文／中国の大法弟子　　

　【明慧日本2025年10月5日】私は、幼い頃から祖母と一緒に大法を修煉してきました。師父は『轉法輪』の中で「殺生」と「肉食」の問題をそれぞれ1つの節として説かれています。また、同修との交流の中で、家の食事作りを担当していながら殺生の問題に注意を払わず、旧勢力に隙に乗じられ迫害を受けた同修がいた、ということも聞きました。私たちは一貫して「殺さず、飼わず」（『轉法輪法解』「広州での説法の質疑応答」）という原則に従ってきました。私は祖父母と一緒に生活しており、肉はあまり食べず、生きた鶏などを買うことはさらにありません。そのため、ずっとこの問題は自分から遠いものだと思っていました。ところが、今年の春節（旧正月）の経験を通して、殺生と肉食問題とは関連しており、さらに「食べる」ということの背後には多くの人心が隠されているのだと悟りました。

　きっかけは、春節に大叔母（おおおば：父の弟の奥さん）が私たちを訪ねてきたことでした。大叔母は沿海都市の出身で、料理の腕前がとても優れています。伯父が、めったに見られない大きな魚を2匹送ってきました。魚が家に届いた時、箱の長さは人の背丈の半分以上もあり、1匹が7、8歳の子どもほどの大きさで、しかも2匹とも生きていました。魚が時々バタバタともがき、暴れる音を聞いて、私はとても怖くなりました。祖母は「魚を袋の中で自然にまかせて、私たちは殺生しないでおこう。魚が自分で命の終わりに至るまで待ちましょう」と言いました。

　年の瀬が近づく頃、大叔母は新鮮な海鮮を買いたいと言い出し、必ず生きているものがよいというので、生きたエビを1袋買ってきました。私はまた、生き生きと跳ねていたエビが我が家で命を落としていくのを目の当たりにしました。常人の見方では、正月にはご馳走を食べるものです。しかし私の家では、普段の質素な食事でも私の成長に何ら影響もありませんでした。祖父母は80、90代という高齢になっても、依然として健康で、気力も充実しています。

　煮込みスープの香りがあたり一面に広がり、普段はめったに口にしない魚や肉料理は、間違いなく大きな誘惑でした。さらに、大叔母は毎食の食べ残しをすべて捨ててしまうので、私たちはそれが忍びませんでした。そのため、少しでも料理を捨てずに済むようにと、私は毎回お腹いっぱいになるまで食べ、ほとんど普段の2倍の量を食べていました。

　大叔母が大晦日の前後に家に滞在していた数日間、私は毎晩、胃が張って落ち着かずにいました。食い意地の張った執着心が、すでに引き出されていたこと、まして胃が自分に警告を発していたことにも関わらず、全く気づきませんでした。しかも食べているときは、ただ魚のスープがおいしく、栄養があるとしか感じず、食材が生きていたときに最後にもがいていた姿など少しも思い出しませんでした。たとえ自分の手で魚を殺してはいなくても、魚は私たちのために死んだのです。実際には2匹の魚を全部食べきれるわけもなく、人にあげることもできたし、そもそも食べない、あるいは少なく食べるという選択もできたのです。私は「食べずに捨ててしまうことこそが魚の命を本当に尊重しないことだ」という口実をつくり出し、気づきにくい心の変化が起きてしまいました。それは「こんなに貴重で美味しい食べ物なのだから、もっと食べなくては」という思いに変わっていったのです。食い意地の背後には、実は利益の心が働いていたのです。肉を食べることに限らず、貴重な食べ物と普通の食べ物があれば、より貴重な方を優先して食べようとする、根本的にはそれも利益の選択であり、欲張りもまた利益心の1つの表れなのです。

　主観的にもっと美味しいものを食べたいと思うのは、根本的にやはり「情」に支配されているのです。何を好んで食べるのか、何が嫌いで食べないのかは、お腹を満たし、口の欲を満たすためだけのことではありません。常人ですら、好き嫌いをすることが栄養の偏りにつながり、ある種の食べ物を食べすぎたり、逆にほとんど食べなかったりするのはいずれもよくない、ということを理解しています。

　当年、釈迦牟尼が弟子たちと托鉢をしていたとき、人がくれたものを何でも食べました。済公（ジーゴン）も、どの食べ物に対しても執着を持つことはありませんでした。

　『師父を偲ぶ』を聞く中で、ある同修が師父と共に法を伝えていたときのことですが、師父は食事に対して一度も不満を言ったことはありませんでした。あるとき、師父は同修の残したインスタントラーメンを食べたこともあります。また別のとき、同修が持参した饅頭にカビが生えているのを見つけ、食べるかどうか迷っていたところ、師父は手で饅頭のカビを拭き取り、普段どおりに食べました。それを見て、皆も師父にならって饅頭のカビを拭き取り食べるようにしました。

　多くの同修は、貪欲な食への執着という関を、法に触れ始めたときからすでに乗り越えています。家での食事は元々こだわっていないのですが、しかし時には、他の家の美味しい料理を内心で羨ましく思い、おそらくこれは自分が注意しなかった小さな心の隙です。それによって、些細な、執着にはならないと思っていた観念が、やがて大きな関難へと変わってしまいました。

　私は正月の5日目になって、ようやく事の深刻さに気づきました。その日、大叔母（母の姉）の家に食事に行ったのですが、大叔母は料理がとても上手で、料理の基準も非常に高い方です。彼女は私の母が大晦日に持ってきた煮鶏は、一部を食べ、半分は今まで残しておいたのは、私に食べさせたいと言いました。それを聞き、私はとても感動しました。大叔母と母が午前中かけてこれほど多くの豪華な料理を準備しているのを見て、私は泣きたい気持ちになり、同時に、叔母家では毎日こんなに美味しいものが、食べられることをうらやましくてたまりませんでした。普段、こんなに美味しいものを食べることはありません。一時的に貪欲な気持ちが起こり、同時に感謝の心もあったため、昼食では料理を食べすぎてお腹がいっぱいになり、夜になってもまだ満腹感が残り、胃が張って、ちょっと押しただけで吐き出してしまいそうなほどでした。叔母たちが夕食を食べる頃には、私はもちろん食べられず、水さえ一口も飲めず、さらにお腹はますます張っていきました。立っても座っても吐きそうな苦しさでしたが、実際には吐けず、何度も試した後、ひっきりなしにげっぷが出始めました。「家に帰りたい」と私は言いました。

　帰宅途中、私は苦しさの極みに達していました。げっぷのせいで息が吸えず、吐くしかなく、お腹はまだ張っていました。家族はこの様子を見て、私を病院に連れて行こうとしました。私は「大丈夫」と言いたかったのですが、声が出ず、言葉も発せませんでした。途中、新年期間でほとんどの診療所が早く閉まっており、結局家まで送ってもらうしかありませんでした。

　家に着くころになって、ようやく少し落ち着きました。母は私に消化の胃薬を飲むように言いましたが、家にはそもそも薬がないことは分かっていました。家に入ると、祖母は正念を発していました。私は、さっきどれほど苦しかったか、どれほど危険だったかを必死に話そうとしましたが、祖母は聞きたがりませんでした。そこで、自分で『轉法輪』第七講の「肉食の問題」という小節をじっくり読みました。座ったままひっきりなしに吐き気があり、仕方なく横になりました。夜までずっと吐き気は続きましたが、何も吐き出すことはなく、ただ苦しくて意識が朦朧とするような状態でした。それでも、意識はしっかりしていました。

　私は、修煉者として今日の自分の行いが本当にひどかったことを自覚しました。肉を初めて見たわけでもなく、何日も飢えていたわけでもないのに、常人の食事の美味しさを羨ましく思い、まるで自分が可哀想な存在のように感じてしまったのです。その羨望の背後には「私」という観念があり、私利私欲の偽りの自己が存在していました。本来、食欲旺盛なわけではないのに、食べ物の前で誘惑に負けてしまい、これは「忍」ができていなかったということではないでしょうか。こうして内に向け非を探した後、眠りにつき、ようやく苦しさを感じなくなりました。

　旧暦の正月15日前まで、私は他の親戚の家に食事に行くことはせず、祖父母と一緒に家で正月に余ったさまざまな食材の処理をしていました。この間、体調に全く問題はありませんでした。正月15日の前後には、遠い親戚が旅行で私たちのところに来ました。私はその家族を一日中案内し、夜はとても疲れました。家に帰ると、祖父母が小米粥（きび粥）を煮てくれました。私はあまり主食を食べず、自分の碗に少し胡椒や調味料を加えてみたところ、とても美味しく感じたので、少し多めに飲みました。しばらくすると、また前回と同じようにお腹が張り、夜までひっきりなしに吐き気が続きました。深夜の12時に正念をしばらく発した後、ついに我慢できず、激しく嘔吐し始めました。吐き出されたのは水だけで、頭はくらくらして目まいがしました。夜から明け方まで、数10回も嘔吐が続きました。最初は水、その後は苦い液体、おそらく胆汁で、さらに吐き続けるうちに苦味の強さは次第に薄れていきました。祖母も一睡もできず、私が嘔吐する音を聞きながら夜明けを迎えました。

　翌日、祖母が私の代わりにゴミを捨てたところ、ゴミ箱いっぱいがまるで水のような薄い色の胆汁でした。しかし、体のどこも痛むことはなく、ただ全部吐きしただけでした。その後の2日間は何も食べず、3日目にスープを一杯飲み、4日目からは通常通り食事を始めましたが、その間、体調の不快感もなく、空腹感もありませんでした。私が食べた悪いものを師父が全部取り除いてくださり、貪食の執着心を修めるのを助けてくださったのだと思います。その後は、完全に普通に食事ができるようになりました。

　しかし、私はこの深刻な教訓を忘れることができません。今後、どんなに空腹であっても、自分に言い聞かせなければなりません。食事の目的はただお腹を満たすことであり、美味しくないものや好まないものに直面したときでも、すべての食べ物は天から与えられたものであり、すべて同じで、お腹を満たすためにあるのだと自覚しなければならない。そのため、好き嫌いをしてはいけないのです。

　以上は、私が「食べること」への執着心についてのささやかな体験です。その背後に隠れていた、自分でも気づかなかった利己心「情」に支配された心、私利私欲の心、十分に修めていなかった慈悲心、そして「善」や「忍」を果たせているかどうかを振り返りました。師父のご加持に感謝いたします。

　個人のレベルには限りがあり、不適切な点があれば、同修の皆さまに慈悲をもってご指摘いただければ幸いです。