文／海外の大法弟子

　【明慧日本2025年5月17日】2025年4月11日、トランプ大統領（以下、敬称略）は大部分の国に対する「相互関税」政策の停止を発表しましたが、唯一の例外が中国でした。このことは広く注目を集め、多くの人がトランプの姿勢を「反中」（反中国）と解釈しました。しかし、トランプは中国の国民に対して攻撃を仕掛けているのではなく、むしろ中国共産党（以下、中共）が国際ルールを順守しないという本質的な問題を標的にしているのです。中共はこのことを「反中」と喧伝することで、中共が国際ルールを守らないという問題の本質から大衆の目をそらそうとしています。しかし、私たちはよく知っています。「中共」と「中国」は同一ではなく、中共は中国国民の利益を代表しておらず、ただ自らとマルクスとレーニンの後継者を代表しているだけにすぎません。

　トランプの関税政策は当初から中国をターゲットにしていましたが、それは単なる保護貿易主義によるのではなく、トランプが長年にわたって貫いてきた「貿易の公正さ」に対する強い信念の現れです。1980年代から、トランプはアメリカと他国、特に日本との貿易不均衡について懸念を表明してきました。大統領就任後のトランプはその焦点を中国に移し、中国が為替操作や知的財産の窃盗などによって、国際貿易秩序を著しく混乱させていると指摘してきました。トランプは関税の引き上げだけでなく、世界貿易機関（WTO）への提訴も通じて、中共の不公正な手法に挑戦しました。

　しかし、トランプの強硬策は単なる中共の経済行為への対抗手段というだけでなく、経済以外の面へも対抗する手段でもあるのです。（多くの人が大統領の行動を誤解し、「反中」だと考えています）トランプが反対しているのは中共の統治モデルであり、とくに世界的な政治的・経済的拡大に対する姿勢です。トランプの複数の内閣メンバーも繰り返し、「中国共産党は現在アメリカにとって最大の脅威であり、アメリカは自国の利益と国際秩序を守るために強硬な態度を取る必要がある」と述べています。

　TikTok、スパイ行為、パンデミック対策などの問題でも、なぜトランプが中国に対してこれほど強硬なのか理解できない人もいます。中共はTikTokなどのSNSを通じて有害な情報を拡散し、西側の人々を惑わせ、イデオロギーの対立を惹き起こしながら、アメリカ人の個人情報を盗んでいます。さらに、新型コロナウイルスの初期段階において、中共は効果的なウイルスの封じ込めに失敗したばかりか、世界中に情報を隠蔽して大きな健康危機をもたらしました。（感染拡大防止を謳っての）封鎖政策による国民の苦しみは計り知れず、中共がいかに強権で国民の声を封じているかを世界に見せつけました。

　また、中共はアメリカに対してもう一つ重大なダメージを与えています。それがフェンタニル※のアメリカ流入です。中共の管理下にある化学薬品の製造・密輸ネットワークにより、大量のフェンタニルがアメリカに流れ込み、アメリカの麻薬危機の主な原因となっています。この致死性の麻薬はすでに何千人ものアメリカの若者の命を奪いました。中共がこれらの違法活動を黙認して放任していることは、アメリカに経済的な損害を与えるだけでなく、アメリカの多くの家庭ににも計り知れない被害を与えています。

　※訳註：フェンタニルは主に鎮痛薬として使用される強力な合成ピペリジン系オピオイドである。ヘロインの50倍、モルヒネの100倍の効力を持つ。主な臨床用途は、がん患者や手術患者の術中・術後の疼痛管理であるが、比較的少量で過剰摂取を引き起こす可能性がある。医療用途ではなく麻薬として使用されアメリカの社会問題となっている。

　同時に、中共は国内外でスパイ工作を強化し、いわゆる「スパイ気球」によってアメリカの主権を侵害しています。これらの活動は偶然ではなく、あらゆる手段を用いて世界への支配力を強め、より大きな政治的・経済的利益を追求しようという、中共が一貫して行ってきた戦略の一部です。

　したがって、トランプの強硬な姿勢は中国国民に対する敵対ではなく、「中共」に対して明確に「ノー」を突き付けたものです。トランプは中共の本質を見抜いているのです。トランプの関税政策は、中共に対して「アメリカはもはや不公正な行為を容認しない」というメッセージを示しているのです。

　このトランプの政策により、すでに多くの人災を経験してきた中国国民がさらに苦しむことになるかもしれません。しかし、人類を苦しめてきたこの悪、中共を完全に放棄することによってのみ、中国は自由で繁栄した未来を手中にすることができるのです。