　【明慧日本2025年8月31日】（前文に続く）

　二、常人の管理方法を学び「善」に対する理解を深める

　この会社での私の新たな挑戦の一つは、部下を指導することでした。最初は、この仕事に抵抗を感じていました。長年、一人で仕事をしてきた環境は、自分だけを管理し、他の人や他のことを考える必要はありませんでした。要するに、より多くの責任を負いたくなかったのです。

　私の部下は2人とも新入社員で、彼らを指導するには多くの努力が必要でした。彼らの存在は、小さな修煉環境を形成するに過ぎませんが、私の法への理解に大きな助けとなりました。

　先ほど述べた「昇進や給与アップを望まない」という姿勢は、この社会のルールに合致しません。実際、良い面から見れば、西洋社会では普通の人々は仕事を事業として経営するものです。つまり、何事にも長期的な計画を立て、健全で持続可能な運営システムを構築し、責任を持って行動し、最終的に目標を達成するのです。昇進や給与アップは、このような努力に対する報酬ですが、追求の全てではありません。

　管理職を引き受けた当初、私の認識は「良い人間であり、全ての人を平等に扱う」というものでした。相手の役職が自分より低くても見下さず、利益を貪らず、大変な仕事を他人に押し付けたり、功績を独り占めしたりしないように心がけていました。

　初期の段階では、この認識に問題はありませんでした。部下に対して威圧的ではなく、仕事を一緒に分担し、彼らが休暇を取る必要がある時は、代わりに仕事をこなして作業の遅延を防ぎました。プロジェクトに対して大胆な提案をし、部下に実行させ、結果が良好でした。私は他人に「功績は部下のものです」と話していました。さらに、彼らがやりたくない仕事も、私は黙ってこなしました。

　ある日、私は夜明け前に会社に行き、重要な仕事の準備をしようとしました。研究室に入ると、作業台が台風が吹き荒れたかのように散乱していました。私の怒りが一気に湧き上がりました。「この怠け者たちは、少しの仕事しかしていないのに、私のような上司に片付けをさせるのか。これは完全に逆転しているのではないか」と私はますます怒り、仕事に集中できなくなりました。私は手元の仕事を止め、自分の心性の原因を探しました。その時、一つの考えが頭に浮かびました。「損をしたくない。仕事を多くすることが嫌だ。上司であるかどうかは関係ない」と。その瞬間、怒りが消えました。相手が誰であれ、彼らは私の修煉のために来ているのですと考え直しました、その後、私はすぐに自分の仕事を完了させ、その後、時間をかけて研究室を清掃したり整理したりして、不足している実験用品を補充して、他の人が実験しやすいようにしました。会社に来た部下に、私は穏やかな態度で話し、不足点を指摘しました。「毎回仕事が終わった後、作業環境を片付けて他の同僚が仕事しやすいようにするべきだ。これも仕事の一部だ」と伝えました。

　このような試練は何度も起こりました。私の「損を恐れる心」は、この試練を通じて徐々に弱まっていきました。最近、しばらく研究室に入っていなかったのですが、ある日入ってみると、作業環境が整然と片付いていたことに気づきました。2人の部下が良い習慣を身につけたのです。

　彼らに仕事スキルを教える一方で、どのようにして彼らを早く昇進させるか考えていました。そこで、いくつかの方法を考えました。例えば、私の仕事の成果を彼らに分け与えること、報告書の作成が必要な場合は、私が書き上げ、発言原稿まで用意し、何度も一緒に練習することなどをしました。これらの常人のやり方で、彼らに機会を掴ませようとしたのです。

　私が他人のための常人の手段が、逆に部下の依存心を増やし、彼らに努力して向上しようとする意欲を失わせました。彼らはただ既成のものを手に入れようとするだけで、何かミスがあっても、私が補填し、功績や利益は増え続けるだけでした。私は常人のスキルを、一気に全て与えたいとさえ思いました。結局、彼らは昇進をしたものの、仕事ぶりは期待外れで、業務水準に達していませんでした。

　師父は私の認識の不足を見抜き、異なる人々の口を借りて私を啓発してくださいました。

　その中で最も心に響いたのは、ある管理職の人の言葉です。彼女は「良い人間が必ず良い管理者だとは言えません。上司として、部下の職場でのスキル、専門的な倫理観、自立性を養うことがあなたの責任です」と言われました。

　シンプルな言葉でしたが、私に大きな啓発を与えました。これも私の修煉における長年の不足点でした。つまり、他人と衝突せず、利益を争わないことを最大の善と捉えていたのです。私は仕事環境において、管理職としてどのように善を体現すべきか、改めて考え直しました。

　スキルを教える際、私は以前、自分の方法をそのまま相手に押し付けていました。長年培った経験から、仕事の内容を熟知しており、思考の飛躍が激しいため、新人にとって理解しにくいものでした。部下が手順を尋ねると、私は思わず「それは簡単だよ！」とか「そうすると遅すぎる」などと返答していました。徐々に、相手の立場で考えないまま話すことが、相手を傷つける可能性があることに気づきました。私は話し方を変え、まず相手の考え方を尋ね、相手の思考プロセスを把握するようにしました。その後、相手のプロセスに沿って私の考えを説明し、一歩ずつ解説や実演を行いました。また、彼らを励まし、リーダーの指示に従うだけでなく、自分自身の方法を探求するように促しました。

　業務報告を行う際、私はアイデアや提案を提示しますが、相手が自分で時間をかけて行うことを強調します。たとえ未熟で不完全でも、自分の構想に沿って話すように励ましました。この過程で、私は上司が新人に対して自信を築く方法を学びました。

　同じように仕事を分担する際は、明確な役割分担を定め、自分の成果を譲らないようになりました。

　リストラが発生した後、2人の部下が私に感謝しにきました。1人は「あなたが以前、良い仕事態度を教えてくれたおかげで助かりました。スキルだけで言えば、解雇された人よりも劣るかもしれません」と話し、もう1人も「独立してより多くの責任を負う必要性に気づきました」と話しました。私は嬉しく思います。私が彼らに教えたいのは、単なる仕事スキルではなく、社会に役立つ良い人間を育てることだからです。常人に最大限に符合しながら、修煉するのであれば、人に対して、社会に対して責任を持つ態度で行動すべきだと思っています。

　「善で人を管理する」という点では、私は修煉においてまだ多くの改善の余地があることを知っています。法理に対する理解を深めつつ、同時に人心と業力を修めて取り消す環境の中で、異なるやり方が必要になります。これを言葉にすることで、現在の修煉環境や、まだ十分に理解できていない人と出来事についてさらに深い認識を得ました。実は、最初に筆を執った時から、私は個人の能力や成果を主張するつもりはありませんでした。しかし、現在の段階では、多くの人が法輪大法や師父を理解していないのです。

　私は、自身の正しい一面の経験を通じて、師父の偉大さと大法の素晴らしさを証明したいと考えています。大法弟子は幸運にも師父に選ばれ、奇跡的な証人であるだけでなく、奇跡を創造する幸運に恵まれています。もし法輪大法の要求に従って行動すれば、平凡で小さな生命でも、輝かしい光を放つことができます。

　師父、ありがとうございます！

　同修の皆さん、ありがとうございます！

　（完）