文／ルーマニアの大法弟子

　【明慧日本2025年10月21日】最近、私は一度きりの厳しい試練を経験しました。その間に、私は貴重な悟りを得ました。かつてない身心の質的変化を経てから、振り返ってみると、私は深く感じました。どんなに努力しても、師父への感謝の気持ちを人間の言葉で表すことはできません。また、師父が常に私たちを慈悲深く守ってくださっていることへの感謝も、言葉では言い尽くせないのです。

　生死の試練の始まり
　この試練は、学法のときに得たある悟りから始まりました。私は気づきました。「真・善・忍」の基準に従って自分を律しているつもりでも、実際には行動の一部だけを選択的に変えていただけで、すべてを変えてはいなかったということです。行動の中には、利己的な動機が隠れており、「他人を罰する」という負の念（悪念）が含まれていました。

　しばらくして、私は初めて心臓に関わる消業反応を経験しました。夜になると心拍が激しくなり、死の感覚が非常に現実的に感じられました。まるで心臓がいつ止まってもおかしくないかのようでした。

　私はこれが自分への試練であることを理解しました。自分が本当に修煉者であることを認識できるか、これが病気ではなく、虚像であると信じられるかどうかを試されているのです。揺らいだり疑ったりして、資料を調べたり検査を受けたり、「自分は何の病にかかったのか」と知りたがったりするかどうかが問われているのです。

　以前ある交流文章を読んだ時と同じでした。「病気なのではないか」という一念が動いただけでも、一連のさらに厳しい試練を招き、さらには修煉を放棄したり命を失ったりすることさえあります。もし最初の一念が正しければ、結果はまったく異なるのです。しかし、このような虚像は往々にして非常に強いものです。こうした関を突破するには、師父に対する絶対的な信じる心が必要なのです。

　私の場合、心臓が次の瞬間にも止まりそうだという感覚があり、その虚像はあまりにも強烈で、最初のうちはまったく否定しようという気さえ起きませんでした。

　挑戦の中での内省
　その後、何夜にもわたって、私は苦しいもがきの中にいました。夜になると、誰かが私の主意識を体から引きずり出そうとしているように感じたのです。私は叫び声をあげながら目を覚まし、必死に自分が「外へ弾き出される」ことを拒みました。時には、目覚めたときに心臓がもう止まってしまったのではないかと感じることもありました。別のときには、目覚めても自分が誰なのか、どこにいるのかまったくわからず、ただ師父のお名前だけをかすかに思い出すのです。混沌とした記憶の中で必死に師父の名前を正しく唱えようとし、それが正しく唱えられた瞬間、私は静けさを取り戻すことができました。

　ある夜、私はまた突然目を覚ましました。脳の中で、まるで誰かの声が響いてくるのです。「おまえは死ねるのか？　死ねるのか？　今、死ねるのか？」その声はだんだんと強くなっていき、ついに私は答えてしまいました。「私は死んではならない。死ぬのが怖いから」私はこれまで、自分はすでに生死を放下していると思い込み、そのことに少なからず満足していました。ところが、いざ、この関を前にして越えられなかったのです。その事実は、私に大きな衝撃を与えました。

　振り返ってみると、まさにそこに問題がありました。私は「もう一度生死の関を乗り越える」ことで、自分がよく修めていることを証明したいと思っていたのです。その考え自体が、すでに一種の執着だったのです。

　内に向かって探してみると、私はこの世のことにまだ多くの未練を抱えていることに気づきました。私が死にたくないと思った本当の理由は、衆生をまだ救い尽くしていないからではなく、家庭や親族の情への執着が残っていたからでした。

　師父は『精進要旨』の「修める者の忌」の中でこうおっしゃっています。「親族の情に執着するならば、必ずそのために疲れ、まとわり付かれ、魔がさし、情の糸をつかんで一生をかき乱されるのですが、年を取って、悔いてももう遅いのです」

　師父の法を思い出し、私はできる限り理智を保ち、法に集中しました。自分にこう言い聞かせました。「私はこの世に使命をもって来たのだ、その使命を果たさなければ去ることはできないのだ」同時に、私は悟りました。「自分には、修煉環境を守り、常人が大法に対して抱く信念を維持する責任もあるのだ」もし私がこのまま去ってしまえば、そのどちらにも良くない影響を与えてしまいます。旧勢力は、私の修煉上の漏れを利用して、身近な人たちを試し、彼らの正信を弱め、さらには彼らをも滅ぼしてしまうかもしれません。

　同時に、私は自分の顕示心にも気づきました。私はずっと、同修の中で道理を最も明確に、最も論理的に伝えたいと思っていました。認めてもらいたい、尊重されたいという欲望があり、多くの行動はこのような執着に駆られて行われていたのです。

　旧勢力が「逃げ道はない」と暗示してくるのを感じ取ることがありましたが、私はその手配を断固として否定しました。私は固く信じていました。「真心で修め続けさえすれば、旧勢力のたくらみなど形だけのものとなり、私は決して旧勢力に利用されて他人を害するようなことはない」

　脈を取ることへの執着
　この時点で、心臓の症状は多少和らいではいたものの、依然として続いていました。すると新たな心配が湧き上がってきました。今回生死の関を越えられないのではないかという心配でした。これまでと違って、以前なら一つの堅固な正念を持っているだけで症状が消えていたのに、今回はその状態がずっと長引いていたのです。

　私は自分の脈に注目し始めました。するとすぐに悪い習慣がついてしまい、脈が高めになるとすぐに恐怖を感じるようになりました。ある夜には、ついにインターネットで「脈拍正常値」や「脈拍が高すぎるときの危険性」を調べてしまったのです。

　これがまた、新たな妨害の通路となってしまいました。そこから別の念が湧き上がってきたのです。「私はもうすぐ50歳になる。ちょうど父が心臓発作を起こし、心臓の問題が現れた年齢だ」さらにその念は、こう私に思い出させました。同僚の一人もこの年齢で心筋梗塞を起こした、知り合いの女性は脳卒中になった、もう一人は眠っている間に心臓が突然止まったなどなど。そうした考えが次第に私の中に疑心を流し込み始めました。「法輪大法は本当に健康を改善できるのだろうか？　本当に『死を乗り越える』ことができるのだろうか？」

　この間、私は少し体を動かすだけで胸のあたりが痛みました。そのたびに、あの疑問が繰り返えされたのです。「法輪大法は本当にあなたを救っているのか？　本当にこの現実を突破し、死を克服できると信じているのか？」

　しかし同時に、このような状態の中にあっても、私の心の奥には常に一つの強い念がありました。「大法は私を救える」

　師を信じることを学んだ
　この期間、夫が私にこう尋ねました。「あなたは心の中で師父に助けを求めたことがあるの？」そのとき初めて、私は自分がそうしていなかったことに気づきました。助けを求めるという考えさえ、これまで一度も浮かばなかったのです。

　私は自分の心の奥深くに、ある観念が根づいていることに気づきました。もし自分の修煉がうまくいかず、生死の関を越えられないなら、それは自業自得であり、師父は私を救ってくださらないだろう、と考え、つまり「基準に達した」弟子だけが師父に見守られると思い込んでいたのです。

　このことに気づいたある夜、私は激しい胸の痛みで目を覚まし、頭の中に突然三つの文字が浮かび上がりました。「信師父（師父を信じる！）」

　確かに、この魔難の中で不思議なことが起こっていました。ほとんど一晩中眠れず、体は極度に弱っていたにもかかわらず、仕事の効率はむしろ顕著に上がり、これまでのどんな時よりも高くなっていたのです。

　さらに多くの執着を見つける
　まもなく私は決心しました。「もう脈を取らない、心臓の反応にも注意を向けない。たとえ身体がどうであっても、私は修煉を続けるのだ」夜、眠れないときには起き上がって法を学び、正念を発し、煉功をしました。そして「もしこれが迫害であるなら、私は正念を発してそれを取り除く！」

　こうして、私の心は次第に落ち着きを取り戻しました。そこで私は考え始めました。「なぜ心、体の中心だけがこれほど多くの苦しみを受けているのだろうか？　もしかすると、私にはまだ強い執着が残っているのではないか」

　私は悟りました。私の修煉状態は心臓の状態と直接関係しており、私の世界にいる衆生ともつながっているのです。この次元の空間では、心臓の異常は単なる警告であり、私に精進を促すためのものでした。自分の心や衆生をこれ以上苦しめないためには、より着実に修煉に励まなければなりません。

　また、私は自分の思考の奥底に「恐れ」が満ちていることに気づきました。この恐怖は日常の細かいところにまで浸透しており、心拍の速まりとしてさえ現れていました。その時から、私は真剣に恐怖心を修め去ることを始めたのです。

　総じて、私はこう体悟しました。情、顕示心、恐れの心、傲慢、悪念、利己的な考え、負の思考……これらはすべて私の心と関係しており、それらが私の心を「殺そう」としているのです。これに気づいたとき、私は、修煉を通じて、心は回復できるのだ、と理解しました。しかしそれでも、私の心にはまだいくつかの迷いが残っていました。この苦しみは果たして「試練」なのか、それとも「迫害」なのか。私はまだ完全には区別できていなかったのです。

　そのとき、奇跡が現れました。

　転機が訪れる
　その日、私は同修と一緒に、毎週行われる集体学法に参加しました。学法が始まった直後から、私の頭の中ではまるで「対話」が始まったかのように、いくつもの存在が絶え間なく問いかけてきました。

　最初、それらはこう尋ねてきました。「あなたは生死の関を越えられないのでは？　死ねるの？　死ねるの？」まるで私に「生死の関を乗り越えるには死ねることが条件だ」と思い込ませようと、執拗に迫ってきたのです。私はためらい、返事をしませんでした。

　すると、それらはさらに追い詰めるように質問しました。「死ねるようになってこそ、生死の関を乗り越えたと言えるんだ。死ぬ覚悟をしなければ……」それでも私は答えませんでした。

　やがて問いは変わりました。「あなたは師父を信じるんでしょう？　もし師父があなたに死ねと言ったら、あなたは死ななければならないじゃないか？」表面上は一見もっともな理屈に聞こえましたが、彼らはあまりにも「私を死なせようとする」という一点に執着していて、私は心の底でこれはおかしい、と感じました。

　私は自分に問いかけ始めました。「もしかして、もう師父を信じられなくなっているのでは？　あの揺るぎない信念を失ってしまったのでは？　もし本当に師父を信じていて、師父が本当に私がよく修めてないから死ぬべきだ、とお決めになったら、私はその決定を静かに受け入れられるだろうか？　師父の決定に平静に向き合えるだろうか？」これらの声が、ますます強く私の中で響いてきました。

　そのとき、まるで見えない力が突然私を静かにさせました。私ははっきりと悟りました。私が師父を疑っていたのは、死が怖かったからではなく、師父の按排を推し量ろうとしていたからだと、わかりました。私は、「師父は私を見捨てるだろう」「助けてくださらないだろう」と思い込んでいたのです。さらには「十分よく修められてないため、私が死んでも、師父は当然と思われるに違いない」とさえ考えていました。なんと恐ろしい念だったでしょう！

　その隙を突くように、旧勢力がささやきました。「見ろ、師父も昔、ほかの人を救えなかったじゃないか。あの人たちも結局死んだじゃないか」

　私はハッとしました。自分の信念がここまで揺らぎ、師父が自分を見捨てるかもしれないなどと疑っていたのです。

　その瞬間、私ははっきりと一つの光景を「見ました」。一人の少年が、まるで神韻のダンサーのような衣装を身にまとっているのです。私はすぐに分かりました、それは「かつての私」でした。今世の私は女性ですが、その少年は両膝をつき、両手を頭上に掲げ、その掌には光の玉がありました。それは彼が自らの生命を師父に恭しく捧げている姿でした。その瞬間、彼には恐れも、憶測も、ためらいもありません。ただ平安と、畏敬の念だけを感じていました。そして、すべての声が一斉に消え、ただ光だけが残りました。

　ちょうどそのとき、私が読んでいる『轉法輪』の次の段落の二つの文が雷鳴のように心に響き渡りました。「しかしこれはまだ頂点に到達したのではなく、修煉をまだ続けなければならないし、さらに前へ進まなければならないのです」

　私はその威力に打たれ、胸が震えました。直ちに悟りました。それは師父が、まさに私に直接語りかけておられるのだと！　この瞬間、師父は旧勢力の妨害を完全に解体してくださいました。旧勢力の声は押さえ込まれ、すべてが静寂に帰しました。

　その瞬間、私は強く感じました。師父は決して私を離したことがなかったのだと。私を守るために、師父は限りない苦しみを背負ってくださっていたのです。生死の大きな関を乗り越え、私は再び修煉を続けることができるようになりました。そのとき私は悟りました。旧勢力の「私を殺そうとし、他人を試そうとする」陰謀は確かに存在していたのだと。けれども、それらはすべて師父によって解消されていたのです。

　強大なエネルギーの流れが全身を貫き、私は家へ帰る道を歩きながら、生まれ変わったような感覚を覚えました。その瞬間、私はもう「心臓の問題が良くなるだろうか」とは考えませんでした。心の中にあったのは、ただ一つ、師父が再び私に修煉を続ける機会を与えてくださったことへの、深い感謝の念だけでした。

　結び
　いま修煉の中で厳しい試練に直面し、修煉をやめたいほど苦しんでいる同修がいることを知っています。旧勢力にすきにつけ込まれ、彼らの執著を利用して幻覚を見せられ、誤った道へと導かれてしまった同修のことも聞きました。そうした執著の多くは、旧勢力が長年にかけて人為的に強めたものなのです。

　今回の体験を通して、私は深く悟りました。私たちは決して屈してはならない。たとえそれが唯一の「現実」に見えるとしても、目の前の虚像を信じてはならない。私たちは、私たちを師父から引き離そうとするあらゆるものを決して信じてはならず、また師父が私たちを見放すなどと、絶対に思ってはならないのです。

　さらに最近、私は悟りました。これまで人を助けたり衆生を救ったりする中で行ってきた多くのことに、実は私心が混じっていたのです。私はうまくできた時に嬉しく感じました。なぜなら、自分が「得た」と感じたからです。自分が正しい側に立った、徳を積んだ、私はよい未来を得た、業力を消した、と思っていたからです。

　今では、これらの念がはっきりと見えるようになりました。それらはまるで外殻のようで、いま脱ぎ落ちつつあります。残ったのは、純粋な責任感だけです。ただ、自分が下界へ下りて来る前に立てた誓いを果たすために、すべきことをすることです。この変化は、最近しばらくの間、さらに修煉することにより生まれたものだと思います。

　かつて私は、法を得た当初に抱いていたあの熱い心を失ってしまったように感じ、苦しんでいました。しかし今、私は気づきました。あの心はまだ存在していたのです。以前よりも純粋で、荘厳であり、私の生命の根幹となっていました。もはや興奮や私心、得失の念はありません。

　この苦しい時期において、ルーマニアの同修をはじめ、面識のない海外の同修たちも、私の状況を知ると無条件に助けてくださいました。ある人は私のために正念を発し、ある人は一緒に学法をしてくれました。その支えに、心から感謝します。本当にありがとうございました。

　この経験を通じて、私はより深く理解しました。同修のどんな執著や疑心、長年放下できない心、あるいは彼らが非常に悪い状態に陥っていたとしても、たとえ旧勢力が彼らを利用して大法に背かせようとしていたとしても、私たちは彼らを支持し続けるべきであり、決して批評してはならないということです。これこそが師父が私たちに示してくださった慈悲の模範です。

　私は身をもって体験しました。師父はどんな時でも私たちを見放さず、常に弟子のために耐えてくださっています。師父の救いを妨げているのは、ただ私たち自身の思い・疑心・行いだけなのです。

　この魔難を経て、私は悟りました。私たちはまさに師父がご自身の手で植えられた蓮の花なのです。どうか自分を大切にしましょう。これが、今の私の体悟です。もし法にそぐわないところがあれば、どうか慈悲なるご指摘おねがいいたします。

　師父、ありがとうございます。
　同修のみなさん、ありがとうございます。