文／中国の大法弟子

【明慧日本2025年6月2日】(前文に続く)

　正しくない一念が大きなトラブルを引き起こす

　高齢者にとって、もっとも危険なことは転倒です。姑は90歳で、小脳が少し萎縮して足に力がなく、歩く時はふらふらして、ちょっとした不注意で転んでしまいます。姑が転ばないように、私は常に姑のそばにいて、夜は一緒に寝て、昼間はいつも姑が見える範囲内で家事をしています。さらに、動くと周囲が気づきやすいように、姑の靴に小さい鈴を縫い付けています。これだけ気をつけていても、姑は転んでいました。

　ある日の午後、14時半から私は換気扇の油汚れを掃除して、17時までも終わりませんでした。通常、毎日夕方17時から姑の夕食の準備を始めます。姑が便秘していたので、その時に牛乳、フルーツジュース、バナナを添えて出しました。姑は私がなかなか終わらないのを見て、16時過ぎに何回も台所の入り口に立って、「何をしていますか」と聞いてきて、私は「換気扇を掃除しています」と答えました。17時7分にようやく終わって、洗剤のにおいを消すために換気扇を回して、台所の作業台を片付けて、ミキサーでフルーツジュースを作ろうとしました。その時、リビングから「ドスン」という音がして、私と夫はリビングに駆けつけてみると、姑の上半身はカーテンに包まれながら床に倒れていました。

　姑は怒って、「早くジュースを作ってくれれば、こんなことには、ならなかったはずですよ」と言いました。姑はお腹が空いたので、自分でリビングの高いところに置かれているバナナを取ろうとして、仰向けになった時にバランスを崩し、本能的に体を横にして、ちょうど背後にカーテンがあったため、カーテンに包まれたのでした。そのため、頭は保護され、テレビ台の角や床のタイルには当たらずに済みましたが、尻が地面についた時に腰を打ってしまいました。

　翌朝、姑は腰痛で大変な状態でした。病院に連れて行き、X線検査を受けたところ、医師は腰に骨折が見られるが、それは新しいものか古いものかは判断できないと述べました。この事態に家族全員が騒いで、兄弟姉妹も姑の見舞いに駆けつけてきました。私は深く反省し、姑の世話を十分にしていなかったことを謝罪しました。兄弟姉妹たちは私に怒ることができないため、不満を全部姑に向けました。「ふだんから何もしないようにと言っていたのに、どうして自分でバナナを取りに行ったのですか、何かしたいなら、〇〇さん（私）に言えばいいだろう」と。彼らがそう言えば言うほど、私はますます心を痛めました。皆の言葉を聞いて姑は、きっと傷つくだろうと思ったからです。皆が帰った後、私は姑を椅子に座らせ、夫の前で「お母さん、面倒をしっかり見られなかったこと、本当に申し訳ないと思います。掃除が17時を超えてしまい、結局お母さんは、自分でバナナを取りに行くことになってしまいました。私がもっと早くジュースを作っていれば、こんなことにはなりませんでした」と謝罪しました。しかし、姑は怒って、「もうこれ以上言わないで」と私の言葉を遮りました。

　その後、ずっと自分の良くないところを探してみると、この一連の騒動は、私の正しくない一念が引き起こしたものだと分かりました。

　姑は私に「何をしていますか」と尋ねるのは、実は私に何かをやってほしいサインで、今までの会話はいつもそんなパターンでした。例えば、私は台所にいた時、姑が台所に近づいて「何をしていますか」と聞いて、私は「お母さん、今、鍋を洗っています。何か手伝うことはありますか」と聞き返し、次に姑は、本音を言います。「足浴して、足の爪を切りたいです。爪が長くなって足が痛いです」と。それで、私はすぐ手元にやっていることを止めて、まず姑のやりたいことを満足させます。

　あの日、姑は台所の入り口に立って私に「何をしていますか」と聞いたのは、昼食が美味しくないためあまり食べていなかったので、午後は早くお腹が空いてしまい、私に夕食を早く準備してほしいと思ったからです。私は姑が考えていることを全部分かっているにも関わらず、その時は高い場所の油汚れを掃除している最中で、椅子の上に立って、マスクと手袋もしていました。また台所は散乱して姑の要望をすぐに叶えられないので、心の中では姑に少し抵抗を覚えました。本来、掃除を一時中断して、すぐに姑の要望を聞くべきでしたが、あの日、私は姑の本音を知らないふりをして、「換気扇を掃除しているんです」と答えて、姑の気持ちを無視しました。姑は反応しない私を見て、怒りを感じて、自分でリビングのバナナを取りに行ったのです。ちょうどその時、換気扇を回したので、姑の靴に付けた鈴の音が聞こえなくなり、リビングでの姑の動きに私は気づかず、とうとう転倒事故が起きてしまいました。

　姑の腰の痛みは約1カ月半で治りました。その間、診察、相談、マッサージ、薬の購入、腰サポート商品の購入など、姑の世話をするために、大家族はできることをすべてやりました。親戚も見舞いに来てくれました。

　この事故は、私の闘争心が原因で、教訓は深刻なものでした。姑には本当に申し訳なく思っており、心性を守っていなかったことを後悔しています。修煉は厳粛なことで、努力を怠ったり、自分に対する要求を緩めたりすると、不必要に問題や困難を引き起こします。実は以前、毎朝起きたら最初に『轉法輪』の一節を暗記することは日課でした。「われわれ煉功者においては、トラブルが突然現われることがあります。その時、どのように対処すればよいでしょうか？　平素から慈悲に満ちた、和やかな心を保っていれば、問題が起きた時には、一息おいて余裕をもって、適切にその問題に対処することができるのです。日頃いつも慈悲の心を保ち、善をもって人に接し、何かをする時にはいつも他人のことを考え、問題が起きた時はいつも他人がそれに耐えられるかどうか、他人を傷つけることはないかを考えていれば、何の問題も起こりません。したがって、煉功にあたっては、高い、もっと高い基準で自分を律しなければなりません」。その部分は毎日も暗記していますが、行動に移しておらず、着実に修めていませんでした。

　（続く）

　（明慧ネット2025年世界法輪大法デーの入選文章）