　【明慧日本2025年8月18日】（明慧ネット記者・沈容　取材報道）現在78歳の曹瓊さんは敬虔なカトリックの家庭に生まれ、家庭は円満で仕事も安定していました。しかし、人生の後半に差し掛かった時、乳癌を患い、さらに投資の失敗によって数百万台湾元の貯蓄を失いました。二つの大きな苦難が同時に発生した最も苦しい時期に、曹瓊さんはどのようにして苦難に立ち向かい、新たな生を得る力を見出したのでしょうか？

　曹瓊さんは1940年代の台湾に生まれました。父親はかつて空軍大佐であり重要部門の責任者を務め、退役後は弁護士に転身し、母親は敬虔なカトリック教徒でした。このように規律を重んじ、かつ神を敬い、徳を尊ぶ家庭で育った曹瓊さんは、心の底から神の存在を信じていました。

　学生時代、曹瓊さんの成績はトップクラスではありませんでしたが、素直で聞き分けが良く、真面目で本分を守る性格であったため、いつも、順調に進級や受験、卒業を乗り越えることができました。大学卒業後は成功大学（訳註：台湾の著名な国立大学）建築学部の図書館に勤務し、日々、書籍の整理、貸出データの管理、図書分類の維持管理を担当し、来る日も来る日も続くこまごまとした煩雑な業務の中で、26年間こつこつと務め上げました。

　仕事をする傍ら曹瓊さんは結婚し、キリスト教を信仰する夫と手を取り合って家庭を築き、結婚後は1人の息子を授かりました。家庭生活は曹瓊さんの図書館司書としてのキャリアと同様、平淡で秩序正しいものでしたが、それゆえに安定した幸福がありました。曹瓊さんは当時を振り返り「私の人生は50歳までずっと順調でした。このまま何事もなく平穏に歩み続けていけるものだと私は思い込んでいました」と語りました。

　癌という衝撃と生死の試練

　1999年、曹瓊さんが51歳の時、退職手続きを終えたばかりの彼女が第二の人生を喜んで迎えようとしていた矢先、自身の右側の乳房にしこりがあることに気づきました。

　曹瓊さんは勇気を奮い起こして病院へ検査に向かいましたが、検査結果を見た医師は重々しい面持ちで彼女に「乳癌のステージ2です。できるだけ早く手術をしなければなりません」と告げました。医師は曹瓊さんにあまり考える時間を与えず、手際よく翌日の手術の手配をしました。

　手術は無事に終わりましたが、当時、この病院は規模が比較的小さかったため、術後に化学療法や放射線治療は行われませんでした。そのため、曹瓊さんは身体に少しでも異常を感じるたびに極度の焦燥感と恐怖に苛まれることになりました。曹瓊さんは「あの時は生命がいつ終わるか分からないという恐怖に、いつもおびえていました。また、自分の状態が夫の足を引っ張り、家庭全体に影響を及ぼすのではないかと、それも心配でした」と語りました。

　曹瓊さんが自身の健康状態に不安を抱き恐怖におののいていたちょうどその時、彼女と夫が過去に投資していたある会社もまた翌年に倒産を宣告しました。曹瓊さんは、「当時、投資のために私は立て続けに3軒の家を売却し、それに長年の貯蓄を加え、次々と約800万台湾元以上を投じました。しかし会社が倒産した後、私たちの資金はすべて一夜にして水泡となり消えてしまったのです」と話しました。

　癌を患っている時にさらに投資の失敗が重なるという、まさに泣き面に蜂とも言えるこの惨憺たる打撃は、曹瓊さんを一瞬にして人生のどん底へと突き落としました。しかし「天は一つの扉を閉ざす時、必ずもう一つの窓を開けてくださる（訳注：一つの道が閉ざされ絶望的な状況に陥ったとしても必ず別の解決策が用意されている）」とよく言われるように、曹瓊さんが最も失意の底にいたその時、曹瓊さんはテレビ番組で法輪功を目にしました。

　運命を変えた1枚のチラシ

　2000年、あるテレビ番組の中で、法輪功を紹介する報道が曹瓊さんの心を引きつけました。番組で映し出された法輪功修煉者たちの静かで穏やかな煉功の様子と、修煉者たちが自分の心身が受けた恩恵について語る姿が、まるで一筋の光が曹瓊さんの心を照らすかのように感じられました。

　その場で曹瓊さんは、「もし自分も修煉できたらどれほど素晴らしいことでしょう！」と心が深く揺さぶられました。そこで曹瓊さんは書店へ赴き『轉法輪』と『大圓満法』という2冊の書籍を購入しました。

　しかし、本は買ったものの曹瓊さんは煉功場を見つけることができず、また、教えを請うことのできる他の法輪功修煉者も見つけられなかったため、しばらくの間、本を書棚に置いたままにしておくしかありませんでした。曹瓊さんは心の中で法輪功のことを気にかけていましたが、これからどのようにして、先に進めば良いのか分かりませんでした。

　曹瓊さんがまさに途方に暮れていたその時、見知らぬ人が彼女に法輪功のチラシを1枚手渡しました。曹瓊さんは当時を「普段、私が市場へ買い物に行くのは週に一度だけなのですが、不思議なことに、その日は市場で法輪功の9日間セミナーのチラシを受け取ったのです」と振り返りました。

　曹瓊さんの人生において極めて重要な転機となったのは2001年、彼女が53歳の時のことでした。曹瓊さんはためらうことなく9日間セミナーに参加し、その日を境に健康を取り戻し、返本帰真への希望の道を歩み始めました。

　大法の修煉に入り苦難に直面してももはや恐れることはない

　「生命には限りがあるのだから、私は、自分がまだ生きているこの時間をしっかりと捉え、真摯に修煉に励もう！」。これが、曹瓊さんが9日間セミナーを終えた後に抱いた揺るぎない誓いでした。曹瓊さんは宝の書物である『轉法輪』を真剣に拝読し始め、一字一句をたどりながらゆっくりと理解していきました。一通り読み終えた後はさらに各地での説法を1冊また1冊と読み進めました。

『轉法輪』の中から再び立ち上がる力を見出した曹瓊さん

　修煉の質的な向上が深まるにつれて、曹瓊さんは次第に理解していきました。人生における苦難は決して偶然ではなく一切の出来事にはその因縁と按排があるのだ、と理解しました。

　「私はずっと理解できませんでした。自分は幼い頃から善良で、人を殺めたり、放火したりといった悪事を働いたことは一度もないのに、なぜこのような試練に耐え忍ばなければならないのか…と。しかし『轉法輪』を読み終えた後、私はすべてを理解しました。なぜなら、すべての出来事にはその因果関係があり、それは自分自身の生命が過去に作り出した業力に起因するものだからです。修煉を通じて心性を向上させることによってのみ、真に苦難を超越し、業力の負債を清算することができるのです」

　大法の中で曹瓊さんは、人にはそれぞれ定められた運命があり、心性が向上し心に怨みがなくなって初めて、いかなる苦境に直面しても揺るぎなく静かで穏やかな精神の境地を保つことができるのだと理解しました。そして曹瓊さんは、以前に払いのけることのできなかった恐怖、不安、そして不満の念も絶えず法を学ぶ中で一層また一層と解消され、心の状態はますます平穏で晴れやかなものへと変わっていきました。

　「私はもはや癌が再発するかどうかを心配することはなくなり、失った金銭や家にも執着しなくなりました。一日一日を真剣に生き、学法と煉功に励み、また、自ら進んで親族や友人に法輪大法の素晴らしさを分かち合うようになりました」

　修煉の後、曹瓊さんの身体は次第に健康を取り戻し、心はますます朗らかになり、毎日が希望に満ちていました。曹瓊さんは、「以前の私はとても心配性で感傷的になりがちでした。多くのことをいつまでも気にして放下することができませんでした。今では事実をより客観的に受け止めることができるようになり、つまらないことに固執することも、他人と優劣を比べることもしなくなりました。心はより広く朗らかになり、生活もまた地に足のついた充実した喜びを感じられるものへと変わりました」と率直に語りました。

　大法を信じ家族も恩恵を受ける

　2020年5月、曹瓊さんは息子から1本の電話を受けました。息子は焦った様子で「お母さん、医者に膀胱癌だと診断された。手術が必要だそうだ」と言いました。その知らせを聞いた瞬間、曹瓊さんは呆然としましたが、今回はかつて自分自身が癌に直面した時のように、恐怖にかられて無力感に苛まれることはありませんでした。

　曹瓊さんは、「息子は修煉してはいませんが、私の身体が健康を取り戻し変化したのを目の当たりにして、彼は師父を信じ、また大法を信じています。ですから私は息子に『あなたはただ心から誠実に「法輪大法は素晴らしい、真・善・忍は素晴らしい」と念じなさい。そうすれば、師父が必ずあなたを助けてくださいます』と伝えました」と語りました。

　当時、医師は曹瓊さんの息子さんの体内の腫瘍について、その形状はでこぼこなサンゴのようであり初見の判断では状況は決して楽観視できない、ということを述べ、さらに第1回目の化学療法が手配されました。しかし、息子が再診に訪れた時、病理報告書（訳注：病気の最終判断）から、その腫瘍は良性であることがわかったのです。この吉報に、家族は皆、驚きと喜びに包まれました！　曹瓊さんは「私はこれは偶然ではないと分かっています。私は心の中で師父の慈悲に深く感謝申し上げ、家族もまた大法の奇跡的な力をより一層固く信じるようになりました」と語りました。

　これまでの人生の道のりを振り返り、曹瓊さんは感慨深げに、もし修煉の道に入っていなかったならば自分が今日まで歩んでくることができたかどうか想像もつかない、ということを語りました。現在、78歳という高齢になった曹瓊さんは心身ともに健康で思考も明晰です。修煉を始めてからの25年間、息子や孫たちも皆、大法の中で恩恵を受け、家庭は和やかさと純粋に相手のためを思う心に満ちあふれています。

法輪大法によって人生が全く新しい輝きを放つようになった曹瓊さん

　曹瓊さんは感謝の念を込めて、「人生で困難に遭遇した時、もし修煉をしていなかったならば、私はおそらく他の多くの人々と同じように、苦難の中に囚われ自力で抜け出すことはできなかったでしょう。大法こそが私に力を与え、心中の疑念を解き明かし、挫折や病苦に勇敢に立ち向かい、一歩また一歩と苦境から抜け出すことを可能にしてくれたのです。『真・善・忍』に従うことはまた、人生の荒波にどう向き合うべきか、そして生命の真の意味を見出す術を私に教えてくださいました」と語りました。

　曹瓊さんは、一人でも多くの人が虚言に惑わされることなく、法輪大法の素晴らしさを知り、自分自身のために真の幸福を見出すことができるよう、心の底から願っています。