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法輪功学習者の公正を求める著名弁護士も上告するすべがない

 【明慧ネット2004年12月31日】(明慧記者楚天行報道)北京市の弁護士である高智晟氏は、2001年中国司法部より表彰された10人の弁護士の一人である。高弁護士は、全国で注目された事件を数多く手がけたことがあり、その三分の一は、窮地に陥っている貧困な人々を無償で弁護したものである。北京の権益擁護家の葉国柱氏(注1)もそれに含まれる。最近、高智晟弁護士は、石家庄の法輪功学習者黄偉さんの弁護を、無償で引き受けた。それにより、法輪功にまつわる“法治”の内幕を垣間見ることができた。
 
* 黄偉事件のいきさつ 

 黄偉さん(男性、36歳)は、かつて河北省医薬生物工程の石家庄の営業代理であった。非常に熱心な性格でありながら人当たりも良く、また人助けが好きで、近隣、会社など至る所で評判であった。黄偉さんの妻である?秋艶さん(33歳)は、河北省軽化工学院の服飾デザイン学部を卒業した。?秋艶さんの話によると、黄偉さんは、1995年の春から法輪功の修煉を始め、心身とも利益を受け、長年のタバコ、酒、賭け事、いらいら等の悪い習慣をすっかり改めたと言う。家族そろって幸せで、円満な生活を送っていた。しかし1999年の末、黄偉さんは“陳情未遂”といった罪名により、3年の労働教養に処せられた。
 
 2002年の末、黄偉さんは、ようやく解放され自由となった。2003年の末、黄偉さんは、友人らの支援により、医薬品の代理業と服装の輸出を営む店を開店し、求職中の学習者を誘い、共に経営をし、生活を支えていた。トラクター工場の寮である部屋(19号3−301)を借り、倉庫とした。

 2004年4月13日、黄偉さんは子供(5歳未満)を幼稚園に送った後、石家庄河東派出所の楊玉良、長安支所の李国強など四人の警官に、何ら書類を提示されることもなく河東派出所へと連行され、不法監禁された。黄偉さんの事務所は、派出所によって、不法に捜査され、邦貨で4万元近くの商品全部が押収された。

 不法監禁された38日目に、黄偉さんは不起訴となり釈放された。しかし、河東派出所の王平、?慶民などの警官は、再び黄偉さんを派出所へと連行し、引続き監禁しようとした。黄偉さんが、書状を見せるよう求めたところ、王平は「くだらないことを言うな!法輪功だったら、何の法律も要らない!」と言い、?慶民は「法律を執行する時には手続きが必要だが、法輪功については法律の条文に従っても、何もない!」と、放言した。彼らは、数人の武装警官を呼び、乱暴に黄偉さんを車に押込み、手錠を掛け、河東派出所の留置室に15日間も監禁した。6月4日、強引に石家庄労働教養所へと送った。労働教養所入所時の“基準のない身体検査”を受けた際、黄偉さんの心電図及び血圧に異常が発見され、収容の条件に合わないにもかかわらず、労働教養とされた。

 2004年6月4日、黄偉さんは不法に3年の労働教養を言い渡され、石家庄労働所二大隊に監禁され、その後三大隊に移された。労働教養所内で、黄偉さんは隔離され、情報は厳封されている。

 石家庄市の労働所にて、黄偉さんは政府の関係部門へ、不服の申し立てを行った。ところが、何の回答も無いため、やむなく8月28日から断食による抗議を行い、再び、不服の申し立てを行った。10月18日、断食52日目になった日、市政府“法制弁”から委員が派遣され、労働教養所を訪れた。その後、黄偉さんは河北省の労働教養委員会に再審請求を行った。

* 高智晟弁護士は困難を打破し黄偉さんと面会

 高弁護士は、黄偉さんの事件を知った後、この迫害への正義の戦いに、尽力したいと思った。

 2004年12月27日の午前、高弁護士はもう1人の弁護士と共に、石家庄市労働所に、法的手続きを行い、黄偉さんとの面会を申請した。労働教養所の管理部門(管理処)に、「他の労働教養された人なら、法律に従い取り扱うことができるが、労働教養された法輪功学習者の場合、管理処は許可の権利がなく、“610オフィス”に許可された後、管理処へ面会の手続きをしなければならない」と告げられた。

 高弁護士一行は初志を貫徹し、厳寒の中、管理処の特設“610オフィス”と司法局の“610オフィス”の間を奔走した。

 “610オフィス”の担当者の応対は悪く、「あなた方は弁護士として、分かるであろう。労働教養された法輪功学習者と面会することはできない」と言った。高弁護士は、「あなた方610オフィスは、海外でも悪名高く、かつてのゲシュタポの様に、法律上に君臨している」と指摘した。すると、“610オフィス”の担当者は、「評判が悪い事は知っている。その為、今は“安定弁”と名前を変えた」と言った。

 高弁護士は法律を堅持し、正邪の戦いの中で邪悪は滅少され、3時間の奔走と各上層部指導者の内部指示により、管理処は高弁護士に3分間の面会を許し、面会の手続きをしてくれた。

* 黄偉さんの印象と事件のいきさつ

 高弁護士は、黄偉さんが非常に理性的な人だと述べた:「黄偉さんのような法輪功学習者は、すべての人に法輪功学習者に対する誤った見方を、変えさせることができる」。

 高弁護士は、面会により以下のことが分かった。黄偉さんは労働教養の判決を不服とし、7月28日、再審の申し立てを市政府に提出した。一ヶ月が経過しても回答は無く、8月28日から、断食をして抗議の意を表すことにした。9月9日、再び“再審の申し立ての補足書類”を提出、断食をして結果を待つことを明記した。10月18日の午後、市政府“法制弁”は、委員(中の1人の苗字が李)を派遣し、労働教養所を訪れた。“法制弁”の人は、「ここ数年来、上告再審の手続きを行っていない」と述べ、書面による回答を拒否した。彼らは、黄偉さんに河北省の労働教養所委員会に、再審の申し立てを提出させたが、すでに法定の再審申し立て期間を過ぎていた。

 黄偉さんが、1999年労働教養された時には、いかなる申し立てもできず、再び2004年、労働教養とされ、毎回の申し立てを行うには、何日間もの断食をするという痛ましい代償を払わなければならなかった。

 2004年4月13日、黄偉さんが38日間監禁された後、公安機関は長期監禁の責任を逃れるため、黄偉さんを公安の留置室に15日監禁したが、その間何ら説明はなかった。一度だけ、2名の名を名乗らない警官が、“尋問記録”のために来た(黄偉さんは、その警官らの所属派出所名と名前を尋ねると、「あなたを尋問しに来たのであり、あなたに尋問されるのではない」と言われた)。
 
 “尋問記録”に記録された内容と実際の尋問の内容と、全く違っていた為、黄偉さんは、その“尋問記録”に署名することを拒否した。驚くことに、その警官は、全く無表情であり、落ち着き払い、本人を目の前にして、“尋問記録”に、黄偉さんの名前を書き、また“黄偉”の名前の脇には、自分の拇印を押した。

 黄偉さんは、後に思いついたのであるが、今回の“尋問記録”は、労働教養に処する為捏造された“証拠”であった。6月3日、黄偉さんは再び、3年の労働教養を言い渡され、留置所での“監視生活”を終え、6月4日、再び労働教養所へと送られた。その後、黄偉さんは、毎回断食をするという代償を支払ってから、やっと市政府に不服の申し立てを行い、法律に定められた権利を行使することができたのである。数回に渡る断食日数は合計42日にもなっていた。

* 高弁護士が、訴状を提出したが受理されず、裁判官は裁判所及び法律は、皆共産党のものであると放言した

 石家庄に行く前、高護士は黄偉さんに行政訴訟文を用意した。石家庄市人民政府の不作為な行為を告発し、被告が作為の義務を履行し、法律に基づいて、労働教養委員会の黄偉さんに対する第0000152号労働教養の判決を撤回させ、本案件の訴訟費用を支払うよう求めた。

 2004年12月27日の午後、高弁護士は、黄偉さんが石家庄人民政府の不作為の行為(石家庄人民政府が黄偉さんの再審の申し立てに回答をしないこと)を、告訴する書類を持ち、石家庄市中級裁判所へ訴訟の申し立てをしたが、受理されなかった。

 12月28日午前8時30分、再び中級裁判所に行き、再審の申し立てをしたが、再び受理されなかった。中級裁判所の裁判長が接見し、新華区裁判所へ申し立てるよう述べた。午前9時20分、高弁護士は石家庄新華区裁判所を訪ねた。苗裁判長は、書類を読み上げた後、「今、上からの規定があり、法輪功関係の案件は、一律に受理してはならない。いかなる手続きをしてはならない」と述べた。高弁護士は、裁判長に関係法規を述べると、裁判長は、「この規定は“上”から下った指示であり、ただ執行することしかできず、立案廷の裁判長に交渉するように」と述べた。

 立案廷の二名の女性職員は、書類を読み上げた後、「法輪功関係の案件は、一律に受理しない。いかなる手続きをも提示しない。上からの指示書類がある」と述べた。

 高弁護士は、「受理するかどうかは、国の法律に従わなければならず、上の指示書類が法律に抵触するならば、指示書類が無効になるはずである」と述べた。

 1人の若い職員は、「上の指示書類が無効だと思うのならば、全国人民代表大会に法律を改正してもらえばいい」と、叫ぶように言った。この時、“裁判長”と呼ばれていた人物が、「あなたは共産党員ではなかろう。党の代表大会の主旨を学んではいないようだ。弁護士は、こういう(法輪功関係)案件を、扱ってはならないということを知らないようである。裁判所は、共産党のものであり、法律も共産党が定めたものであり、今、上は受理してはならないと言ったならば、受理はできない。誰に上申しようが、どこに上告しようが構わない」と述べた。

* 高弁護士は、人民代表大会に手紙を送り、法輪功学習者は中国公民の権利を享有するかを詰問

高弁護士は、大陸の裁判所の公然と法律を無視する行為に、非常に憤慨した。2004年12月31日、中国共産党にコントロールされた全国人民代表大会に質問を提出した:法輪功学習者は中国の公民であるのか?中国の憲法に保護されるのか?中国公民の権利を享有するのか?

 高弁護士は公開状にて鋭く非難した:「黄偉案件において、今なお配偶者、子供との面会を許されていない。これは公な規則違反である。さらに心が痛むことは、こういう規則違反の執行者が、まさしく、国の規則の執行を保障する法律執行者なのである。法律執行者は、規則を乱暴に踏みにじることを当然とし、国の規則を守ることを職責としていない。身を持って、人道的文化及び基本的権利の行使の正当性を絶えずに破壊し、破滅させてきた。これはいったい誰の要望なのであろうか!」

(注1):2003年5月、北京在住の葉国柱氏の三世代三家族は、2008年北京オリンピックの関連工事の為、強制的に退去された。家は取り壊され、家財を全て失ったが、未だに開発会社及び政府から、一切の補助金も支払われておらず(政府側はすでに補償金を支払ったとした)、居住地が無くなってしまった。葉氏は、弟、息子と、流浪しながら、各級の政府に陳情し、実情を訴えてきたが、陳情、拘留、再陳情、再拘留という繰り返しに陥っている。

 葉氏は記者に対し、「中国政府は、どの様な陳情の案件であろうと、解決したということを見たことも、聞いたことも無い。陳情が役立たないことが分かった後、権益擁護に転向し、1万人が参加する抗議デモを何回も計画したが、許可されなかったり、公安に拘禁されたりして、実行することは出来なかった。今年8月24日、100名位の陳情の人と、再び北京市公安局治安総隊を訪ね、9月18日万人デモの許可を申請した。その三日後、北京公安に“社会秩序を乱す容疑”で拘留され、その後、“社会秩序を乱す”罪名で逮捕された」と語った。


(中国語:http://www.minghui.org/mh/articles/2004/12/31/92503.html

(英語:http://www.clearwisdom.net/emh/articles/2005/1/12/56486.html