文／アメリカの大法弟子

　【明慧日本2025年7月20日】自分では、海外に来て何年も経つので「党文化」はほとんど抜けたと思っていました。他の同修を見て「この人は党文化が強い」と感じることもあり、自分は大丈夫だと思い込んでいたのです。しかし、実際はそうではありませんでした。

　たとえば昨年6月ごろ、私が働く店にメキシコ系の男性スタッフが新しく入りました。彼は映画好きだと言っていたので、私は「干浄世界（クリーンワールド）」という動画サイトを紹介し、宣伝カードも渡しました。彼はとても喜び、当初は良い雰囲気でした。人手も増えて仕事が少し楽になるかと思っていました。

　ところが彼は非常に怠け者でした。皆が忙しく働く中、お客さんと長々と雑談し、手伝おうとしません。休憩室ではゴミを散らかし、飲み物をこぼしてもそのまま放置したり、トイレを使っても流さなかったりすることがありました。レジ業務でも計算ミスが多く、何度教えてもすぐに間違えます。注意すると逆ギレされ、他のスタッフも皆、彼にストレスを感じていました。マネージャーはそれに気づいていないのか、彼にレジをさせない代わりに私たちにどんどん仕事を回すようになりました。

　私も不満と怒り、嫉妬心で心が乱れ、彼の後始末をするたびにイライラしました。彼が何度も同じ質問をしてくるたびに「子どもだと思おう。子どもには忍耐が必要だ」と自分に言い聞かせ、「私は修煉者なのだから善良で忍耐強くあらねば」と戒めました。

　ある日、彼がカウンターを散らかしたまま無言で帰ってしまったのを、私はレジから見ていました。皆が怒っている中、私もつい一緒になって陰口を言ってしまいました。そのときマネージャーがやってきて「どうしてこんなに散らかってるの？」と聞いてきたのですが、私は黙ってやり過ごそうとしました。すると女性同僚が「彼女が知ってますよ」と私に責任を押し付けてきたのです。私は慌てて「ちょっと他に用があって」とその場を離れました。

　後になって、自分がなぜ責任を押し付けられたのかを考えました。それは、「自分は悪者になりたくない」という自己防衛心があり、マネージャーには他の人が言えばいいと思っていたからです。さらには、「彼の問題をもっと皆に見せつければいい」とさえ思っていました。これは善の心ではなく、人の不幸を喜ぶような、嫉妬やねたみの心でした。

　また、「なぜマネージャーは彼の問題に気づかないのか？」という不公平感にもとらわれていました。実はこれも、『轉法輪』に書かれている「平等主義」という党文化の考えに染まっていたからです。「同じ給料なのに、なぜ怠け者が堂々としているのか？　なぜ私たちだけがフォローしなければならないのか？」と不満を感じていたのです。

　私はそのうえ、口を修めず常人と一緒に陰口を言ってしまいましたが、それでもなお、自分の中の党文化的なゆがんだ観念を本気で取り除こうとはしていませんでした。

　たしか昨年12月のことでした。私はついに、その同僚に対する我慢の限界を迎えました。彼がハンガーを乱暴に私の後ろに放り投げ、それを私が拾って片付ける羽目になったのです。私はレジで忙しかったにもかかわらず、何度もそれを繰り返されました。その日だけで3回、手に持ったハンガーを棚に叩きつけたくなる衝動に駆られましたが、何とかこらえました。

　その夜、眉間に小さな吹き出物ができました。最初は気にせず「すぐ治るだろう」と思っていましたが、翌朝には腫れ上がり、触れると痛むほどでした。仕事には行ったものの、まだ深刻には受け止めていませんでした。

　その週の金曜・土曜はちょうど連休で、神韻のプロモーション活動に参加していました。帽子をかぶっていたため腫れは目立たず、気にせずチラシを配りました。しかし日曜の朝、起きて鏡を見て驚きました。吹き出物は顔全体、特に片目が腫れ上がるほど悪化していたのです。「これはもう出勤できない」と判断し、会社に連絡して休みをもらいました。

　そのとき、ようやく私は気づきました。あの同僚に対する「怒り」と「恨み」の心こそが、すべての原因だったのです。それまで私はその感情を軽視し、まるで修煉者とは思えない行動をしていました。常人と同じように物事を判断し、振る舞っていたのです。

　私は以前、彼に「干浄世界（クリーンワールド）」の動画サイトを紹介したとき、「いずれ彼の救いになれば」と思っていました。けれど実際には、心の中で彼に対する嫌悪や敵意を抱き、見下していたのです。口には出さなくても、私の中の「不善」の場は彼に伝わっていたはずです。彼は常人であり、確かに多くの悪い習慣を持っていました。でも、私は自分の基準で彼を裁いてはならなかったのです。むしろ彼の問題行動は、私自身の心性を高めるために現れたものだったのではないでしょうか。もし私の中に怒りや恨み、見下す心、不満や妬みがなければ、こうした出来事に出会うことはなかったはずです。

　私は師父が『轉法輪』で説かれた「一挙四得」の法理を思い出し、「むしろ、彼に感謝すべきだったのだ」と気づきました。その瞬間、心の中の怒りがすっと消え、心の底から彼に「ありがとう」と伝えたい気持ちが湧いてきました。

　顔の腫れで仕事は休みましたが、帽子とサングラスで隠して、他の同修たちと神韻のポスター貼りに出かけました。すると、普段なら掲示を断られるようなお店にも、次々と貼らせてもらえるという予想外の成果がありました。

　それ以降、私はその同僚を見ても嫌悪感を抱かなくなり、常に穏やかで善意ある気持ちで接することができるようになりました。そしてまもなく、彼は仕事を辞めていきました。

　その出来事とは別に、数カ月前、仕事から帰宅した際、家の前で同修でもある大家さんに会いました。彼女は「またゴミ箱の横の段ボールが畳まれていない。何度も皆にお願いしてるのに。主人は以前、それを片付けようとして腕を痛めたことがあるの」と言いました。そのとき、私はすぐに「私じゃないですよ。私はいつもちゃんと畳んでます」と答えてしまいました。

　その瞬間、「ああ、これも党文化的な思考習慣だ」と気づきました。問題が起きると、まず責任を否定し、自分は関係ないと距離を取る。その反応こそが、修煉者らしくないものでした。本来であれば、「なぜこの出来事に出会ったのか？　自分のどの心が刺激されたのか？」と、まず内に向かって探すべきでした。それに、「誰かがやるべきことをしていなかったとき、自分はなぜ黙って補わなかったのか？」とも反省しました。実際、出勤前や帰宅時、段ボールが畳まれていないのを何度も見かけていました。そのたびに「やってあげたほうがいいかも」と思いながらも、「今は急いでいるから」、「疲れてるから」と理由をつけて放置していたのです。そして結局、大家さんがやることになっていました。そのうえ私は、心の中で「誰それは本当に自分勝手だ」「何度言ってもできないなんて、子どもじゃないんだから」と人を責めていました。

　このように、私の中にはまだ深く党文化の観念が根を張っていて、問題が起きたときに内に向かって探すのではなく、すぐに他人の非を責め、自分を正当化しようとする傾向が残っていました。自分でも気づかないうちに、党文化に基づいたゆがんだ善悪の基準で物事を判断していたのです。

　今では、「明慧ラジオ」の「党文化を取り除く」シリーズをよく聞くようになり、多くの気づきを得ています。

　以上が、私の修煉における体験と認識です。何か不適切な点がありましたら、どうか同修の皆さんからご指摘いただければ幸いです。