文/中国の大法弟子
【明慧日本2024年10月10日】(前文につづく)
四、「彼を放して」
2018年、私は山東省で働いていた時、住宅街に行って大法の資料を配布していましたが、マンションの管理人が私を見て、入り口で私は取り囲まれました。大柄な管理人が私に向かって、「お前、チラシを貼ったのか?」と問いました。私は否認すると、マンションの女性清掃員が大法の良さと迫害の実態を伝える小冊子を手に持って来て、その男性に手渡しました。男性は小冊子を見た途端、表情を変え、「お前、法輪功の宣伝をしているだろう? これはお前がやったのか?」と詰問しました。私は「これは私が配ったものです」と認めました。すると男性は、「政府は法輪功を禁止しているのに、よくも政府に反するつもりか?」と声を荒げました。私は「法輪功は人々に良い人になることを教えます。政府が善良な人々を弾圧することは、天理に反する行為であり、間違っています。それに加担する者は犯罪者と同じです」と伝えました。彼は「それなら、なぜこのようなものを配布するんだ?」と聞いたので、私は「周りの人には直接話して、間違いを犯さないように伝えることはできますが、大勢の人が知らないので、資料を配って真実を伝えるしかありません。これは、あなた方のためでもあります」と説明しました。
しかし、管理人は聞き入れず、無理やり私を連れて行こうとしましたが、私は力いっぱい抵抗しました。彼は私を引っ張れないと分かると、電話をかけて1人の男性を呼んで来ました。彼らは私を連れて管理事務所に行き、管理人は電話をかけ始めました。私は心の中で「電話しても通じないように」と念を発しました。結局、彼は2、3箇所に電話をかけてもつながりませんでした。
私は「これは無駄です。私たちはしょっちゅう警察とやり取りしていますが、警察ですら何もしません。あなた方がなぜ余計なことをしようとするのですか。私たちはただ、このような方法で世の中に法輪功について事実を伝えているだけです。政府が法輪功を迫害するのは間違っています。人々が無知のまま悪事に加担してしまうことを避け、天罰を受けないようにするためです。これはあなた方のためにもなります。時間があれば、これらの資料を読んでみれば分かるはずです」と話しました。
私が話している間も、管理員は電話をかけ続けていました。一方、後に来た男性は、小冊子を読みながら「言っていることに一理あるわね。本当にそういうことなのかも」とつぶやいていました。その時、管理人は電話がつながり、どうやら上司のような人物に連絡が取れたようで、「法輪功学習者(以下、学習者)を捕まえました」と報告していました。上司が「何か持っていたのか?」と尋ねると、なんと管理員は「何も持っていません」と答えました。これは師父の加護だと感じました。小冊子を読んでいた男性は、管理人に「彼を放してあげて」と言いました。まさに縁のある人でした。
私は彼らに「私が言った通り、私たちは犯罪をしているわけではありません。間違っているのは政府なので、誰も関わりたくないのです。今後、学習者を絶対に捕まえないでください。将来、あなた方にも良い報いがあります」と勧めました。
五、国保警察 「家宅捜索があるので、物を片付けて安全に気をつけろ」
2022年、中共は学習者に「三書」にサインするよう強制し始めました。公安局の主導で、全県の学習者に対する迫害が行われ、電話での面談要求、自宅訪問などの嫌がらせが頻繫に発生し、一時は非常に恐怖感が広がりました。ある日、私たちの地域を担当する派出所の指導員が私に電話をかけてきて、話し合いに来るようにと言われました。
家に帰ってから、同修が「警察が家宅捜索をするつもりだ」と言っていたことを思い出し、大法の書物などを隠しておかなければならないと考えました。それは「安全のため」という理由で一見正しい考えのように見えましたが、よく考えるとどこか違和感がありました。そこで内に向けて探してみると、実のところ、迫害を恐れていたことに気づきました。そして、法を正す時期の大法弟子として、師を助け、衆生を救うという神聖な使命を忘れかけていたのです。法理が明確になると、これは人心が作用していたのだと分かり、自然とどうすべきかが分かりました。
その日の午後、私は派出所に電話をして、「所長さん、話しがあると言われたので、今から伺います」と伝えました。派出所に着き、少しの世間話をした後、所長は私に「あなたたちが信仰があり、悪いことじゃないと分かっています。私も本当は関わりたくないんですが、上から指示があるので理解してください。修煉しないとサインをして、家に帰って好きなように煉功しても、誰も構いません。どうか、ご協力をお願いします」とサインするように頼みました。それに対して、私は笑顔で「所長さん、あなた方は友達を作るとき、偽りの友達がいいですか? それとも正直な友達がいいですか? もし私がここでサインして修煉しないと約束した後、家に帰ってまた修煉を続けたら、それは嘘をついて騙すことになります。正常な政府として、あるいは法執行者として、正しいことだと思いますか? 私たち法輪功修煉者は、真・善・忍の教えに従って良い人間であろうとしていて、嘘をつくことはしません。そもそも、中共が法輪功を迫害すること自体、法律的な根拠は全くないのです。善良な人々を迫害することは天の意志に反しており、天理はこれを許しません。善悪には必ず報いがあります。もし私がサインして良い人間であることをやめたら、それこそあなたに害を与えることになります。というのも、あなた方は事実を知らないまま、良い人を迫害する行為に加担して罪を犯してしまうからです。だから、このサインだけはどうしてもできません。これも、あなた方のためです」と語りました。所長はそれ以上、サインを求めることはありませんでした。
数日後、派出所からまた連絡があり、話があると言われました。私が行くと、会議室に案内され、そこには公安局の政治委員、国保の王警官、それに2人の警察官がいました。私は彼らの正面に座ると、政治委員が「今日は別の話はしません。あなたが何か困っていることがあれば、できる限り助けますので、どうぞ話してください」と話を始めました。その時、私は心の中で彼らの関心は偽物で、真の目的は私を騙してサインをさせ、修煉を放棄させようとすることだと分かっていました。そこで、私は「困っていることはありますよ。妻は不当に数年の刑を宣告され、正当な給与も支払われていません。ちょうどいい機会なので、この問題を解決していただけますか?」と質問しました。すると委員はすぐに「その問題は、私たちには解決できません」と言いました。
私は「あなたたちは何度も何度も私に接触してきますが、これは嫌がらせです。私がどの法律に違反して、どんな罪を犯したというのですか? この長年にわたる政府の法輪功への弾圧には、法律的な根拠もなければ、法的文書もありません。これは法を守らずに執行しているのではありませんか? 妻もそうして迫害され、私の家庭も崩壊されました」と続けました。私がこのように言うと、政治委員は小声で「いや、あるんだ、根拠はある」と言いました。「根拠があるのなら、出してみてください。出せないでしょう、なぜなら、そんな根拠はそもそも存在しないからです。でも、私は法輪功が違法ではないという根拠を示すことができます」と話しました。
場の雰囲気を和らげるため、私はこう言いました。「今日ここに座っている皆さん、これは縁だと思います。私は皆さんと何の恨みも仇もないので、上からの圧力があっても、誰も私を害しようと思っていないでしょう。皆さんも文化大革命をご存知でしょう。国家主席であった劉少奇は当時、失脚して誣告され、死に追いやられました。それも政府の行為ですよね? その後、文化大革命が過ちだと認め、彼は名誉を回復されました。今、法輪功を迫害しているのも同じく、政府の行為であり、しかも、法的な文書や根拠はありません。すべてが法律を凌駕しています。もし皆さんが今この迫害に加担しているのなら、皆さんも罪を犯していることになりませんか? 文化大革命で人を迫害した者は皆罰されました。そして、迫害された人を助けた人は皆福に報われました。ですから、ここにいる皆さんも邪悪から遠ざかり、良心を保ち、将来の幸運を得られることを願っています」
その時、派出所の指導員が「あなたはなかなか弁が立つね。いっそ講師になったらいいね」と言いました。彼は紙とペンを持ってきて、私に差し出しながら「無理をさせることはない。サインしないなら、自分の思ったことを書けばいいです」と言いました。そこで、私は簡単に、法輪大法を修煉することで、自身の健康と家族や社会に与えた恩恵について書きました。最後に「私は、法輪大法が宇宙の中で最も正しい修煉法だと認識しています」と書きました。彼はそれを読んで、何も言いませんでした。
私は彼らに「今日は友人の結婚式に参加するので、早く行かないと遅れてしまいます」と言いました。すると、そばにいた1人の警察官は「ここから出られないかもしれないぞ」と言いました。私は「まさか私をここに留めようとでもいうのですか? あなたが決めることじゃない」と言いました。その時、国保の隊長がやってきたので、私はすぐに彼に「結婚式に行かないといけません。今日私が言ったことをよく考えてください。人類が大きな災難に遭う時、あなた方が無事にいられることを願います」と言いました。彼は少し驚いて、先ほどの警察官に「車を出して彼を結婚式場に送ってやれ」と指示しました。
その警官は私を派出所の外に連れ出すと、すぐに態度を変え、「家に帰って物を片付けてね。ここ数日で家宅創作があるかもしれないから、気をつけてください」と教えてくれました。私は「ありがとうございました。大法弟子を守ることこそ、正しいことです。お忙しいと存じますので、送ってくれなくても結構です」と感謝しました。そして自転車に乗って自分で結婚式に向かいました。こうしてサインの騒動は終わり、それ以降、誰も私にサインを求めることはなくなりました。
(完)