文／中国の大法弟子

　【明慧日本2025年5月21日】法輪功学習者の家庭では、1999年前後に生まれた多くの子どもたちが、今では立派な大人に成長しています。彼らは幼いころから大人たちの学ぶ大法の教えを聞き、大法の良さと迫害の実態を伝える資料や映像をよく見てきました。そして、大法の修煉の環境の中で自然とその影響を受け「真、善、忍」の価値観がしっかりと心に根づいていったのです。今では社会のさまざまな場面で、善良で他人のために考え、社会に貢献しています。ここでは、私の息子の浩（仮名）の生活や仕事にまつわるいくつかのエピソードをご紹介したいと思います。

　浩は現在、最高レベルの病院にある入院病棟で、専門修士課程の大学院生として規範化研修を受けています。幼いころから「明慧ネット」の物語に親しみ、時間のあるときには集団学法に連れて行ったり、勉強が忙しいときには、師父の新しい経文や同修の交流文章を読んであげたりしていました。浩は、人として善良であること、トラブルの前で我慢し、相手の立場に立って考えることの大切さを理解しています。これは彼自身にとっても、また周囲の人々にとってもプラスになっています。

　一、邪悪な中国共産党組織への加入を拒み、迫害の実態を伝える

　小学1年生のとき、浩は少年先鋒隊（中国共産党の子ども組織）への加入を拒否しました。2006年のある日、放課後に私は浩の担任先生に「浩は入隊しません」と伝えました。先生が「親の考えが子どもに影響しないように」と言うと、浩ははっきりとした態度で「僕は絶対に参加しません！」と大声で叫びました。先生はすぐに「わかった、わかった！」と答えました。多くの生徒や保護者が近くにいて、「信仰をもっている家庭かもしれないね」と話していました。浩の友達の何人かも「自分も赤いスカーフ（少年先鋒隊の象徴）をつけたくないけど、勇気がないんだ」と言っていました。

　高校に入ってからも、クラスで共青団（中共の予備組織）に入っていないのは浩だけでした。教師が彼の将来に悪影響が出るのではと心配して面談すると、浩は先生の心配を取り除くため「将来海外に行きたいんですが、共産党に入っていたら外国のグリーンカードはもらえません」と理由付け、理解してもらいました。

　同級生から「あなたはほんとに意気地（いきじ）があるね！　でも、どうして入らないの？」と聞かれると、浩は彼らに中共の法輪功への迫害や臓器狩りの実態を伝えました。その話を聞いた同級生らも仮名で共青団から脱退しました。

　2019年にコロナ（武漢肺炎）が流行した後、中国共産党は真実を語った医師たちを弾圧して、真相を隠そうとしました。浩が同級生とネットで会話していたとき、その同級生は悲しげに「僕たち、どんな国にいるんだろう？　本当のことも言えないなんて」とつぶやきました。別のネットユーザーが「20年前も同じだった」とコメントし、同級生が「20年前って何のこと？」と尋ねると、浩は「それは会ったときに話すよ。ここで話したらアカウントが消される」と言いました。

　浩は彼らの世代が知っておくべき内容をまとめてUSBにコピーし、会ったときにその同級生に渡しました。後に学校で行われた法輪功への誹謗中傷のネット署名に、彼は浩と同じく署名を拒否しました。

　大学時代には、もうひとつ不思議な出来事がありました。大学で共産党賛美の歌の合唱大会があり、各クラスから代表を出す必要がありました。浩のクラスは35人いて、34人が参加する必要があったため、誰が参加しないかをくじ引きで決めました。すると、くじに当たったのは浩でした。スマホには次々とクラスメートから「おめでとう！」のメッセージが届き、中には「出席するけど歌わないよ、形だけ」と話すクラスメートもいて、若者たちがいかに中国共産党の自己賛美イベントを嫌っているかがうかがえました。この出来事は、浩にとって、師父の守りを強く感じる体験となりました。

　二、仕事の中で、他人に善良な気持ちで接する

　浩は、師父の経文『なぜ人類が存在するのか』を読んで、人として善良であること、人を助けることの大切さを理解し、仕事の中でもそれを実践しています。大学院での実習中、消化器科に転科されました。ある日、胃痛を訴える女性患者が受診し、入院後に採血、心電図、心臓エコー、肝胆脾膵エコー、胃腸カメラなど一通りの検査を受けましたが、いずれも明確な異常は見つかりませんでした。通常の治療を行っても症状の改善が見られず、女性患者は不安を抱え、さらに食欲不振にもなっていきました。彼女は何度も浩に病状について質問しましたが、浩もすぐに答えられる内容ではありませんでした。

　そこで浩は、患者と一緒に主治医の先生のもとへ行き相談しました。その先生はちょうど彼女の胃カメラ検査を担当しており、彼女の病状をよく把握していました。先生は「更年期だから、家で自分で調整してください」とだけ答えましたが、患者はその説明に納得していない様子でした。後日、浩は患者と2人で時間をとり、検査項目ごとの意味や、それぞれの結果が何を示しているのかを丁寧に説明し、長く話をしました。すると彼女はずいぶん安心したようでした。退院が近づいたころには「次に再検査に来るときも、またあなたにお願いしたいわ。あなたは親切で、辛抱強く説明してくれて、とても分かりやすい」と言ってくれました。

　またある日、医師国家試験の願書を大学本部に提出する必要があり、手続きを終えたらそのまま帰宅するのが普通でした。当時浩は呼吸器科での実習中で、インフルエンザやコロナに感染した患者が多く、彼の周りの実習生も感染していました。先生は「君はしっかり体を守ってね。感染したら私の仕事を助けてくれる人がいなくなってしまうから」と言いました。

　願書を提出し終えた浩は、すぐにタクシーで病院に戻り、先生の仕事を手伝いました。家に帰ってきた後、私に「戻らなかったら先生があまりにも大変すぎる」と話しました。浩は普段も、自分の勤務終了時間に患者が来れば、しばらく残って交代の医師を助け、仕事を分担していました。こうした思いやりある行動が、周囲との関係をより良いものにしていったのです。

　もちろん、トラブルに遭うこともありますが、浩はいつも忍耐と思いやりでそれを乗り越えてきました。ある時、新しい科に配属され、担当医は彼が1年目の大学院生だと知ると、少し不満げに「これは割り当て？　それとも抽選？　どうして2年目じゃないんだ？　1年目の子に何ができるの？」と言いました。浩はその場ではとても気まずい思いをしました。確かに経験豊富な学生を望むのも理解できますが、すぐに学年を飛び越えるわけにもいきません。

　最初の週は患者数が少なかったため、担当医だけで対応が可能で、浩はほとんど何もさせてもらえず、ただ傍で座っているだけでした。しかし後日、他科の処置が関係する患者が来て、担当医がその手順に慣れていなかったため、ちょうど直前にその科を経験していた浩がすべての手順を説明し、関連資料も渡しました。担当医はとても喜び、それ以降は患者が増えて忙しくなると、浩にも仕事を任せるようになりました。担当医が不在になるときには病室を任されることもあり「早めに帰っていいよ」、「朝は遅れて来てもいいから」と気遣ってくれるようにもなりました。

　今の医療現場では、たとえ高い専門スキルを持っていても、わずかなミスで患者にクレームを入れられることもあります。そんな環境の中で、善良で他人のために考えることは、非常に大切なことなのです。

　三、大法の法理で全てを量るよう、いつも私に気づかせてくれる

　私は1998年に法輪大法の修煉を始めましたが、時にはなかなか難しい関を乗り越えられないこともあります。そんなとき、浩はよく私に「トラブルの中では大法の法理で物事を量るように」と注意を促してくれます。たとえば、私が夫と言い争っているとき、事実の正誤にこだわって高い次元から問題を見られなくなっていると、浩は「トラブルの中で前に出ようとせず、今日どこがうまくできなかったかを反省してみて」と声をかけてくれます。そして、「自分が正しいかどうかに関わらず、相手の気持ちを考え、自我を手放し、対立を激化させないこと。事実や理屈を争うよりも、忍耐と譲歩が大事だよ」と言ってくれます。私が気づいていなかったような些細な場面でも、浩は「今日、その関を乗り越えましたか？」と静かに問いかけてくるのです。

　毎年明慧ネットで行われる修煉体験の募集では、何年も書き続けていると「もう書くことなんてない」と感じてしまうことがあります。そんなときも浩は「修煉者は毎年、法理の理解や境地が変わっている。感じることも違ってくるはずだよ」と言ってくれます。それを聞いて納得し、改めて心の奥を探ってみると、新たな体験や気づきが見つかり、また文章を書くことができるのです。

　時折、浩の言葉に驚かされます。彼の中に大法の法理がすでに深く刻み込まれており、日々の出来事を常人を超えた基準で判断しているのだと感じます。師父の見守りのもと、大法という指針があり、善の種はすでに芽吹き、今まさに実を結びつつあるのです。