【明慧日本2017年9月1日】米国の著名な人権団体フリーダム・ハウス(※)は8月22日、首都のワシントンDCで、「中国の精神との戦い」と題して最新版の報告書を発表し、中国政府の法輪功に対する迫害は失敗であると中国の宗教の自由に対する現状を分析した。
中国共産党は歓迎されている法輪功を迫害
報告書によると、法輪功は一種の修煉法であり、主に五式の動作と伝統的な教えの組み合わせで、真・善・忍の原則を強調している。法輪功学習者は煉功と法輪功の著書を学習し、日常生活の中でこれらを遵守している。
1990年代初期と中期には、法輪功の創始者・李洪志氏の教えは相当程度の政府の支持を得ており、国家のマスメディアも好意的に報道した。李洪志氏は1992年から法輪功を伝え始め、全国各地で講習会を開き、五式の功法を伝授した。その当時の国家マスメディアは法輪功を称賛し、学習者が「健康公民賞」を受賞したと報道した。また、李洪志氏は政府の要請により中国駐フランス大使館で講義をした。
法輪功は継続的に人から人へ、非公式に各地の愛好者がインターネットで伝え広めた。功法を教え、友人グループで集団煉功し、法輪功の資料を配布した。中国社会の各業種の人々、医者、農民、労働者、軍人、知識人、共産党員まで法輪功の修煉を始めていた。政府や国際マスメディアの報道によると、1999年あたりまで、中国において少なくとも約7千万人の法輪功学習者がいたという。
「1999年7月、法輪功は突然迫害を受け始める。知名度のある法輪功学習者が逮捕され、継続的に煉功する人は、国家の敵と見なされて弾圧に遭った。その当時から学習者の連行、拷問が始まり、甚だしき至っては殺害に至った報道もある。法輪功という文字、李洪志氏という文字、および一連の同じ発音の文字は、中国のインターネットから削除され、国家マスメディアあるいは中国の外交官は法輪功を談論する際に、例外なく妖魔化した言葉を使用した」
最高指導者に請願する
1999年4月、政府の法輪功に対する妨害が激化したため、天津の数十人の学習者が殴打され逮捕された。彼らの釈放を求める人々は(政府から)北京に行くように命じられた。4月25日、1万人の法輪功学習者が静かに中南海に接する陳情受付局に集まり、抑圧を止め、煉功の権利を尊重するよう要請した。
4月25日の請願後、当時の総理・朱鎔基は法輪功に和解の態度を示した。彼は学習者の代表と面会し、天津で逮捕した学習者の釈放を命じた。そして請願のために北京に集まった学習者は自主的に解散した。しかし、当時の総書記であり国家主席の江沢民は、法輪功は政権の権威に対する厳重な挑戦であると主張した。
当年6月7日のある内部ファイルの中で、江沢民は明確に法輪功の解体を指示している。この決定は非常に突発的で、しかも国内安全情報部門の事前調査の結論である「法輪功はいかなる脅威にも当たらない」に相反している。
江沢民がスイッチを押す
「中国専制政治体系の下で、江沢民は法輪功取り締まりの違法な決定を下し、しかも自己の意志をほかの政治局常務委員に押し付けたので、いかなる制度や法律をもってしても、これから発生しようとすることを阻止できなくなった。そのあとの数カ月の間に、江沢民は党内部で幹部組織と、1999年6月10日に立ち上げた610弁公室という組織に法輪功への弾圧を指揮させた」
「1999年7月、法輪功に対する弾圧はまるで天地を覆うかのように展開されはじめ、共産党の弾圧は法輪功に向けられた。マスメディアは長々と番組を組み法輪功を誹謗中傷し、数千万人が逮捕され、数百万人が修煉しない保証書に署名するよう強要された。北京の元法輪功の良心の囚人である趙明さんは、「党の弾圧機関がそこにあり、江沢民がスイッチを押した」と話した。
迫害に直面した学習者は、強靭さ、非暴力、創造性を現す
報告書は、中国国内で迫害に反対する過程の中で、強靭さや、非暴力および創造性を現した。
法輪功が迫害を受けた最初のころ、多くの人々が政府部門に請願した。彼らは地方レベルの官員が反応しないのを見て、政府の高層に手紙を書き、あるいは直接に北京へ請願に行った。2000年になると、毎日のように天安門広場で横断幕を広げ煉功したが、しかし大多数の人たちは即座に逮捕された。
共産党の弾圧は失敗
報告書は、中共の法輪功に対する根こそぎ迫害することが18年経過しても、中国には依然として数百万人(編集者注:実際は数千万人)が法輪功を継続的に修煉している。しかも多くの人が法輪功が弾圧を受けたあとから修煉を始めていることは、共産党の弾圧が失敗したことを意味する。
中国各地の学習者は広く監視され、随意に拘禁、判決、拷問され、彼らは法の外で処刑される危険度の高い集団である。フリーダム・ハウス独自の実証では、2013年1月から2016年6月までの間、933案例の法輪功学習者が12年の実刑判決を受けた。原因としては信仰の自由と言論の自由の権利を行使したためだという。これらの案例は判決を受けた学習者のわずかな一部にしかすぎず、報道によると、数千万の学習者がそれぞれの刑務所に不法に拘禁されている。
中共当局は毎年膨大な金額を投入して法輪功を弾圧し、同時に学習者に対して金銭を要求し、刑務所で強制労働をさせている。学習者への生体臓器狩りの十分な証拠があり、臓器が移植手術用に使われている状況は、依然として継続的に行われている。
法輪功学習者は多くの非暴力の策略を用いて弾圧に対応している。彼らは警察と市民に法輪功の情報を分かち合うことを特に重視している。近年来、中国では多くの人権弁護士、家族、隣近所の人々が協力している。
すでに学習者の20万人が江沢民を告訴する
江沢民に対する訴訟は、2015年5月から、拷問を受けたが幸運にも生き残った大勢の学習者達が、法規の変化を利用して、江沢民に対して刑事訴訟を起こし、江沢民が法輪功迫害の元凶であることを指摘した。2015年5月1日に、最高人民法院は司法部門が公民個人が提出した刑事告訴を受理することを認めた。それ以前は、司法当局はこれらの告訴を拒否したのである。
中国国内外で迫害を受けた学習者が告訴状を書き始め、それを最高人民法院や最高検察に送った。個人で送る者もいれば、連名で送った者もいた。告訴状を送り取材に応じた1人が、彼が送った郵便物は確かに受け取っていることは確認できているが、何らかの進展があったという連絡はないという。明慧ネットの報道によると、昨年7月まで、20万人以上の学習者が告訴資料を送り、その資料は明慧ネットでよく発表されている。この数字は確認できないとして、フリーダム・ハウスのメンバーが告訴状の副本を数部入手しており、告訴状を送った北京、上海、黒竜江省、および米国の学習者と話し合っている。これらの学習者は数十人が同じように行われたと話している。多くの人が指摘したのは、一部の告訴者が捕まえられたが、絶対多数の告訴者が北京からの報復に遭っておらず、たとえ捕まえられたとしても早く釈放されている。
大勢の市民が法輪功の行動に参加
報告書はさらに、「人々に最も深い印象を与えているのは、大勢の市民が法輪功の行動に加わっていることである。中共が2015年に人権弁護士に対して大規模な抑圧を行っても、多くの人権弁護士は継続的に法輪功学習者の代理人になっている」
「中国国内は無数の人々が連名で学習者の釈放を求めている。捕らえられた隣近所の人の釈放を求めるだけでなく、さらにまた江沢民に対する告訴を支持し援助している」
法輪功が共産党の血まみれな弾圧の下で生き残った事実は、人々に深い印象を与え、さらにまた共産党の弾圧が失敗したことを証明している。
(※)フリーダム・ハウスはアメリカに本部を置く国際NGO団体。1941年にナチ・ドイツに対抗して自由と民主主義を監視する機関として設立された。また毎年世界人権状況白書を発行している。