文／ウクライナの大法弟子

　【明慧日本2025年7月14日】昨日、明慧の文章を読んでいたとき、偶然その隣に載っていた「天目で見た光景　茫々たる苦海」という文章のタイトルが目に留まり、興味を惹かれて開いてみました。これは実は3年前の文章でしたが、全く印象に残っていませんでした。

　読み進めていくうちに、ある部分が心に深く突き刺さりました。「その海を渡れる大法弟子は必ず清純で、心から純粋でなければなりません。色欲と情欲が少しでも除去できていなければ、海水に侵食され、渡り船と一緒に海底に沈み、二度と生まれ変わることはできません」。この言葉を読み終えたとき、私は大きな衝撃を受けました。

　この文章をきっかけに、私がこれまで色欲の心を取り除いてきた経験を思い起こしました。師父はこうおっしゃっています。「以前、もし出家人がこの方面で戒律を破ったら、もう修煉できなくなります。どの神が弟子を連れて山で修煉する場合でも、誰かがこの間違いを起こしたら、永遠にだめになります」（『各地での説法十』「マンハッタン説法」）。「永遠にだめになります」師父のこの言葉は重い鉄槌のように、私の思考の奥深くを強く打ちました。これまで何度もこの法を読み返してきました。

　私が色欲の心に対して重く受け止めるようになったのは、十数年前、嫁いだ後に起きたある出来事がきっかけでした。

　ある日、法を広める活動に参加した際に妨害があり、夫が私の状態がおかしいと言ってきました。そのとき、彼が心を刺すような一言を言い、私は傷ついて、思わずミネラルウォーターのボトルを手に取り、彼に投げつけ、さらに思い切り夫を蹴ってしまいました。しかし夫は心性を守り、一切反論せず、全てを黙って受けとめてくれました。その夜、私は夢の中で「色欲関」を越え、楼閣の上に無数の蛇がいる光景を見て、飛び起きました。ふと隣を見ると、夫が痙攣していて、歯を食いしばり、大汗をかいていました。私は慌てて彼を引き起こし、硬直した手を開かせて立掌し、正念を発しました。彼にも一字一句正念の口訣を唱えさせ、師父の写真を手に取り、心の中で師父に救いを求めました。「師父、私は昼間、間違いました。怒るべきではなかったし、師父の弟子である夫に物を投げつけるなんて、絶対にしてはいけませんでした」

　師父のご加護により、夫はすぐに意識を取り戻しました。その日、私は誓いました。「自分を必ず変えます」。この出来事は、私に深い教訓を与えました。怒りや憤りは色欲を強めるのだと。また、大法弟子が修煉をうまくできていないと、他の修煉者を危険にさらしてしまう可能性があることも知りました。このことを私はしっかりと心に刻みました。

　後に、同修の交流文章「歴史の空：色欲の執着心を取り除く」を読みました。彼が色欲を断ち切った方法は「法を暗唱する」ことでした。色欲の念が浮かぶたびに、師父の法を繰り返し暗唱するのです。「欲も色もみな人間の執着心で、それらはみな取り除かなければなりません」（『轉法輪』）。何度も繰り返し暗唱し、それでもまだ念が浮かんでくる場合は、さらに暗唱を続け、心が水のように静まるまでやり続けるのです。同修のこの交流は本当に私の助けになりました。

　私たちは海の上の島に住んでおり、夏になると住民や観光客は肌を多く露出した服装で海岸をそぞろ歩き、海辺で遊んでいます。そうした場所で真相資料を配るとき、私はまだ「見て見ないふりをする」ことができず、心の中で師父の法を繰り返し暗唱しています。私は、救い済度の過程で正念を発したいと思っているからです。夜家に帰ると、「法輪大法は素晴らしい」と紙に何度も書き、心を集中させて、師父の説法を繰り返し黙読します。「欲も色もみな人間の執着心で、それらはみな取り除かなければなりません」。心が清らかになるまで、意識がはっきりするまで続けます。

　同修から「あなたは情が深い」と何度も指摘されたこともあります。そこで、外出時や感情が揺れるときには心の中で師父の法を暗唱します。「情から抜け出すことができれば、誰もあなたを動揺させることができず、常人の心があなたを動かすことは不可能となります。それに取って代わるものは慈悲の心であり、より高尚なものです」（『轉法輪』）。私の記憶では、ある年の一年間、私は「情」と「色心」を断ち切ることに集中して修煉していました。私の主意識が眠っている時に、色魔に隙を突かれないように、寝る前には目を開けて意識をはっきり保ち、色魔を睨みつけて、法を正す口訣を唱えるか、色心に向かって「お前は死ね」と念じました。「大法弟子の身体は、お前が好き勝手に妨害できるものではない」。その後、夢で大きな池の中にたくさんのピンク色の大きな魚がいて、全部死んでいるのを見ました。つまり、自分から「情」を修めたことで、その次元に存在していた情欲の物質が本当に死んだのです。

　このように長年、法を繰り返し暗唱し続けています。法を暗唱することは正念を強め、小さな出来事の中にもそれが表れてくるのです。

　ある日、夫の弟の家に行ったときのことです。西洋人の礼儀として、会ったときにハグしたり軽くキスしたりします。長年その土地の風習に従ってきたとはいえ、心の中ではやはり慣れませんでした。その日は道中ずっと法を暗唱していました。夫の弟の家に着くと、彼は私が入ってきたのを見て、すぐに立ち上がり、両手を差し出して挨拶しようとしました。その瞬間、私は心の奥から一念を発しました。「そこに座って、動かないで！」。すると、まったく予兆もなく、夫の弟は急に席に座り直し、何が起こったのか分からず戸惑った表情を浮かべていました。私自身も、無意識に発した一念がこんなにも実際の効果を生むとは思ってもいませんでした。

　法をよく暗唱できているとき、師父は必ず励ましてくださいます。たとえば、夢で師父や神韻の同修たちと一緒にヘリコプターに乗って飛んでいたり、自分が金の鎧をまとい、紫金の冠をかぶり、金色の星の上に立って、凶暴な黒い熊と戦い、それを一蹴で蹴とばす場面を見たり、あるいは、建物がすべて白玉でできており、その横に「大清」と書かれた大きな旗が立っているのを見たりします。

　しかし、常人社会の中で修煉する以上、必ず試練があり、誘惑もあります。私はメディアの仕事をしており、常にインターネット上で情報を検索したり使用する素材（訳注：画像やイラストなど）を探したりしています。

　ある時、新唐人テレビのエンタメ番組を見ていて、韓国のある男性スター（世間で言う「高身長・イケメン・お金持ち」タイプ）がインタビューを受けているのを目にしました。私はつい何度か彼を見てしまい、自然と彼が出演した作品なども調べました。しかしすぐに、それが色心（色欲）であることに気づき、急いで止めました。その晩の夢で、私は宝剣を手に黄色い大蛇を追いかけていました。夢の中で突然目覚め、心の中で驚きました。「私はただ、少し見ただけだったのに、その数秒の色欲の念が、別の空間ではこんなにも大きく表れるとは…」と思い、背筋が寒くなりました。

　テレビや動画を見たくなる時には、自分にこう言い聞かせます。師父はおっしゃいました。「大法弟子は師が衆生を救うことを手伝うという責任を持って世に降りた神であり、下界の衆生を救い済度する責任があるのです」（『各地での説法十四』「二〇一六年ニューヨーク法会での説法」）。師父は大法弟子を神の位置にまで引き上げてくださっています。私はもう常人と同じではありません。自分をただの人間として扱ってはいけないのです。ときには、色欲の誘惑がとても強く、頭の中がある芸能人の姿でいっぱいになることもあります。そんなときは、その芸能人の写真を見ながら心の中でこう語りかけます。「あなたが美しいのは、前世の福分の賜物です。それはあなたの幸運で、私も嬉しく思います。でも、あなたは修煉をしていない。そのわずかな福分も、すぐに消えてしまいます。表面の皮をはがせば、ただの血と肉の塊にすぎません。私が見たいと思う“美”とは、実はたいしたことではないのです」。正念を発すると、色念はすぐに鎮まります。そうして修煉を続けているうちに、再び同じ芸能人の写真を見ても、心がとても遠く、冷静になっていることに気づきました。

　ある日、師父のお言葉を思い出しました。「しかし酒の場合は、やめてから再び飲んではいけません」（『轉法輪』）。この言葉で、常人の好みや習慣を断ち切ったら、もう二度とそれを繰り返してはならないと理解しました。それは衆生の安全のため、宇宙の正しい要素に対して責任を持つことなのです。これこそが師父がおっしゃる「戒（いましめ）」なのだと。この「戒」の本当の意味を理解してからは、私は動画にまったく興味を持たなくなりました。以前はなかなか断ち切れなかった執着も、驚くほど簡単に手放せたのです。

　あのとき、あの層の物質を取り除いてくださったのは、慈悲深い師父だったと私は分かっています。ときどき私は神韻の公式サイトにアクセスして、神韻のスターたちが舞踊の練習について語る体験談を読みます。彼らが苦労を乗り越え、心を修めてきた物語は、いつも私に大きな励ましを与えてくれます。

　私は、心の奥底でずっと、修煉者として、大法の本を開くとき、自分が向き合っているのは大法によって成り立っている幾重にも重なり合ったの佛・道・神なのだと信じてきました。だからこそ、私は清らかな眼差しと心で法を見つめ、師父の無限の慈悲に心からの敬意を抱かなければならないと思っています。天目でそれをはっきり見られなくても、私はそう信じてきました。私は普段から意識して色心を取り除こうとしていますが、それでもときどき、思考の中に色欲的なイメージが浮かぶことがあり、そのたびに苦しんでいました。なぜどうしても完全には取り除けないのだろう、と。

　今年2月のある学法中に、師父の以下の法に出会いました。「以前皆さんに教えたのですが、すべての字の背後に幾重にも重なり合った佛、道、神がいます。師父がすべてのものをこの法の中に詰め込んだという言葉を皆さんは理解することができません。皆さんは現在、人間の考えでこの言葉を理解することができません」（『各地での説法九』「二〇〇九年大ニューヨーク国際法会での説法」）。

　この一節を読んだとき、私の思考が一気に開かれました。私が見ている大法の本の一文字一文字の背後には佛・道・神が存在している。私が唱える「真・善・忍」の三文字は、宇宙の大穹を創造できる力を持っている。私が煉功をしているこの身体は、将来小さな世界を形成し、師父がくださった無数の要素を宿し、元嬰、嬰孩や神聖な生命体を次々と生み出す．．．ああ、この身体はなんと神聖なのだろう！　そのとき、頭から足までを貫く衝撃が一気に走り抜けました。その瞬間、私は心の底からはっきりと理解しました。「私」はもう普通の人間ではない。この身体はもはや私一人のものではなく、天国世界の衆生のために存在しているのです。すべては、師父が弟子たちのために慈悲をもって演化してくださったものなのです。

　この法の力により、完全には消えていなかった色心が、根本から解体されました。その速さに私は驚かされました。そしてそれ以降、第二式功法を1時間、ほぼ毎日欠かさず、心から進んで行うようになりました。

　また、この法を通じて、私は「紂王が淫詩を書いて国を滅ぼした※」ことについて、新たな理解を得ました。神は人を創造しました。だから、地上の人間は常に、自分の命の源を忘れず、神に対して無限の敬意を持たねばなりません。それは、子どもが自然と両親に感謝するようなものです。命の由来を忘れてはならないのです。

　※訳注：紂王は酒池肉林で知られる殷の第30代（最後の）王。周の武王に滅ぼされた。ある日、宰相からの奏上で女媧（じょか）の参拝に赴く。その際、美しい姿の女媧の聖像を見た紂王は心を奪われ淫心を起した。まわりの制止もふりきり廟の壁に不敬な詩を書き付けた。女媧は怒り、妲己を筆頭とする三匹の妖怪に命じ、王朝交代を手助けするよう命じた。最後に紂王は周軍に追い詰められ、妲己の死を知り茫然自失となり、さらに自らの悪行により命を落とした人々の怨魂に責めたてられた。結果、紂王は火を放たせた鹿台に身を投じ、商王朝は幕を下ろす。

　色欲を取り除かなければ、嫉妬、争い、怒り、憎しみが生じます。嫉妬を取り除かなければ、色欲、貪欲、怒り、憎しみが強まります。これらの心はまるで群れをなしていて、時には勢いを増し、時には単独で現れ、非常に混乱を招きます。あなたはそれらを取り除いたと思っても、嫉妬、恨み、貪欲、怒り、不平等から再び欲が生じるとは思わないでしょう。したがって、色欲を根本的に取り除くには、やはる普段からしっかりと心を修めることです。わずかな考えでもそれを捉え、取り除きます。しばらく続けると、心を修めて執着を除くことは、「一石二鳥」、いや「一石四鳥」のような驚くべき効果を生むのだということに気づくでしょう。