文／オーストリアの大法弟子

　【明慧日本2025年7月15日】

　敬愛なる師父、こんにちは。

　同修の皆さん、こんにちは。

　中国共産党による新たな迫害運動、いわゆる「越境弾圧」が、2024年の夏に広く知られるようになりました。私はこの出来事を通じて、法を正す時期がすでに最後の段階に入ったと感じています。

　すでに2024年6月5日、師父は経文『法難』でこのように説かれました。「実は法難は地域の違いによって終了するということはありません。表れ方が違うだけです。法難の中で最後に残る生命と淘汰される生命を選択しているだけで、大法弟子の中で合格できる人とそうでない人も選択しています」

　この一節を読んで、私は少なからず恐れを感じました。というのも、自分の修煉の状態を振り返ってみると、「三つのこと」の各方面で、私が本来できる、あるいはすべきだと自分で思っていた水準には到底達していなかったからです。この言葉はまさに雷のように私を打ち、深く目を覚まさせてくれました。今、私にとって最も重要なのは、その足りない部分をいかにして補い、追いついていくかということだと強く感じました。

　2024年8月、私は神韻の新しい公演シーズンに向けた準備を始め、チラシや小冊子など、さまざまな宣伝資料の制作に取り組みました。今振り返ると、私ははっきりと感じていました。より多くの時間を衆生を救うことに費やすほど、自分の意識が鮮明になり、人としての執着も自然と手放しやすくなっていくのです。その過程で私は、自分が法を正す進程に遅れていることに気づきました。それを取り戻そうと、詳細な部分を学び直す必要を感じましたが、それは非常に大きなプレッシャーとなり、重くのしかかってきました。まるで、通常以上の努力が求められているかのようでした。

　でも私はわかっています。この重さは、私が責任を負っている衆生の苦しみから来ているのです。その衆生たちは救われるのを待っていますが、私が行動していないために、自らの位置を正しく定めることができず、旧勢力の迫害の中で苦しみ続けているのです。

　真相を伝えることによって、衆生の業力を利用して妨害している邪悪な要素を取り除くことができると私は理解しています。だからこそ、私は必ず法を正す進程に追いつかなければならないのです。

　自分を徹底的に変える

　今年は、2017年以来初めて、ウィーンで再び神韻の公演が開催できる年となりました。私たちがオーストリアで神韻のチケットを販売していた初期に使っていたような、ショッピングセンターなどの場所で再び販売ブースを設けると、さまざまな記憶が一気に蘇ってきました。あの頃のチケット販売は本当に大変でした。家のことを整え、当時まだ幼かった息子の世話をしながら販売に立つというのは、本当に大変なことでした。販売ブースに立ち、通行人と話をするだけでも、心には多くの恐怖と困難がありました。私の記憶の中で最も適切な表現は「まるでミンチ機にかけられたような感じ」でした。

　それらの思い出に加えて、当時の個人修煉の中でぶつかった大きな妨害も思い起こされました。その中には、すでに根本的に取り除かれたものもありますが、まだ残っているものもあります。たとえば、食べ物に対する執着、それによる体重の増加、あるいは煉功中の身体の痛みに耐えられないことなどです。こうした問題は、まさに私の心を突くものでした。というのも、私は師父の経文『法難』を読んだあと、こうした修煉の中での不足を真正面から見つめ直そうと決めていたからです。それはちょうど新年を迎える少し前のことでした。この1年における師父の説法と、法を正す進程を踏まえ、私は新たな年において、これらの執着を取り除くために実際の行動に移すと決心しました。

　それで、私は内に向かって探し始めました。私は何をどうすればよいのか？　問題の本質はどこにあるのか？　自分は何を見落としていたのか？　チームでの学法の時間に、私は『轉法輪』の中の以下の一節に啓示を受けました。「ここに坐っているからといって、あなたが修煉者だというわけではありません。植えつけてあげることができるのはあなたの考え方が根本的に変わった時です。しかもこれくらいにとどまりません。いったいわたしがどれくらいのものを皆さんに与えたのか、いずれ皆さんもお分かりになると思います」

　私はこのとき、はっきりと分かりました。私がこれらの不足を取り除けないのは、自分の心の深い部分で、それらに対してまだ執着していたからなのです。つまり、自分でそれらの問題を「解決しよう」としていたのです。しかし問題の本質は、「問題を解決すること」ではなく、「自分を徹底的に変えること」だったのです。人としての思考パターンが、今の自分を形成し、そこに私自身を閉じ込めていたのです。私は本当の自分になる必要があり、より正確に言えば、「人間的思考パターン」を根本から手放さなければならないということです。そこで私は、多くの後天的観念を放下しようと決心しました。

　これまで私は利己的であることとは、ある物事をどうしても欲しいと執着することだと思っていました。まるで、わがままな子どもが何かを譲らない姿のように。しかし今、私は理解しました。この層次において「利己的」とは、自分の観念・執着・感情・情に基づいて、すべてに「私」の烙印を押してしまうことなのです。あるいは、自分で作り上げた「自分像」を守るという行為でもあります。この人生で私が演じているのは、あくまでも因縁によって定められた一つの役割にすぎず、その役割と私の真の自己とは本質的に無関係です。こうした行動様式を明確に見抜き、それを放下できない限り、私は決して本当の意味で変わることができず、真の自分に立ち返ることもできないのです。

　恐怖心を放下できるかどうかの試練

　ニューヨーク・タイムズによる否定的な報道は、次第に大きな波紋を広げ、スイスやドイツの複数のメディアにも悪影響を及ぼしました。これは、ウィーンでの神韻チケット販売にとって、非常に厳しい時期となり、緊張と重圧をもたらしました。ある日、公演の1週間ほど前のことです。私はチケット販売ブースから車で帰る途中、見知らぬ番号からの電話を受けました。通常、私はこのような知らない番号からの電話をとても恐れていて、すぐには出られません。でもその時は、なぜか迷わず電話を取りました。

　電話の相手は、オーストリアの大手新聞社の女性記者でした。彼女はとても丁寧に、オーストリアでの神韻公演、そして主催団体であるオーストリア法輪大法協会について、いろいろと質問してきました。私は、中国における迫害の経緯や、中国共産党がなぜ法輪功を迫害し、なぜ神韻を妨害しようとするのかを丁寧に説明しました。また、生体臓器摘出の事実や、法輪功の修煉の意味についても話しました。

　彼女はいくつかの話に驚いた様子で、私は彼女が少しは理解してくれたのではないかと感じました。話の終盤、彼女はニューヨーク・タイムズが神韻について書いた批判的な記事について、私がどう思うかを尋ねました。その瞬間、私は喉が締めつけられるように詰まり、胃のあたりにズンと重い衝撃を感じました。それでも必死に冷静さを保とうと努め、私は次のように伝えました。「私は長年にわたり神韻をオーストリアに紹介する活動に関わってきました。アーティストたちと直接接してきた経験から、あのような指摘には到底同意できません。私は、あれは中国共産党がニューヨーク・タイムズを利用して、神韻と法輪大法を悪意を持って中傷した結果だと思います」

　彼女は感謝の言葉を述べて電話を切ろうとしました。そのとき私は咄嗟に、「よろしければメールアドレスを教えていただけませんか？　後ほど詳細をお送りします」と頼みました。彼女は快く教えてくれ、それで通話は終了しました。

　車はすでに自宅前に到着していましたが、私はしばらく車内にとどまり続けました。次々と考えが浮かんできて、彼女は私に何を尋ねたのか？　私は本当に的確に答えられただろうか？　もしかすると、私は無防備すぎて、話しすぎてしまったのでは？　その時から、心の中に恐怖がどんどん広がり始めたのです。もし、彼女が非常に否定的な記事を書いたらどうしよう？　それが全部、自分のせいだったらどうする？　あまりにも怖くなって、「彼女から電話があったことは、誰にも話さないほうがいいかもしれない」とまで一瞬思ってしまったほどです。

　けれども、その恐怖の思いが完全に消えないうちに、私の頭の中にもうひとつの声が聞こえてきました。「そうだね、もし彼女が記事を書いたら、君は『そんなの知らない』って言えばいいんじゃない？」と。その瞬間、私はハッとしました。自分の中のこの恐怖心が、なんと無意味なものだったのかに気づいたのです。私は思わず笑ってしまいました。自分自身にも、そしてこの恐怖の念にも。一体何をそんなに怖れる必要があるのでしょうか？　私は、自分の知っていること、信じていることを、心を込めて正直に伝えたのです。彼女が物事を正しく捉えてくれるよう願って話し、それがすべてなのです。誠実に物事に向き合うこと、それだけが正しい道だと思います。そうして私は車を車庫に入れ、家に入り、夫にその出来事を話しました。夜になって私はもう一度落ち着いて座り、他の同修と交流したあと、その記者の女性に感謝の気持ちと追加の情報を込めたメールを書きました。

　数日後、彼女から返事が届き、「メールをありがとう」と伝えてきました。その後は特に連絡はありませんでした。私たちは、「きっともう記事にはならないだろう」と思っていました。ところが、公演の前日、彼女から再びメールが届きました。内容は「少しの間バカンスに行っていて、今戻ってきた。記事を発表する予定だ」というものでした。しかしこの時の私は、もはや不確かさや恐怖に心を支配されることはありませんでした。私の中にはただ、「衆生を救いたい」という思いだけがありました。仮に彼女が否定的な記事を書いたとしても、私たちの正念の場が、衆生が害されることを決して許さないと信じていました。私は心の底から、彼女が正しい位置に立ち、美しい未来を得られることを願いました。そしてその日、彼女の記事が発表されました。そこには、神韻と法輪大法に関する多くの紹介が含まれていました。ニューヨーク・タイムズによる否定的な報道にも触れてはいましたが、同時に主催側がその内容を否定していることにもきちんと言及していました。

　公演が始まりました。現実には、まださまざまな課題が目の前にあります。しかし私は、衆生を救うことに意識を集中させ、自我の入り込む余地を与えないように努めています。この激しい嵐の中でも、私は平静を保ち、心を動かされずにいられました。確かに、少し疲れました。でも、手放したのは、そもそも持つべきではなかったものばかりだったのです。

　尊敬する師父に心から感謝いたします。そして共に歩む同修たちにも、深く感謝いたします。

　（2025年オーストリア法輪大法修煉体験交流会発表原稿より）