文／海外の大法弟子

　【明慧日本2025年6月11日】私は大学2年生で、今年で法輪大法を修煉し始めて2年目になります。今日は、ここ数年で芸術における人工知能、そしてデザインの分野で経験したことや理解したことを、皆さんと分かち合いたいと思います。

　およそ半年前、ある出来事がきっかけで、自分の修煉と個人的な目標について本当に反省することがありました。私はある常人と知り合い、友達になりました。ある晩、私たちは電話で遅くまで語り合いました。話の中で現代芸術に対する見方について議論しましたが、彼は現代芸術を好まないという私の意見を尊重してくれて、それについては何も質問しませんでした。その後、彼は「あなたがグラフィックデザインの学生で、現代芸術が好きではないなら、AIはあなたの専攻にとって脅威だと思いますか？」と聞きました。私は「いいえ、そうは思いません。AIはただのツールです」と答えました。すると彼は、「でも、あなたはAIを訓練できるって知ってますか？　僕が見たAIアートは、かなり良かったよ」と言いました。

　その瞬間、私は戸惑いました。私は単にどう反応したらいいかわからないのではなく、恐れていたのです。以前、自分の意見を話した時、ある常人の反応が非常に否定的だった経験があり、また同じことが起こるのではないかと恐れていました。そのため、私は本当の気持ちを伝えず、その話題を避け、別の話にすり替えてしまいました。電話が終わった後、私はその場に座っていて、ぼんやりと考えていました。そして、この問題に対する自分の実際の考えや意見を彼に伝えなかった自分に少し失望しました。考えれば考えるほど、そうすべきではなかったと感じました。自分は修煉者で、会話をする前から相手の反応を（ネガティブだと）決めつけるのは、明らかに正しいやり方ではありません。私には「真・善・忍」が欠けています。これは修煉者のやり方に合わないので、それを改めなければならないと思いました。

　そこで、私は冷静に彼に謝罪のメッセージを送り、自分の考えを説明したうえで、彼の質問に答えました。翌朝、彼がこの問題を理性的に受け止めてくれたことを私はとてもうれしく思いました。その後、私たちは人工知能や芸術についてさらに深い対話を交わすことができ、さらには師父が美術について説かれた経文についても話し合いました。それは、あとで私が話したいと思っているテーマでもあります。

　今になって振り返ると、最初に迷った自分の気持ちは、修煉者としての視点ではなく、常人の考えから来ていたのだと気づきました。

　師父は「ですから、どんな状況においても修煉者の要求を基準にし、法をもってすべてを量るべきです。末後、法を正し人を救うというこの重要な歴史の時期において、現れたすべての問題に対していっそう、修煉者の自覚をもって対処すべきです。法を最優先にし、大法のプロジェクトをしっかり守ることによって、大法のプロジェクトが人を救うことの役割をしっかり果たすことを唯一の考えるべきこと、取り組むべきことにしなければなりません」と語られました。（『肝心な時に人の心を見極めている』）

　私はそれができていませんでした。私は依然として常人の考えでこのような状況を見ており、正念を持って対処するのではなく、最悪の結果を想定してしまったのです。

　反省してみると、自分の迷いは、安逸を求める心やトラブルを避けたいという執着から来ていたものだと気づきました。私は誤解されたり批判されたりするのを恐れ、真実を語るのではなく沈黙を選んでしまったのです。しかし、不快な状況から逃げるというのは、「真・善・忍」の原則に反する行為です。本当の「善」とは、他人に合わせることではなく、善良さを保ちながら「真」を貫くことだと思います。

　同時に、私は常人と無意識のうちに距離を取ってしまっていることにも気がつきました。私は現代テクノロジーや、自分の信仰に合わないと思う話題を避けていて、対立や誤解を恐れていました。しかしこの体験を通して、そういった会話を避けることによって、大切な機会を失ってしまうので、心の中で大法をもって彼らと接し、自分の認識を法に符合させ、それを通して大法の良さと迫害の実態を伝えるチャンスとして活かすべきだと分かりました。

　それ以来、私は自分の状態を改めようと努力し始め、そのおかげで、より多くの常人とつながることができました。驚いたことに、大法に関する話題もごく自然に触れるようになり、時には私が想像していたよりもずっとスムーズに進むことがありました。人々と接する中で、心性の試練もあります。時には「和やかな雰囲気を壊したくない」という執着が生まれ、「相手が不快になるのでは」と心配してしまい、大法について深入りした話を避けたくなることもありました。時々、私は自分が和気藹々の雰囲気を維持する執着があり、大法についてより深く話すことを避け、相手に不快感を与えることを恐れていることに気づきました。でも、「修煉者として、どんな結果になろうとも、大法の良さと迫害の実態を伝えるべきだ」と自分に言い聞かせました。一つひとつの出会いは、結果に執着することなく、純粋な心で使命を果たす学びの場なのです。今のところ、そうした関係はうまく続いていて、私は師父がくださったこの機会に心から感謝しています。この体験は、修煉するうえでも、芸術への理解の面でも、私を目覚めさせてくれました。

　このことから、私は芸術の本質やテクノロジー、そして自分の芸術を創作する目的について、また、それらがどのように私の修煉に融合していくのかを、ますます深く考えるようになりました。

　中学卒業の頃、私は精進している修煉者ではありませんでした。その頃、私はグラフィック＆デジタルデザインを学んでいました。しかし、授業内容、宿題、プロジェクトは想像以上に難しく感じました。周囲がすべて常人という環境に初めて足を踏み入れた私は、伝統芸術に対する限られた理解が、現代的な視点や抽象芸術によって大きく揺さぶられることになったのです。

　中学時代は伝統的な美術教育に慣れていたので、大学でより抽象的で現代的なアプローチを求められたとき、私は完全に戸惑いました。最初の学期、私たちは現代美術館を訪れ、そこで展示されている作品を短時間でスケッチしながら、その作品についての考察や感想を書き記すという課題が出されました。

　作品を見つめながら、私は頭の中が真っ白になっていました。自分が何を見ているのか理解できなかったのです。でも、周りの学生たちはそれらの作品を称賛し、「美しい」「深い」と口々に言っていました。私はただ立ち尽くし、彼らが見ている「何か」を見つけようと必死でした。そして「どこにそれを感じたのですか？」と尋ねると、誰かが「美は主観的なもので、人それぞれ。自分の目で見て、感じるしかないよ」と答えました。でも、もし私が「美しさを感じませんでした」と言うと、今度は批判されるのです。教授も「アートには正解も間違いもない。ただ自分の心の声を記録することが大切だ」と強調し、さらに、「アートとは本当の自分を表現するためのものだから」と理由を付けました。しかし、それは私をさらに混乱させました。

　宿題やプロジェクトはどちらも評価されます。もし正解や不正解が存在しないのであれば、評価されるのは私の「感じ方」だということになります。しかし、もし私の「感じ方」が正しくなければ、低い点数を取ってしまうかもしれません。では、どのような「正しさ」が本当に正しいのでしょうか？　そして、どのような「間違い」が本当に間違っているのでしょうか？　さらに、もし私の脳や心、体が本当の「私」ではないとしたら、私は「本当の自分」を表現するということがどういう意味なのか分かっているのでしょうか？　誰かに「あなたは誰ですか？」と聞かれたとき、私の直感は自分の名前を答えるかもしれません。しかし、それはただのラベルにすぎません。私は自分の名前でもなければ、自分の脳でも体でもありません。それらは私に属しているものですが、私そのものではないのです。では、私はいったい何を表現すればよいのでしょうか？

　もっと多くの議論や評論に触れるようになると、私は次第に周囲の意見に影響され、自分の信念を疑い始め、もともとの基盤からどんどん離れていきました。徐々に私は修煉においても怠惰になり、かつては明確だった善悪の基準を見失ってしまいました。そして次第に、私は競争心を持つようになり、成績や評価によって自分の価値を測るようになっていったのです。そうして、私は本来持つべきではなかった「技能」を身につけてしまいました。つまり、深く考えずに作品を作り、後から適当な意味をこじつけるというやり方です。

　私は次第に、常人の芸術観を弁護するようになり、それが大法に合っていると自分に言い聞かせました。しかし、実際にはそうではなかったのです。

　師父は「最初からこれらの作品は主たる念と正念が放棄されて作られたものであり、後天的な人間の観念が人間の四肢を指図した産物です。人間の主意識を放棄し、思うがままに表面の人間の観念を作用させてから、はじめてこのようなものを作ることができました」説かれました。（『音楽と美術創作研究会での説法』「美術創作研究会での説法」）

　ここまで読んで、私はようやく自分がなぜあれほど迷いを感じていたのかを分かってきました。初めて現代アートに触れたとき、私は無意識のうちに、自分の理解を大法に照らし合わせていたのです。だからこそ、私はそれらの作品に共鳴できなかったのです。しかし私は、それを自分の「強み」として認めることができず、むしろ見落としてしまっていました。自分の考え方が堅すぎるのではないか、時代遅れではないかと不安になっていたのです。そして、大法にかなったものを手放したことで、私は心性を下げ、それに伴って創作の質も落ちていきました。

　環境に溶け込むために、私は自分の主意識を自ら捨ててしまっていたのです。

　そして今、再び修煉者の視点から物事を見ようと試みると、私は改めて芸術の持つ影響力の大きさに気づかされました。芸術は人間の道徳を形づくり、またそれを映し出すものなのです。社会が混乱や歪みを「美」と見なすようになったとき、それは道徳の退廃の現れであり、人工知能が人間の入力や訓練を受けて創作するという現象も、そうした変化をそのまま反映しているにすぎません。AIには、本当の「魂の深み」を持った芸術を生み出すことはできないのです。なぜなら、真の芸術には創作者自身の内なる修煉が必要であり、それは機械には決して模倣できないものだからです。このことを理解することで、私はデザイナーとしての進むべき方向がより明確になり、自分の作品に意義を持たせ、そして真理とつながること、それが、ただ流行を追うのではないことに気づきました。

　また私は、美とは決して気まぐれなものではなく、客観的な原則に基づいたものであり、それはより高い真理に根ざしているということも、少しずつ実感してきました。伝統芸術には、道徳と精神的な基準がありますが、現代芸術は往々にしてそれを無視し、個人的な表現や主観的な解釈を重視します。そして現代の思考様式は、そうした基準を意図的に排除しようとする傾向があり、それによって価値観や美の基準が混乱してしまうのです。師父の経文を読んで、私は本当の「美」が「徳」や「正念」と一致するものであることを理解しました。これによって私は、現代芸術の影響力に対する自分の執着を認識させ、自分の作品をより伝統的な原則に沿うように啓発されました。

　これらすべてを振り返る中で、私は自分がしていることに対して、より深い使命感を持つようになりました。もう、迷いはありません。以前の私は、自分の進むべき道に迷いを感じ、自分の仕事に本当の意味があるのかどうか疑問に思うことがよくありました。しかし、自分の認識が大法に合うと、芸術自体に責任があることに気づき、この新しい視点が、私に情熱と力を与えてくれました。今、私は「自分の創作したものは、歪んだ価値観を正す力もあれば、正の要素を強める働きも持っている」と分かりました。それこそが、私の原動力となりました。私は学業においても、修煉においてもさらに向上し、自分の創る芸術に正念を込めたいのです。人工知能が自分の作品からインスピレーションを引き出すとしたら、少なくともプラスになるものを引き出すでしょう。

　同時に、グラフィックデザインの学生として、デザインが必ずしも伝統的な芸術形式と一致するわけではないことも理解しています。でも、それは私がこの分野を通して大法を広めたり、衆生を救ったりできないということにはなりません。そのためには、一番肝心なのは毎日しっかり学法をしなければなりません。しっかりとした土台がなければ、知らず知らずのうちに周囲の世界に影響され、思考がぶれてしまいます。現代社会は、善と悪、正と誤の境界をどんどん曖昧にしており、少し油断するだけで、その渦に巻き込まれてしまうのです。

　ここで、師父の説法を、皆さんと分かち合いたいと思います。

　師父は「このような芸術技能を持つ大法弟子には能力があり、エネルギーがあるため、皆さんが行なったことが正しくなければ、または十分正しくなければ、皆さんがその正しくない要素を強めてしまう恐れがあり、それによって人類社会に更に影響してしまいます。修煉なので、皆さんは本来自らを正し、良くない全てを取り除くべきです。皆さんはどこにおいても良い人になるべきなので、芸術という領域においても良い人になり、作品の中で美しいもの、正しいもの、純粋なもの、善なるものと光り輝くものを表現すべきです」と語られました。（『音楽と美術創作研究会での説法』「美術創作研究会での説法」）

　私はまだ修煉を始めて間もない学習者であり、学ぶべきこと、改めるべきところがたくさんあります。もし私の交流の中に大法にそぐわない部分があれば、ご指摘をお願いいたします。