【明慧日本2020年11月14日】中国の古代では「和を以て貴しと為す」、「天の時、地の利、人の和」が重んじられていた。古代人は恨みがないわけではなく、自分の恨みを溶かすことを重視し、中国の聖人は自分の恨みを溶かすだけではなく、恨みの相手に対しても善を以って対処していた。『大慈恩寺三蔵法師伝』の記載によると、経典を求めに西方に向かった玄奘(三蔵法師)は、山賊に捕らえられて生け贄の供物として殺されそうになったところ、危機の中で、自分を殺した者が来世で救い済度されることを願った。その慈悲の心は天地を動かし、同時に衝撃を受けた山賊たちは、悪を捨てて善を行うようになった。
しかし、中国共産党(以下、中共)は「恨み」がなくても、政治目的のために「恨み」を作り出し、生徒に教師を恨ませ、農民に地主を恨ませ、子供に親を恨ませ、中国人にアメリカを恨ませるなど、さらにメディア、ポスター、パレードなどあらゆるプロパガンダを利用して、連続する攻撃式の宣伝戦争の形で、短期間で人間を魔性化した。例えば、中共は「大義親を滅す」、「すべての牛鬼蛇神を一掃せよ」を提唱している。考えてみれば、自分の肉親に対してさえ「厳しい冬のように冷酷で無情になれる」なら、それ以外にできないことはないだろう? 中共は数世代にわたり恨みを扇動してきたため、その消し難い痕跡は現在も残っている。
親米から反米への「三視運動」
1979年1月に鄧小平が訪米した際、「過去数十年を振り返ってみると、アメリカと仲良くしてきた国はすべて先進国になりました」という実際の話を口にした。 しかし、なぜ中共は何十年もアメリカを罵ってきたのか? それは、中共が朝鮮戦争を利用して反米感情を煽ったことから説明する必要がある。
1950年6月25日、朝鮮戦争が勃発した。当時の中国はちょうど日中戦争と内戦を経験したばかりで、社会には親米、米国に憧れ、米国を恐れる人が多く、中共中央委員会政治局の拡大会議では、ほとんどの人が軍隊を派遣することに賛成せず、あるいは軍隊の派遣について様々な不安を抱いていた。
米国を恐れる心理は国民の中にも普遍的に存在していた。中国の朝鮮戦争の介入について悲観的な見方をし、アメリカは経済的にも実力があり、武器の性能も良いのに対し、中共の軍隊は田舎者で、アメリカと匹敵できず戦えない、北朝鮮に行くと大惨事になるという考えが多かった。
なぜ中国人は「親米」、「米国に憧れる」のか? それは、米国は他の西側諸国と違って、中国に居留地を設置しておらず、両国の間で一対一の戦争はなかったからだ。 アメリカの「飛虎隊(フライング・タイガース)」は日中戦争で中国を支援し、アメリカは中国で有名な協和病院と燕京大学を設立し、アメリカの財団は1949年以前の中国の最も良い大学、高校、病院を援助した。また、アメリカは庚子賠償金(1899年の義和団事件の処理に対し、清国が負った対外的な負債)の一部を中国に返還し、多くの中国人のトップ科学者を育成した(賠償金を返還して設立されたのが、現在の清華大学の前身である)。1943年、毛沢東はアメリカの支持を得るために「7月4日万歳! 民主主義アメリカ万歳!」とのスローガンを掲げたことがある。しかし、中共は権力を取得した後、ソ連共産党陣営に転倒し、アメリカを「帝国主義」として反対するようになった。
日中戦争時に中国を支援した、米空軍の「飛虎隊」 |
中国人は朝鮮戦争に参加したことに疑問を持った。「アメリカは良くないと言っているが、なぜ私たちに支援物資を出してくれたのか? 日中戦争で朝鮮は日本を助け、多くの中国人を残酷に殺したのに、なぜ志願兵を派遣して朝鮮を助ける必要があるのか? 中共は中国の安全保障のために北朝鮮に軍隊を派遣したと言うが、ソ連の安全保障にも影響しているのに、なぜソ連は軍隊を派遣しなかったのか? VOA(ボイス・オブ・アメリカ)はアメリカ帝国のプロパガンダだと言うが、中共の新聞はプロパガンダではないのか?」
このような声や感情は、中共が社会資源を動員して戦争に参加することを阻んだ。 この背景の下、中共は中国人に反米憎悪を注がなければならなかったというわけだ。1951年以降、中国ではアメリカに対する「敵視・軽視・蔑視」の「三視教育」が繰り広げられた。
中共宣伝部は、『どのように米国を認識するか(宣伝概要)』と題したパンフレットを特別に作成した。「アメリカを敵視するのは、中国人民の敵だからだ(アメリカの対中侵略の数十例を挙げる)。アメリカを軽視するのは、腐った帝国主義国であり、世界中の反動的な退廃拠点であるため、少数の資本家に支配され、内部では国民に対して抑圧、搾取し、民主主義をしめつけ、文化をしめつけ、対外では侵略と戦争の政策をとっているからだ。アメリカを蔑視するのは、紙の虎で、政治において孤立しており、軍事においても兵力不足などの弱点があり、ミサイルを持っているとはいえ、全然怖くないからだ」という内容である。
「敵視・軽視・蔑視」の「三視教育」反米運動 |
中共はメディアを利用して反米意識を強く植え付けた。1951年から1954年まで、『人民日報』の朝鮮戦争に関する宣伝は月平均約2万字だった。また、「三視教育」のための大規模なパレードも行われた。1951年5月1日のゴルデンウィーク期間だけでも、1億8643万人以上の国民が大規模な「三視教育」パレードに参加し、全人口の39%以上を占めた。それ以外のパレード参加人数を加えると、全国の半数以上の国民がパレードに参加したことになる。中共はまた、ポスター、漫画、歌などの芸術の形を通じて、国民の集団感情と共感を動員し、結束力を高め、国民の強い憤りを喚起した。高度に集中した、大規模で攻撃式の「三視教育」運動は、中国で何度も繰り返され、中共のプロパガンダの基本戦術となった。
さらに、中共は「反米主義」と「愛国主義」を結びつけ、「国を愛するなら反米でなければならず、反米主義でなければ愛国とはいえない」という誤った認識を植え付けて、国民の考えを変えようとし、しかも深い影響を与えた。 1972年、毛沢東が「帝国主義」アメリカの大統領であるニクソンと握手し、和平協定を締結したニュースを見て、洗脳された中国人は唖然とした。 改革開放後、米国は中国のWTO加盟に合意し、中国のGDPは9倍になり、世界第2位の経済大国となった。しかし、中共は米国との間に摩擦が生じるたびに、「米国が中国の第一の敵だ」という誤った考えを広めていた。
「牛鬼蛇神」をでっち上げ、全ての敵勢力を打撃する
反米主義は外交政策だが、内部では中共は反体制派を排除するためなら何でもやる。反右派闘争、四清運動(都市と農村における社会主義教育運動)、文化大革命、六四天安門事件などの一連の政治運動で、中共は、世界大戦の死者数を上回る8000万人の中国人に対して非正常な死亡を引き起こした。国民の誰もが危険にさらされ、お互いに傷つけ合っている。中共はどのようにして品格のある中国人を暴徒に変えたのか? 根本から言えば、人の考えを変え、恨みを作り出し、恨みを植え付けることは重要なステップであった。
地主への憎悪
1949年以前、地主階層は地域経済や教育の発展において重要な役割を果たしていた。労働者が地主に雇われ働き、得た収入でそれぞれの家庭を養い、互いに利益があって依存していた。中共は、百姓に反乱を起こさせ国民党を打倒させるために、「生活が貧しい原因は地主に搾取されたからだ、中国共産党に従って地主と戦い、土地を分ければ解放されるのだ」と言っていた。
中共は無産階級で、独自の強盗論理を持ち、地主から強奪した土地を貧しい農民に与え、農民たちに中共に感謝させた。「苦境から立ち直り、共産党の恩を忘れず、立派な男なら戦場へ!」、「畑を守れ! 家族を守れ! 故郷を守れ! 戦場へ!」のようなスローガンが、ほとんどの村の壁に貼られていた。その結果、多くの人が若い命を惜しまずに朝鮮戦争の戦場に向かった。しかし、中共が政権を打ち建てて間もなくして、農村の「協同組合」が導入され、国が土地を所有するようになり、農民を露骨に見捨てた。
中共は繰り返し政治運動の中で次々と嘘をでっち上げてきた |
知識人への憎悪
農民と地主の間に搾取される利益の関係があるとすれば、知識人は誰に害を与えたのだろうか? 中国は昔から「師を尊び教義を重んずる」という古語があり、勝手に教師を叩く人はいないはずである。毛沢東は大好きな詩人・李賀の詩から「牛鬼」と「蛇神」という4文字を取り出し、演説で繰り返し使用し、後に文化大革命の流行語となった。
研究によると、「牛鬼蛇神」はもともと道教、佛教用語で、冥界の幽霊や番人、神や人を指す言葉だという。1966年、中共の筆の達人・陳伯達は『人民日報』で「すべての牛鬼蛇神を一掃せよ」という社説を掲載し、当時の思想、文化の前線に定着している「専門家」、「学者」、「権威人士」の知識人を指していた。しかし、この用語は広く使われるため、厳密に定義されていないので、政治用語として非常に柔軟性があり、当時の知識人を指す意味から、速やかに「黒五類」(地主、富豪、反革命、破壊者、右派)を指すようになり、後に資本家、裏切り者、スパイなどを指すようになり、中共が打倒したいすべての対象が含まれている。
肉親への憎悪
古代中国では「仁・義・礼・智・信」、「百善のうち親孝行を第一とすべきである」が重んじられていたが、中共は「父と母はいくら親しくても党には及ばない」、「敵に対して厳冬のように冷酷で無情になるべき」と、ずっと国民に注ぎ込んでいた。 16歳の張紅兵さんは、自宅で母親の方忠謀さんが劉少奇を支持し毛沢東を批判する発言を聞いて、母親を人民の敵として通報した。母親は処刑されたが、張紅兵さんは「大義親を滅す」の英雄となったのだ。
文化大革命の時には、家族同士や友人同士が互いに摘発する事件がよく起きた。それは愛国心と共産党への忠実な行為だと認められていた。家庭は社会の基本単位として、社会の安定の礎であり、文化を継承するための重要な存在である。しかし、中共は、家庭を私有制度の形式とみなし、家庭を消滅すべきであり、恨みを煽り、家族への愛情を闘争に置き換えようとした。
1979年、張紅兵さんは政府メディアが報じた冤罪事件を見て、自分が間違ったことに気づいた。「理想的な世界や、美しい説教、人工的な英雄人物...... すべて国民を欺く、欺瞞的なでたらめの話だ。若者や子供たちを精神的に害するアヘンは、血を流さず殺人可能の鋭いナイフである。誰であろうと、衣・食・住などの自然の法則から離れることはできない。この世界中で最も偉大なのは母親の愛であり、最も崇高なものは人間性である」と、張紅兵さんは深く懺悔した。
母親の写真を手にして深く懺悔する張紅兵さん |
10年間の文化大革命が終えた現在の中共は、恨みを煽ることをやめたのか。 そうではない。1989年、中共は学生を弾圧する際に、学生を暴徒と呼んだ。彼らは首都に入ってきた兵士たちに、学生たちが軍用車を燃やしたり、兵士を殺したと嘘をつき、事実を知らない兵士たちは激怒して自ら志願し、世界中を驚かせた「六四天安門事件」の悲劇を勃発させたのである。
法輪功を迫害し、人々を騙す
江沢民が権力を握ってから、でっちあげた最大の嘘は、法輪功への中傷である。
法輪功は、法輪大法とも呼ばれ、1992年5月13日に李洪志先生によって公に伝えだされた佛家の修煉法で、宇宙の特性である「真・善・忍」の原則に基づいている。世界中の法輪功学習者が信念を遵守し、誠実、寛容、善良になり、精神が浄化され、道徳心が高められ、健康で家庭も睦まじくなり、社会に平和と安定をもたらした。全世界の人々は法輪功を称賛し、全国人民代表大会の喬石委員長は、「法輪功は百利あって一害なし」と評価したことがある。
迫害される前の1999年3月、武漢の学習者たちが作った人文字 |
1999年の弾圧開始以前、中国本土のメディアは法輪功に対して肯定的で客観的に報道していた。法輪功は病気治療と健康保持に著しく効果があり、3万5000人近くのアンケート調査によると、法輪功の病気治療と健康保持の総合有効率は98%以上であることが分かった。1億人近くの人々が法輪功を学んでおり、中共党員人数の8000万人を超えていた。多くの中共の政府高官、軍人などが法輪功を実践し、法輪功の著作『轉法輪』を手にして読んでいるが、江沢民の「三つの代表」(新たに定義した指導思想)には見向きもしなかった。これは江沢民集団にとって耐え難いことであり、無神論を布教する中共は人々の信仰を許すことができず、1999年7.20に法輪功に対する残酷な弾圧を開始した。
その手段は「三視運動」と同じだった。当時、中共は米国を中傷し、中国人の反米感情を引き起こすために、米兵による朝鮮人虐殺の話を捏造した。法輪功を中傷するために、中共は「天安門焼身自殺事件」や「1400人死亡例」を捏造したりして、国民を騙した。以下、その2例のみを挙げて説明する。
1999年7月20日以降、中共のCCTVが毎日90分の番組を放送し、連続して法輪功を中傷した。その一つが「猫背事件」だ。当事者の張海清は、家庭の経済が大変貧しく、田舎暮らしで、脊椎炎の治療で北京協和病院を訪れた。 張の妻の話によると、病院にはたくさんの人が並んでいて、行列の後ろに並んでいた。その時、CCTVの記者が来て、列に並んでいる人たちに「テレビに出て法輪功が悪いと言いたい人は、先に受付してあげるから、薬代も半額になる」と話しかけた。当時、急いで医者に診てもらいたいため、張海清は自分が法輪功を学んだせいで猫背になったと言い、また記者の書いたセリフに従って法輪功の悪口を言った。その結果、確かに先に受付をしてくれたが、薬代はすべて自己負担で半額にはならなかった。実際、張海青は法輪功を学んだことがなく、彼を知っている人は皆その事実を知っていた。
山東省蒙陰桃墟鎮の住民・石増山の娘は先天性心臓病を患い、治癒できず死亡した。先天性心不全で亡くなったことを近所の誰もが知っている。しかし、蒙陰県宣伝部門は業績をあげるため、石増山の娘は法輪功を学んだため、薬と注射を拒否して死亡したというドキュメンタリーを企画し、父親の石増山に協力させてセリフを読むよう要求した。最初、石増山は良心を裏切りたくない、嘘をつきたくないと断ったが、鎮政府はグループを結成し、連続して3日間、昼夜かけて非人道な拷問を加えたため、石増山は屈服してテレビ局に協力し、永遠の後悔を残した。
中共の教育は白黒を逆転させる |
結び
中共は、メディアや他の国家機関を利用して、異なる意見を抑圧し、恨みを作り出し、憎悪を煽り、人間の悪の一面を刺激している。 中共は「嘘・悪・闘」と教えているが、闘う原因は「恨み」であり、なぜ中共はずっと「恨み」から離れないのか。
『共産主義の最終目的』の本の中に次のように記されている。「共産主義の本質とは『邪霊』であり、『憎しみ』と低次元の宇宙空間の腐乱物質によって構成されている。人類に悪意を持ち、人類を滅ぼそうとしている。この『邪霊』は、人の肉体を殺すことだけでは満足していない。なぜなら、肉体の死は生命の本当の死とならず、人の元神(魂)がまた輪廻して新たな命を得るからである。しかし、道徳観念が退廃し、回復の見込みがない人間は、元神(魂)が無尽の苦痛の中で徹底的に消滅させられてしまう。これこそ最も恐ろしいことであり、生命にとって本当の意味の死となる。『共産邪霊』はまさに、世の道徳を全面的に崩壊させることによって、全人類をこの未来永劫、再起不能の深淵に突き落とそうとしている」
中共は中国ではなく、中国の伝統文化を破壊し、「憎しみ」で建国し、「憎しみ」で国民を害し、数世代の人々を毒害して、子供たちにも憎しみの教育をしてきた。設立百年を迎える中国共産党も終焉を迎え、天が中共を滅ぼすことは歴史の必然である。中共の組織から脱退してこそ、中共の悪霊から遠ざかり、生まれ変わることができる。
3億6千万人が中共の「党・団・隊」組織から脱退した |