文／中国の大法弟子

　【明慧日本2025年6月23日】今年2月のある日、私はいつものように真相を伝えようと外出しました。あるバス停に着きましたが、そこは人通りが多く、多くの人々と接することができました。私はある年配の男性の傍に行き、優しく声をかけました。そして大法の素晴らしさや三退して身の安全を守ることについて話しました。私は話に夢中になっていて、周囲の状況に注意を払っていませんでした。

　すると、50歳前後の男性が近づいてきて「お前が何をしているか分かっている。お前が法輪功の学習者なのも知っている」と言いました。そして、私のバッグを調べ始めました。私が「私は良い人間です。悪いこともしていませんし、違法なこともしていません」と言うと逆上し、「良い人間？　何が良い人間だ！　法輪功は邪教だ（訳注：中国の法律では法輪功が邪教であるとは規定されておらず、故・江沢民による誹謗中傷である）、反党勢力だ！」と怒鳴り、師父をも罵りました。彼が師父を罵ったとき、私はとても悲しくなり、彼が大法や師父に対して罪を犯さないよう、彼の背後にある邪悪なものを解体するために正念を発しました。彼は私を派出所に連行しようとしていましたが、その道中でも罵り続けました。私は「それは中国共産党がやっていることであって、私の師父とは関係ありません」と言い、さらに強く正念を発し、師父のご加持をお願いしました。すると彼は黙り込み、最後に一言、「あなたは他の人とは違う」と言いました。

　派出所に着くと、彼（所長）は若い警官に私を監視させ、質問するように命じました。聞くところによると、彼はその警官を「鍛える」つもりだったようです。その若い警官は私の写真を撮ろうとしましたが、私は協力しませんでした。そして彼は、あの二つのUSBメモリと小冊子はどこから来たのか、そして15元の「真相紙幣（法輪功の情報が印刷してある紙幣）」についても聞きました。調書に署名するように言われましたが、私は署名しませんでした。

　私は終始、笑顔で彼らを自分の家族のように、親しみを込めて見ていました。彼らは師父の親族であり、つまり私の親族でもあるのです。しばらくすると、その若い警官は「帰っていい」と言い、「修煉したいなら家で練習して、明日の10時にまた来てください」と言いました。

　派出所を出ると気持ちが重くなり、「なぜ訳も分からず、またこんなに面倒なことに巻き込まれてしまったのか？　なぜよりによってお節介な派出所の所長に出くわしたのか？　なぜまた明日来いと言われたのか？」と頭の中は混乱し、どう整理すればよいか分かりませんでした。

　家に着いても頭の中は真っ白で、何も思い出せませんでした。全身が痛くてたまらず、苦しさと不安に襲われました。それでも私は、心の痛みや恨み、悲しみを必死にこらえながら、まずは書籍と資料をきちんと片付けました。

　まさに私が最も苦しく、最も助けを必要としていた時に、同修が訪ねてきました。私は感激のあまり涙があふれ、一瞬にして希望の光が見えた気がしました。同修は腰を下ろし、心を開いてやさしく私の執着を指摘し、「情にとらわれすぎている」と指摘してくれました。そうだ！　その言葉に私はハッと目が覚めたのです。私は正念を発し、発正念の時間も延ばし、内に向けて探しました。「情だけじゃない。恨む心、争う心があり、善が足りない、忍も足りない、さらには物質や人に対する欲望の心まで…軽いものではない」と気づきました。だからこそ、こんなにも大きな妨害と迫害を招いてしまったのです。私は少しずつ開かれていき、悟るようになりました。まるで夢から目覚めたかのようでした。自分がしっかり修煉できていなかったから、こんなに大きなトラブルを引き寄せてしまったのだと分かったのです。

　私は心を静め、自分自身を深く見つめ直しました。こんなに長年修煉しても、まだ怨恨心を修めきれていなかったのです。あの年、自分が5年6カ月の刑を受けたのも、まさにこの怨恨心と闘争心が原因でした。なのに、どうして私はそれを忘れてしまっていたのでしょうか？　なぜ手放せなかったのでしょうか？　さらにまた私は同修に対して差別心を持ち、情も深く、それは正常な関係を超えていたのです。毎日、師父の法を学んでいましたが、今日になって初めて、師父の法の本当の内包を悟ることができたのです。

　私は、これは邪悪な旧勢力が私の隙に付け入ったのだと気づきました。それらは私の執着心や色欲の心をつかみ、それを口実に私を押し落とし、修煉の道から引きずり下ろし、私を台無しにしようとしたのです。私は師父に、弟子の邪悪な霊体を取り除いてくださるよう、そしてすべての腐敗した物質も消してくださるようお願いしました。私は師父の写真の前に跪き、心から懺悔し、内省しました。内に向けて探したことによって、少しずつ心が落ち着いてきました。

　私は法を学び始めました。もう怨みも悔しさもありません。すべては自分がうまく修煉できなかったために招いた問題なのだと、心から受け入れられるようになりました。事が起きたからには、それを正面から受け止めるしかありません。恐れたり、恨んだりしても何の役にも立ちません。自分をしっかり修めると同時に、衆生を救う力も強めなければなりません。師父が私のために用意してくださった、向上の道をきちんと歩んでいこうと決意しました。「逃げてはいけない。彼らを恐れてはいけない。彼らと正面から向き合うべきなのだ」と思いました。私は大法弟子、舞台の主役を演じるのは私なのです。観念を根本から変え、彼らを救わなければなりません。私が迫害されるのではなく、私が彼らを救いに来たのです。善と慈悲をもって、すべての人と出来事に接し、あらゆる機会を利用して真相を伝え、衆生を救うのです。

　翌日、私は約束の時間に派出所に着きました。警官はまだ来ていなかったので、私は正念を発し、法を暗唱しました。恐れも不安もありませんでした。ただ善と平静さがあり、慈悲と威厳に満ちていました。大法が私に計り知れない力を与えて下さったのです。

　1時間ほど待っていると、ようやく警官がやってきました。私を見るなり、険しい顔で怒鳴りつけてきました。何かに苛立っているようで、「お前らのせいで俺たちは迷惑しているんだ」と、ひどい言葉で罵りました。私は慈悲の心をもって、笑顔で「怒らないでください。気持ちは分かります。あなたたちも本当はしたいわけではなく、上からの命令で仕方なくやっているのですね」と言いました。すると、彼の怒りは少し収まったようでした。そのとき、私は「もう以前のように彼らを恨んではいけない。彼らは私たちの衆生であり、救われるために来ているのだ。この関係は加害者と被害者の関係ではなく、救う側と救われる側の関係なのだ。もし私が、彼らに罵られたときに恨み返してしまえば、彼らはさらに大法を恨み、師父を恨み、大法弟子をより激しく迫害するようになってしまう。そうなれば彼ら自身の罪業もより重くなるのだ。だからこそ、私は慈悲と善をもって接し、彼らの本性と良知を呼び覚まさなければならず、法を実証し、彼らの大法弟子への態度を変えなければならない」とはっきり悟ったのです。

　そのあと、その警官は私に「まだ煉功しているのか？」と尋ねました。私は、「毎日坐禅しています」と答えました。彼は、「じゃあ、また数日後に来てください」と言いました。今回は、彼の態度が以前よりもやや穏やかになっており、感情的な衝突はありませんでした。私は、彼らの負の要素を刺激することなく、冷静に対応することができました。

　三度目に会ったのは、派出所の所長本人でした。すでに一度顔を合わせていたので、あの日のように荒々しい態度ではありませんでした。彼はまず、私にいくつかの質問をしてきました。私は用意していた、よく使われる法律条文や関連する司法解釈を見せました。彼が「これはどこで手に入れたのか？」と聞いたので、私は「百度で検索しました。あなたも調べればすぐに分かりますよ」と答えました。

　彼は、その条文を一つ一つ丁寧に訊問記録に書き始めました。私は、こう説明しました。

1、民政部の「法輪大法研究会の取り締まりに関する決定」は違法であり、法律ではありません。

2、公安部が出した「六条規定」は憲法違反であり、これも法律ではありません。

3、最高人民裁判所と最高人民検察庁には立法権がなく、法律の解釈権は全国人民代表大会常務委員会にあります。

4、信仰の自由は『憲法』に定められており、保障されています。

5、中国の現行法には、法輪功を学ぶことを違法と定めたものは一つもありません。

6、江沢民の個人的な発言は、法律ではありません。

7、「両高」（最高裁・最高検）の司法解釈には、「法輪功」という三文字は一度も登場しません。

8、公安部39号文書に列挙された14種の邪教の中に、法輪功の名前はありません。

9、国家新聞出版署の第50号令では、法輪功の書籍の出版権を正式に認めています。

　私は、ひたすら話し続けました。彼は質問のしようがなくなり、落ち着かない様子で席を立ったり座ったりし始めました。

　最後に、彼は私に署名を求めましたが、私は拒否しました。「署名は、あなたにとってよくないことです。あなたが法輪功を迫害した証拠になってしまいます。中国共産党は30年さかのぼって責任を問うとよく言いますが、それは罪をかぶせる相手を探すためなのです。証拠を残さないほうがいいですよ」。私は彼のことを思い、慈悲と善意の心で彼を説得しました。その「菩薩の心」が、彼の中にある善なる部分に触れ、心を動かしたのだと思います。彼はそれ以上、何も言いませんでした。

　とうとう、所長は私を出口まで見送りました。私は笑顔で「あなたはとても優しいですね。お友達になりませんか？」と言いました。彼は少し驚いた様子で、そして「今度あなたの家に行くよ」と言いました。私は半分冗談でこう返しました。「いいですよ、でもそのときは身分証明書を見せてもらいますよ。警察番号も見せてくださいね。何しに来たのか、誰に言われて来たのかも聞きますよ。それから、サインもしてもらいますからね」。彼も笑いました。そして「傘を持って、気をつけてお帰り下さい」と言って、私を外まで送ってくれました。

　一つの危機が、慈悲と善によって無事に解かれたのです。彼はそれ以上私を困らせることなく、今までのような家宅捜索、拘留あるいは司法・刑事による迫害などもありませんでした。彼は真相を理解し、私を解放してくれたばかりか、自らを救ったのです。私は心から師父に感謝し、大法に感謝しました。

　三度にわたる派出所への訪問は、三つの関門を突破する旅でもありました。最初は彼らを恨む心を抱いていた私が、やがて自分の内に向けて省みるようになり、恨みから慈悲へと変わっていきました。大きな善の心と大きな忍の心が生まれ、それは人間から神への歩み、心の昇華です。師が法を正すことを手伝い、法を実証するこの道の中で、大法弟子は舞台の主役としての役割を果たさなければなりません。審判を受けているのは私たちではなく、私たちが彼らを救っているのです。私たちは「受け身」ではなく「能動的」に、争いを和に変えるべきです。彼らの問いかけに従い、引き回されてはなりません。決して邪悪に協力するようなことをしてはなりません。

　これから私は、もっと法を学び、しっかりと法を学び、さらに多く正念を発します。着実に修煉し、表面上ではなく、大法から授かった智慧と能力を用いて三つのことをしっかり行い、自分の命をもって交わした神聖な誓約を果たし、より多くの衆生を救い、師父と共に故郷へ帰ります。