　文／ブラジル・サンパウロの大法弟子

　【明慧日本2020年9月8日】師父は「人間はどうして人間でありうるのでしょうか？　それは人間には情があり、人間は情のために生きているからです。肉親同士の情、男女の情、親の情、感情、友情など、何をするにしても情が重んじられ、情を切り離しては何ごともできません。やる気があるかどうか、気分が良いかどうか、愛しているのかそれとも憎んでいるのか、とにかく人類社会のすべてのことが情から出ています。この情を断ち切らなければ、修煉することはできません。情から抜け出すことができれば、誰もあなたを動揺させることができず、常人の心があなたを動かすことは不可能となります。それに取って代わるものは慈悲の心であり、より高尚なものです」[1] と説かれました。

　私は73歳、16年前から法輪功を修煉しており、ずっと一人暮らしをしていて、2人の子供がいます。娘は現在48歳で、観光学の修士号を取得するためにポルトガルで勉強中です。息子は30歳で、カナダで音楽教師として働いています。娘と私はこれまでにも良い関係を築くことができませんでしたが、彼女に説得されてポルトガルに来て、一緒に住むことになったのです。それまでは自分のために、サンパウロにアパートを持っていました。

　私はポルトガルで何をするのか？と、いつも自問自答していました。私は娘との関係を修復するために、ここに来たことに気がつきました。これまで娘との間には違和感がありましたが、実はそれに対処して解決するためでした。

　そもそも私は、娘と一緒に暮らしたいとは思っていませんでしたが、娘との問題を解決するためにアパートを売り払いました。アパートは2カ月前まで住んでいてサンパウロの内陸部の街にあり、とても綺麗で、快適で、治安も良かったのです。このアパートは私の条件を完璧に満たしており、これだけが私のために残された唯一のものだったので、これからは頼りになるものは何もないと感じました。 40年間使っていた古いけれどれも素敵な冷蔵庫や、息子が使っていた素敵なソファ、手描きの模様のある食器セット、友人が結婚祝いにくれたクリスタルグラスのセットなど、大切にしていたものがいくつかありましたが、それらを全部売ってしまいました。

　親切な友人を介して、彼女は私がすべてのものを早く処分するために、激安でもいいから売ることが出来るように助けてくれました。最初の数日間は、アパートを手放す自分の頭がおかしいのではないかと思い、常に自問自答していました。でも処分した今では、だいぶ落ち着きました。

　今は、娘と話したときに自分自身が変わったと実感し、喧嘩にはならなくなりました。彼女の目には、私自身の執着の心「情」が映って見えています。私たちの問題は、時間がまだまだ足りないために100％解決していませんが、法に基づいて心性を修煉して向上させ、再び執着心である「情」の中に陥らないように気を付けていきたいと思います。

　注：
　[1] 李洪志師父の著作：『轉法輪』