだとやっと分かった）。後ろに数名の職員がおり、門の向かい側に立っている学習者に向かって歩いていた。座っていた学習者は起立して拍手し、出勤してすぐ学習者を接見しにきた朱鎔基を見て皆喜んでおり、総理に実情を伝えようとしていた。私も朱鎔基のそばに近づこうしたが、この時、秩序を乱さないように動かないでくださいと皆さんを注意した学習者がいた。」

　朱鎔基は既に法輪功学習者の陳情を知っているようで、「何のためにここに来たのですか？誰の指示ですか」と大声で聞いた。朱鎔基のすぐ前に立っていた学習者の多くは農村出身の人であり、彼の質問に答えなかった。

　「皆さんに宗教を信仰する自由がありますよ」と朱鎔基は続けて言った。

　この時、「わたし達は法輪功の学習者で、陳情しに来たのです」とある学習者が答えた。

　「問題があれば、代表を選んで、一緒に中でお話をします。これほど多くの人と話すわけにも行かないから」と朱鎔基はこう提案した。

　朱鎔基から代表を選ぶようにと言われたが、皆自発的に集まってきたのであって、お互いも知らないので、代表を選ぶことも考えていなかった。普段の煉功も自由で、一緒に煉功したければ一緒にするが、時間がなければ、皆自分のことをやっていたので、名簿も無く人数を調べたこともなかった。代表を選ぶことはなおさらである。

　「代表者がいますか、誰が代表者ですか」と彼はもう一回聞いた。

　この時私は朱鎔基から二メートルしか離れていないところに来たので、「私が行けます」と自ら手を上げて総理のそばに行った。

　「他に誰かいませんか？　あんまり多くないほうがいい」と総理はこのように言ってから、前に立っていた三人を指した。実は私たちは選ばれたのではなく、自薦して代表者になったのである。
”

　朱鎔基はわたし達を連れて、中南海の西門に向かって歩きながら、「皆さんが言っていることについて私は既に返答したのではありませんか？」とわたし達に聞いた。「いや、全然見ていません」と私たちは愕然とした表情で答えた。

　総理はこの時に何かのことに気づいたようで、「陳情取扱局の局長と事務局副局長と会談できるようにします」と言って、職員に指示した。この時私たちは既に中南海西門の守衛所に来ていた。守衛の方に止められ、控え室に連れて行かれたが、総理はそのまま中南海に入った。

　控え室はとてもきれいだった。テーブルの上に電話などの設備と椅子が置かれており、警備の人が忙しそうに動いていた。しばらくしたら、三十代と四十代の人が四人入ってきて、私は誰一人も知らない。中の一人は私の向かい側の席に腰を掛け、総理のお話からこの人が陳情取扱局の責任者のはずだと思う。「総理の指示で情況を調べに来たので、まずお名前などを聞かせてください」と言って、わたし達は名前、所属と電話番号を伝え、彼らはそれを記録した。この時、やっと一緒に来たほかの学習者の名前を知った。

　中の女性学習者は北京大学のあるコンピュータ会社の会社員であり、「何祚庥は天津の『青少年科技博覧』で法輪功を誹謗中傷する文章を書いて・・・」と言ったら、「誰？」陳情取扱局の責任者が聞き取れていなかったように、聞き返した。

　「何祚庥」わたし達は口をそろって繰り返した。

　「あの人だけじゃないんですか？」と彼は書きながら、軽蔑そうに言った。

　「またあの人？」とある職員はつぶやいた。

　天津の学習者は雑誌社に行って事実を伝えに行ったら、公安に四十人あまり捕まれたので、できるだけ彼らを釈放してほしいと女性学習者は続けて言った。

　彼らが記録している時の表情から見ると、この情況を知っている人もいるようである。しかし、あの責任者は知らないようで、隣の若い人に何かを確認しているように聞いていた。

　「法輪功は「真善忍」を修煉しており、自分が修煉によって受益したらまず親戚や友人に伝えた。彼らがしばらく修煉して、また自分の親戚友人に伝え、このように口コミで人が増えてきた。今煉功が妨害されている学習者もいるので、私たちは合法な修煉環境を持つことを望んでいる。」女性学習者はもう一人のリストラされた学習者と一緒にこの情況について話した。

　「後、『転法輪』は元々正式に出版されたのだが、国家新聞出版署に出版を禁止され、多くの海賊版が出回っている。『転法輪』の正式な出版が認められるようお願いしたい」と私も以前手紙で陳情したことのある出版の話を持ち出した。職員たちは聞きながら記録し、それぞれが知っている情報を交換していた。

　更に、中央政府が気功と人体科学研究について「宣伝しない、議論しない、批判しない」という政策を制定した以上、各政府機関とマスコミはこれに従うべきだとの話もした。

　わたし達の話と言った情況から、陳情取扱局の責任者はわたし達が選ばれた代表者ではないようだと感じ、わたし達が総理にその場で指名されたとは知らなかったかもしれない。そして、「責任を取れる代表者はいますか？　二名くらいの責任者を呼んでもらえますか」と聞かれた。

　「じゃ、古い学習者を呼んできます」と私は答えた。大法修煉の中に本当の責任者がおらず、皆法に従って行っている。本当に受益し、社会で良い人間になりたいと思って修煉し続けているのである。誰が責任者なのかを知らないので、古い学習者なら、いろいろ補足することができると考えた。

　彼は私の意見に同意し、私と一緒に探すようにと職員に指示した。

　私は西門の向かい側に立っている学習者に情況を多く知っている古い学習者がいるかどうかを聞いたが、お互いによく知らないので、数名の学習者に修煉を始めた時間を聞いた。最後に1994年から煉功した学習者を見つけ、中南海西門の守衛室に戻った。この学習者がちょっと話しただけで、陳情取扱局の責任者は「皆さんが言った情況を国務院と中央の指導者に報告します。外に皆さんに解散して、家に帰るようにと伝えてください」とわたし達の話を遮った。
　
　わたし達は主に三つのことについて陳情したい。一つ目は天津の公安はできるだけ早く法輪功学習者を釈放すること、二つ目は『転法輪』が正式に出版されるようにすること、最後は合法的な修煉環境を持つこと。帰る前に私はわたし達の要求をまとめ、持ってきた『転法輪』を渡し、中央政府の指導者に読んでいただきたいと思った。

　後でわたし達が話したことは多くの学習者も言いたいことだと分かった。その日の午後、国務院の指導者が北京の大法研究会と会談した時に、学習者が言ったのも大体同じ内容だった。


1999年4月25日、法輪功学習者が街頭で中央政府指導者の正しい決定を待っている

　夜、天津は中央政府の指示に従い、拘束された学習者を全員釈放し、4月25日の陳情を通じて、コンセンサスを得ることができ、問題は円満に解決された。中南海の外で会談の結果を持っている一万の学習者は静かに解散し始めた。

　99年4月25日の平和的な上申の中に現れた法輪功学習者の誠意、善良、寛容と理性は法輪功修煉者の素晴らしい道徳心をそのまま反映し、通りかかった人々と警備に当たった警察官の好評を得たばかりでなく、中国の政府指導部門と国際社会にも大きな衝撃を与えた。同時に、中国政府が理性を持ってこの事件を解決したため、国際社会は中国政府の変化が新鮮に感じられ、各マスコミはこの事件を報道し、事件の平和的な解決に高く評価した。

（続く）