　【明慧日本 2025年7月28日】米国の大手シンクタンク・ハドソン研究所宗教自由センターのニーナ・シェイ上級研究員が5月、フロリダ国際大学発行の雑誌『アジェンダ』第11号に評論記事を発表した。記事は中共による法輪功をはじめとする「五毒」への越境迫害を詳述（しょうじゅつ：詳しく述べる）し、米国政府に包括的な対応を求めている。

　迫害から逃れても続く弾圧

　シェイ氏は記事で、法輪功学習者・陳縈さんの事例を紹介している。陳縈さんの家族は1999年当時、中国国家フィルハーモニー管弦楽団の音楽家であったが、中共が法輪功を禁止すると労働教養所で電気棒による拷問を受けた。20年前に米国に逃れ、ニューヨーク州で神韻芸術団の設立を支援した陳縈さんは、現在米国市民として指揮者を務めているが、今なお中共からの嫌がらせを受けていると記事で述べている。

　記事によると、中共は法輪功、チベット仏教徒、ウイグル族のムスリム、中国の民主活動家、台湾独立支持者を「五毒」と呼び、世界規模で弾圧している。シェイ氏は、これがサイバー攻撃に限定されず、北京が指揮・資金提供する工作員ネットワークが米国内で活動し、宗教と言論の自由を脅かしていると指摘している。

　中共のスパイは20年間米国で活動してきた。議会報告書によれば、2022年にFBIがニューヨークのチャイナタウンで発見した中共の「海外警察」についても言及。国家安全部と公安部による組織的な活動の実態を説明している。

　記事では複数の法的事例を挙げている。「海外警察」に関与したとして起訴された盧建旺が、2015年に中共総領事館と協力してワシントンでの法輪功抗議活動を妨害したケースや、昨年11月に禁固刑を受けた陳金平が神韻の免税資格剥奪を図った事件などを詳述している。

　神韻に対する嫌がらせについて、シェイ氏は巡回公演中のバス破損、舞台装置破壊、会場への圧力、殺害予告、爆破予告などが継続的に行われていると報告している。

　記事では2022年の林啓明による暴力計画事件、2023年の40人起訴事件、コロンビア大学元客員研究員の王樹軍スパイ事件なども紹介している。また、法輪功、ウイグル族、香港民主活動家らがワシントンのナショナル・モールでも監視されていると述べている。

　シェイ氏は、現在の米国政府による個別起訴だけでは不十分だと主張している。記事は連邦省庁間作業部会の設置を提言し、国家安全保障会議、国務省、財務省、国土安全保障省が司法省を支援して、華系米国人の憲法上の権利を外国勢力から保護すべきだと訴えている。