文／中国の大法弟子　　

　【明慧日本2025年6月5日】母も私も法輪大法の修煉者で、これまでの約30年間、ともに修煉の道を歩んできました。世界法輪大法デーを迎えるにあたり、私たちの修煉中のささやかな体験を皆さんと分かち合いたいと思います。

　一、修煉との出会い

　私は中学生だった頃に母の導きによって大法を修煉し始め、母と一緒にグループ学法に参加したり、早朝の煉功に行ったり、古い学習者が組織した大規模な法を広めるイベントや、千人規模の法会に参加する機会にも恵まれました。当時の学法グループは数十人もいたのですが、後にいくつかの小グループに分かれて、順番を決めて『轉法輪』を一段落ずつ読んでいき、一講を学び終えてからそれぞれの修煉体験を語り合っていました。

　修煉を始めて間もない頃のある日、学法後の交流中に、見知らぬおばさんの心性の関を乗り越えた体験を聞くことができました。夫に理由もなく平手打ちされた彼女は、自分が修煉者であることを思い出し、夫と争わずに耐えただけでなく、自分のどこが悪かったのかを内に向けて探したそうです。当時の私は修煉を始めたばかりで、年齢も幼かったため、修煉の意味をまだ深く理解できていませんでした。でも、このおばさんの言動には感心させられました。理由もなく叩かれたのに相手を恨まず、逆に自身を省みるとは、「本当にすごいことだ。やはり普通の人とは違う！」と強く印象に残りました。

その後、学法の時間が増え、同修たちの体験交流を多く聞き、彼らの優しい言葉や行動に触れる中で、私は自分がどのようなグループに入ったかがようやく分かりました。それは「真・善・忍」の原則に従って、良い人、さらに良い人になろうとしている人々の集まりだったのです。

　修煉を始めた頃、私は修煉とは何か、どうやって修煉するのかを理解できず、本に書かれている深い法理もよく分かっておらず、「真・善・忍」という言葉を子どもの心でただシンプルに受け止めていました。3年生の最初の学期に、とても厳格な女性の幾何学の先生が新しく赴任してきました。ある日の授業中、その先生は規律を守り、おしゃべりしてはいけないと厳しく命じましたが、私は前の席のクラスメイトと問題を議論する様子が先生に見られ、教室の秩序を乱したと思われて、教室の前に立つように言われました。それは私にとってとても大きな屈辱でした。私は普段からまじめな生徒で成績も良く、そのような扱いをされたことはありませんでした。その日、私は立ったままその授業を受け終えた後、悲しくて大泣きしました。

　とても悔しかったのですが、先生を恨むことはしませんでした。「真・善・忍」を学んだ以上、善良であるべきで、人を恨むのは間違っていると思ったからです。当時の私は、修煉に対して、こうした表面的な理解と対応しかできませんでした。中学3年の1年間を通して、その幾何学の先生に対して、私は一度もマイナスな考えや恨みを持ったことはありませんでした。先生も次第に私が良い生徒だと気づき、優しく接してくれて、私たちの間には良好な関係が保たれていました。

　母の実家は仏教と縁が深く、祖母の幼い頃からすでに家族に仏教を信仰する年長者がいて、後に祖母も母も仏教を信じ、菜食もしていました。しかし、仏教を信じていても、母の心身には大きな変化はなく、体調も悪いままで、いつも薬に頼り、腎炎、メニエール症候群、重い心臓病も抱えていました。

　大法を修煉し始めて間もなく、母は健康が回復し、心臓病の薬をやめて腎炎も治り、毎日楽しく過ごすようになりました。その頃の母は三交代制で働いていて、以前は夜勤になるとよく持ち場からいなくなり、どこかで仮眠をとっていました。また、個人的な利益のために班長と衝突したこともありました。しかし、大法を修煉するようになってから、母は「真・善・忍」に従って行動すべきだと認識し、仕事に真面目に取り組み、周囲の人にも優しく接し、心から自分を変えようとしました。その結果、夜勤の際にも一切手を抜くことなく、コツコツと仕事に取り組むようになったのです。班長が夜勤の様子を確認しに来た際、母だけが当番していて、他の人は皆寝に行ったのが何度もありました。

　二、試練を乗り越え　信念を固める

　母と楽しく修煉していた中、1999年7月20日、江沢民による法輪功への迫害が突如として始まりました。一夜にして天地が覆され、私たちは言葉を失い呆然としました。政治運動など一度も経験したことがない私は恐怖心はあまりなく、ただ純粋な気持ちでこう不思議がっていました。「政府はなぜ法輪功を禁ずるの？　真・善・忍ってすごく良いのでは？　師父から教えられた人間としての道理は間違っていないよ。正しいことなのに、なぜ諦めなければいけないの？」と。

　迫害が始まったばかりの頃は、コミュニティの関係者や警察が頻繁に我が家を訪れ、母の身分証明書と法輪功の書籍を押収しました。ある日、コミュニティの主任2人がまた家にやって来て、母に「法輪功をもう修煉しない」という誓約書にサインさせようとしましたが、母が不在だったため、私に代筆を求めました。幼い私は修煉の厳粛さが分からず、とりあえずサインしてごまかそうと思い、ペンを取った瞬間、突然頭がクラクラして目まいがして、「サインしてはいけない」と悟り、その紙を破り捨てました。後日、偶然そのうちの1人の主任と出会ったのですが、「あの紙を破ったのは正解だった」と言いました。

　当時、母が修煉を諦めないため、警察は度々家や母の職場に来て嫌がらせをしました。母は何度も不当に拘留され、地元の派出所の「常連」となりました。ある年の元旦の前後だったと思いますが、私たちがまだ寝ている間に、数人の警官が塀を乗り越えて家（借家）に押し入り、母を強制連行して不当に拘束しました。

　母は「真・善・忍」に従って行動していたため、職場での評判は非常に良かったです。母から迫害の実態を聞いた上司は母の境遇に深く同情し、母が連行や拘束される度に釈放を求めていましたが、上層部からの圧力に耐えきれず、結局やむを得ず母を早期退職させました。もともと母の勤務先は業績が良く、各種の福利厚生も充実していましたが、早期退職を余儀なくされた後、月給が数百元に下がりました。

　その頃、父はすでに亡くなっており、私は高校生でした。母は私と視力を失った祖母を連れて借家で困窮した生活を送っていましたが、立ち退きが決まり、やっとの思いで補償として安置住宅が与えられて、私たちは喜んで引っ越しました。ところが、高校3年生の私が卒業を間近に控えた数カ月前、地元で大規模な学習者の一斉逮捕が行われ、一夜にして数千人が逮捕され、殴られて死亡・負傷した人も多数出ました。

　まさにその夜、警察が母を探して私たちの家にやって来ました。母が不在だったため、代わりに私が派出所へ連行され、取り調べを受けました。母が普段誰と連絡を取っているのか、家で煉功しているかなどを聞かれて、私は「学校に行っているので、何も知りません」と言って何とか切り抜けました。その後、警察は私に「煉功しない」という誓約書へのサインを求めましたが、私は拒否しました。彼らは何時間取り調べても何も聞き出せず、さらに深夜になっていたこともあり、ようやく私を釈放しました。

　その夜、私は家を出て母を探しに行き、そこから私たちの流浪生活が始まりました。後になって知ったのですが、私が釈放された翌日の夜、警察が再び家にやって来て、私を連行して復命しようとしていたそうです。幸い、私は早めに家を離れていました。

　それ以来、私たちは家に帰ることができず、親戚や友人の家を転々としながら身を寄せ、祖母の面倒もしばらくの間は親戚に頼むことになりました。警察が学校にまで押しかけてくるのではないかと恐れ、私はやむなく私立高校に転校しました。高3の1年間、迫害を逃れるために私は3度も転校し、最終的にその私立高校を卒業しました。

　あの数年間、私たちは中共による残酷な迫害のせいで家に住むこともできず、母が祖母と私を連れてあちこちを流浪しながら、貧しく苦しい生活を送っていました。私たちが何度引っ越したかも覚えていません。「家」という言葉に対して、私はもはや温もりや愛着といった感情を持っておらず、そこはただ寝るための場所で、自分はそこに一時的に身を置くだけの通りすがりの存在だと感じるようになりました。

　（続く）