文／米国の大法弟子

　【明慧日本2025年8月6日】近年、特にコロナ大流行以降、ソーシャルメディア上にはさまざまな予言が溢れるように漏れ出しました。予言者は英国、米国、日本、インド、東南アジアなど、諸族各地に分居し、古代の宗教的背景を持つ者もいれば、現代的宗教を背景にした者もいます。文化も国籍も違いますが、これらの予言には共通点があります。それは人類全体に影響を与える大事件、たとえば疫病などを正確に予言していたことです。さらに、近い将来により大きな災難が起きるとしている点も共通しています。

　予言は一人一人の生死に関わることであり、人類全体の運命に関わるため、当然のように多くの人の注目を引き起こし、多くの大法徒もその中に深く引き込まれました。

　しかしそこに迷いも生じました。なぜたくさんの予言が実現しないのでしょうか？　例えば、ある米国の牧師は、トランプ大統領の刺殺シーンを正確に予言したことで有名になりましたが、その後に予言した大疫病や金融系統の破綻などの事件は何一つ実現しませんでした。

　なぜそのように、時には細部にいたるまで正確な予言ができる一方で、時には全く外れてしまうのでしょうか？　予言とは一体何なのでしょうか？　よく法を学べば、この理由がわかります。

　私たち大法徒は、神と人の存在する境地が全く異なるものだと知っています。人間社会は神の管理下にあり、社会のすべての事件は神の按排に基づいています。それらの按排が予め人に言われてしまえば、人間も神のように高明になってしまいます。たとえば神が人に罰を与えるために災難を計画したとしても、それを人が予め知り、逃げ出してしまえば、業を消すことはできなくなります。しかし神の按排は無駄になることはなく、業力の結果そのものは取り返しのつかないものです。

　ではなぜ予言が実現することもあるのでしょうか？　私の理解では、予言者がまだ無名であるときは、天目や夢を通して異次元の状況を見ることがあります。実際に、宇宙は異なる時空に存在し、異なる時空では時間も異なり、私たちの時空よりも速いため、、その事件がすでに起こっていることもあります。

　これを宿命通の功能と言いますが、それが人類社会に大きな影響を与えない範囲でなら、許されることもあります。しかし、一旦有名になり大幅な広がりを持つようになると、人間社会の迷いの状態を破壊するため許されません。これは師父の「病気治療の問題」の話と同様です。まるで師父が病気治療の問題について語られたように、特定の歴史的時期、特定の環境において、気功による病気治療は存在することができました。

　『轉法輪』にはこう書かれています。「気功は確かに病気を治療できるのです。ただ常人社会の他のことと同じようにしてはいけないだけです。広い範囲にわたって干渉することは絶対に許されませんが、小規模にあるいはあまり大きな影響が出ない場合は、ひそかにやるなら許されます」。個人的な理解として、予言もこれと同じ道理であると思います。

　私の個人的な次元での認識として、神が予言の存在を許し、ある人が特定の出来事を正確に予見することを許すのは、かつて気功治病が現れたことと同じように、単に人々に災難を避けさせるためだけでなく、根本的に人を救うためでもあります。現代人は科学教育や現代の観念に影響されて、ほとんどの人が神を信じなくなっています。しかしこのような超常現象が現れることで、無神論の観念を打破し、命と宇宙を再認識させ、人々が伝統の道に戻り、神とのつながりを再構築する可能性を生むのです。そうしてこそ、宇宙の大変化の中で救われる可能性があるのです。

　おそらくこれこそ、多くの大法弟子が自らのメディアで予言について積極的に語っている理由でしょう。予言を語る意義は、未来を本当に予知できるかどうかにあるのではなく、それがかつて何かの出来事を成功裏に予言したという「予知性」にあります。この予知性は「雲霞明滅して或いは睹る可し」と言うように一瞬にして現れて消えるものですが、その一閃の電光には神の存在が映し出されています。悟性のある人なら、この一瞬のきらめきを掴み、真理を見つけるかもしれません。しかし、もし多くの大法弟子までもが巻き込まれて、ある時ある場所で何が起きるかということばかりに夢中になってしまったら、それは神がこのことを許した本来の意図から外れてしまい、「本末転倒」「芝麻（ゴマ）を拾って西瓜（スイカ）を失う」ようなことになってしまうでしょう。

　日本の漫画家・竜樹諒（たつきりょう）は1999年に出版した漫画『私が見た未来』の中で、自身が体験した予知夢を描いており、その中で2011年の3.11東日本大震災を正確に予言しています。さらに彼女は、2025年7月により大きな災難と大津波が発生すると予言しました。この予言は多くの人々に注目され、さらには恐怖を引き起こし、外国人観光客の減少すらもたらしました。竜樹諒の予言の的中率は非常に高いと言われています。3.11のほかにも、英国のダイアナ妃の交通事故による死、新型コロナウイルスの流行なども予言していたとされます。

　これらの過去の並外れた予言と比べて、2025年6月15日に出版された彼女の新刊『天使の遺言』こそが、本当の天機を語っているのです。

　竜樹諒が新刊を出版した大きな理由のひとつは、これまでの誤解やネット上の噂を正すことにありました。彼女は、夢の本当の価値は、何かを正確に予知することにあるのではなく、「警鐘」と「気づき」にあると考えています。人々に対して、物質の備えだけでなく、心の備えも必要であると警告しているのです。竜樹諒は、他者への思いやりを持てる心の準備を呼びかけています。

　大法弟子はこの意味をよく理解しています。師父は「善を守ることこそ、希望の保障であろう」（『洪吟五』「あなたを救い、天堂に戻るため」）とおっしゃっています。世の人々にとっては、「真・善・忍」を認め、「真・善・忍」の原則に従って善良を守ることこそが、災難を避ける良薬なのです。なぜなら、災難は悪人を淘汰するものであり、善人とは無関係だからです。物質的な準備も確かに重要ですが、心の平穏と覚醒はそれ以上に力強く、困難を超越するための鍵となるのです。

　大法弟子として、偉大な使命を担っている者として、神が人間に予言を残した目的を明晰に理解すべきであり、「真・善・忍」の理念を広く伝えることこそが、本当に人を救うことになるのです。