文／中国の大法弟子　　

　【明慧日本2025年11月23日】2001年のある日、家に電話を一本かけたことで居場所を特定され、外で一年近く流浪を余儀なくされていた私は、地元の公安局と法輪功迫害を専門に行う「610弁公室」によって強制連行された。

　その日、私を連行しに来た人の中に、病気で立っているのもやっとの者がいて、私はむしろ彼を支えてあげた。その後、来ていた人が彼を病院へ連れて行き、私はそのまま彼らに連れ去られ、市教育局の一室に監禁された。当時そこへ出入りしていた人たちがどんな身分・どんな役職であったかなど、私は気にも留めなかった。途中、部屋には公安局の背の高い警官（あだ名は「ヒョウ」）だけが残り、彼は狂ったように、革靴を履いた足で私の胸を滅多打ちに蹴りつけた。私は声をあげて叫んだ。人が入って来た時、ようやく彼は蹴るのをやめた。そして私は拘置所へ送られた。その夜、胸の痛みで床を転げ回り、その痛みはまさに心をえぐり、骨の髄まで突き刺さるようで、夜明けまで続いた。

　翌日一日休ませられた後、夜になるとまた国保大隊長らに呼び出され、拘置所から離れた偏僻な秘密部屋へ連れて行かれ、昼夜を問わず「車輪戦」での拷問と取り調べが始まった。小さな丸椅子に座らされ、休むことも許されなかった。最も若い警官が私に怒鳴りつけた。「言っておくが、こっちはあらゆる刑具を準備している。お前が白状しないなどと思うな！」その時、私は数日前に学んだ歌を思い出した。その歌詞にはこう書かれていた。「正信のため、初心を改めず。正信のため、拷問をも笑って越える！」そこで私は、静かに、しかし威厳を持って言った。「私は天胆（天の勇気）を持ってこの世に降りてきた。使える手は全部使ってみなさい。全部笑って受けてあげますよ」

　その後、誰が何を聞こうと、まるで自分とは無関係かのように、私はただ師父の法を力強く暗唱した。三日三晩そうしてようやく、彼らは私をその巣窟の牢屋から出した。当時の中国本土では、数えきれない法輪功学習者が信仰を放棄しないという理由だけで、同じような牢獄に連れ込まれ、残酷に迫害されていた。中には拷問死させられた者、生きたまま臓器を収奪され、そのまま火葬された者も少なくなかった。四日目の夜、私は再び拘置所へ戻された。

　音信不通のまま一年近く経ち、家族は私が地元の拘置所にいると知り、複雑な気持ちを抱えながら次々と面会に来た。最初に面会したのは夫だった。家を離れる時、彼は「家で待っている」と約束したのだが、私を見るなり最初の一言は挨拶ではなく「離婚しよう」だった。私は「理由は？」と問うた。夫は「夫婦はもともと同じ林に棲む鳥。だが、大難が来たらそれぞれ飛び散るものだ」と答えた。私はただ静かに一言、「あなたに、私と離婚を語る資格はない」と言った。夫はしぼんだように立ち去った。兄、兄嫁、弟、弟の妻、姉……みな火薬を飲んだかのように、いや正確には、中共に強烈な毒を吹き込まれたかのように、一人残らず罵り散らした。ほぼ一年、私のことで恐れと不安に苛まれていたその積み重なった怨みを、全部私にぶつけているようだった。姑と舅は私を見るなり泣き出し、息子（私の夫）が、私が家を出た直後、すぐに既婚女性と同棲を始め、その女は自分の夫と離婚し、私と夫が離婚すれば即座に結婚したいと言っていることを訴えた。舅姑は強く反対していた。

　重度の乗り物酔いの母も来てくれた。私を苦しませまいと、あふれそうな涙を無理にこらえ、静かに「お前は必ず元気に出てきなさい。あの人（夫）は他の女と一緒になったとしても、ミミ（私の娘・仮名）にはお前が必要だ。家にもお前が必要なんだよ」と言った。私が背を向けた時、母は刑務所の警官に向かって「うちの娘をすぐに出しなさい！　悪いことなんてしてない！　命が欲しいのか？　それなら、この年寄りの命と引き換えにしなさい。娘にはやるべきことが山ほどあるんだ！」と大声で叫んだ。その瞬間、私の涙は堰を切ったようにこぼれ落ちた。学歴もない、外に出ることも少ない田舎の老いた母が、娘の正信のために自分の命を差し出そうとするなんて、なんという偉大な母だろう。なんという偉大な生命だろう。その後母は床につき、私が釈放されてから1カ月も経たないうちに、悲しみの中で亡くなった。

　その直後、市公安局と国保大隊は再び私を呼び出し、私と共に流浪していた同修の名前が並んだ紙束を広げ、「彼らは皆捕まった。資料拠点も破壊された。お前のことも全部供述している」と言った。私は「子供だましだ」と言い放った。翌日には、拘置所の教導員が、彼ら全員が読んだという手紙を私に見せた。それは、家の近所に住み、かつて私に法を教えたが中共に「転向」させられた人物が、私を誹謗し、洗脳しようと書いたものであった。もちろん私は見なかった。

　しばらく彼らに弄ばれた後、私はよろよろと部屋へ戻った。途中、拘置所の幹部の妻に会い、彼女は私を見るなり「こんなことを続けたら、人間を狂わせてしまう……」とつぶやいた。

　居室の板の上に座ると、積もり積もった重圧が次々と押し寄せ、息もできないほどだった。その苦しみは、心の最深部を刺し貫き、万本の矢が胸を貫くようで、身体の細胞ひとつ残らず釘を打ち込まれているかのようだった。精神は崩壊寸前、身体は限界を超えていた。周りを見ると、殺人犯、麻薬中毒者、売春、詐欺、誘拐などの囚人たち……その恐ろしい目つきの中で、これから彼らと朝夕共に過ごすのだと思うと、その落差は計り知れなかった。しかし次の瞬間、ふと悟った。「ああ、自分はまるで孫悟空が太上老君の錬丹炉に投げ込まれたようなものだ」

　いつものように脚を組んだ瞬間、上で見張っていた警察官が「誰だ、そこで座禅しているのは？」と言った。私はハッとした。そうだ、私は誰なのか？　私は李洪志師父の弟子です。私は法を正す時期の大法弟子です。どこにいても、李洪志大師の弟子は最も素晴らしい存在なのです。そう思った瞬間、なんと美しい光景が現れた。自分の身体が消えて、そこに座っていたのは自分の身体と同じ大きさの「真」という字。それがやがて「善」になり、さらに「忍」になった。ああ、私の身体は「真・善・忍」で構成されている！私の生命は「真・善・忍」でできている！　「真・善・忍」は宇宙の根本大法だ。ならば、大法弟子は宇宙の正法と共に在るのだ。

　その瞬間、心の奥底から浩然たる正気が湧き上がり、全身が強大な正のエネルギーに包まれた。意識ははっきりと、この力が広大な宇宙、つまり「真・善・忍」という宇宙の根本である大法から来ていることを理解した。その正のエネルギーは圧倒的に強く、次の瞬間、私の思考も身体も一気に引き上げられた。一瞬にして、全身の巨大な痛みは跡形もなく消え去り、心は晴れ渡った。

　師父の恩に叩頭して感謝します！　師父が『真・善・忍』で新たな私を再び造り上げてくださったのです。慈悲で偉大なる師父が、弟子が最大の危機に置かれたその時、大法の威徳を現し、弟子を苦難の中から蘇らさせてくださいました。