【明慧日本2024年9月21日】伝説によると、倉頡(そうけつ:漢字を発明したとされる古代中国の伝説上の人物)が文字を作った時、天から粟が降り、夜には鬼が泣いた。甲骨文(こうこつぶん)から金文(きんぶん)へ、小篆(しょうてん)から隷書(れいしょ)へと、文字の進化は中華文明をますます豊かにし、歴史を記録する重要な役割も担ってきた。
伝統文化において、人々が「德」の字を見ると、人の心に関係していることがわかる。「仙」の字に触れると、山で修行する人を連想する。「邪」の字を読むと、耳元でささやき、歯をむき出しにして口を歪める表情を思い浮かべる。道徳の本質を文字に刻み込むこの巨大な企画は、まさに5000年の文明の精華なのだ。
しかし、これらは中国共産党(以下、中共)が政権を奪取した後、大半が破壊されてしまった。1956年2月1日、中共は第一回目の漢字簡略化を推進した。中共は「書きやすく、大衆化させ、識字率を上げるため」と口実をつけたが、実際には中華の伝統文化を系統的に破壊するという悪意ある目的を隠していた。
心臓の「脏(訳註:臓の簡体字)」という字について話をしよう。は、人の各種の臓器には異なる情報が宿っていると考えていた。「臟者、藏也。精藏于腎、神藏于心、魂藏于肺、志藏于脾(臟とは、藏なり。精は腎に藏し、神は心に藏し、魂は肺に藏し、志は脾に藏す)」『字彙(じい)』
心臓は、人体で最も重要な臓器であり、人の魂や精華が宿る所だ。いっぽう、変異した「脏」の正体字は「髒(訳註:汚いの意味)」であり、さらに表面的には遺体を葬るといった意味を含む。そのため「脏」には肉体の死といった捉え方もある。
普通の思考を持つ人にとって、「心臟」と「葬る」を同一視することなど決してできないことだ。ましてや、この二つの字は読み方も異なる。しかし、中共は多くのいわゆる専門家や学者を雇い「漢字簡略化」を実施した。一体どのような「真剣な研究」を経てこのような決定をしたというのか。「臟」を「髒」と混同させ、人々の心の中にある漢字への尊敬を失わせ、人の心をより汚くすることで、洗脳されやすく、コントロールされやすくなる。中共はそう考えたのだろう。
神の存在は、中共にとって、決して科学の問題でも哲学的な観点でもありえない。中共が無神論と進化論を宣伝すること自体が、極端で、強制的で、偏見に満ちている。その目的は人々の神への正しい信仰を消し去り、人々の心と道徳を破壊することだ。様々な政治運動を用いて伝統文化や伝統的信仰を破壊すると同時に、中共は闘争哲学と共産主義を用いて民衆の空虚な心を埋めようとしているのだ。
しかし、人々の心に神が宿らず、神を信じず、善悪の報いを信じなくなったとき、それはどのような社会になるのだろうか。中共が口にする「地上の楽園」になるのだろうか。実際、今日の社会はすでにその答えを出している。偽タバコ、偽酒、偽ワクチン、地溝油、粗悪な綿、毒入り粉ミルク、偽学歴、偽結婚、偽離婚…… 多くの人々が利益のために良心を捨てるようなことさえ、平気でするようになった。
家庭さえ、もはや避難所ではなく、男女関係は極度に不均衡で、結婚は戯れとなり、夫婦の対立は枚挙にいとまがない。性の解放、同性愛、近親相姦、薬物乱用、暴力団…… 道徳の崩壊によって引き起こされる問題は目を覆うばかりだ。社会では権力が美徳とされ、財産が尊ばれ、官僚は為政(いせい)の道を考えず、へつらいの術ばかりに長け、腐敗の触手は社会のあらゆる面に伸びている。
ついに人々は老人を見ても助ける勇気がなくなり、悪人に遭遇しても声を上げる勇気がなくなった。人々の冷徹さ、利己主義は中共によって意図的に最大限に拡大された。この「無神」の世の中で、多くの人々は何のために生きているのかが分からず、社会の不公平さから極端な報復心理が生まれ、幼稚園の子供たちを虐殺することさえ、怒りを発散する常套手段となってしまった。今日の中国は高層ビルが立ち並び、一見華やかに見えるが、人々はすでに道徳の堕落の中で危険な境地に踏み込んでいる。
よく考えてみると、私たちは社会のさまざまな乱れた現象に慣れてしまっているのではないか。誰が私たちをこれほど麻痺させたのか。法輪功学習者が中共によって生きたまま臓器を摘出されているという話を聞いたとき、どれだけの人が同情の心を持ち、それに異議を唱えることができるだろうか。このような変化は、まさに中共が細部から、少しずつ、厳密かつ系統的に思想と行動を改造してきた結果なのだ。
実際、このような簡体字はまだまだある。例えば、正体字の「進」は歩むほどに良くなるという意味だ。しかし中共が改めた「(簡体字)进」は、人々が井戸に入って溺れ死ぬことを望んでいるようだ。「愛(爱)」は真心を失い、「鄉(乡)」には「郎(ろう:おとこ)」がいなくなり、「筆(笔)」は「毛思想」を書くために使われ、「黨(党)」はもはや利益のために「相助匿非」する団体ではなく、一変して人民の良い息子となった。「華(华)」は、光華繁華であることはできず、それを「化か」して解体させようとしている…… 事実、中共は一瞬たりとも中国人を呪い、中傷し、洗脳し、愚弄(ぐろう:ばかにして、からかうこと)することをやめたことはない。そして、中共の簡体字も、漢字のピンイン化過程の一部に過ぎず、中共が望んでいるのは、全面的に漢字を破壊し、中華文明を破壊することなのだ。
悪魔は細部に宿る。真相を見極めるには、偏見なく過去100年近くの中共の所業と、それが人類にもたらした深刻な災難を直視する必要がある。今や、脱党運動が巻き起こした大きな潮流は、中共が解体される時期に入ったことを告げる。しかし、中国人である私たちは、自身の党文化を清算し、新しい時代を迎える準備ができているのだろうか?