【明慧日本2017年2月26日】ローマ教皇科学アカデミー主催の「臓器売買と移植ツーリズムに関する国際サミット」が今月7日と8日に開催された。中国共産党の元衛生部長・黄潔夫と臓器供給システムの責任者・王海波の発言が医学界、政界ならびにマスコミに取り上げられ、中国共産党による生体臓器狩りについて再度議論となった。
イタリア上院議員で健康委員会副議長のマウリツィオ ・ ロマーニ議員は、臓器の強制摘出に反対する医師団(DAFOH)の1人である。2月7日に行われた記者会見の席で「ローマ教皇科学アカデミーがこのような人(黄潔夫、王海波)を招聘したのは間違いであり、良いことではありません。しかし私たちはこの良くないことを良いことに変えることが出来ます。これは良い機会であり、我々はこの機会を通して人々に、中国共産党が行っている生体臓器狩りの犯罪行為を知ってもらうことが出来ます。黄潔夫は、中国で依然として行われている犯罪を意図的に隠蔽しようとしていますが、事実と真相はすでに暴き出され、この長年行わている罪悪は暴露されました。意図的に生体臓器狩りを隠蔽する企みは、ナチズムが存在しないと言っているようなものです」と述べた。
外科医でもあるロマーニ議員は、2016年11月23日にイタリア議会で通過した「違法な人体臓器の売買を禁止する」(No. 2937)議案の主要発起人である。彼はこの議案を推し進め立法に至るまでの背景について「私は生体臓器狩りのことを聞いた時、最初は信じていませんでした。しかし後のあらゆる資料が事実であることを証明しました。このことが事実だと知った私は、黙っていてはならない、このことをするべき責任があると思いました。神が生命を創造し、我々はこの生命を大切にしなければなりません。このような人権に関する問題は、政府と国民も関心を持ちます。目下のところ、我々はまだ阻止できていませんが、立法というシステムを利用して制限することが出来ます。我々の努力で(臓器の)需要を減らすことが出来ます」と語った。
またロマーニ議員はイタリア議会で通過した法律に誇りを持っており、「この歴史が通り過ぎた時、我々は何を行ったのかを言うことができます」と自らが行ったことは将来自信を持って言えることだと強調した。
ドイツの国会議員で人権員会のメンバーでもあるマーティン・パッツェルト議員は声明を発表し、「バチカン医療会議は中国共産党の違法な臓器移植を制止する機会を提供してくれました」とコメントした。
パッツェルト議員は声明の中で「欧州議会はこの強制臓器摘出について、すでに譴責しました。我々はイタリアのように臓器交易について厳しい立法をしなければなりません。これは我が議会の人権及び人道主義委員会の議員らが要求したことであり、今は我々人権活動家が自分の胸に手を当てて自問する時がきています」と記している。
イタリアの新聞『La Nuova Bussola Quotidiana』は、「北京はバチカンを利用して自らの臓器密売を隠蔽」と題して次ぎのように報道した。「黄潔夫は教皇アカデミーの招待を受け、臓器売買に反対する会議に出席した。事実上、20年来中国は世界においてこの種の犯罪の中心で、それは犯罪集団が行っているのではなく、中国政府が仕立てた高額な利益を得る産業である。政治犯や死刑囚の生命と尊厳が奪われ、甚だしきに至っては臓器を摘出されている。中国において最大の臓器摘出の被害者は、信仰のため罪を着せられた法輪功学習者で大量に虐殺されている。臓器売買は中国共産党が犯したもう一つの恐怖犯罪でもある。中国政府が系統的に臓器を摘出して移植していることについて、詳細な記録と十分な説明がある」
黄潔夫は会議で「中国は死刑囚の臓器使用を停止しており、不法な臓器移植を厳しく取り締まっている」と言っているが、英国医学雑誌『ブリティッシュ・メディカル・ジャーナル 』はオーストラリアのマッコーリー大学医学倫理専門家のウェンディ・ロジャーズ教授の論文を引用した。「このようなやり方(臓器狩り)はすでに中国で停止したという証拠は何もなく、相反して今も継続的に行われている証拠がある」
黄が発言する2時間前、医事ジャーナルはイスラエル移植協会会長でシバメディカル・センター(Sheba Medical Center)心臓移植部主任のジェイコブ・ラビー教授の中国の臓器移植問題を発表した社説を引用した。「彼(黄潔夫)の記録から鑑み、彼は依然として良心の囚人の臓器を使用している事実を認めていないため、彼は要請されるべきではない」
ラビー教授は会議で黄の発言に対し「もし完全な透明性がなければ、中国が称する改革に対する照合ができない。即時に死刑囚の臓器使用の停止を求めます。現在中国では、死刑囚の臓器使用を禁止する法律や新しい法律が存在していません」 「多くの独立した研究で分かったのは、大多数の臓器が正当な手順を経由しておらず、殺害された良心の囚人から来ているということです。しかし、これらの臓器の出所については討論から除外されています」 「誠実さと信用がなければ、需要に応じて不幸にも殺害されたことに対して着実な問責がなければ、倫理的に真の改革をしたという保証には至りません」 「我々は中国の臓器移植を調査する独立した国際機構を必要としています。この機構は何時でも自由に中国へ臓器移植の調査ができるようにし、ドナーの家族への訪問もできるようにしなければなりません」 「中国の新しい憲法に対する改革は証拠が必要で、1984年の死刑囚の臓器を使用できる規定の廃止も含まれます。しかも臓器を強制摘出した犯罪者と共犯者への処罰が必要です」と異議を唱えた。
アムネスティ東アジア地区主任のニコラス・ベクリン氏は英国『ザ・ガーディアン』紙の取材を受け、以下のように詳述した。「彼ら(中国共産党)はこのようなやり方を止めたことはなく、止めることはないでしょう。彼らがやろうとしている臓器移植(件数)は、臓器入手量の可用性を遥かに超えています」 「中国の絶対多数の臓器は死刑囚から来ているということですが、専門家は黄が自称する取り締まりについて疑念を抱いています。その訳は、このような大国が未だに臓器提供者に対する法案が制定されていないからです」 「中国はWHOが提案した、医師は死亡が合法的かどうかを確定する事項を守っておらず、ある状況下において、死刑囚は死亡する前に臓器を摘出されています」
臓器の強制摘出に反対する医師団(DAFOH)事務局長のトルステン・トレイ医学博士は、「中国の強制臓器摘出の悪行は多方面から証明されています。自由で独立した監査が乏しいため、中国が言っている臓器移植改革が確実に実施されるかどうか、国外において何も知ることが出来ません。不透明であれば改革を検証するのが難しく、かつて臓器を乱用して移植したことを無視してはなりません。問いただす制度がなければ、中国が自称する囚人から強制的に臓器を摘出する行為を終結させたという主張を信じる理由がありません。中国において数十万人の法輪功学習者が(臓器のドナーとして)体を検査され殺害されたのです」と話した。
生体から強制的に臓器を摘出することに参加した中国の医師に対し、世界の医学会が相応する制裁をしている。肝臓国際誌が刊行する『Liver International』が声明を発表し、中国浙江大学第一付属病院医師の鄭樹林医師、厳盛医師の論文を取り下げるとともに、永久に掲載を禁止する措置を取った。理由としてその肝臓移植研究所のデータは、中国の死刑囚に及んでいると思われたからである。この雑誌社の編集長は2人に対して、臓器の出所と信憑性のあるデータを提出するよう要請した。2人からデータが提出されることはなく、臓器の出所は死亡確認後の死者からだと説得する手紙が届いた。