文／フランスの大法弟子

　【明慧日本2025年7月9日】2025年1月1日朝7時、スーツケースを引きながら慌ただしく家を出て、駅へと向かいました。私にとってこの日は特別な日です。新年の始まりとともに、神韻の巡回公演が始まるのです。今回の参加は初めてではありませんが、再び加われることに深い喜びと光栄を感じています。

　私は劇場で「天梯書店」のスタッフとして、多言語版の『轉法輪』や『法輪功』、フランス語版の『新経文』など、大法の書籍を観客に紹介・販売する役割を任されました。

　この活動を始めた当初は、「自分にこの重要な役目が務まるだろうか」と不安でした。毎日『轉法輪』を学んではいても、人にその良さを伝えるのは簡単ではありません。何人かの同修に相談すると、皆が親切に紹介文を教えてくれて、とても助かりました。

　私はもともと明るく社交的な性格なので、観客との距離を縮める工夫も自然にできました。たとえば、まず笑顔で「神韻は初めてですか？　どこでお知りになったんですか？」と声をかけ、そこから自然に書籍の紹介へつなげていきます。

　フランス語にはまだ自信がないため、紹介の前に同修からもらった文章を読み返したり、暗記したりします。準備をしておくと、実際の会話もスムーズに運び、反応も良くなります。

　具体的には、こんなふうに話しかけます。

　「この本、ご存じですか？」

　「50以上の言語に翻訳され、世界中で読まれているんですよ。私自身にも大きな影響を与えてくれました」

　「人生の疑問や悩みの答えが、この本には詰まっています。本好きな方なら、ぜひ手に取ってみてください」

　「『法輪功』は『法輪大法』とも呼ばれ、その主要な著作が『轉法輪』です。中にこんなことが書かれています。

　人々はなぜこの世に生まれてきたのか？

　自分の使命とは何か？

　人はなぜ病気になるのか？

　なぜ自分に意地悪な人もいれば、親切にしてくれる人もいるのか？

　他の空間は存在するのか？　目に見えないからといって、存在しないとは限りません。　

　こうした話題は、多くの人の関心を引きます。「この本を読むと、良くない考え方を正すことができます。人々はよくマイナス的な思考に陥りがちですよね」と伝えると、よく共感されます。特にフランスの方々からは「確かに、ネガティブ思考が多いですからね」と返ってくることもあります。

　相手の理解が深そうな場合は、さらに踏み込んで説明します。「『轉法輪』は、生命の起源や宇宙の本質、苦しみや喜びの意味、宇宙の根本原理、そして人間と宇宙の関係についても述べられています。さらに、修煉によって道を得る方法も書かれており、読むことで智慧が開かれていきます」

　書籍を紹介する際は、まず法輪功のチラシを手渡し、「これは気功の一種です」と説明します。「気功って何ですか？」と聞かれた場合には、「ヨガや太極拳に似ていますが、もっと次元の高い修煉法です。本を通して詳しく学べます」と補足します。

　中には、気功を実践している方や興味を持っている方もいて、本を買うか迷っている場合にはこう伝えます。「世の中には多くの気功がありますが、法輪大法はその中でも最も古く、奥深いものの一つです。ぜひ一度、どんなものか触れてみてください」と話すと、多くの方が興味を持って本を購入し、中には友人へのプレゼント用にもう一冊買う方もいます。

　また、時にはこう提案することもあります。「もしお子さんがいらっしゃるなら、この本を読ませてあげてください。今の時代、メディアやSNSにはさまざまな情報が溢れ、子どもの心身に悪影響を与えることもあります。この本は、そのような環境から子どもたちを守り、正しい価値観を育む助けになります。親として、子どもに良い道を歩んでほしいと思いませんか？」という話に共感して、家族のために本を買ってくれる方もいました。

　ある日、一人の男性に「読書はお好きですか？」と尋ねると、「好きじゃない」と即答されました。隣にいた同修はすかさず「そういう聞き方はよくないよ」と注意しましたが、私は気にせず会話を続けました。「人それぞれですよね。お金があれば旅行に行く人もいれば、宝石や車、舞台鑑賞に使う人もいます。あなたも今日は神韻を観に来られたのですから、きっと感性が豊かな方なんですね」と語り、さらに、「私も昔は読書が苦手でした。でもこの本は本当に特別で、私の人生を変えてくれました。以前はすぐに怒っていたのに、今ではずいぶん穏やかになりました」と自分の体験を話しました。そして、チラシに書かれていた「真・善・忍」の三文字を指し、「この言葉が私の心を変えてくれたんです。不思議な力があります。この本は値段ではなく、『価値』があるんです」と伝えました。最終的にその男性は本を購入し、笑顔で神韻の会場へと向かっていきました。

　その後、私は先ほどの同修に少しきつい口調で「私たちが出会う人は、皆、何かしらの縁があって出会っていると思うの。『読書が好きじゃない』からといって、本を買わないとは限らない。同じ言葉でも、誰がどう話すかで伝わり方はまったく違うし、お互いのやり方を尊重することも大事じゃない？」と言ってしまいました。

　中国の同修が書いた修煉体験談に、特に印象に残っているエピソードがあります。ある日、この同修が法輪大法の素晴らしさや迫害の実態を伝えていたところ、相手が実は私服警察官で、「お前を逮捕するために来た」と告げられました。彼女は落ち着いて、「あなたは優しそうなお顔ですね。きっと善良な方でしょう。どうかそんなことはなさらないで。あなた自身のためにも良くないことです」と語りかけたそうです。その言葉に警官は心を動かされ、彼女を見逃しました。後日、彼女の妹が偶然同じ警察官に出会い、まったく同じ言葉を繰り返したところ、今度は派出所に連行されてしまいました。幸い、間もなく考えを改め、同修たちの助けもあり無事に釈放されたそうです。

　この話から私は、「修煉とは、人をまねするのではなく、心で修めることだ」と深く感じました。

　ある日、また前述の同修から「観客に『業力』という言葉は使わない方がいい」と忠告されました。一瞬、「またダメ出し？」と戸惑い、内心では「なぜ私のやり方にいちいち文句を言うの？」と苛立ちも覚えました。実は彼女は、その場の会話の流れを聞いていなかったのです。その日の公演後、宿泊先に向かう途中、彼女がふと子どものようにふざけた顔をしてみせました。その瞬間、「これは旧勢力が私たちの関係を壊そうとして仕掛けてきたのでは」と気づき、自分が心性を保てなかったことを深く反省しました。

　私はビジネス専攻で、高級商品の営業や広報を担当してきました。どんな相手にも笑顔で接し、「ここに来てよかった」と思ってもらえるよう心がけてきました。それなのに、なぜ今、最も尊い大法の書籍を紹介する場で、同修の一言に傷つき、心を乱してしまったのか？　「私は修煉者のはずなのに。毎日法を学んでいても、心で実行していなければ意味がないではないか。私の慈悲心はどこに行ったのだろう」と思うと、恥ずかしくてたまりませんでした。

　「なぜこんなに気になるのか？　なぜ重く感じるのか？」と自分に問いかけるうちに、原因が見えてきました。それは「人に指摘されたくない心」、そして「勝ち気な心、プライド、同修を見下す心」でした。自分にはまだ多くの執着心が残っていたことに気づかされました。

　私の愚痴を聞き、修煉していない娘が「それって、お母さんを成長させるために起きたんじゃない？」と言いました。私はハッとし、「これは師父が娘の口を借りて私に悟らせようとしておられるんだ」と理解しました。「そうだ、これからはもっと自分に厳しくし、『人に指摘されたくない心』をしっかり取り除こう」と決意しました。

　神韻公演の劇場が満席になっている光景を見るたびに、私は感動して涙がこぼれます。師父が衆生にこの舞台を観る機会を与えてくださったことに、心から感謝の念が湧いてきます。そして、観客の皆さんが偏見なく純粋な心で神韻を受け取り、すべての命が救われますようにと願っています。

　今年フランスで行われた神韻の88公演では、各地の同修の協力により1万枚の大法のチラシが配布され、2500冊以上の各国語版大法書籍が販売されました。中でも、フランス語版の書籍が多くを占めました。来年も全公演が満席となり、さらに多くの縁のある人々が大法の書籍を手にしてくれることを願っています。

　私はまだ未熟で、さらなる精進と実践が必要です。特にこの歴史的に重要な時期において、「三つのこと」をしっかり行い、史前の誓いを果たし、師父に従って最後の道を着実に歩んでいきたいと思います。

　師父、ありがとうございます！

　同修の皆さん、ありがとうございます！