文/中国の大法弟子
【明慧日本2024年11月24日】私は法輪功を学んでいたため、1999年「7.20」から中国共産党(以下、中共)と江沢民一派から激しい迫害を受けました。私は、私の地域で、行政職に就いていた法輪功修煉者の中で、最も厳しい迫害を受けた1人です。迫害を受け、それに抵抗する中で、正義感と良心から私を助け、励ましてくれた多くの人々と出会いました。彼らとの数々のエピソードを通して、法輪功の力と、中共の迫害がいかに世論から支持されていないかをお伝えしたいと思います。
一、国保警官「良い人間でなければ法輪功を修煉できないはずだ!」
1999年7.20日の朝、同修たちと一緒に煉功していたところを警察に解散させられました。職務に戻るとすぐに、区公安支局国内安全保衛部門(法輪功迫害の実行機関。以下、国保)の警官と保衛処政保科長に(訳注:1999年中共が法輪功を弾圧し始めた時、修煉者の監視・逮捕・拘束を行った法輪功迫害の実行部隊)車で近くのホテルの一室に連れて行かれました。部屋にはテレビを見ている年配の警察官が1人おり、紹介によると、国保の警官・Dとのことでした。私を連れてきた警官は警官・Dに少しだけ指示をして部屋を出ていき、部屋には私たち2人だけが残されました。
私が着席後、警官・Dはテレビの音量を最小にして、私に「今日は、局から派遣されてきたのだが、君と一緒に民政部(訳注:日本の厚生労働省に相当し、社会福祉、社会団体、宗教団体などを管轄し、民政部が法輪功の活動を規制する役割を担っている)と公安部が発表する法輪功取締りの重要なニュースを聞こうと思ってね。どうしてまだ始まらないんだろう? 少し待とう」と言いました。そして、私のことを少し尋ねてきました。私が警官・Dより2歳年上で、私がもうすぐ定年退職だということを知ると、警官・Dは「〇〇さん、あなたは副庁級(訳注:中国の政治行政の等級は「国家級」、「正部級」、「副部級」、「正庁級」、「副庁級」、「正処級」、「副処級」、「正科級」、「副科級」という9つ の等級に区分されており「国家級」は最高であり「副科級」は一番下のレベルである)の党員幹部でしょう。どうして法輪功なんかやって、こんな面倒なことに巻き込まれてるんだい? もうやめたらどうだ?」と言いました。私は「法輪功は『真・善・忍』を教え、道徳心を高め、健康にも良いのです。とても良いものなのに、なぜダメなのですか。信仰の自由があるはずです」と答えました。警官・Dはすぐに「そうですね、信仰の自由は憲法で保障されている」と同意しました。そして私は「それなら、なぜ法輪功を禁止するのですか?」と問い返しました。
警官・Dはしばらく考え込み「知っていますか? 私たちの党は80年近くかけてようやく6000万人の党員になったが、公安部によると、君たちの法輪功はわずか7年で7000万人にまで発展した」と言いました。私が「一つは政治的な党派組織(訳注:政党)で、もう一つは心身の健康を求める信仰団体です。どうして比較できるのですか?」と反論すると、警官・Dは「君たちの7000万人は、田舎の老人ばかりではない。知識構造から言えば、半分以上が高学歴の知識人や党・政府・解放軍の高官であり、党派構成から言えば、半分以上が共産党員だ。これだけの社会のエリートが『三つの代表(訳注:江沢民が2000年に提唱した思想で「中国の先進生産力の発展を代表する」、「中国社会主義制度の優越性を代表する」、「中国人民の根本利益を代表する」の三つ)』を学ばずに法輪功を学ぶとは、恐ろしいことではないですか?」と言いました。
私は笑って「何が怖いのですか? 良い人が増えるのは社会にとって良いことではないですか」と言いました。そして、少し間を置いてから、警官・Dを見て「あなたが言っている数字は初めて聞きました。でも、もしそうなら、多くの高学歴者や高官が法輪功を修煉しているということは、法輪功が迷信ではない証拠でしょう。また、多くの共産党員が法輪功を修煉しているということは、法輪功が党に反対しているものではない証拠でしょう。それなのに、なぜ弾圧する必要があるのですか?」と言いました。
警官・Dは少し驚いて私を見つめ「まあ、そうかもしれないですね」と考え込むように言いました。そして、警官・Dは私に「君たちは一つ大きなミスを犯した!」と言いました。私が「何ですか?」と尋ねると、警官・Dは「君たちは中南海に突入するべきではなかった! 省委員会(訳注:省レベルの党委員会)が庁局級幹部(訳注:省や市の行政機関のトップ)に伝達したX総書記が政治局(訳注:中国共産党中央委員会の下に置かれている党の最高意思決定機関の一つ)に宛てた書簡を聞いたことがあるでしょう?」と言いました。私は頷きました。警官・Dは続けて「君たちは誰にも知られずに1万人で中南海を包囲した。それは大きな失策だった!」と言いました。警官・Dは明らかに事実を知らないようだったので、私は「4.25事件」の全過程を詳しく説明しました。警官・Dは真剣に耳を傾けていました。
私は「政府は当初、法輪功に対して『三不政策(干渉しない、宣伝しない、批判しない)』を取っていました。ところが、何祚庥(訳注:法輪功を批判する代表的な人物の一人。法輪功に対する弾圧が本格化するきっかけとなった「天津事件」において事件を煽るような行動をとった)がわざわざ三不政策に反して問題を煽り、天津の警察が意図的に修煉者を逮捕し、事態を大きくしました。総書記の江沢民は、事件を起こした者の責任を追及するどころか、平和的に請願を行った法輪功修煉者を逆に非難しました。江沢民の書簡(訳注:前述の書簡)は、人々の目を惑わせ、是非を逆転させるもので、まさに濡れ衣を着せるための口実作りです」と続けました。警官・Dは何かが心に響いた様子で、独り言のように「なるほど、そうだったのか」と言いました。
7月24日、私は多くの同修と共に北京へ陳情に行くためにバスに乗車しましたが、石家庄で捕まり、学校へ連れ戻されました。警官・Dは、この「陳情事件」を調査するために学校へやって来ました。その後、勤務先の尽力と警官・Dの取りなしにより、私は追及を免れました。感謝の意を込めて、勤務先の幹部が警官・Dを招待して食事会を開き、私も事務室長も参加しました。幹部が挨拶した後、事務室長が警官・Dに杯を立て「私たちの〇〇課長(私のこと)は本当に良い人です!」と言いました。警官Dが即座に「良い人でなければ法輪功を修煉することはできません!」と答えると、皆が一斉に拍手喝采しました。私は警官・Dに親指を立てて賛同の意を表しました。
警官・Dは酒を飲むのが好きでしたが、酒に弱く、すぐに顔が真っ赤になりました。そして突然大きな声で「なぜ汚職や腐敗や悪事を働く者を捕まえずに、ただ煉功しているだけの善良な人たちを迫害するのか、さっぱり分からない。道理に合わない! 江沢民が来たとしても、堂々と議論できる!」と言いました。この言葉に皆は驚き、息をのみました。私は彼が酔っていることに気づきましたが、酔った勢いで本心を言ってしまうことがあると言いますから、彼の言葉は心に響きました。彼の力強い言葉は、自分の心の奥底からの正直な気持ちであり、真相を知り、良心を持っている法執行機関の人々の思いを代弁しているように思えました。
警官・Dの正直さと善良さのおかげで、私たちは友人になりました。毎年、お正月やその他の祝日の時には、お互いにあいさつを交わしました。2018年の終わりに、私たちは会う約束をしました。70歳を越えた彼でしたが、相変わらず顔色が良く、いきいきとしていたので「相変わらずお元気ですね!」と声をかけると、彼は笑顔で「実はね、退職してから毎日『法輪大法は素晴らしい、真・善・忍は素晴らしい』と念じていて『轉法輪』という本も毎日読んでいるんだ。大法のおかげで、私は幸せを授かったよ」と教えてくれました。
「Dさんはすごいですね!」と私は興奮して親指を立てました。そして「三退」して平安を保つ、という話を彼にしました。「〇〇D」という名前で彼のために脱党することを申し出ると、彼はとても喜んで立ち上がり、合掌して私に感謝の意を表しました。
(続く)