　【明慧日本2025年11月26日】（前文に続く）

　同級生に真相を伝える

　2年後、私は中学に進学し、母親も不当な労働教養が終わりました。母親が帰宅したのは夜で、私はすでに眠っていました。翌朝、母親の姿を見た瞬間、一瞬固まりました。本当に現実なのか？　私は「お母さん！」と叫ぶや否や、母親の胸に飛び込み、声を上げて泣きました。この2年間のすべての悔しさと意地が、涙となってあふれ出たかのようでした。

　母親は多くの真相を語ってくれ、学法を通して多くを理解しました。しかし、この穏やかな日々は長くは続きませんでした。警察の度重なる嫌がらせにより、母親は身を隠さざるを得なくなったのです。再び母親と離れ離れになりました。父親は出稼ぎに出ており、私は学校の寄宿舎で暮らし、週末は時におばの家に行き、時に学校で過ごしました。

　中学時代は自分自身の信念に基づいていました。勉強に真剣に取り組み、当番の仕事もいとわず、小グループのリーダーに人一倍の仕事を頼まれても気にしませんでした。「私は大法弟子、師父の弟子であり、常人とは違うのだ」と自分にいつも言い聞かせていました。ある時、同級生に「どうしていつもにこにこしているの？」と言われました。同級生から良い評価をされていた頃は、自分の心性が比較的よく保たれていたことに気づいていませんでした。またある時には、以前よく私に当たり散らしていた同級生がふと「君って本当にいい子だね」と言いました。ずっと見下されているのだと思っていたので驚きました。今思えば、その同級生がほめたことは師父の励ましだったのかもしれません。

　自分なりの方法で同級生に真相を伝えました。理解してくれる人もいれば、理解しない人もいました。嘲笑する人もいれば、同情してくれる人もいました。他人の目は気にしませんでした。自分が何をするべきかがはっきりしていたからです。

　中学卒業前には、クラスのほとんどの同級生に祝福の言葉と真相を書いて渡しました。書けるスペースは限られていましたが、同級生たちが「真相」を知ることで救われてほしいと願い、悔いを残したくありませんでした。

　迷いから立ち返る

　大学に進学して、新しく住み始めた場所の同修と無事に連絡が取れました。師父がそばにおられると感じ、とても幸せでした。最初は精進しようという自覚が保てたのですが、次第に怠けてしまいました。同修と共に修煉する機会を軽んじ、精進し着実に修めませんでした。

　入学初日、寮に早く着いたので先にベッドを選べました。あれこれ選んだ末、出入口に近い一台にしました。ベッドの正面にも頭側にもロッカーがあり、ちょうどよい目隠しになりました。カーテンを閉めさえすれば、読書や座禅ができ、時には場所を見つけて動功も行いました。

　毎週末、同修の家に行き、一緒に学法しました。残念ながら、私は真剣に学法せず、形だけで、修煉について「知っている」だけで、「分かっていない」状態でした。常人的な勇気に頼って真相を伝えることを多少してはいましたが、着実に修めず、内に向けて探しませんでした。

　やがて、安逸を求める心がどんどん強くなり、学法への参加を避ける口実を常に探すようになりました。怖れる心も重くなり、真相もあまり伝えなくなりました。しかも、選んだベッドは実に寒く、冬になるとそこは風の通り道で、夜は厚い教科書やコートを布団の上に重ね、昼は綿入りの上着を着たままベッドで本を読む必要がありました。最後の半年でベッドを替えましたが、やや暖かくなった代わりに、読書や座禅に適した環境を失いました。

　同修たちは私が落伍しないよう、毎週末に誘ってくれました。行くたびに同修が温かくもてなしてくれ、一緒に学法・煉功をし、その後おいしい食事を用意してくれ、修煉について交流しました。家は貧しく、学内ではいつも一番安いメニューしか頼みませんでした。食欲は旺盛ですが、出費を抑えるため、毎回、ご飯を約100グラムしか食べず、満腹にはなりませんでした。だから同修の家に行く日は普段の貧しい食生活から解放される日でもありました。学内では同級生とあまり共通の話題がなく、同修の温かさは私を和ませました。

　しかし、自分で「三つのこと」をきちんとできないことが心苦しく、また同修に迷惑をかけたくないという思いもあり、次第に同修の家に行かなくなりました。

　やがて働き始めましたが、学法が追いつかず、修煉はひどく怠惰になりました。ふがいない状況であっても自分は修煉者だと分かっていたので、仕事では贈り物を丁重に断り、上司が受け取った取引先からの不正なキックバック（賄賂）も受け取りませんでした。身近な数人の同僚には真相を伝えましたが、次第に真相を伝えなくなり、常人と一緒に飲み食いをし、遊ぶようになりました。

　一人になるたび、心の奥底では罪悪感と空虚さを覚えました。とはいえ、修煉の種子はすでに深く心に埋まっており、慈悲深い師父はずっと見守ってくださいました。どこへ行っても近隣の同修が連絡をくれ、時おり「常人の中で迷わないように」と諭してくれました。不甲斐ないことは分かっていましたが、罪悪感と自己嫌悪から、大法書籍を手に取って心を静めて読むことができませんでした。

　同修と共に修煉する環境から離れ、共に修煉する機会を大切にしなかったため、自分の環境を悪くしてしまいました。昇進はしましたが、過重な仕事で食事の時間を逃すことが多くなり、不健康な生活習慣から身体に不調が現れ、腰部や股関節のあたりが痛むようになりました。働き始めて1年余りで体重は約5kg減り、見た目にもずいぶん痩せました。

　あの頃、私はしばしば、「私は何をしているのだろう？　私は自分の時間を浪費し、何の意味もないことをしている」と思いました。師父の『二〇一三年米国西部国際法会での説法』を手書きで書き写し終えて間もなく、私は一切を放下し、実家に戻って母親と一緒に修煉することを決めました。

　着実に修める

　しかし、帰郷後は思っていたほど順調ではありませんでした。適切な仕事が見つからず、長い間、低収入の仕事に就きました。より良い仕事を探そうとして、毎日、携帯電話を見る時間に多くを費やし、仕事をうまくこなそうとして精力の大半をそこに注ぎました。夜更かしと朝寝坊の習慣はすぐには改められず、朝の煉功にも参加できませんでした。心性が低く、一日中仕事のことばかり考えて心が静まらないため、煉功中はうとうとしてしまい、発正念の最中も手が下がってしまいました。長く学法をしていなかったため、一気に長時間学ぼうとすると退屈に感じ、強いプレッシャーにもなりました。

　このような状態は、母親とのトラブルを日増しに深刻化させました。人心に支配され、いつも自分がかわいそうだと感じ、母親はなぜ私を優しく受け入れてくれないのかと責めました。

　母親の私へのすべての尽力を情で量り、母親は変わってしまい、私そのものではなく、私の修煉だけを重んじているのだと思いました。内に向けて探さなかったため、心の底に積もっていた怨みややるせなさは増える一方でした。多くの場合、母親の怒りを無視するか、その場から逃げました。なぜ母親がこんなに「苛刻」なのか理解できませんでした。何度も交流はしたものの、トラブルが起こると、いつもと同じように口論になりました。こうした日々が何年も続きました。

　しかし、すべては厚い氷雪が静かに融けていくように、たゆまぬ学法と心を修める中で解けていきました。昨年初め、母親が外で真相を伝えていた時に交通事故に遭い、動くのが不自由になりました。当時、私は無職で家にいたので、父親の反発を招かないよう、進んで母親の看病を引き受けました。

　ところが、ある日家事をしていると、「どうして私がここで家事をしなければならないのか？　誰々は外に遊びに行っているのに！」とふいに怨恨心が頭をもたげました。すぐに、「これは怨恨心だ」と気づき、「私は大法弟子。ここには私がやるべきことがある。彼女は私の母であるだけでなく、同修でもある。今、彼女は私を必要としている」と言い聞かせました。そう思った途端、その怨む考えは消え、心はとても静かになりました。

　またある時、ふと「最近ずっと外にぶらつきに行っていないな」という念が湧き上がりました。すぐに、頭に浮かんだ念が不満の心であり、不満の心の背後には安逸を求める心があると気づきました。「ぶらぶらできないから何だというのか。これは安逸を求める心だ。私は修煉者であり、そうしたものは追い求めない。これは取り除くべきものだ。今のうちにしっかり取り除こう」と考えました。こうして外にぶらつきたいという思いは消えました。

　そのころ、学法を重ねるにつれ、仕事がうまくいかなかった原因は、強い利益心と、面子を重んじる心にあるのだと少しずつ分かりました。

　師父のご加持の下、母親はほどなく自力で歩けるようになり、私の介助は不要になりました。そして慈悲で偉大なる師父は、私にふさわしい仕事も按排してくださいました。師父が按排してくださった仕事を受け入れた時、はっきりと「しっかりやろう。これは私の修煉の環境だ」という思いを得ました。新しい仕事に就くまでは仕事の中で自分を修めて内に向けて探すことをせず、常人の仕事をただの仕事として扱っていました。職場では腹の探り合いをし、利益のために憤懣やるかたない思いを抱き、口を修めず、陰で人の悪口や噂話を言ったりもしました。新しい仕事は必ず大切にし、しっかり修煉しようと思いました。

　現在、母親と互いに励まし合い、絶え間ない学法を通じてそれぞれの問題を見つけ、善意で注意を促し合い、相手を責めず、怨恨心を修めて取り除いています。師父が『轉法輪』で「一人の人間や、一つの生命体を作り上げる場合、その人の独自の生命成分やその人の本質は超ミクロの世界ですでにできあがっているのです」と説かれている箇所を読んだ時、自分は法のために来た生命なのだと悟りました。

　自分の歩んできた道を振り返ると、本当に多くの貴重な修煉の時間を浪費していました。学法が進むにつれ、師父の法理が次々と心の結び目を解いてくださいました。あらゆる不平、すべてのやるせなさ、すべての怨み、妬み、怠惰は、常人の美しい生活を貪る心から来ており、しかも修煉の中で経験した多くの魔難は、強い執着を放下できなかったために、邪悪要素に隙を与え、人を救うことに多大な損失をもたらしたのだと分かりました。

　家庭でも職場でも、トラブルに遭った時に内に向けて探さず、心を修めず、ひたすら外に目を向けたため、トラブルが激化してしまったのです。

　この上なく偉大なる師父がずっと私の成長を見守り、偉大なる佛法で弟子を世俗の迷いから導き出し、家に帰る法船に乗せ、全身の垢を洗い落としてくださり、神聖な使命を授けてくださったことに、心から感謝申し上げます。

　師父、ありがとうございます！　同修の皆さん、ありがとうございます！

　個人の修煉体験であり、次元が限られています。至らぬ点があれば、同修のご指摘をお願いします。

　（完）