　【明慧日本2025年11月14日】アイルランド政府は最近、非常に重要な法律を可決しました。この法律により、同国は「欧州評議会による人体臓器の取引防止に関する条約（Council of Europe Convention against Trafficking in Human Organs）」の批准に向けて、さらに一歩前進することになります。人体の臓器に関わる場合、公共展示であれ移植であれ、本質的にすべての過程において本人の同意が必要です。（参考：https://www.irishstatutebook.ie/eli/2024/act/5/enacted/en/html）

　もし「人体標本展（Real Body Exhibition）」（日本で以前開催されたのは「人体の不思議展」）があなたの都市や国にやって来た場合、それがあなたの国や都市の法律に適合しているかどうかを確認するために、多くの建設的な方法を取ることができます。

　この確認は、国の政府レベルでも、市政府レベルでも行うことができます。ここで提案する手順は次の通りです。まず、あなたの国の司法大臣に手紙を書き、その展示会が国家および地方の法律や規制に完全に適合しているかを確認するための質問をいくつか提出します。

　司法大臣が必ずしもすべての質問に答えられるとは限りません。なぜなら、それが司法大臣の直接の担当分野ではない場合もあるからです。その場合、司法大臣はあなたに対して、保健大臣など他の政府関係者に問い合わせるよう助言するかもしれません。

　その際は、さらに継続的にフォローアップすることができます。質問をするということは、非難したり主張を突きつけることではなく、この問題に関わる多くの要素について人々の意識を高めることを目的としています。

　手紙を書くときや政府関係者と面会する際には、善意と敬意を持って質問をすることが非常に重要です。彼らに「どうすべきか」を指示する必要はありません。私たちが望むのは、彼らを助けることであって、防衛的な態度を取らせることではありません。

　以下は、一般市民が関心を寄せるいくつかの質問例です。これらをもとに、関係する国家および地方自治体の担当官に手紙を書き、「人体標本展」に関連するすべての法律条文の明確化を求めることができます。あなたが連絡を取った官員が必ずしも返答してくれるとは限りませんが、彼らにはあなたの質問を適切な担当者に転送して回答を求める義務がある場合もあります。

　この問題の重大性を踏まえ、手紙を書留郵便で送付することで、その手紙がより高い優先順位で扱われる可能性があります。

　以下はいくつかの提案事項（これに限りません）です。これらを関係機関に転送し、確認や説明を求めることができます。国や都市によって、政府機関や主催団体の要件が異なる場合があります。

【国家レベルで提出することを推奨する質問】

・「人体標本展」には何体の遺体が含まれていますか？

・それぞれの氏名は？

・各遺体には出生証明書がありますか？

・その出生地はどこですか？

・最後に確認された国籍は？

・出身国はどこですか？

・各遺体または身体部位に死亡証明書はありますか？

・どのように亡くなられたのですか？

・死因は何ですか？

・どこで亡くなられたのですか？

・貴省または他の政府機関は、これらの死亡証明書を保有していますか？

・遺言認証書（プロベート）の写しを保有していますか？

・貴省または政府職員は、これらの遺体に対して感染症検査を実施しましたか？

・これらの遺体の持ち主は、自身の遺体が国外へ搬出されることに同意していましたか？

・自身の遺体が皮膚を剥がされる処理を受けることに同意していましたか？

・自身の遺体が一般公開されることに同意していましたか？

・遺族または遺産執行人の氏名と住所は把握していますか？

・これらの遺産は展示会の収益から分配金を受け取っていますか？

・出身国の関係当局は、遺体の国外搬出に関する許可証を発行しましたか？

【市政府に対して提出を推奨する質問】

　現在、○○市で開催されている「人体標本展」についてお尋ねします。開催場所は○○（会場名）です。公益の観点から、「人体標本展」がX市のすべての法律、規則、および条例に適合しているか確認したく、以下の質問を提出いたします。

・展覧会の開催には消防許可証が必要ですか？
　- 必要な場合、すでに消防許可証は発行されていますか？

・展覧会の開催には公共責任保険が必要ですか？
　- 必要な場合、その保険契約はすでに締結されていますか？

・展覧会の開催には衛生および安全に関する許可が必要ですか？
　- 必要な場合、すでに衛生・安全許可は発行されていますか？

　多くの人は、死体を展示することは死者の尊厳を侵害すると考えています。特に、死者本人の明確な同意が得られていない場合や、遺体の出所が十分に明らかでない場合には、その懸念が一層強まります。一部の遺体は中国の死刑囚や失踪者のものである可能性もあり、これらの死刑囚が自らの遺体を展示に使用することに同意していたかどうかは、極めて深刻な倫理的問題です。

　展示の主催者側は通常、「すべての遺体は合法的な手続きで入手した」と主張しますが、それでも観覧者が疑念を抱くのは避けられません。また、こうした展覧会が遺体を“商品化”しているとの批判もあります。つまり、死者の遺体を娯楽や消費の対象として扱っているというものです。特に、展示内容がエンターテインメント性やスリル（恐怖感）を強調するものである場合、倫理的な嫌悪感をさらに引き起こすおそれがあります。

【文化的な参考】

　古代においては、死者の遺体・遺品・埋葬の場はすべて神聖なものとされていました。それに対して不適切な行為を行うことは、死者への不敬とみなされるだけでなく、不幸や災厄を招くと考えられていました。

　そのため、「死者は大なり（死者を最も重んじる）」という言葉があり、人々に対して死者の安寧を乱したり、社会の葬礼規範に反することを戒めています。中国の倫理観では、「入土為安（にゅうどついあん）」という言葉が「死者為大」と並んでよく使われます。それはなぜかというと、人が亡くなると陽気が消え去るため、できるだけ早く葬ることで、死者が安らぎを得ると考えられているからです。死者に関する事柄を扱う際には、死者の福祉を尊重することが、死と生への畏敬の念を示すものであり、また生者と死者の境界を守ることにもつながります。生きている人々は、死者への敬意を通して、生命と宇宙の秩序への理解を表現します。そして、「大地（土）」は単なる埋葬の場所ではなく、生命と死の出発点であり、最終の安息の地でもあります。死者が土に還ることは、祖先の魂が土地を通じて子孫とつながり続けることを意味しているのです。