文／中国の大法弟子

　【明慧日本2025年8月26日】資料を配布しながら衆生を救う過程で同修とぶつかり合い、内に向かって探し、心性を高めた後に自分の身心に起きた変化についての体験を、同修の皆さんと分かち合いたいと思います。ともに精進し、ともに向上していきましょう。

　ある夜、私は同修・AさんとBさんと共に、ある村へ法輪功の真相資料を配りに行きました。私はAさんと同じルート、Bさんは別のルートを担当していました。一つの集落を配り終え、次の場所へ向かっていたとき、両側の腰骨がひどく痛み出し、足を動かすのも困難なほどでした。残りは10数戸ほど。Aさんが「Bさんはもう帰ったかも。さっきすれ違ったとき、あと6部しか残ってなかったし」と言いました。私は、Aさんは私より年上で体も小さく、農作業も多忙なので、ここは私が1人で配るべきだろう、と思いました。そして、「残りの資料、私がやるよ。あなたはここで待ってて、Bさんが来たら重複して配らないように」と言いました。するとAさんが「一緒に配れば早いわ。じゃあ逆に全部私にちょうだい、私の方が歩くの速いし」と返してきました。私は「いや、やはり私が行くよ。あなたはここで少し休んでて」と話をまとめました。

　資料を配り終えて戻ってくると、Aさんは少し怒ったように、「たった10数軒で何でこんなに時間かかったの？　私の気持ち、分かってる？　戻ってこないと不安で、帰ろうか迷ったわよ。犬の鳴き声もして、何かあったのかと心配してたの。本当に腹が立った」と言いました。私は「家が離れていて、1軒1軒が遠いから時間がかかった」と説明しましたが、それでもAさんの怒りは収まらず「私が行こうって言ったのに断るし、自分で行くって譲らない。私は歩くのが速いって言ったのに！」と、さらに語気を強めてきました。

　その様子から、何も言わなければ納まらないと感じた私は心の中で怒りが込み上げてきました。「これはどういうこと？　私はあなたのためを思ってやったのに、善意が伝わらないなんて」と思いました。彼女はさらに「人を待つって、どれだけ辛いか分かる？　何かあったんじゃないかと心配して待ってる身にもなってよ」と続けました。この執拗な言葉に、私は心が傷つき、腰の痛みがさらにひどくなり、足を前に出すのも苦痛になっていました。涙がこぼれそうになったそのとき、彼女の言葉が矢のように胸を刺してきました。「あなたって本当に頑固。人の言うことを全然聞かない」と。まるで心に鋭い針が刺さったようで、私はついに感情を抑えきれなくなりそうになりました。しかしその瞬間、師父の説法が私の頭の中に飛び込んできました。

　「忍とは心性を高める鍵です。怒り恨むこと、不平、涙をたたえて忍ぶことは常人が世間体に執着する忍です。まったく怒り恨むことがなく、不平に思わないことこそ修煉者の忍なのです」。（『精進要旨』「忍とは何か」）この法の一節は、まるで私の頭を叩く大きなハンマーのように衝撃を与えました。私は自分に問いかけました。「今の自分は大法弟子と言えるのか？　20年以上修煉してきて、たったこれだけのことで我慢できないなんて、これが修煉者の『忍』なのか？」と。

　深く自省するうちに、心の波は次第に静まりました。歩きながら私は考えました。「なぜ私はAさんの言葉に苛立ったのか？　なぜ彼女の立場になって考えなかったのか？　夜も更けた寒い中、60代の女性が疲れた体で一日を終え、さらに同修を心配してくれていた。あれは、むしろありがたい『慈悲』の表れだったのではないのか？」と。私はようやく目が覚めました。内に向かって自分を探すことで「人の言葉を受け入れられない心」、「面子を守りたい心」、「苛立ちの心」など、自分の人心が浮かび上がってきました。すべての不快な出来事を、心性向上のチャンスとして受け止め、真に自分を修め、同修と協力し合い、より多くの人を救う――これこそが大法弟子のあるべき姿だと気づきました。そのとき、ふとした瞬間に、腰の内側から「スーッ」と何か糸のようなものが引き抜かれるような感覚があり、急に腰の痛みが消え、足取りも軽くなりました。私は心から師父の慈悲深い救いに感謝し、また、心性向上の機会を与えてくれた同修にも感謝の思いでいっぱいになりました。

　そして軽やかな足取りで、私はAさんに笑って話しかけました。「さっきのあなたの言葉のおかげで、私の心性が本当に上がったよ。いい体験になった」。すると彼女は「じゃあ、私が徳をあげたってことね」と返してくれました。私は「腰の痛みもすっかり取れて、足も軽くて気持ちがいいよ」と言いました。そして、Bさんの家の前を通ったとき、明かりがついているのを見て、私たちは顔を見合わせてにっこりと笑いました。――内に向かって自分を探すことは、本当にすばらしいですね。