文／アメリカ・サンフランシスコの大法弟子

　【明慧日本2025年8月24日】

　敬愛なる師父、こんにちは！

　同修の皆さん、こんにちは！

　2000年4月、私はサンフランシスコの「ライフ・エキスポ」で偶然法輪功のブースを見つけました。そのとき、ある方が私にチラシを手渡し「法輪功は道徳を高めることができる」と教えてくれました。その後、ゴールデンゲートパークにある煉功場所で功法を学び、やがて、ある同修と知り合いました。彼は英語で一緒に学法することに快く協力してくれました。私は、師父の綿密なご按排に心から感謝しています。

　法を得る前、私が体験したある事故は、まるで法を得ることを予兆していたかのようでした。1994年6月、私はタホ湖で登山中に岩の隙間に挟まれてしまいました。まわりには支えになるものは何もなく、登山用の装備も持っていなかったため、上にも下にも行けず、その場に完全に閉じ込められた状態でした。私は運動靴と靴下を脱ぎ、足の指を岩の隙間に差し込み、手のひらで岩を押さえながら脱出を試みました。しかし脚は痙攣し、体は震え「もうだめだ」と思いました。

　落下寸前、助けを呼ぼうとしたものの、声が出ませんでした。すると、代わりに心の内側から「バランスを保て」という声が聞こえてきたのです。その瞬間、痙攣は治まり、意識がとてもはっきりしました。やさしい声は続けてこう言いました。「この岩を愛しなさい。岩はあなたを傷つけるためにあるのではなく、大自然の一部なのです。今はまだあなたがこの世を去るときではありません。あなたにはまだやるべきことがあるのです」。その瞬間、私は「横向きに跳ぶべきだ」とひらめきました。すると私は岩を飛び越え、反対側に無事着地しました。さらにもう一度跳んで次の岩へと進みました。そこからの記憶はあいまいで、自分がまた跳んだのかどうかも定かではありませんが、かすかに木の枝をつかんだことを覚えています。後に近くの病院の医師が私にこう言いました。「あの場所では毎年3〜4人が命を落としています。あなたはとても幸運でしたね」

　「あなたにはまだやるべきことがある」――あの声は、その後も折に触れて、まるで警棒のように私を戒め、命を救われた意味を思い出させてくれました。この何年もの間に、実に多くのことがありました。中には忘れてしまったこともあれば、うまく言葉にできないものもあります。本稿では、私の修煉の過程で何度も繰り返し現れたテーマの一部を皆さんと分かち合いたいと思います。

　妨害を乗り越えて

　2000年代中頃、私はマンハッタンで行われた反拷問展に参加しました。世界各地から集まった法輪功学習者たちが、マンハッタンの主要な観光スポットで真相を伝える活動をしていました。私たちは、拷問の実演や写真展、そして五式の功法のデモンストレーションを通じて、迫害の実態を広く人々に伝えました。さまざまな地域や国から来た同修たちと協力し、大法の素晴らしさと迫害の残酷さを世間に伝えることができたことを、私はとても嬉しく思いました。その期間中、短期間ではありましたが、私は旧勢力からの強烈な妨害に遭遇しました。

　2005年夏のある日、喉と食道に激しい痛みを感じ、食事ができなくなりました。そのため、痛みが収まるまで食べるのをやめようと考え、断続的に絶食するようになりました。普段どおりの生活を送りながらも、異常な症状をあまり気にせずに過ごしていたのですが、2日目頃から様子が明らかにおかしくなりました。朝、地下鉄の駅まで歩くのにさえ体を引きずらなければならず、日中には痛みが上腹部にも広がり、激痛のあまり立っていられなくなりました。

　翌日も痛みは続きました。私はなんとか日常生活を保ちつつ、痛みにとらわれず、内に向かって自分を探すように努めましたが、ある同修が、私の状態が深刻であることに気づきました。「今すぐ何か食べなさい。たとえ痛くても、少しでも食べるのよ。旧勢力よ、大法弟子に対してそんな妨害を加える権利などない！」と彼女は言いました。その言葉を聞いたとたん、私ははっと気づかされました。彼女が渡してくれたジュースを飲みほし、その後、私たちは一緒に第三功法と第四功法を煉り、発正念を行いました。すると、症状はすっかり消えてしまったのです。

　その夜、私はお粥を食べようとしたところ、再び痛みが戻ってきました。飲み込もうとしたとたん、また激痛が走りましたが、私はその原因が分かっていました。痛みに耐えながらも、私はその一杯のご飯をすべて食べきりました。すると、痛みは完全に消え去りました。

　この体験は、私にとって非常に意味深いものでした。なぜなら、それが私にとって、旧勢力の妨害を明確に実感した初めての出来事だったからです。痛みが増すにつれて、私ははっきりと感じていました。旧勢力の狙いは、単なる試練ではなく、私を破滅させることでした。彼らは一瞬の隙を突いて、全力で私を妨害してきたのです。

　私は最初、その不正常な状態を間違って受け入れてしまっていました。痛みを我慢しながら断食し、いつもどおり生活を続けようとするその姿勢は、一見「否定」のようでありながら、実際には「妨害を受け入れること」でもあったのです。初期の段階で、私はこの異常な状態を幻影として断固として否定すべきでした。

　振り返ってみると、妨害を受けた主な原因は、安逸への執着でした。当時、真相を伝えるプロジェクトはすでに数カ月続いており、1日中意識を保ち続けるのは非常に大変でした。そのため、時おりこの街を離れたいという思いが浮かび上がってきました。それは活動中ではなく、活動後の1人きりの時間にこそ現れ、私は常人のネットコンテンツを見たり読んだりして、心がそれに引き込まれていたのです。

　このような安逸への執着による妨害は、これまでにも何度となくありました。修煉はまるで、流れに逆らって進む舟のようなものです。もし漕ぐ手を止め、少しでも気を緩めれば、自然と流されてしまうのです。今のように妨害や誘惑がすぐ手の届くところにある時代では、なおさらです。

　私たちは、内側から外側まで、旧宇宙が綿密に仕組んだ配置の中に浸っています。だからこそ、常に法に従って正しい念と正しい行いを持ち続けなければ、旧勢力が仕掛けた思考や惰性に必ず支配されてしまうのです。私たちは常に選択を迫られています。操り人形のように受け身で過ごすのか、それとも旧来の枠を打ち破るのか。日常生活の中で、正念を保ち、正しい選択をし続ける力を養うことこそが、修煉において終わりなき道なのです。

　負の思念を取り除く

　かつて私は、住んでいたアパートで受動喫煙に大きな悩みを抱えていました。隣の住人はかなりのヘビースモーカーで、彼が部屋の中でタバコを吸うと、その濃い煙の匂いが壁や換気口、排水管からこちらの部屋へと染み込んできました。というのも、私たちのアパートの換気システムは全室つながっていたからです。

　この件について何度か本人に話そうとしましたが、そのたびに彼は激しく怒り出し、まったく会話になりませんでした。そこで私はアパートの管理会社に連絡することにしました。

　しかし、内に向かって自分を見つめ直すと、自分の考えが法に合っていないことに気づきました。私は人としての観念で、ただ自分の感情に基づいて隣人を評価していたのです。理性では「ここは業を返し、心性を高める場であり、そこには必ず因果関係が働いているはずだ」と理解していましたが、心の中では怒りや憎しみ、軽蔑といった常人の情が渦巻いていたのです。

　その後、管理会社の担当者から「私たちにはどうすることもできません。彼には室内で喫煙する権利があります」と言われたとき、私はその事実を受け入れることができず、なんとか対処してもらおうと説得を試みました。私の言動には慈悲や忍耐が欠けており、修煉者らしからぬものでした。自分の中にある負の思念や不足に気づいた私は、それらを徹底的に取り除こうと決意し、この問題にこだわるのをやめ、匂い自体も意識的に無視するよう努めました。

　ある日、私はふと「喫煙とは、悪い考えを抱くことに似ている」と気づいたのです。その人が室内でタバコを吸っていると、煙が空間に充満し、近隣の住人たちは彼が閉じた扉の向こうで何をしているのかを知っています。同様に、たとえ私たちの内心にしかないとしても、負の念もまた別の空間に存在する生命であり、そこに漂い、存続し続けるのです。それらは、あの空間にいる衆生にとって、きっとひどく臭く、不快な存在であるに違いありません。

　私は喫煙をひとつの暗示と捉え、それを通して「負の念がどれほど有害なものか」に気づかされました。そしてそれ以来、自分の空間場に関わるすべての人や出来事に対し、そこに潜む負の要素を徹底して排除しようと心がけるようになりました。常人の考えを手放し、修煉者としての視点で考えるよう努めるうちに、相手への否定的な評価は徐々に同情心へと変わっていきました。すると、次第にあの煙の匂いも大きく減り、ほとんど感じられなくなったのです。

　理性をもって自らの不足と向き合う

　師父の経文「険悪を遠ざけよう」と「大法修煉は厳粛である」を学んだ後、私は心の中に残っていたすべての怨みや不満を解き放つ決心をしました。この決意についてある同修に話していたとき、忘れていたある出来事を、不意に思い出したのです。

　それは何年も前の、ある集団学法交流会でのことでした。ある同修がこう問いかけました。「なぜ、あなたたちの中には私をスパイだと思っている人がいるのでしょうか？」それに対し、ある年配同修がすぐさま応じ、否定的な言葉を口にしました。その言い方や口調、態度があまりにも世俗的に感じられ、私はそれが不適切だと思い、いくつか言葉を返しました。何を言ったかは正確には覚えていませんが、そこから口論に発展してしまいました。同じような内容を繰り返しながら、私たちは何度も言い争い、私は彼の理不尽な話し方を指摘し、彼は私を「思い上がっている」と批判しました。さらに、協調人までもが口をはさみ、私に対して注意をしたのです。

　当時の私は、それを「カルチャーショック」と受け止めていました。ある同修が多くの人の前で質問したこと、それに対して2人の年配同修が私を非難し、周囲の誰も何も言わなかったこと。その光景が非常に現実味のないものに思えたのです。私は怒るべきではないと理解していながらも、自分の執着を深く掘り下げることはしませんでした。今思い返してみると、当時の私は傲慢さを抱え、その年配同修や協調人を見下していました。「彼らは心性が低い」と思っていたのです。

　私は法を忘れ、代わりに礼儀や自分なりの正義感で彼らを裁いていました。修煉者が執着を持っているという理由だけで見下し、心の中で彼らを「迫害」していたのです。まさにそれは旧勢力がしてきたことそのものです。私は、同修の中に未熟な部分があることを理由に彼らを見下し、無意識のうちに旧勢力の本質や行為に自らを重ねていたのです。

　私たちは皆、歴史的に積み重ねてきた不純なものを一層ずつ清めている途中にいます。まだ完全に清められたわけではありません。だからこそ、お互いの不足が見えてくるのです。その時、私たちは他人と自分の不足をどう見るべきでしょうか？

　師父は『精進要旨』の「誰のために存在するのか」の中でこう説かれています。「実のところ、人間は先天の純真さ以外、一切の観念はみな、後天的に形成されたもので、自分ではないのです」

　つまり、私たちが取り除くべきものは、後天的に積もった不純物であって、それは本当の自分ではないのです。それらは旧宇宙の「成・住・壊・滅」というプロセスの産物であり、ちょうど塵やゴミのようなものです。それは私たち自身ではなく、だからこそ私たちはそれらをきちんと清める責任があるのです。それから、真の自分と後天的に積み重なった不純な要素を意識的に切り離すように努めたとき、同修を見下す気持ちも自然と消えていきました。

　師父が重んじておられるのは、私たちの本質です。師父は、私たちがかつて下って来て師を助け、法を実証するという選択をしたことを大切にしてくださり、そのために私たちを見捨てず、何度も時間を延ばし、次のチャンスを与えてくださっています。師父がそうしてくださっているのだから、私たちもまた互いをそのように扱うべきなのです。私は、常人の不足なところを見るときも、理性と慈悲の眼差しで向き合うことを選ぶようになりました。

　人を見下すという行為も、実は外に求める心の表れです。そして外に求めることこそが、修煉を妨げる大きな要因のひとつなのです。それは心の奥深くに根付いた、自動的に働く古い仕組みです。私たちはそれを意識して取り除かない限り、無意識に動かされ続けてしまいます。この旧いメカニズムを取り払い、内に向かって探すことを新たな原則とすべきです。

　以上が、現時点での私の修煉体験から悟ったことです。

　不適切な点があれば、同修の皆さん、どうか慈悲をもってご指摘ください。

　師父に感謝申し上げます！　同修の皆さん、ありがとうございます！

　（2025年米国サンフランシスコ法輪大法修煉体験交流会発表原稿より）