【明慧日本 2025年1月9日】 「こんなのアメリカじゃない!」(so un-American)という言葉を初めて聞いたのは、新型コロナウイルスが流行していた時期だった。当時、感染症は最初にニューヨーク州などで広がっていた。ニューヨーク周辺の複数の州の知事たちは恐怖から、ニューヨーク州のナンバーの車両の進入を禁止する命令を出した。当時のニューヨーク州知事アンドリュー・クオモ氏は怒り、隣接州のこうした行為は「こんなのアメリカじゃない!」と公に批判した。アメリカ精神に反する措置という意味だ。
実際、アメリカが連邦制を導入した目的は、州間の自由貿易と人口の自由な移動を実現し、経済発展の障壁を減らすことにあった。各州が独立した王国のようになれば、アメリカ合衆国は存在しなくなってしまう。
最近、メディアでまた「こんなのアメリカじゃない!」という言葉を耳にした。
トランプ前大統領は第一期の任期中にグリーンランドの購入を提案し、最近また同じ提案を繰り返したが、メディアから厳しい批判と嘲笑を受け、非アメリカ的だと非難された。理由は2つある。
第一に、主権領土は売買できないこと。第二に、デンマーク政府は絶対に領土を売却しないということだ。
ある歴史学者は黙って見過ごせず、ウォール・ストリート・ジャーナルで反論した。事実、アメリカの40%以上の国土は主権購入によって得られている。歴史的に見ると、アメリカはフランスからルイジアナを購入。その後、スペインの債務を減免する代わりにフロリダを獲得し、さらにロシアからアラスカを購入した。トランプ氏の提案は、アメリカの伝統にも、現在の領土の定義にも合致すると指摘している。
今日のデンマークの指導者が主権の売却を望むかに関係なく、同国の領土売却の慣行には長い歴史がある。1845年、デンマーク国王はインドの複数の拠点の支配権を東インド会社に数百万ルピーで譲渡。1900年代初頭、デンマークはグリーンランドをアメリカに売却することを提案したが、アメリカは同意しなかった。しかし1917年1月、アメリカはデンマークに2,500万ドルを支払い、現在のアメリカ領バージン諸島というデンマークの別の遠隔地を購入。さらに1946年、アメリカは正式に1億ドルでグリーンランドの購入を提案したが、デンマークに拒否された。
不思議なのは、現在一部のメディア関係者が自国の歴史を理解せず、また調査もせずに安易に判断を下していることだ。これらの人々の専門的な能力と職業倫理に疑問を感じ、まさに「とても非アメリカ的だ!」と感じずにはいられない。
興味深いことに、昨日、アメリカ人の友人から再びこの「こんなのアメリカじゃない」という言葉を聞いた。
この友人は中年の白人男性で、成功した実業家で読書好きだ。会って早々、友人は話し始めた。「最近、ニューヨーク・タイムズで神韻に関する複数のネガティブな記事を読んだ。しかし、どの記事も非常に出来が悪く、観点がない。具体的な事実を列挙するだけで、最後まで読んでも何を言いたいのか分からない。次々と記事を書き、最後にネタ切れになると、以前述べたことをまとめただけの記事を書いている」
「神韻がいくら稼いだとか言うが、アメリカ人は皆、ゼロからの起業や、個人の努力、事業の成功物語を好むはずだ」
「公演の練習がどれほど厳しいとか、練習時間がどれほど長いとか言うが、成功を目指す子供たちは皆そうだろう。プロのスポーツチームに入りたい子供たちを見てみると、親は多額の費用を掛けてサマーキャンプに送り、良いコーチを見つけるために引っ越しをし、子供たちは夏の炎天下で体力トレーニングをする。皆そうしているはずだ」
「なぜ神韻はそれほど多くの現金を銀行に預けて投資しないのかと疑問視している。アメリカ人はいつからそんな他人のことに口を出すようになったのか。とても非アメリカ的だ。あのハリウッド俳優が名誉毀損で2億5,000万ドルの賠償を求めて訴えたのも無理はない」
私は思わず「それなのになぜ購読しているのですか」と聞いた。
友人は大笑いして「いい指摘だ。帰ったら購読を解約する!」と答えた。
私も大笑いした。やはり多くのアメリカ人はアメリカ的なのだ。