　【明慧日本2025年10月11日】どの社会でも高齢者は、尊重され、大切にされ、優遇されている。通常の社会では、高齢者は政府から特別な配慮と優遇措置を受けるだろう。しかし、中国共産党（以下、中共）は高齢者への迫害を容赦なく行なっている。

　山東省の刑務所で、特に法輪功学習者（以下、学習者）を迫害する第十一監区には、百人以上の学習者が収容されており、彼らの平均年齢は72歳である。

　これらの学習者は、毎日、真・善・忍の法輪大法への信仰を捨てるよう強要されている。「転向」を拒否した学習者は、毎日、座布団を敷くことを許されず、非常に硬い小さな椅子に座り続けることを強いられる。一日中そこに座り続け、立ち上がって体を動かすことは許されない。

　長年にわたって座り続けるため、お尻がひどく痛み、腰や肩、全身が凝って痛んでも、立ち上がって体を動かすことは許されない。夜間の睡眠時間も少なく、長年の積み重ねで身体へのダメージは非常に大きい。

　人体科学や中医に詳しい者なら知っているだろうが、人が一日中座りっぱなしで活動しないことは身体に害を及ぼす。ましてや、非常に低い小さな硬い椅子に座り続け、全身の重みが基本的に尻の二点に集中している状態だ。ほとんど全ての者が、入浴時に尻に黒ずんだり紫がかった大きな円形の痣を確認できる。これは、座り続けたことでできた圧迫痕である。

中共による拷問のイメージ：小さな椅子に長時間座ること強制される

　今年6月から7月にかけて、90歳の劉学参さん、85歳の王志耕さん、87歳の郭良泰さんを含む、4人以上の80歳を超える高齢の男性学習者が、山東省刑務所に送られて迫害を受けた。

　今年6月25日、山東省濰坊市濰城区の90歳の学習者・劉学参さんが、悪質な警官によって山東省刑務所に連行され、学習者を専門に迫害する第十一監区の6階南区にある、監視カメラのない部屋に収容された。

　90歳の劉さんは、毎日、小さな椅子に座って、いわゆる「転向ビデオ」を見るよう強制され、小さな椅子に座る一回の時間は20時間ほどに及んだ。トイレと食事以外は、立ち上がって体を動かすことは許されなかった（トイレに行く回数も制限された）。3～4時間の睡眠時間以外は、ずっと小さな椅子に座ることを強制された。

　山東省刑務所第十一監区の実態

　山東省刑務所は、省管轄の男子刑務所である。その第十一監区は、刑務所のいう「教育監区」であり、学習者を専門に迫害するための監区となっている。

　そこには100人以上の学習者が不当に収容されており、彼らを「転向」させるための看守役として、40人以上の刑事犯が刑務官によって配置されている。また、刑務所の教育番組を制作する役割の受刑者9人（彼らは「転向」とは無関係）もいる。

　第十一監区は、収容している学習者の高齢化に気づき、全員が高齢者であること、80歳以上の者が20人以上いることを把握した。彼らの年齢は、刑務所の「老齢障害者チーム」（労働に参加できない高齢者や障害者の監区）の年齢をはるかに超えているため、監区内の全学習者の年齢を独自に集計した結果、平均年齢が72歳であることが判明した。

　このことは監区の職員全員が知っており「転向」の強制を指示された受刑者たちは学習者が高齢であることを知っており、嘲笑していた。

　監区の「管理」は非常に厳しく、学習者には部屋から出ることを許さず、他者との交流も禁止している。

　第十一監区の一つの居室には、通常6〜7人が収容されている。内訳は、いわゆる組長（刑事犯で、学習者を専門に迫害する役）、包夾（パオジア、組長を助けて法輪功を迫害する役）、そして4〜5人の学習者だ。

　一般の刑事犯は、新しく入所すると集訓隊に送られて訓練を受ける。一方、習者は集訓隊には行かず、直接第十一監区に送られて、いわゆる「転向」（実際は肉体的な拷問や精神的な破壊による迫害）を受けることになる。

　いわゆる「五書」（決裂書、認罪書、悔過書、暴露批判書、保証書など）を書いた学習者のうち、比較的若い者（通常60歳以下が若いとみなされる）で、労働ができる者は、労働監区に分けられて作業に就かされる。現在、すべての労働監区では衣服が製造されている。

　第十一監区の構造と迫害の実態

　第十一監区は現在、刑務所内の明徳楼の5階と6階にある。

　5階：いわゆる五書を書いた者が収容されている（書いたとはいえ、心からのものではなく、真に「転向」した者はほとんどいない）。

　6階：五書を書いていない者が収容されている。第十一監区に残っている比較的若い学習者は、基本的に五書を書いていない者たちだ。

　一部の人は、「それなら第十一監区のほうが良いのでは？」と思うかもしれない。しかし、実際は、毎日お尻が痛くなる小さな椅子に座らされ、立ち上がることを許されず、まともな睡眠も取れない状況は、肉体労働よりもはるかに苦痛だ。しかも換気できず、日光にも当たれないため、身体への慢性的な破壊は非常に激しい。

　法輪功迫害の責任者である監区長は鄭傑という人で、迫害の手口に非常に長けている。彼は、苦痛を与えつつ、かつ事件化しないように（迫害後に検診しても傷が見つからず、証拠を掴みにくいように）迫害する方法を知っており、部下に迫害を実行させ、自分は「知らないふり」をする。第十一監区では、受刑者が学習者を迫害し、警官は知らないふりをして、直接迫害に手を下さないのが手口である。

　迫害の歴史と犠牲者

　1999年7月に中共が法輪功への迫害を開始して以来、山東省刑務所はここに不法に収容された学習者を積極的に迫害し、第十一監区を設立した。この監区は、刑務所の中でも学習者を迫害する最も邪悪な場所だ。

　「転向」という邪悪な目的を達成するため、殴打、罵倒、体罰、虐待、小さな椅子へ座ることを強制、長期にわたる睡眠剥奪など、残虐極まりない迫害手段が用いられてきた。

　山東省淄博市の学習者・王忠実さんは、2021年11月に山東省刑務所第十一監区に送られ、「転向」を拒否した結果、2024年7月22日に迫害により死亡した。享年71歳だった。