　【明慧日本2025年7月18日】（英国＝明慧記者）英国法輪大法学会は7月15日、ロンドンの国会議事堂でシンポジウムを開催し、「中国における信仰の自由と中共による激化する越境弾圧」の問題に焦点を当てた。

　シンポジウムは、英国議会「超党派信教と信仰の自由に関する議員連盟」の共同創設者であり副議長、また「人権合同委員会」の議長でもある上院議員リバプールのアルトン卿が主催した。中国共産党（以下、中共）による法輪功への迫害は26年にわたって続いており、中国国内では法輪功学習者が今なお拘禁され、拷問や殺害の被害を受けている。また、海外においても、ここ数年で中共の弾圧行為は着実にエスカレートしている。

　元保守党党首のイアン・ダンカン・スミス卿下院議員、メアリー・マリー議員国際人権弁護士のデービッド・マタス博士がシンポジウムで発言した。

　出席者には、英国上院議員のキングス・ヒースのハント卿も含まれており、同議員は英国議会で最も早く中共の生体臓器収奪の問題に注目した政治家の1人である。また、英国信教の自由特使であるデービッド・スミス議員も出席した。

　2人の法輪功学習者は、自身が中共による海外での越境嫌がらせを受けた体験を語り、強い共感を呼んだ。シンポジウムでは、英国政府に対し、中共による人権問題の国際的な拡張に真剣に向き合い、具体的な対策を講じるよう呼びかけた。

　会場は熱気に包まれ、満席となった。国際中国語ペンクラブ会長の馬建氏も会場を訪れ、支持を表明した。来場者が予想を上回ったため、主催者は急遽別室に分会場を設け、来賓の受け入れを行った。

7月15日、英国議会議事堂内で開催された「中国における信仰の自由と中共による激化する越境弾圧」に関するシンポジウム

シンポジウムの分会場

　司会を務めるアルトン卿「法輪功は深刻な迫害を受けている」

シンポジウムの司会を務めるアルトン卿

　「あらゆる迫害の中で、法輪功が受けている迫害はおそらく最も深刻であり、とりわけ強制的な臓器摘出は最も衝撃的である」とアルトン卿は話す。

　アルトン卿は2024年3月以降、神韻芸術団および法輪功学習者が世界中で150件を超える暴力的脅迫を受けており、その内容は爆弾、銃撃、性的暴行を含むものであると明らかにした。複数の脅迫は中国のIPアドレスに起因し、その一部は中共と関係するファーウェイ研究所と関連している。またアルトン卿は、中共がスパイの浸透、ネット上の誹謗中傷、世論操作などの手段を通じて、国際的に法輪功を孤立させていることを指摘した。『ニューヨーク・タイムズ』に掲載された誹謗報道の背後にいる「内部告発者」は、中共の公安関係者であるとされている。

　英国では、今年すでに3つの劇場が神韻の公演に対して爆弾脅迫を受けており、メールの内容には「公演を中止しなければ爆弾を爆発させる」と明言されていた。

　アルトン卿は明かした。英国議会の「人権合同委員会」は7月16日に『越境弾圧報告書』を発表するかどうかを決定する予定であり、アルトン卿はこの報告書が無事に承認されることを望んでいる。この報告書は両院合同委員会によるもので、発表はまず下院で行われ、政府に対応を求めることになる。政府が対応を表明すれば、両院で議論が行われる。「これは今日私たちが議論した多くの内容が、正式に議会の議論の場に持ち込まれる可能性があるということを意味する」とアルトン卿は語った。

　国際人権弁護士「越境弾圧の脅威を正視する」

国際人権弁護士のデービッド・マタス博士

　国際人権弁護士デービッド・マタス博士は『ニューヨーク・タイムズ』を例に挙げ、中共による生体臓器収奪の証拠報道を拒否し、代わりに神韻を中傷する記事を掲載して中共の世論攻勢に加担していると批判した。さらに爆弾脅迫などの要因も重なり、北米の複数の劇場が神韻の公演を中止している。

　マタス博士はこれらのメディアの行為について独立した調査を行い、監督機構を導入するよう呼びかけている。また、脅迫行為については法に基づき刑事責任を追及すべきだとしている。

　マタス博士は、「幸いなことに、英国上院はこの問題に関してより多くの行動を起こし、関連法案の推進を進めている」と述べた。マタス博士はさらに、国際社会は「越境弾圧」の脅威を正視しなければならず、G7諸国はすでにこの問題に対応し、透明性・説明責任・ネット監視体制の推進を進めていると述べた。

　マタス博士は、各国政府・学術界・メディアが連携して専制体制の干渉に立ち向かい、人権と言論の自由を守り、中共による越境弾圧の世界的な拡大を防ぐよう呼びかけた。

　マタス博士はさらに、ある重要な事例について特に言及した。2008年、ロシアのある地方裁判所が法輪功を「過激な組織」と認定したが、この判決は最終的にロシア最高裁まで上訴され、最高裁は地方裁判所の判断を覆し、ロシア政府の対応が『欧州人権条約』に違反していると裁定した。この判決は、非常に重要な国際的判例である。

　メアリー・マリー議員「私たちは自由、公正、そして人間の尊厳の側に立つことを選ぶ」

メアリー・マリー議員

　メアリー・マリー議員は、2022年に英国が『健康・ケア法案』を改正することを推進し、英国市民が海外での違法な臓器移植に関与することを明確に禁止した。この改正では特に中国を念頭に置いており、『ヒト組織法』が初めて国外での行為にも適用されることとなった。これにより、英国人が非倫理的な提供元からの臓器を合法的に受けることはできなくなる。

　また同議員は、『医薬品・医療機器法案』の改正にも関与し、ヒト組織の使用に関するインフォームド・コンセント（事前同意）と追跡可能性の強化を推進した。これにより、違法に取得された臓器が英国の医薬品供給網に流入することを防ぐ狙いがある。

　同議員はシンポジウムの中で次のように述べた。「英国はこれまでも人間の尊厳と法の支配の灯台であり続けてきました。私たちは加害者に対して責任を問うために、ターゲットを絞った制裁や公の場での非難など、力強い手段を講じる必要があります。そして、私たちの外交や経済貿易の協力が人権侵害の上に成り立つことがあってはなりません」

　「歴史はいつか問いかけるでしょう。私たちは勇気をもって声を上げ、正義を守り抜いたのかと。その問いに対する私たちの答えは、揺るぎない『はい』でなければなりません。たとえ最も暗い時代にあっても、私たちは自由、公正、そして人間の尊厳の側に立つことを選ぶのです」

　イアン・ダンカン・スミス卿「家族や友人、地域の人々にも真実を伝え、ともに声を上げよう」

イアン・ダンカン・スミス卿

　イアン・ダンカン・スミス卿は、中共が在外公館や統一戦線システムを通じて、法輪功をはじめとする信仰団体に対するグローバルな越境弾圧を行っていることを明らかにした。スミス卿は複数の証人証言を引用し、こうした弾圧はもはや中国国内にとどまらず、マレーシア、ロシア、ポーランド、そして英国にまで広がっていると指摘した。

　スミス卿はこう述べた。「英国政府は明確な立場を示さなければなりません。民族虐殺を行い、強制労働を課し、全世界で越境弾圧を行っているような政権に、これ以上の活動の余地を与えることなど、断じて容認できないのです」

　スミス卿は国民にこう呼びかけた。「今すぐ議員に手紙を書きましょう。家族や友人、地域の人々にも真実を伝え、ともに声を上げよう。さもなければ、私たちは自由社会が沈黙のうちに外来の専制によって少しずつ侵食されていく様を目の当たりにすることになるだろう」

　ハント卿「発言は人々に警鐘を鳴らしている」

キングス・ヒースのハント卿

　ハント卿はこう述べた。「今日の発言はとても感動的であり、また警鐘を鳴らすものです。現在、中国だけでなく世界中で複数の専制政権が深刻な人権侵害を行っており、こうした議論が行われる意義がまさにここにあります。皆さんが多くの人々にこれらの強いメッセージを届けてくださったことに心から感謝します」

　議会議事堂広場での迫害の実態を伝え　議員が署名で法輪功を支持

英国議会議事堂広場で迫害の実態を伝える法輪功学習者

　議会でシンポジウムが開催された当日、法輪功学習者は議会議事堂広場で法輪功を紹介し、中共による法輪功への迫害を伝え、多くの通行人が足を止めて理解を深めた。

「皆さんの活動はとても素晴らしいです」と話すメアリー・マリー議員

　シンポジウム終了後、メアリー・マリー議員は議会議事堂を出て、法輪功のブースを訪れ、署名で支持を表明した。同議員は学習者に「皆さんの活動は本当に素晴らしいです」と称賛の言葉を贈った。

　あるベトナム出身の法輪功学習者が、マリー議員に自身の修煉体験を語った。修煉する前は重度の湿疹、うつ、頭痛に苦しみ、ほとんど自立した生活ができなかったという。しかし、法輪大法を修煉したことで健康を取り戻し、家庭を支えられるようになり、国家の医療資源も節約できたと感謝の気持ちを込めて語った。「この素晴らしさをもっと多くの人に伝えたいんです」と話す彼女に、マリー議員は「本当に素晴らしいことをしていますね！」と応じた。

　マンチェスター出身の農場主エドワード・ベンソン氏は敬意を表しながらこう述べた。「信仰のために真実を貫く皆さんの姿勢に、心から敬服しています」。ベンソン氏は、中共が海外で異議者を弾圧する行為に強く反対し、特に中共のマンチェスター領事館が香港の抗議者に対して行った暴力を厳しく非難した。

「信仰の自由は誰もが持つべき権利です」と話すフランスからの旅行客カトリーヌさん

　フランスからの旅行客カトリーヌさんは、ためらうことなく署名した。そして「真・善・忍は、この世界にとって本当に必要な価値観です。信仰の自由はすべての人に与えられるべきものですし、善意と助け合いこそが人間社会の土台です」と話した。