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一冊のファイルから迫害の系統性と残酷さを見る(写真)

 【明慧ネット2004年6月17日】(明慧記者・古安如)中国から一冊のファイルが伝わってきた—広東省広東市《天河区各街鎮2002年度610オフィス勤務審査自己評価採点表》。このファイルは、2人の若い女性の悲惨な物語を思い出させてくれた。この“工作審査自評採点表”(右の表参照)を通して、悲惨な物語が絶えず発生している原因が窺える。法輪功学習者に対する610オフィスの系統的な迫害が明らかにされており、迫害の証拠でもある。

 *610オフィス年度勤務審査自己評価採点表

 江沢民政権による法輪功への迫害の系統的残酷さについて述べると、知らない人は漠然と感じ、ある人はたいしたことではないと思う。それは、江沢民政権が迫害を徹底的に隠蔽し、虚言を流布することで欺かれたからである。この迫害の系統的残酷さ、範囲の広さについて、人々には理解されていないだろう。この採点表により、一つの真実が暴かれたのである。

 この“採点表”は、審査項目が5項目に分かれ、更に32の小項目に分けられており、減点項目と得点項目となっている。詳細に5項目の賞罰基準を定めている。下記の幾つかの小項目の例を見ても、610オフィスは、いかに系統的に、江沢民氏の指示による法輪功への迫害を、実行していたかを物語っている。

 1.「組織機構」項目

 610オフィスの強制的設置並びに確実な運営に関する内容となっている。“610オフィスを設置しない場合は、マイナス3点”、“610に関する業務を重要な議事日程として取り入れておらず、計画、研究、配置、検討比較など、取りまとめることに取り組んでいない場合は、マイナス4点(議事録や文書資料及び各種の評価表などが審査の対象となる)”。

 2.「指示と報告」項目

 610オフィスに、業務を監督及び育成するためのものである。例えば、“《未転化法輪功人員状況統計表》の申告漏れは、マイナス3点。または誤報や申告の遅れは、マイナス1点”、“区の610の各種会議と訓練に参加しない場合は、マイナス2点。遅刻早退は、マイナス2点”となっている。

 “転化”とは、強制労働、監禁、恐喝、洗脳、拷問など各種の虐待的手段により、法輪功の修煉を放棄させることである。“教育転化”の“教育”とは、血生臭い迫害を覆い隠すための装いであり、独裁政治による洗脳と酷刑及び迫害の代名詞である。

 3.「教育による転化」項目

 採点表の中で、最も点数が高く、総点数の50%を占めている。この表が明らかに表しているのは、2002年610オフィスは“転化”の任務を重点とし、社会下層部から実践するとなっている。項目には次のような内容があった。教育転化案が未作成、又は区の610オフィスに未提出の場合は、マイナス5点”、“教育組織の完全な立ち上げが出来ていない部署は、マイナス15点”、“《天河区各街、法輪功未転化人員の状況一覧表》によれば、法輪功学習者を転化し得ない場合は、1名につきマイナス8点”、“管轄内の失踪した学習者を連れ戻せない場合、1名につきマイナス5点。追跡プランの策定及び追跡行動を怠った場合、マイナス10点”となっている。

 4.「防止と抑制」項目

 この項目は全部で11の小項目がある。主要な目的は、法輪功学習者が上京陳情、集団煉功、資料制作、チラシ配布、ポスター貼付、横断幕設置、TV放送等への割り込みなどによる法輪功の真相を訴えることを禁ずるものである。例えば、“上京陳情が起きた場合は、1名につきマイナス15点”、“3人以上の集団煉功が行われた場合、その都度マイナス5点”、“法輪功の横断幕が設置された場合、その都度マイナス5点”、“法輪功の関連資料の制作や大量のチラシを配られた場合(VCD CD‐ROMが10枚以上、チラシが20枚以上)、その都度マイナス3点”、“ラジオやテレビへの割込み放送をされた場合、その都度マイナス10点”となっている。

 5.「宣伝と報道」項目

 この項目は、上層部への事例の報告と経験による推進確保の手段である。例えば、“年度毎の調査研究書や経験報告書が未完成の場合、マイナス5点”となっている。

 6.「得点小項目」

 以上5項目の具体的な減点小項目以外には、“教育の転化”、“防止と抑制”、“宣伝と報道”といった項目は得点小項目がある。例えば、“2002年6月から12月の間に、各郷街鎮の部署は、自力で1名を転化すれば、プラス5点。1ヶ月早くその任務を完了した場合は、更にプラス1点”、“失踪人員を連れ戻した場合は、1名につきプラス10点”、防止と制御の減点対象となっている項目は、郷街鎮の仕事の緻密さにより、“事前に防止し、又は現場で阻止した場合、その都度プラス5点”、“調査研究書、あるいは経験報告書を市610オフィスに採用された場合は、プラス10点。さらに省委員長、省政府の高官に表彰された場合は、プラス5点”となっている。

 そして、文末にこう付け加えられていた。“12月25日前に、各郷街鎮は完成した採点表を区の610オフィスに提出すること”。

 *江氏の命令により、上層から下層へと浸透し、罪なきものを惨殺する

 江沢民政権は、5年間に渡り法輪功を迫害し続けている。迫害の悲劇は中国全土で引き起こされた。凍てつくような残酷な迫害の裏に、あるテロ組織の存在があることを人々は知っている。江沢民政権が法輪功を絶滅するため設置した迫害専従組織 —— それが“610オフィス”である。

 中国の四川省成都金堂県第一人民病院で、1人の若い女性が三日間もの間昏睡し続けた。彼女は病院で長期に渡って、強制的に神経系を破壊する薬物の注射と点滴をされていた。毎日は安定剤2本と睡眠剤1本を注射され、酷い中毒症状が生じていた。医者の診断では、余命2,3日とされた。家族は公安局に釈放を必死に求めたが、「上層部の許可がない限り釈放は出来にない」という回答であった。そして、上層部の回答は、「病院あるいは拘置所内で死んだとしても釈放はしない」とのことであった。

 この女性の名は“蒙”と言い、四川成都の鋼鉄工場の従業員であった。2003年11月19日、暴力防犯隊と金堂県の公安局によって連行され、厳しい拷問を受けた後に病院へ送られた。その後2004年1月8日、再び金堂県第一人民病院へと運ばれた。以後、彼女の姿を見た人はいない。実は、2004年1月8日〜12日の間に、金堂県第一人民病院で残酷な迫害により死亡していたのである。傷だらけの遺体は家族にも通知せず火葬された。一人の若い命が無残に奪われたが、この指揮をしているのが、四川省成都市の610オフィスである。

 広東省広東市の農墾建設実業社の設計部に勤務していた“羅織湘”と言う女性がいた。彼女の戸籍は、採点表の担当地区である天河区にあった。長い間、天河区の610と興華街の610及び公安局長によって追われていた。2002年11月22日不法逮捕され、翌月の12月4日に死亡した。享年29歳、妊娠3ヵ月であった。

 羅織湘と黄国華夫妻は、法輪功を修煉していたために追われていた。家を離れ二年間も路頭に迷っていた。2002年7月〜11月にかけて、天河区610と興華街610及び公安局は、あらゆる手段を尽くして、黄国華を追っていた。彼の故郷である山東省までも追いかけて来たのである。2002年11月20日、羅織湘と黄国華は、広州海珠区610の手により連行され、海珠区拘置所に監禁された。羅織湘は絶食により不法逮捕に抗議した。天河区610及び興華街610は、妊娠3ヶ月である彼女の絶食にもかまわず、黄埔更正施設の洗脳班へと送った。“三書”を書かせようと精神的にも肉体的にも虐待を加え続けた。その後、極度の衰弱と著しい脱水状態に陥ったため病院へと運ばれた。家族は法律で許されている帰宅看護を申請したが拒否され、羅織湘は12月4日に死亡した。

 夫が収監された間、羅織湘は天河区610と興華街610に追われ、一人で路頭に迷っていた。610オフィスは、彼女の出生許可証を取り上げた。迫害は家族や親戚にも及び、家財の差押えや昇進の停止などの被害を受けた。

 ある評論家は、法輪功に対する迫害は、2001年1月の天安門“焼身”事件の前と、その後では変化があると分析している。事件前、各地方政府機関の“仕事の指標”は、如何なる代価も惜しむことなく、上京陳情する法輪功学習者の阻止にあった。この任務は、直接地方官僚の利益と昇進に繋がっていたのである。天安門“焼身”のねつ造事件後は、弾圧がエスカレートし、国民が法輪功と敵対しはじめ、各地で法輪功学習者に対する“転化”が“議事日程”として取り入れられ、“転化率”の目標によって、聞いた人が皆驚愕するような各種の洗脳や、精神虐待及び酷刑が広く使われるようになったのである。各種の収容所(例えば:刑務所、労働教養所、精神病院、転化班、洗脳班)の中で、あるいは追跡している途中で、煉功者の人身事故が頻繁に発生している。

 2002年12月の羅織湘の死亡は、天河区610の手によるものであり、“2002年度610勤務審査自評採点表”がもたらした結果であるとも言える。そして、610オフィスが、強行に進めた法輪功学習者の修煉を放棄させるための、洗脳や転化がもたらした結果であり、さらに江沢民氏が、610オフィスを利用して行った、国家的テロによる法輪功への迫害がもたらした結果でもある。

 「610オフィス」は、非合法的に設立されてから数年が経過した。運営は各部署に浸透しており、その主旨は、江沢民氏の法輪功に対する迫害の度合いを強化し、その絶滅政策を貫き通すこと。着実に徹底的に推し進めることである。610オフィスは、中央から地方の隅々まで網を張り、中国全土を浸食しているかの様である。多くの善良な法輪功学習者を迫害し続け、数え切れない生命を害している。

 *迫害政策は中央から地方まで系統的に貫き通す

 広東省広州市天河区の610オフィスの通達文が、2002年12月5日所轄の町村に回章された。内容は、年度末の勤務を査定するというものである。ということは、年始に立てられた計画に対する進捗状況の査定であることが明白である。中国大陸では、上層部の政策を一貫して貫き通すことから見れば、これは、下層部への貫徹であり、上層部の指示に対し、下層部は法輪功の弾圧にも、効率を求められているものと言える。以前と違うのは、江沢民氏が下した迫害の強化、極秘命令、連座制を加え、利害と繋がる陰険な手段を使い、法輪功への迫害政策を強行に推進し、ヒステリックなものにしている。

 広東省に21の市があり、市の下には区、県(自治県を含め)と県と同一レベルの市を合わせて100以上ある。広州市に10の区と2の県と同一レベルの市があり、天河区はその内の一つである。ただし、広東省だけで110以上の区や県まだは県と同一レベルの市があり、その下には数え切れないほどの街と鎮がある。省から町や村にまで分布する610オフィスが法輪功を迫害している。中央から各地方の最低層まで迫害に加わるよう強要され、利益をもって誘導されたことにより、下位の行政機関まで着実に浸透していった。

 明慧ネットの報道によれば、1999年7.20から2004年6月までに、少なくとも984名以上の人が迫害よって死亡している。死亡した学習者は全国30の省、自治区、直轄市に見られる。それでは、省、市から道、郷、街、鎮に至るまで、どれほどの610オフィスが迫害に加わったのであろうか?

 完全な統計ではないが、法輪功がここ5年間に受けた迫害は、10万人に上る人が不法に拘置され尋問を受け、少なくとも2万5千人が、不法な裁判で刑務所や労働教養所に収容され、数千人が強制的に精神病院に入れられ、10万人超える人が労働教養所に収容された。または、各地で多くの学習者が不法に煉功され洗脳班に送られ、精神上の虐待や、殴打や体罰及び金品の強請など様々な迫害を被った。さらに、中国政府の内部統計によれば、学習者の迫害による死亡者が最低でも1600人に上る。

 強行政策こそ全国的迫害を引き起こすことが可能である。上から下までの巨大システムにおいては、連帯利益に絡み合う迫害が強行されており、敵対意識を形成する偽りの宣伝が広められた。中国で“上には政策あり、下には対策あり”という俗語が周知されているにも関わらず、何千万人へ迫害が及んでおり、しかも残酷を極めなければならないという訳はなぜであろうか?

 *迫害の物証を迅速により多く集めよう

 610オフィスは江沢民氏によって成り立ったものである。その裏には、“名誉を汚せ、経済を壊せ、肉体を消滅せよ”、“身元を調査せず直ちに火葬せよ”、“殴打による致死を自殺と見なせ”という指示があり、それらの全てが「610オフィス」を通じて下達される。610オフィスの首領である羅干から、全国に“法輪功を激しく弾圧せよ”という指示がしばしばあった。そして、自らが各地への部署に手配し、迫害の実行を監督した。“口頭伝達”、“原文回収”という手口で迫害証拠を廃棄し続けている。

 何千万人の法輪功学習者及び親族に対する迫害の真実を抹消できるものであろうか?積み重ねてきた罪の証拠を消滅できるものであろうか?もっと多くの法輪功学習者及び真相を知っている人々に明慧の“物証収集委員会”に協力してほしい。迫害の物証を適切に保存し、安全で信頼できる方法で実物を明慧ネット宛てに届けてもらいたい。この迫害の全ての荷担者は、法律と道義と良心に基づく歴史の審判へと送り込まれるに違いない。


 (中国語:http://www.minghui.org/mh/articles/2004/6/17/77261.html