文／米国の大法弟子

【明慧日本2025年8月24日】　

　尊敬する師父、こんにちは！

　同修のみなさん、こんにちは！

　今日は「忍」の修煉について、私自身の体験や感じたことを共有したいと思います。　

　一、私が理解する「忍」とは「善悪には報いがある」という法理への認識である

　私はずっと、自分は筋の通ったことを言う人間だと思ってきました。だから、いわゆる「筋が通らない」人や出来事に出会うと、納得できず、受け入れられず、相手と善悪をはっきりさせようと議論したり、公平さを求めたりしてしまいます。誤解されたり、不当な扱いを受けたりすると、心がざわつき、怒りさえ湧いてきます。そうなると、説明しようとしたり、相手から距離を置こうとしたりします。また、苦しみや災難に直面した時には、どうにかしてその苦しみを避けようとし、少しでも快適に過ごせるように工夫してしまいます。

　師父は「さて、どうしてこういうことにぶつかるのでしょうか？　それらはみな自分自身の業力によるものです。われわれはすでに数え切れないほど多くの業力を消してあげました。残ったわずかなものは、あなたの心性を高め、人心を錬磨し、さまざまな執着心を取り除くために「魔難」として各次元に割り当てました。それらの難はもとよりあなた自身が持っているもので、われわれはあなたの心性を高めるためにそれらを利用するのですが、いずれも乗り越えられるようにしてあります」。と説かれました。（『轉法輪』）

　師父は法の中でとても明確に説かれています。それでも、実際に問題にぶつかって苦しくなると、「私にそんなに大きな業力があるはずがない。どう考えても悪いのは相手だ」と思ってしまうことがあります。

　けれども、法理への理解が深まるにつれて、私は少しずつ内に向かって探すことを学びました。そして気づいたのです——自分が「筋が通っている」と思っていたことは、結局人間の理屈にすぎなかったのだと。宇宙の法理は、公正で公平です。すべてには因果があり、私たちは生々世々の中で業をつくらずに生きてきたとは言えません。であれば、業を返すのは当然のこと。そこに不満や不服があるはずもないのです。私が出会うすべての試練や困難は、私が乗り越え、解消し、正しく向き合っていくべきものなのです。そしてその過程の中に、師父の深いご配慮があることも感じられるようになりました——私がどこをどう向上させるべきかを、導いてくださっているのです。

　だからこそ、再び魔難に直面しても、私は穏やかに受け止め、逃げず、苦しまずに向き合えるようになりました。その過程で、自分にどんな心を修め取り除くべきかを見つめ直しながら、神の道を歩む私を守ってくださる師父への感謝の気持ちを深めています。以前は「逆来順受」（ぎゃくらいじゅんじゅ：理不尽な取り扱いや要求に対して逆らおうとせず従う）という言葉に否定的で、それを仕方なく耐える弱さの表れだと思っていました。今、新しい認識ができました。修煉の中でそれは、法理を理解したうえでの落ち着いた受け止め方であり、自ら進んで受け入れ、生命が昇華していく過程なのだと気づきました。

　二、私が理解する「忍」とは、違いを受け入れること

　宇宙は豊かで繁栄しており、生命や万物は本来、多様性に満ちています。その層次や次元も果てしなく広がっています。この広大な宇宙を前にして、小さな存在である私は、敬虔で謙虚な心をもって、この神の創造物を見つめるべきだと思います。もし私たちが、似たような生命や考え方しか受け入れず、自我ばかりを強くしていたら、それはまるで井の中の蛙のようなものです。そんな世界は単調になり、私たちの智慧も大きく制限されてしまうでしょう。

　以前、同僚と一緒に中華料理店で食事をしたことがあります。食事後、みんなにフォーチュンクッキー（幸運のクッキー）が配られました。その中には、それぞれ紙のメッセージが入っていました。私のメッセージはとても特別でした。「宇宙をあなたの心に入れれば、あなたは宇宙を手にすることができる」その言葉に、私は深く心を打たれました。師父は、こんなにもわかりやすい方法で私に気づきを与えてくださったのです——すべてを受け入れなさい、と。

　私はこう理解しています—— 本当の意味での「包容」とは、唯一、相手の違いを一つの美点として見ることで、そうして初めて、相手を理解し、相手の立場に立って考えることができる。その結果、視野が広がり、より広大な世界が見えてきて、私たちが直面する問題にも、より多くの方法と智慧で向き合えるようになるのです。たとえ自分がどれほど賢く、能力があると思っていても、人間としてこの迷の中にいる限り、私たちには大きな限界があります。その限界を認め、強すぎる自我を手放すことで、初めて他人の良さが見えてきて、宇宙の偉大さにも気づける。そして、自分自身も成長していけるのだと思います。

　だから、今では異なる意見や行動に出会っても、以前のようにすぐに「どうしてこんなことをするの？」、「なんで考えないの？」、「言葉も出ない」、「なんて横暴なんだ」といった単純な反応はしなくなりました。すぐに結論を出すのではなく、少し立ち止まって考えるようになったのです。「彼がそうするのには、何か理由があるのかもしれない」、「私が知らない事情があるのかもしれない」、「もしかすると、私の方に非がある？　説明が足りなかった？」、「彼自身が困っているのかもしれない」、「もしかしたら、彼のやり方のほうが良いのかも？」

　ある時、ある学習者が何かを手配していたのですが、少し不十分に見えたので、私は穏やかにそのことを指摘しました。すると彼女は突然声を荒げて、皮肉を言ってきました。私は彼女にこう聞きました「どうしてそんなに強く反応するの？　私はただ、気づいたことを提案しただけだよ。採用するかどうかは、あなたが把握している状況に応じて判断すればいいんじゃないの？」そう言うと、彼女は黙ってしまいました。

　私は気づきました——これは、以前の自分に少し似ているなと。何か物事が自分の考えと違っていると、それだけで拒絶してしまい、すぐに反応して、すぐに結論を下していたのです。無意識のうちに「自分が正しい」と思い込んでいて、それが人を傷つけたり、物事を台無しにしてしまうこともありました。だから今は、自分にこう言い聞かせています。「簡単に結論を出さないようにしよう。もっといろんな意見に耳を傾けよう」と。天上の世界にも、それぞれ異なる運行の仕方があるのだから。繁体字の「聖人」の「聖」という字は、左に「耳」、右に「口」があります。私はそれを「まず耳を使ってよく聞き、口は後にする」という教えだと受け取っています。そうすれば、もしかしたら、まったく別の世界の声が聞こえてくるかもしれません。

　三、私は「忍」とは寛容であることだと理解している

　私たち一人ひとりには、多くの執着や固定観念があり、能力にも限界があります。迷いの中にいるからこそ、時には間違いを犯してしまうこともあります。それでも、多くの人が「完璧」を求めて努力しているのです。

　私たちは皆、この宇宙の最も低い層——人類社会に生きています。そんな私たちが、どうして完璧でいられるでしょうか？　どうして間違いを一度も犯さずに済むでしょうか？　では、そうした「間違い」に、私たちはどう向き合えばいいのでしょうか？

　パソコンでエディターを使っている時、私が特に気に入っている機能のひとつが「Undo（元に戻す）」です。間違えてしまっても、「Undo」すれば、そのミスを簡単に消すことができます。その時、ふと思ったのです—— 人も、間違いを犯した時に、こんなふうに簡単に「Undo」できたらいいのに、と。誰だって、失敗した時には許されたいと思うものです。修行の道はもともと険しいのだから、どうして私たちは他人の過ちを許そうとしないのでしょうか？

　師父は「運転手がスピード違反をしたことは確かです。しかし、彼もわざと人にぶつけたわけではありません。彼は不注意で事故を起してしまったのではありませんか？」と説かれました。（『轉法輪』）

　運転手が人を轢くという大きな過ちに対しても「故意ではなかった」と思いやることがある。それなら、他人の過ちによって自分が傷ついた時にも、同じように考えられるだろうか？　誰かが私に怒りをぶつけてきた時も、それは本心ではなく、無意識の反応だったのかもしれない。実際、怒りを爆発させる人こそ、心の中では一番傷ついていることが多い。私自身も、かつて怒りをぶつけた経験があるからこそ、その気持ちがよくわかる。

　明慧ネットで読んだある交流文章のことを今でも覚えています。ある学習者・Aさんは、監獄での拷問に耐えきれず、外にいた学習者・Bさんのことを密告してしまい、Bさんは懲役7年の実刑判決を受けました。 Bさんが出所した時には、家庭は崩壊し、生活も困難を極めていました。ようやく生活が落ち着いた頃に、Aさんが大きな魔難に直面し、Bさんに助けを求めてきました。Bさんは恨みを捨て、Aさんが拷問に耐えられなかったことを理解し、手を差し伸べたのです。その文章を読んだ時、私は深く心を揺さぶられました。こんなにも寛容な心は、まさに覚者にしか持てないものだと感じました。

　以前の私は、何か問題が起きると、その本質をすぐに見抜けると思っていて、発言もズバリ核心を突く、曖昧にせず、偽らずに言うタイプでした。それが良いことだと思っていたし、自分に対しても、何か問題があれば遠慮なく指摘してほしいと願っていました。同修の中にも、物言いが率直な人がいて、多くの人がその言い方に耐えられないようでしたが、私は彼女のことを「本音で話す、誠実な人だ」と思って好感を持っていました。でも今振り返ってみると、私は人の過ちを見つけるのが得意だと自負していたけれど、核心を突くような言い方には、思いやりや包容力が欠けていた部分があったのだと気づきました。当然ながら、そういう言い方では良い結果にはつながりませんでした。

　世間には「鈍感でいるのも一つの知恵」という言葉がありますが、修煉を重ねるうちに、私はこの言葉に対してより深い理解を持つようになりました。人は間違いを犯すものです。それは、川が自然と海へと流れていくようなもの。私たちは川が海へ向かうことに文句を言うでしょうか？　身近な常人が過ちを犯しても「常人だから」と思って、比較的寛容に受け止めることができます。では、修煉者に対してはなぜ寛容になれないのでしょうか？　師父はすべての学習者を見守ってくださっているのですから、誰もがいつかは自分の関門や試練を乗り越えていくと信じるべきです。私たちがいつまでも心に引っかけておく必要はありません。この過程の中で、自分自身をしっかり修めていくことこそが大切なのです。

　ある学習者が、かつて私にとって非常に大きな試練となる出来事をもたらしました。彼は威圧的な態度で「俺に尊敬されたいなら、自分で勝ち取れ」と言い放ち、彼の目には、どの学習者も自分より能力が劣っているように映っていたようです。私はその後、約一年以上にわたって心をえぐられるような修煉を重ね、彼を一枚の鏡として自分を照らし出すことで、多くの執着心を見つけ出し、ついにそれらを手放すことができました。数年後、再び彼に会った時、彼の話し方は相変わらず荒々しいものでした。でも、私の心はとても穏やかでした。少し助言をしようかとも思いましたが、今の彼の心の状態では受け入れられないかもしれないと思い、何も言わずにそのままにしました。それは彼自身の修煉の道なのだと思います。師父がきっと見守ってくださっているでしょう。人それぞれ、先に修めるもの、後に修めるものが違います。私たちがなかなか手放せないものを、他の人はすでに乗り越えているのかもしれません。

　以上が私の修煉経験です。何か不足な点があれば、慈悲深いご指摘をお願いいたします。

　師父に感謝いたします！　同修の皆さんに感謝します！

　（2025年米国サンフランシスコ法輪大法修煉体験交流会の発表原稿）