　【明慧日本2025年6月18日】（明慧記者・瀋容・インタビューレポート）13歳で美容の世界に足を踏み入れた許喬盈さんは、現在75歳です。今も変わらぬ情熱で美容師として活躍しています。その熟練の技と安定した暮らしは、多くの人から羨ましがられますが、実際の人生は裏切りや破産、病との闘いといった数々の試練に満ちていました。一時は「40歳まで生きられないのでは」と思うほど、過酷な時期も経験しました。

　そんな彼女の運命を変えたのが、法輪大法との出会いでした。迷いや病に苦しむ日々から抜け出し、人生に再び光と希望を取り戻す転機となったのです。

　貧しさの中で育んだ志

　許さんは、台湾の嘉義の農村で7人きょうだいの9人家族として生まれ育ちました。両親は農業で生計を立てていましたが、生活は厳しく、子どもたちを学校に通わせる余裕はありませんでした。小学校を卒業する際、先生から「進学できないなら、手に職をつけなさい」と言われた言葉が、彼女の心に深く残りました。

　母親と先生の支えで美容の道に進んだ許さんは、見習いからスタートし、アシスタントを経て独立開業に至るまで、懸命に努力を重ねました。技術を磨き、常に誠実に仕事に向き合う姿勢は今も変わらず、70代半ばとなった現在も、自らの手でお客様を美しく仕上げています。その手には、長年の経験と、温かさと力強さが宿っています。

75歳の今も現役で働く許喬盈さん

　台湾の経済成長期、多くの若者が一攫千金を求めて裏の道に進む中でも、許さんが自分の信念を守り続けられたのは、母の教えがあったからです。　「うちは貧しくても、人としての誇りを忘れてはいけない」。幼いころから繰り返し聞かされたこの言葉が、彼女の生き方の基盤となりました。その誇りと母の励ましが、技術一つで一家を支える強さへと、彼女を育てたのです。

　苦しい人生、さらに過酷だった結婚生活

　長女として、両親の期待と家族の責任を一身に背負って育った許さんは、「母は高齢で体も弱かったので、何かあれば弟や妹たちはどうなるのか、いつも不安でした」と話しました。彼女は、13歳から働きづめの毎日を送ってきました。周囲からは華やかで忙しく見えても、その裏には計り知れない重圧があったのです。

　許さんは24歳で結婚しますが、それは地獄の始まりでした。夫は暴力的で、許さんが長年かけて貯めたお金をほとんど使い込んでしまいました。「口座にはたったの17元50角しか残っていませんでした。『これでどうやって暮らせというの？』と問い詰めたら、夫は逆上して家具をすべて壊しました」

　暴力と裏切りにさらされた彼女は、「あのころの私は、心を引き裂かれたようで、何度も死にたいと思いました」と深い絶望に沈みました。結婚生活はわずか1年ももたず破綻しました。シングルマザーとして取り残された彼女は「人生はなぜこんなにも辛く、苦しいのか？　私は本当に40歳まで生きられるのだろうか？」と人生の意味も、生きる希望も見失っていました。そんな不安が、常に心に重くのしかかっていたのです。

　暗闇の中に差し込んだ光

　2009年、南部の実家を訪れたことが、許さんの運命を大きく変えました。法輪大法を学んでいた弟が、姉たちに『轉法輪』の書籍と功法の教習ビデオを手渡し、その場で五式の煉功動作も教えてくれたのです。

　台北に戻った許さんは、それ以来、美容室で毎朝ビデオを見ながら煉功を始めました。客が来れば仕事をし、空いた時間には煉功や『轉法輪』の読書に励む日々でした。深い法理と師父の慈悲に心を打たれ、やがて彼女は師父の説法すべてを読み終えました。

　大法の学びを通じて、許さんは人生の意味に気づき、これまでの不幸も少しずつ受け入れられるようになっていきました。

　他人や運命を責めることはなくなり、「すべては自分の業を返す機会」として感謝する気持ちが芽生えたのです。「過去の苦しみを心から理解できるようになりました。もう誰かを責める気持ちはありません。今、私の心にあるのは師父への感謝だけです」

　修煉がもたらした心と体の変化

　修煉を始める前の許さんは、全身の痛みに悩まされ、日常生活すら困難な状態でした。「腕を上げるのもつらく、何年もリハビリに通いました。でも、時間もお金もかかるばかりで効果は感じられませんでした。頭、肩、関節、足、指までしびれと重さがあり、まるで血が通っていないような感覚でした」

　そのため、煉功の初期は耐えがたい痛みに襲われましたが、涙を流しながらも彼女はあきらめず続けました。学法と煉功を重ね、苦しみに耐える力を少しずつ培っていったのです。

座禅をする許喬盈さん

　やがて、身体に目に見える変化が現れました。長年悩まされていた便秘や顔色の悪さが改善し、体内の毒素が次第に排出されていきました。「煉功を始めたころは、汗や排泄物が強い悪臭を放っていました。師父が私の体を浄化してくださっていると実感しました。その後は体が軽く、すっきりとした感覚になりました」

　ある日、座禅中に背中を3回やさしく押されるような感覚があり、長年苦しんできた股関節の痛みが消えたといいます。また別の日には、黄色い煉功服を身にまとった師父が、遠くからゆっくり歩いてくる姿を見たそうです。しかし、よく見ようとした瞬間、その姿はふっと消えました。

　「座禅を終えたとき、手が涙で濡れているのに気づきました。師父が私の命を救ってくださったと、心から感じたのです」と許さんは語りました。

　本当の幸福は大法が与えてくれた

　かつて抱えていた不満や恨みは、修煉を通して少しずつ溶けていきました。許さんは「師父は、私の人生をまったく新しいものにしてくださいました。大法は、私の中にあった否定的な思考や悪い考えを、一つひとつ洗い流してくれたんです」と言いました。

　今では、許さんはもう「なぜ人生はこんなにつらいのか」と問うことはありません。「周りの人には、ひとり暮らしで寂しそうに見えるかもしれません。でも、本当の幸せは心の中にあります。私は、大法に出会えたことを心から幸せだと感じています。これからも、師父について修煉を続けていきたいと思っています」と話しました。