　【明慧日本2025年11月25日】2021年末のある日、運送業をしている夫は30数トンの貨物を積んで、通常の速度で走行中に眠ってしまい、前方に停車していた同じく満載の大型車に衝突しました。大型トラックは無事なら問題ありませんが、ひとたび事故を起こすと、速度・荷重・慣性・衝撃力が大きいため、大事故になります。夫のトラックは前方部分が完全に壊れました。夫は病院に運ばれ、検査の結果、鎖骨骨折、頸椎の2カ所のずれ、肋骨の複数箇所のひび、骨盤の裂開、右手首の骨折、両脚のすねの骨折と診断されました。

　夫は法輪大法を修煉してはいませんが、大法の素晴らしさを理解しており、大法の真相護身符も身につけていました。大法師父のご加護のもと、夫の命は守られたのです。医師は、「こんなに重症の交通事故患者は何年も見たことがない」と言い、さらに保険の有無を尋ねました。私たちは農村合作医療に加入していましたが、今回の事故は対応できず、自費になります。「最低でも440万円、多ければ660万円かかる」と医師が言いました。

　私は難関が来たと分かりました。心をしっかり落ち着け、着実に自分を修めなければならないと思いました。修煉者の立場に立ち、毎日出会う出来事のすべては自分が修めるべきものです。師と法を無条件に信じ、真に修め、実際に修めることは私のすべきことだと悟りました。

　その当時、コロナの影響で夫の病室は個室でした。私は毎日、夫に大法を読み聞かせました。私は、「大法弟子は主役であり、自分の身辺のすべては大法弟子の心を中心に動いている。だからこそ、自分の心をしっかり守り、法以外のあらゆる考えは、人間社会の理によって形成された観念であり、それが現れたら見分け、取り除かなければならない」と思いました。そうならば、最初から常人の思想を生じさせないよう最善を尽くし、その思想がでたあとで正念か人念かを区別し、排除という過程自体を省くことが出来ます。すべてを師父にお任せし、毎日私の前に現れるものは師父が与えてくださった修煉の道そのものだと認識しました。師父は私の心を見ておられます。だから、自分のすべてと心を師父に委ねました。

　夫の最初の手術は朝8時から始まり、終わったのは夜6時過ぎでした。手術後、夫はほぼ全身が麻痺しており、動かせるのは左右に揺らせる足だけで、その他の部位はまったく動きませんでした。医師は毎日、「ガスは出ましたか」と聞きましたが、夫はいつも「出ていない」と答えました。医師は私にこっそり、「出ていないのではなく、どこかの神経がうまく機能しておらず、本人が自覚できないのかもしれない」と言いましたが、私は表面の現れには心は動じませんでした。常人の念が出たらすぐに排除しました。

　例えば「夫はこのまま半身不随になるのか？」、「子どもはまだ学生で、家の貯金はどれだけもつのか？」、「この家の将来はどうなるのか？」と、こうした考えはすべて常人の念であり、人間社会で形成された理で、人の観念が作ったこの殻を解体しようと決めました。表面上の夫の状態がどうであれ、私はただ師を信じ、法を信じ、法に符合しない考えをすべて修め、取り除き、ただ修煉者の道を歩むのみです。

　これほど重い怪我で、夫は2度も大きな手術を受けたにもかかわらず、たった26日で退院できました。まるで奇跡のようです！　医師は「すべて外傷で、内臓には問題がありません。家で静養してください。ただし、神経がどこまで回復するかは保証できません」と言いました。また、例をあげてこう言いました。「北京に有名なアスリートがいますが、今でも車椅子です。北京の高度な医療技術をもってしても、神経の回復は保証できません」

　夫が退院した後、すぐに試練がやって来ました。夫は寝たきりで、食事も口元まで運ばなければならず、排泄の世話もすべてしなければなりませんでした。そのうえ、年末で店の商売が特に忙しく、朝から晩まで休む暇もありませんでした。しかし私はとても冷静で、これは自分の修煉の道なので、怨まず、他人のため、善を修め、包容力を修めなければならないのです。毎日接するすべてのことは、まさにミラレパ（密勒日巴）が家を建てては壊す、修行のように、執着心と人念を取り除き、修行の道を歩むための過程でもありました。私はまるでお寺の小さな修行僧のように、ただ着実に、自分自身を修めていきました。

　夫が退院して3日目のことでした。私はその日も一日中忙しく、すでに疲れ切っていました。そんなとき兄から、「血圧が高くて具合が悪い」とメールが届きました。私はすぐに120（日本は119、中国は120）に電話をかけ、兄を病院へ搬送しましたが、結局亡くなってしまいました。まさに泣きっ面に蜂のように、家にはまだ動けない夫が横たわっているという状況でした。でも私は分かっていました。自分がすべきことは、自分の心をしっかり守り、無条件に修煉の道を歩むのみです。

　兄は離婚後、長年ずっと私と暮らしていました。私が兄のために家を買ってあげた後、ようやく別々に生活することになりました。兄の足が車にぶつけられたときは世話をし、暖房費が払えないときは支払いを助け、兄がけんかに誘われると私が止めるなど、色々なことがありました。私と兄はどんな縁なのか分かりません。また、兄の娘と嫁は他県に住んでおり、長年ほとんど付き合いがありませんでした。私は修煉者の立場に立ち、情や利を捨て、姪と協力しながら、兄の後事をしっかりと処理しました。家と土地代、携帯に入っているお金もすべて姪に渡し、私は兄のお金を一銭も受け取りませんでした。そのときの私は、自分が修煉者であることを常に意識し、師父の教えに従って行動しました。

　夫の姉と妹がやって来て、夫の事故のことを義父に話してはいけない、とくにお金のことを言ってはいけないと言いました。それを聞いたとき、私は心性を高めるべきだと気づきました。自分には、利益心や、誰かに助けてもらいたいという思いがあることを自覚し、これらの心を放下し、怨みや執着心をなくすべきだと思いました。その夜、夢を見ました。大通りに黒い服の人々がずらりと並び、道を完全に塞いでいました。しかし私がその道に出ると、彼らは消えてしまいました。自分の悟りが正しかったと分かりました。

　貨物取扱の社長が、事故後に荷物が破損したことについて、直接お金を請求しに来るのは気が引けることでしたが、人を通して知らせてきました。私は自ら社長に連絡し、どれくらいの損害が出たかを確認しました。社長は自分で書いた帳面をスマホで撮って送ってきて、「22万円でいい」と言いました。修煉者は借りを作ってはいけないと分かっています。言われたお金を振り込みました。これほど大きな事故で、破損がこれだけで済んだのも、師父のご加護のおかげです。師父に感謝いたします。

　義父は、夫の20年以上の土地代のお金を自分のものとして残していました。普段は特に何も言わないのですが、今回は息子が事故に遭い、手術や治療費をすべて自費でまかなわなければならず、義父は何の心配もせず、土地代も返してくれません。義父の経済力は村でも知られているほどです。私は心の中で不快に感じ、年末、寝たきりの夫の介護を口実に、義父のところに顔を出しませんでした。ところが、お正月の15日、義姉が私の家に来て「あなたたち、義父を見に行くべきで、行かなかったのは間違い」と言いました。よく考えたら、自分が間違っていたのです。お正月には実家の親のところに帰るのは伝統です。間違いを認め、正すために、プレゼントを持って義父のところへ行くことにしました。

　内に向け非を探しました。常人と正誤を論じれば、基点は常人になってしまいます。どうして私はこんなにだめなのか？　どうして人を恨んでしまうのか？　彼らは、私が救うべき人です。彼らが私に良くしてくれるかどうかに関係なく、善心で接し、すべてを包み込むべきです。なぜなら、修煉者の基準は常人とは異なるからです。

　今日、文章を書きながらさらに深く自己を見つめました。私には怨みもあり、不満もあり、心の葛藤もあり、常人に認められたいという心もあることに気づきました。しかし、私には師父がいらっしゃいます。それなのに、常人に求める必要などどこにあるでしょうか？　これらの心をすぐに取り除くべきです。

　夫が交通事故に遭った後、夫のすぐ下の妹は見舞いに来ませんでした。私は内に向かって非を探しました。すると、ある年、彼女が「義父の宅地に家を建てるつもりはあるの？」と私に尋ねたことを思い出しました。その時、私は深く考えず「建ててもいいし、建てなくてもいい」と答え、そのままにしていました。今思えば、彼女は家を建てたいと思っていたのです。当時、自分が気づかなかったので、「今度はこの怨みを善意で解かなければならない」と思いました。そこで私は、夫の姉に自ら話しを持ち掛けました。「妹が家を建てたいなら建てていいですよ。私は特に考えはありません」と。私が自ら譲ったことで、妹も兄の見舞いに来るようになり、家族の関係は和解しました。

　夫の身体も日々回復していきました。足は次第に力を取り戻し、腕も動かせるようになり、わずか4カ月で、自力で歩けるようになりました。半年後にはほぼ正常に回復し、後遺症はまったく残りませんでした。現在、夫はすでに2年間仕事に復帰しています。誰もかつて全身麻痺だったとは想像できないほどです。これはすべて、師父が夫に奇跡をもたらしてくださったおかげです。師父に心から感謝いたします！

　「今年、車両隊の年金保険を払うとき、労災保険の加入が必要でした。兄の件は保険でカバーできるか分からないけど、試してみたら？」と義妹がこう教えてくれました。結果、労災保険で最初の医療費が220万円以上も給付されました。さらに、献血証や高額医療保険、相手車の第三者保険の免責分、労災鑑定費などを合わせて計算すると、夫の交通事故にかかった全費用が全額カバーされました。弟子が師父の教えに従い、真剣に修煉していれば、師父が用意してくださる結果は必ず最善であると私は悟りました。

　夫はインターネットで医療補助金の存在を知り、自分の状況なら申請できることが分かりました。しかし私は反対しました。「あなたの体はもう回復したし、当時はすべて自費で、今は医療費も全額給付されました。これ以上欲張ってはいけない」と言いました。夫は「これは合理で合法的なことだ。資料を提出するだけで、人に頼まず、コネを使わず、もらえればありがたいし、もらえなくても構わない」と言いました。彼は自分で手続きを行い、結果として翌月、242万円以上が給付されました。利益心を放下すれば、自分のものであれば、失うことはないと理解しました。師父はすべてを見守ってくださっているのです。

　過去を振り返ると、師父が私に幸せで円満な家庭を与えてくださったこと、生活に悩まされないようにしてくださったこと、そしてずっと魔難を乗り越えて導いてくださったこと、すべて心から感謝いたします。

　（明慧ネット第22回中国法会原稿）