　【明慧日本2025年9月12日】（前文に続く）

　十三、淄博市の王新博さんは、省刑務所で薬物を注射され死亡

王新博さん

　王新博さん（当時48歳）は、山東省淄博市張店区に所在する煙草会社の職員である。2000年10月15日、王さんは地元の警官により自宅を捜索され、連行され拘置所に拘束された。2001年には、法輪功の資料を運んだことを理由に、3年間の労働教養を科された。健康上の問題で一時釈放となったが、その後も迫害は止まず、放浪生活を余儀なくされた。

　2003年、王さんは迫害の事実をを伝える資料の制作中に再び連行され、淄博市張店区裁判所により懲役13年の実刑判決を言い渡され、山東省刑務所に拘禁された。

　2005年10月、刑務所は王さんを「転向」させるため、4日間にわたり睡眠を許さず、10数人が交代で暴行と拷問を加えた。王さんは4日間一滴の水も飲まず、全身が腫れ上がり、意識を失ってからようやく病院に搬送された。王さんの身体がある程度回復した頃、病院側は王さんに内容不明の薬物を3回注射した。そして、2006年の旧正月を目前にして、瀕死の状態で自宅に帰された。わずか10数日後の2006年2月10日、王さんは亡くなった。

　十四、イ坊市の王金香さんは、生前に何度も薬物を注射された

王金香さん

　王金香さん（当時59歳）は、国家一級バレーボールコーチである。2005年10月、北京の高層住宅に法輪功の資料を配布していたところを警官に連行され、その後、懲役2年の実刑判決を言い渡された。同年末には、唐山女子労働教養所に移送されたが、3カ月後には健康状態が著しく悪化し、生命の危機が迫ったため、一時釈放となった。王さんは、北京派遣事務所、団河病院、唐山女子労働教養所に拘束されていた期間中、繰り返し内容不明の薬物を強制的に注射された。

　その後、王さんが明慧ネットに掲載された、薬物迫害に関する記事を読んだ時、自身の体に現れていた諸症状が、薬物による迫害の典型的な反応と一致していることに気づいた。特に、定期的に毒薬の反応が身体に現れ、その中でも足と腿の深刻な潰瘍が顕著で、慢性的な微熱にも悩まされていた。2011年9月、王さんは亡くなった。

　十五、田世臣さんは毒殺された疑い、火葬後の骨は赤色

田世臣さん

　田世臣さん（当時31歳）は、2007年に中国農業大学を卒業後、北京福田自動車の海外事業部に就職した。アフリカに駐在する間、現地で出会った中国人に法輪功迫害の実態を伝え、チャイナタウンでDVD資料を配布するなどの活動を行っていた。また、海外のメールアドレスを用いて、友人や同僚に迫害の実態に関するメッセージも送信していた。2011年11月、田さんがナイジェリアのチャイナタウンで友人に法輪功迫害の実態を語ったことが原因で、中国領事館および中共国家安全局による密かな調査・監視の対象となった。

　同年12月29日、田さんが帰国したその日に、中共当局によって直接北京の福田自動車会社へと連行された。およそ3時間半から4時間にわたる尋問の末、中共関係者は田さんに次の二つの選択肢を突きつけた。一つ目は、法輪功をやめて、法輪功の書籍や資料、パスポートを提出し、毎日中共機関に反省文を提出するよう要求した。二つ目は、会社を辞職し、今後、福田自動車とは一切関係のないことになる。ただし、会社は田さんの身の安全を「24時間以内」に限って保証することができ、早急な退社を強要された。田さんは辞表を提出するとともに、中共組織からの脱退を表明した。翌日の12月30日正午、山東省の実家に戻った。

　そのわずか2日後、2012年1月1日午後より、田さんの体に異常が現れた。発熱、四肢の脱力、嘔吐、下痢といった症状が現れ、次第に悪化した。発症から6日目には皮膚や粘膜が黄色く変色し、尿も黄色に変わった。そして、発症から16日目にあたる2012年1月16日、田さんは原因不明のまま死亡した。火葬後、骨は赤色を呈していた。これは、中共スパイによる薬物投与による死亡の疑いが極めて高いと考えられている。

　十六、臨沂市の銭法君さんは、省第二男子労働教養所で薬物を注射され死亡

銭法君さん

　銭法君さん（当時44歳）は、山東省臨沂市臨港区荘崗鎮東演馬村の村民である。2000年末、法輪功の無実を訴えるため北京に行ったが、莒南駅で連行され、地元に戻された。その後、警官により頭髪を掴まれて壁に叩きつけられ、両手を手錠で縛られ、ゴム棒や四角い木棒で殴打され、スタンガンで電気ショックを与えられ、平手打ちや吹雪の中で凍えさせるなどの拷問を受けた。その後、銭さんは窓から逃げ出した。

　2003年2月17日、銭さんは再び連行された。翌日、2年間の労働教養を科され、山東省第二労働教養所に送られた。その期間、銭さんは暴行、吊し上げ、長時間の睡眠剥奪、小さい椅子に長時間座らされ、不明な薬物の投与、独房監禁、複数のスタンガンによる電気ショック、無理やり灌食、強制労働などの残酷な迫害を受けた。

　2011年9月23日、銭さんは臨沂市の洗脳班に連行された。洗脳班の責任者・蘇偉らは銭さんの四肢を拘束し、薬物を強制的に投与し、暴行を加えた。その結果、銭さんは歩けなくなり、トイレに行くのにも人の助けを必要とするまでに衰弱した。

　2011年10月28日、銭さんは再び連行され、1年間労働教養を科され、山東省第二男子労働教養所に拘禁された。労働教養所の隊長・王新江は受刑者に命じ、担架に載せられた銭さんを倉庫に運び、暴行を行わせた。銭さんは断食して迫害に抗議し、長期間にわたり灌食された。その際、教養所の医師は、灌食チューブを挿入する時、意図的に上下に抜き差しして銭さんを苦しめた。ある日、銭さんは警官によるチューブ挿入により気絶した。

拷問のイメージ図：無理やりに灌食する

　残酷な迫害により、銭さんは頻繁に痙攣を起こし、ベッドから落ちることも多く、失禁の症状も見られるようになった。生命の危機が迫る中、八三病院に搬送され、そこで数回にわたり内容不明の薬物を点滴された。

　2012年1月14日、すでに自力で生活できない状態にあった銭さんは、自宅に戻された。その後、健康状態はさらに悪化し、夜になると全身に耐え難い痛みが走った。八三病院で右足から注入された薬物の部位は深く潰瘍化し、ついには寝たきりの状態となった。2013年4月17日、銭さんは亡くなった。

　十七、膠州市の王維和さんは市精神病院で薬物による被害

　王維和さんは山東省膠州市馬店鎮禄家村の出身。2000年2月10日、王維和さん一家は再び法輪功の冤罪を訴えるため北京に行ったが、連れ戻されて村委員会に監禁された。鎮の副書記・王学浩が車で村にやって来て、村の書記・董鳳崗と共に、まず娘の王苹さんを隣の部屋へ連れ込み、戸を閉めて暴力を振るった。その後、王維和さんと娘は馬店派出所に連行され、それぞれ別々の部屋に監禁されて暴行を受けた。王維和さんは殴打され意識不明となり、村委員会に連れ戻されて監禁され、6日間飲食ができず、呼吸も困難な状態だった。7日後、王維和さんは再び馬店派出所に連行され、引き続き拘禁された。3カ月後、王維和さんは妻の法秀芳さん、娘の王苹さんと共に膠州市精神病院に送られた。

　王維和さんは精神病院に送られた後、すぐに注射を一本打たれた。妻は一階に、娘は三階に拘禁された。王維和さんが煉功を行っているところを医師の楊成超に見られ、足蹴にされて倒された。その後、楊成超は王維和さんを床の上に蹴り倒し、さらに王維和さんの足を引っ張って部屋からロビーまで引きずり、またロビーから部屋へと引き戻したあと、ベッドに縛り付けた。暴行を加えた後に一本の不明な薬物を注射し、さらに殴り、その後また注射を打つという拷問が繰り返された。一晩のうちに、王維和さんは計7本の注射を打たれた。3日目、王維和さんは目を覚ましたが、体が動かず、口から泡を吹き、言葉もはっきりせず、布団すらかけられず、失禁する状態であった。その後、精神が衰弱し、数年後に亡くなった。

　十八、済南市の劉兵歓さんは、精神病院で薬物迫害により死亡

　劉兵歓さん（38歳女性）は2021年12月30日、済南市魏家荘派出所の警官により連行され、後ろ手に手錠をかけられ、暴行を受けるなど、厳しい尋問に晒された。暴力を受けて耳の皮膚の一部が剥がれたという。

　翌12月31日の夜、劉さんは釈放されたが、迫害を避けるため、広東省清遠市に行った。しかしその後、清遠市陽山県公安局国保の警官にマークされることとなった。

　2022年6月14日の午前、劉さんは陽山県公安局国保および城北派出所の警官により連行された。派出所に2日間不当に拘束された後、さらに5日間の拘留処分を受けた。身体の健康状態が悪かったため、その日のうちに解放された。

　2024年9月29日の夜、劉さんは再び陽山県公安局国保と派出所の警官により、自宅の鍵を壊されて押し入られ連行された。そして陽山精神病院に拘束されて「鎮静剤」と称する薬物を何度も注射された。

　その後、陽山県公安局は虚偽の供述調書を捏造し、劉さんを清遠市清新区の拘置所にへ移送した。そこでは血圧が200mmHgを超えていたことが判明したにもかかわらず、さらに清遠市第三人民医院（精神病院）に移送され、注射や点滴による不明薬物の投与が続けられた。不明薬物の投与により、劉さんは一時的に記憶を失い、精神が錯乱し、表情が虚ろになるなどの症状が現れた。

拷問の再現：不明薬物を投与される

　2024年10月3日深夜11時、劉さんの弟は、済南市公安からの電話を受け、姉の退院手続きのために来院するよう求められた。弟が市第三病院に駆けつけた時、劉さんは迫害により衰弱しきっており、体調も著しく悪化していた。警官らは劉さんを「自宅監視下」に置き、「お前の案件はまだ終わっていない、今後また呼び出すことになる」と脅した。

　劉さんは精神病院で注射を打たれた後、体調は次第に悪化した。その後、生活全般に支障をきたすまでに衰弱し、今年7月28日に亡くなった。

　結び

　本文は、明慧ネットに掲載された山東省の学習者が薬物によって毒害され死亡した事例の一部を挙げたものである。実際の迫害の悲惨な実態は、公開されたこれらの事例にとどまらず、はるかに深刻である。中共は学習者に対する薬物迫害の手段を、20年以上経った今日に至るまで継続しており、同様の手法は、異見を持つ者や、政権にとって潜在的な脅威と見なされる人物に対しても用いられている。

　（完）