【明慧日本2025年1月6日】(取材:欧州明慧記者)2024年12月10日の国際人権デーに際して、欧州連合(EU)の外交・安全保障政策上級代表兼欧州委員会副委員長であるカヤ・カラス氏は、EUを代表して声明を発表した。同氏は次のように述べている。「この人権デーに、EUは世界中のすべての人々の人権を尊重し、保護し、実現するという揺るぎない取り組みを改めて表明します。今年のテーマは『今こそ私たちの権利、私たちの未来』であり、公正で強靭かつ持続可能な未来を実現するためには権利と自由を守ることが不可欠であり、誰一人として取り残してはならないことを強調しておきます」
「 EUは、世界中の全ての人の人権を保護し続けます。あなたの権利、あなたの未来、そして永遠に保護していきます」
EU外交・安全保障政策上級代表兼欧州委員会副委員長であるカヤ・カラス氏が、EUを代表して発表した声明文(新聞より) |
中共に法輪功学習者の即時無条件釈放を懇切に促す
このほか、EUは公式ウェブサイトにおいて、中国語と英語で声明を発表し、中共による大規模な人権迫害を非難するとともに、不当に拘束されている法輪功学習者を即時かつ無条件で解放するよう強く求めている。
2024年国際人権デーに際して、EUが新聞で発表した声明文(新聞より) |
EUの声明文では次のように述べている。「私たちは中国市民の文化的、経済的、社会的、そして政治的権利について深刻な懸念を抱き続けています。私たちは、中国に対し、民族的、宗教的、言語的少数派に属する個人を含め、すべての人々の人権を尊重し、保護し、実現するよう強く求めます」
「EUが特に懸念しているのは、市民が宗教や信仰の自由を含む基本的な自由を行使することに対する系統的な厳しい制限です」
「我々は、報告された恣意的な拘留、拷問、その他の非人道的な待遇の事例、そして人権擁護者やその家族に対する嫌がらせの事例について、徹底的な調査を行うよう呼びかけます。拘留された人々は、自らの法的代表者を選ぶ権利、医療を受ける権利、そして家族と連絡を取る権利を有するべきです」
2024年国際人権デーに際して、EUが新聞で発表した声明文(新聞より) |
「EUは、中国に対し指定場所における居住監視(RSDL)の廃止を強く求めます。この手法は、国連の特別手続きによって強制失踪の一形態と見なされています。拷問や、自白の強要や公開謝罪を含む人格を辱めるその他の扱いは刑事犯罪に相当し、徹底的に排除されるべきです」
「EUは、引き続き憂慮を表明し、許那さんと丁元德さんの即時かつ無条件の釈放を求めます」
「EU・中国人権対話 法輪功学習者の生命の安危に懸念」
第39回EU・中国人権対話が2024年6月16日に重慶で開催された。6月17日、EUは声明を発表し、中国の人権状況が「非常に深刻」であり、憂慮すべき状態であると再度強調した。
EUは中国との対話の中で、中共による人権擁護者、弁護士、ジャーナリストへの弾圧に関する報告を特に取り上げ、中共に対しこれらの人権侵害行為の調査と停止を求めた。
EUは、不法拘禁、強制失踪、拷問や虐待の事例についても懸念を表明した。また、中共に対し、人権迫害を停止するよう再度強く求め、宗教または信仰の自由を行使したことを理由に自由を奪われている個人に焦点を当てていた。その中には、法輪功学習者である許娜さんと丁元徳さんも含まれている。
数年にわたる不当な拘禁、一家が離散し肉親を失う
許娜さんは、北京在住の法輪功学習者であり、独立画家かつ詩人である。彼女は、新型コロナウイルス感染症の流行中に北京の実際の街の様子を写真で公開したことが原因で、中共による迫害を受けている。2020年7月19日、北京市公安局国内安全保衛部門(法輪功迫害の実行機関。以下、国保)、順義区公安局国保、および順義区空港派出所の警官が協力して、許さんを自宅で強制的に拘束した。翌日、警察は彼女の自宅を不法に捜索し、コンピュータ、携帯電話、ビデオカメラなどの私物を押収した。同日、李宗沢さん、李立鑫さん、鄭玉洁さん、鄭艶美さん、鄭静静さん、張任飛さん、劉強さん、孟慶霞さん、李佳軒さん、焦孟嬌さんを含む計13人が拘束された。
2021年10月15日、北京市東城区裁判所は不法に開廷審理を行った。 2022年1月14日、東城区裁判所は、許さんに対して懲役8年、罰金2万元、李宗澤さん、李立鑫さん、鄭玉洁さん、鄭艳美さんに対し懲役5年、罰金1万元、鄧静静さん、張任飛さん、劉強さん、孟慶霞さんに対して懲役4年、罰金8千元、李佳軒さん、焦孟嬌さんに対して懲役2年、罰金4千元の不当な判決を言い渡した。
北京の法輪功学習者、独立画家許さん |
その後、徐さんと他の学習者は控訴した。2023年5月18日、北京市第二中級裁判所は審理を開かずに、一審の原判決を維持する判決を下した。
2023年9月20日、許さんは北京市東城区拘置所から天河刑務所に移送され、同年11月頃、北京女子刑務所第三区10組に移送されたが、その後、突然第三区を離れ、所在がわからなくなり、現在も行方不明となっている。
EU議会、迫害されている心優しい農民の救出決議を採択
丁元徳さんは、中国山東省日照市五蓮県叩官鎮閻家荘村に住む法輪功学習者。2023年5月12日の早朝、日照市東港区公安局、五蓮県公安局、および叩官鎮派出所の警官やその他の「公安局・検察庁・裁判所」関係者の約10人が出動し、丁さんと彼の妻である法輪功学習者の馬瑞梅さんを強制的に拘束した。丁さんは、2023年6月13日以降、日照市の拘置所に不当に拘束され、同年7月20日に日照市東港区の公安局によって不当に拘留された。
丁元徳さんと馬瑞梅さん夫妻 |
丁さんが不法に拘束されて以来、ドイツに住む息子の丁楽斌さんは、両親の救出を求めて各方面で積極的に行動を起こし、国際社会に関心と支援を呼びかけている。2023年6月14日、2人の警官が丁さんの自宅を訪れ、馬瑞梅さんを脅迫した。その場で警察は「夫を刑務所送りにする」と威嚇し、海外で行われている救出活動をその「理由」とした。
この救出活動には、海外の政治家が支援しており、彼らは日照市の元書記・張慧を含む迫害に直接関与した責任者に書簡を送り、丁さんと馬さんへの迫害を直ちに停止するよう要求した。また、丁さんの即時かつ無条件の釈放を求める内容も含まれている。
2023年11月28日、五蓮県裁判所は丁さんに対して不当な審理を行った。12月15日、丁さんに対して実刑3年の不法判決を言い渡し、1万5千元を強制的に奪われた。
2024年1月29日、山東省日照市中級裁判所は、五蓮県裁判所と日照市の検察庁の違法行為を無視し、公開審理を行わずに丁さんの控訴を却下し、一審の五蓮県裁判所の不当な判決を維持した。
丁さんの82歳の高齢の母親は、息子が不法に逮捕され迫害されていることを知って以来、特に息子が不当に判決を受けた後、毎日涙を流し、悲しみで心を痛め、不安と恐怖で日夜息子の命を案じていた。特に中国の伝統的な旧正月が近づくと、息子が家に帰ってくることができないことをとても辛く感じていた。そして、2023年12月8日、突然亡くなった。
丁さんの妻・馬さんは、現在も自宅で厳しい監視と盗聴を受けている。2024年3月20日、日照市当局は丁さんを日照市拘置所から不法に移送し、現在も山東省刑務所に不法に拘禁されている。
丁さんの息子・丁楽斌さんの訴えにより、2024年1月18日、EU議会は「中共による法輪功への継続的な迫害、特に丁さんに対する迫害」に関する緊急非難決議を採択した。この決議では、中共に対し丁さんおよびすべての法輪功学習者を即時かつ無条件で釈放するよう求めた。これはEUの歴史において、EU議会が初めて中国の一般の農家に対する中共の人権迫害を取り上げ、非難した重要な事例となった。
EU2024年議会が2024年1月18日に採択した丁さんを救出する緊急決議 |
さらに、決議では、EUおよび加盟国に対し、中国における臓器移植の乱用を公然と非難するよう求めている。また、EUのグローバル人権制裁制度および各国の制裁制度を活用し、中国国内および海外で法輪功学習者の迫害に関与するすべての犯罪者や組織を制裁するよう呼びかけている。これには、以下の措置が含まれる:ビザの発給拒否、資産凍結、EU領域からの追放、刑事訴追(域外管轄権に基づくものを含む)、および国際法に基づく刑事告発である。